心神喪失者等医療観察法の条文・審議(その39)

前回(id:kokekokko:20060131)のつづき。
前回にひきつづき、法務委員会における質疑です。
【植田委員質疑】

第155回衆議院 法務委員会会議録第15号(同)
○山本委員長 次に、植田至紀君。
○植田委員 社会民主党市民連合の植田至紀です。
 私は、この政府案及び修正案、速やかに廃案をと言ってきましたけれども、きょうのお昼の理事会で、言うに事欠いて、私の質問が終わった後、質疑終局、採決だと。本当にとんでもない話でございますね。激しい憤りを禁じ得ない。私ははらわたが煮えくり返っております。
 この間の質疑をずっと聞いていましたけれども、私は法律家ではありません、そんなに法律学を修めてきた弁護士でもない、裁判官出身でもない、ただ一つ、法律というのは人を守るためにあるんだと確信してきましたけれども、この法律の議論を聞きながら、私自身、大きな間違いを犯していたのか、法律が人を守るために存在しないのか、そのことを勉強させていただいた。その意味では、この法案を提出された方々に感謝を申し上げたい。
 さて、今回の法案は当然、法務省厚生労働省の共管であります。ですから、きょうは連合審査ではありませんけれども、きょう坂口厚生労働大臣がお越しだというのは、何もお越しいただいているということではなくて、坂口厚生労働大臣がこの法案の審議にかかわって責任を負っておられるということですから、きょうお座りなんだろうと思います。当然、私の質疑が終わるまでそこにお座りいただけるんだろうと思うわけですが、ちょっと幾つかお伺いする前に申し上げたいんです。
 何か先刻、坂口大臣の議員会館の事務所に、先日の参考人質疑でただ一人の精神障害を抱える患者でもあり、著述家でもある長野さん等がお越しになって、本日の採決を延期してほしいということを申し入れられに行ったそうでございます。
 当然、坂口大臣はそちらにはいらっしゃいませんでしたので、秘書官の小柴さんという方が必ず大臣にメモを入れますということでございましたので、当然そのメモは届いているだろうなと思うわけですが、それを確認しながら、きょうは私も厚生労働大臣にかなり幾つか聞きたいことがありますので、今すぐというわけではございませんが、私の質問の途中でも結構でございます。午前中は金田先生、そして先ほどの我が党の阿部委員も、当事者と会ってくれ、患者と会ってくれとおっしゃった。そこにいるじゃないですか。議員会館の前で座り込んでいる人がいるじゃない。歩いて三分、五分の距離にみんないるんですよ。私の質問の途中、中座していただいて結構です。私が厚生労働大臣にする質問について、これ以上はあとは結構ですと言ったら、立ってそこででも会えばいいじゃないですか。すぐ会えるんですよ。
 それと、森山法務大臣。きょうは私は法務大臣にお伺いする質問は予定しておりませんでした。採決の前の質問のときにそういうのは予定しておこうと思ったんですが、ちょっと予定が狂ったようでございますが、今からでも結構です。お会いになったらどうですか。
 日程の都合や何やかんやと言っているけれども、本来なら座っておかないかぬお二人の大臣ですが、質問者自身が、その間中座しても結構だから、目の前にいる当事者や座り込んでいる人たちに、その人たちの思いをせめて聞くぐらいのこと、すぐできるじゃないですか。ここからそこまで歩いて何分ですか。どうですか、坂口厚生労働大臣、森山法務大臣、一言ずつ。やりますか。私は、もしそうなさるのなら中座していただいてもいいよと申し上げているんですよ。どうですか、お二人。
○森山国務大臣 委員長の御指示に従いたいと思います。
○植田委員 坂口厚生労働大臣、どうですか。
○坂口国務大臣 この委員会は委員長の御指示に従って運営されているわけでございますから、そうした皆さん方の御意見であれば、それに私も従いたいと思います。
○植田委員 では、委員長、指示してあげてください。
 私はいいと言っておるんですよ。すぐそこじゃないですか。そんな、これから電車に乗って二時間、三時間行く話じゃないでしょう。目の前にいるんですよ。
○山本委員長 植田君に申し上げます。
 植田君がその御意見を体して御質問願いたいと思います。
○植田委員 では、会わないのね。
 目の前に当事者がいる。なぜか。この法案の審議で一番話を聞かないかぬのは当事者の声でしょう。それが、例えば参考人質疑において、我が党が当事者の声を聞く場を持ってくれと言ったら、与党は最後まで抵抗した。それはもちろん、お医者さんや弁護士さん、専門家の方々、識者の方々に聞くのは結構ですよ。でも、実際に今暮らしておられる精神障害者の方々の思いということをこの委員会がどれだけ真剣に聞いてきたのかということを私は言っているんですよ。それをやらないまま採決をしようとするというのは、とんでもない話じゃないですか。そうでしょう。
 なぜかというと、政府案も修正案も社会復帰を促進するという建前でやっている。しかし、この間の法案審議で明らかになっているのは、そうした方々にとって復帰するような社会が日本のどこにもないということじゃないですか。その問題について、この間きちっと議論されてきたかどうか。
 では、お伺いいたしますけれども、私も通常国会のときに幾つか坂口厚生労働大臣にお伺いしたんですが、私が、当然、不幸にして精神障害者の方々が犯罪を犯すケースはある、そしてそれを未然に防ぐ前提として精神医療とその体制の整備というのがあるんじゃないかということを問うたことがあります。六月の二十八日の法務委員会でしたけれども、そのときに坂口厚生労働大臣は、その指摘はそのとおりだとおっしゃった上で、なおかつ非常に前向きなことをおっしゃっていた。「それが地域の保健婦さんなのか、それとももっと違った形の人であるのか、それはいろいろあるだろうというふうに思いますが、そうした体制もつくり上げていかないといけない。病院内の、いわゆる病院の問題とそして地域社会における手の差し伸べ方、そうしたこともあわせて充実をさせていかなければならないと思っているところでございます。」とおっしゃった。
 これは私はいい話だと思うんですが、そこでちょっと確認しておきたいんですが、ここで坂口厚生労働大臣がおっしゃった「地域社会における手の差し伸べ方」というのは、具体的にどういう施策なり、ものを指しているんでしょうか。
○坂口国務大臣 きょうもいろいろ御議論がございましたけれども、患者の皆さん方にとりましては、病院という入院の場と、そしてそこを退院されました後の問題と両方あるというふうに思っております。先ほどからいろいろ御議論がありますように、病院の体制というものにつきましてもこれからさらに前進をさせていかなければなりませんが、同時に同じぐらい重要なことは、地域において、患者さんが退院をされました後、どういうふうにその人たちを受け入れていくかということが重要でございます。
 一つは、やはり生活の場だというふうに思います。御家庭に帰られる方はそれはそれで結構でございますが、中にはもう御両親も亡くなった方もお見えでございますから、そういう皆さん方に対しましては、福祉の場と申しますか、生活とそして医療とを両方受けられる場をつくっていかないといけない。あるいは、病院と連携をした場をつくっていかなければならない。中には就職をしたいという意欲をお持ちの方もございましょう。そのときに、雇用という問題も考えていかなければならない。そうした、どちらかといえば生活の場の中の問題が一つあるというふうに思います。それが一つ。
 それから、今度は、その人たちを取り巻く人たちの問題、患者さんと言うと語弊がございますが、入院をなすっていた皆さん方に対しまして手を差し伸べる側の体制の問題がございます。それはPSWの話もございましたし、保健婦さんのお話もございました。あるいはまた地域の先生方の問題もございましたが、そうした皆さん方で手を差し伸べ合って、そしてどうこの皆さん方を見守っていくかということが大事だ。その体制が現在不十分でありますから、そこをどうつくり上げていくかということがこれから最重要課題になってくるということをきょうも議論したところでございます。
 その皆さん方をどうするかという問題は、とりもなおさずその人材をどうつくり上げていくかということにこれは尽きてくるわけでございますので、その人材の養成というものが一番緊急の、喫緊の課題であるというふうに認識をいたしているところでございます。
○植田委員 かなり具体的に、総括的にお話しいただいたわけですが、この間、地域医療の話はかなりいろいろ質疑であったので私は取り上げません。
 私がここで取り上げたいのは、私も別に精神医療に従事する人間ではありません。圧倒的多数の一般市民はそうです。要するに、地域社会における精神障害者に対する著しい差別と偏見という、そういう社会的土壌があるわけですね。雇用の問題にせよ、生活支援にせよ、例えば医療のケアにせよ、その地域社会で生活していく上で常に差別と偏見にさらされている。それを解消するという社会復帰の前提条件がいまだ構築されていないというところは共通認識だろうと思います。
 その意味で、地域における医療はもちろんですけれども、地域社会全体が精神障害者を受け入れる条件を形成していく、そのための社会教育等における人権教育の推進というものは、当然坂口厚生労働大臣も重要な柱であると認識されておられますね。
 それを前提に申し上げますが、何もこんな法律をつくるからやらないかぬという話じゃないんです。人権教育のための国連十年推進本部というのが、九七年、もう五年前ですけれども、国内行動計画をまとめました。そこにはこう書いています。四行。「精神障害者に対する差別、偏見の是正のため、地域精神保健福祉対策促進事業等に基づきノーマライゼーションの理念の普及・啓発活動を推進し、精神障害者の人権擁護のため、精神保健指定医、精神保健福祉相談員等に対する研修を実施する。」という、この四行がこの行動計画における精神障害者の人権にかかわる部分です。その分量が多い、少ないということを私は問うつもりはありませんが、あらかじめ簡単な資料を取り寄せました。
 今は、この地域精神保健福祉対策促進事業というのは、平成十年度から障害者の明るいくらし促進事業というのに統合されてやっておるようですけれども、平成七年の九月十二日、当時の厚生省保健医療局長の通知で、「地域精神保健福祉対策促進事業の実施について」という要綱があります。いろいろと書いてあるんです。
 幾つかお伺いしますけれども、例えば、ここに九項目の実施要綱の具体的な施策の中身を書いていますが、「精神障害及び精神障害者の保健福祉に関する正しい知識の普及啓発事業」というのは、平成七年の通知ですから八年度以降やられたんですけれども、具体的に、毎年どんなことをやってきたんですか。
○上田政府参考人 お尋ねの地域精神保健福祉対策促進事業につきましては、精神障害者の社会復帰や社会参加の促進を図ることを目的としまして平成七年度に創設されたところでございます。
 平成九年度までの三年間で、延べ五百十の都道府県及び市町村において、精神障害者と地域住民の交流ですとか、あるいは普及啓発に関する広報誌の発行などの事業が実施されたところであります。
○植田委員 こういうようなのもあるんです。「精神障害者の社会復帰の促進についての地域住民の理解を深めるための講演会・学習会等の事業」。具体的にどんな講演会、学習会をやって、これまで何人受けはったんですか。この講演会、聞かはった人、全国で何人ぐらいおりますか。もちろん、都道府県、市町村でそれぞれやっているでしょうが、具体的にどういうことをやったかというのは、これは補助事業ですから、当然把握されているはずですが、実際、その内容と人数ですね、延べ何人ぐらい講習を受けていますか。
○上田政府参考人 私先ほど申し上げました、平成七年から九年度まで、延べ五百十の都道府県及び市町村でこういう事業が行われたという点につきましては把握しているところでございますが、ただいま議員お尋ねの個々の事業については、今私ども、その点までは把握していないところでございます。
○植田委員 「実施要綱に基づき実施する経費の一部については、予算の範囲内で国庫補助を行う」と書いてあるわけでしょう。国が金を出しておるんでしょう。把握していませんて。
 例えばですよ、今、坂口厚生労働大臣、これから精神障害者が地域社会でどう暮らしていくかというその基盤整備について一通りの話はありました。その中で、当然、坂口厚生労働大臣も、私が今言っている地域社会における差別と偏見を解消していくための人権教育の推進というものは重要な柱だということはうなずいてはりました。
 今この段階になって、しかもこんな希代の悪法ができる。皆さん方はええ法律やと思ってはるから、それはまあ見解の違うところですけれども、では、これまで厚生労働省として、かかる事業について、どんな取り組みをやって、どんな成果が上がっているのか上がってへんのか、そんなこと精査するの当たり前じゃないですか。
 というのは、社会復帰を促進するための法律を出してはるんでしょう。既存の、今、社会復帰の促進のためにやっているさまざまな事業が不十分か十分か、どんなことをやっているのか、把握しているのは当然の話と違うんですか。五百十のところでやっている、具体的なことは知りませんて、どういうことなの。
 要するに、では、それだったら、地域社会における手の差し伸べ方といっても、しかも、人権教育のための国連十年推進本部を総理を本部長としてこしらえ、九七年にこういう基本計画をつくったけれども、そこから先、別に特段進捗していないというふうに御判断させていただいていいんですか、どうですか。
○上田政府参考人 私ども、今後、精神保健福祉対策を充実あるいは推進するために大きな課題として、やはり精神障害者に対する理解、あるいは偏見をなくすこと、こういった啓発は非常に大事だと思っております。これまでも、先ほど申し上げましたように、地域精神保健福祉対策促進事業、こういう事業を通じながら、私ども、確かに、要綱に基づき、都道府県、市町村にそういった事業の推進方を指導しているところでございます。
 したがいまして、こういう事業のより効果的な推進、あるいは先ほど申し上げました精神障害者に対する理解、偏見をなくす、こういった啓発運動を今後もっともっと積極的に取り組み、そして、そういう中で、精神障害者の社会復帰の問題ですとか、あるいは地域でのそういったケア、こういった対策についてしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。
○植田委員 そんな大臣答弁みたいな答弁要らぬのですよ。わざわざ何で事務方に私答弁さしたか。具体的なことを聞いているんですよ。大臣答弁だったら、やや抽象的でも私は堪忍しますよ。事務方がそんな答弁してどないするんですか。
 そういう決意を今示されたけれども、では今度、平成十四年、ことしの三月に、議員立法で与党が提出されて、我々も賛成しまして人権教育・啓発推進法というのができたことは御承知だと思いますが、それに伴って人権教育・啓発に関する基本計画というのがまとめられました。
 精神障害者の部分。「精神障害者に対する差別、偏見の是正のため、ノーマライゼーションの理念の普及・啓発活動を推進し、精神障害者の人権擁護のため、精神保健指定医、精神保健福祉相談員等に対する研修を実施する。」これは九七年に出している国連十年推進本部と全く同じなんですよ。一つだけ違うのは、事業名が、「地域精神保健福祉対策促進事業等に基づき」という文言が落ちておるだけで、それはどういうことかというたら、障害者の明るいくらし促進事業に統合されたのでそこが削ってあるだけで、九七年の人権教育のための国連十年に関する国内行動計画で厚生労働省精神障害者の人権確立に対する取り組みについて書かれた文書と、その五年後、ことしの三月に出たこの基本計画、まるっきり同じ文言しか書いていないわけですよ。要するに、その五年間何もやってけえへんだということを証明しておるというふうに認識していいんですね。どうですか。
 ちゃんとこれはレクのときに両方示して言うていますがな。長い答弁要りませんから、時間ないし。
○上田政府参考人 人権教育のための国連十年に関する国内行動計画の推進状況について報告されておりますが、私ども、各種の研修を行っておりまして、精神保健指定医に対する研修会、平成九年度では七回ですとか、十二年度においては九回とか、それぞれ実施、あるいは、精神保健福祉相談員の資格取得講習会では、平成九年度は五カ所、十二年度も五カ所実施している、こういうようなことを報告しているところでございます。
○植田委員 そんなこと聞いていませんがな。要するに、何もやっとらぬと言ったら、白状すればいいんですよ。それはやっている。研修会、講習会、やっているじゃない。でも、例えば、先ほども質問のときに、通達に基づいて国が金出す事業、各都道府県で五百十のところでやっている、それしか掌握していませんと平気な顔しておっしゃる。何でそのことで私が怒るかわかるでしょう。
 要するに、精神障害者が地域社会で、それは坂口さん、ええことおっしゃったんです、手の差し伸べ方を考えていかぬといかぬと。それを考えるときに、これまでの施策の中身を精査して、何がよくて何がよくなかったのか。もっと言うならば、今、精神障害者が社会復帰をする、何もこれは触法に限りませんよ、そこで、地域で生活をしていくその社会的基盤が現状でどうなのかということをはかるための一つの素材でしょう、今言っている。そういうバックデータなんです。そのバックデータを持ってへん。持ってへんと言いながら、いけしゃあしゃあと社会復帰を促進すると言うたって、これは絵そらごとだと私は言っているわけですよ。
 例えば、これだけ聞きます。精神障害者、全体で大体何人おるかわかっていますね。この一般の教育啓発の講習会、学習会、まあ五百十のところでいろいろなことをやっているかもしれぬけれども、じゃ、何人の方がこの講習会に参加したかという数字出ますか、わかりますか。
○上田政府参考人 私ども具体的な数字を把握しておりませんけれども、何度も申し上げますが、私ども、これからの精神保健福祉対策を推進する大きな柱として、こういった精神障害者に対する理解の啓発運動、やはりこれはもっともっと展開する必要があろうかと思います。
 そして、私も先ほど幾つかの件数、実施状況を申し上げました。確かに現在のこれまでの取り組みがいろいろ課題があったわけでございまして、私ども、こういった点も十分踏まえながら、精神保健福祉対策を推進する大きな一つとして、こういった精神障害者の理解への啓発、取り組みをこれから進めてまいりたいというふうに思っております。
○植田委員 今までサボっておりましたのでこれからまじめにやらせていただきますという、そういう決意表明として伺っておきます。
 それで、厚生労働大臣、今のやりとり、これは私も何も抜き打ちで聞いているわけやのうて、あしたそういうことをちゃんと聞くから調べといてねと言っているのにこの調子なんです。だから怒っとるんですよ。何も抜き打ちで聞いているわけじゃないんですよ、こんなの。全部、きのうレクでやっている話なんですよ。これとこれとこれとと、九つの細目についてどんなふうに把握しているかと。当然把握されているだろうなと思いきや、そんな調子やから、もうあっけにとられました。
 今のやりとりを聞いておられて、坂口厚生大臣、社会復帰を促進するといっても、現状において、そうした社会復帰が著しく促進されるような社会的な基盤、条件というものはいまだ整っていない現状にある。とりわけ差別、偏見の厳しさというものは、いまだ精神障害者が社会でごく普通に暮らしていくには厳しい条件にあるという現状だけは認識されますね。
○坂口国務大臣 社会基盤につきましては先ほど申し上げたところでございまして、これからそうしたことを充実していかなければならないということを申し上げたわけでございます。
 また、精神疾患をお持ちの皆さん方に対する社会全体の思いということにつきましても、これもやはり今後取り組んでいかなければならない。これはいろいろの啓蒙活動ということもあるというふうに思いますが、そうしたことだけではなくて、もう少し多面的な取り組みが必要だというふうに私は思っております。そうしたことを今後やっていくということが大事だというふうに思っております。
○植田委員 後で全部、どうした実績があるのか、これは資料として要求しますので、五カ月かかるか、一月か、一週間かわかりませんが、速やかに調べてください。だって、全部金出しているわけですからね。勝手にやっているわけやのうて、その事業に対して金出しているわけですから、すぐわかるはずでしょう。そうだし、やっている中身について精査してお金出しているんでしょう。そんなええかげんなことだったら困りますよ。
 そこで、若干、修正案についても言及したいと思うんで、塩崎先生、漆原先生、どちらでも結構なんですが、実際、今のやりとりを聞いていただいて、提案者が、今の現状を考えたときに、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者が円滑に社会復帰できる社会条件にあると御認識でしょうか。提案者に伺います。
○塩崎委員 植田議員の御指摘のように、今の精神医療も、そしてまた地域における精神障害者の受け入れ体制につきましても、極めておくれているという認識は全く同じだと思っております。
 いろいろとこれまで障害者プランの中で七カ年戦略ということでやってまいりましたが、その進捗率、これは木島議員の質問のときに私も少し言及をいたしましたけれども、進捗率も極めて悪い項目もございます。例えば福祉ホームであるとか入所授産施設であるとか、そういうものを考えてみると、やはり本当にアパートの一部屋も借りられないというお話があったように、そうなると、どうやってこういうものを準備をもっとしていくのかということは相当な努力をしなきゃいかぬというふうに思っているわけでございます。
 ただ、申し上げているように、今回は、入院から通院になったときに社会復帰調整官がフォローしていく、そしてまた地域での受け入れ体制のコーディネートをしていくという新たな試みをやっているということが、他の制度、つまり今の措置入院制度並びに地域における精神医療、保健、福祉にいい影響を与えていくように我々はしていかなきゃいけないという意味で、五年の見直しというのは、そういったさまざまな思いを込めて、今回の修正の中で五年の見直しというのを入れたということでございます。
○植田委員 修正案の提案者に伺いますが、今私が伺った、まあ現状認識は大体共通するだろうと思いますが、当然修正をしようということで作業なさったわけですから、じゃ、この修正の中で、実際、社会復帰を促進するためのその社会条件を向上させていく、そのことについては意識的にされたのか、されていないのか、もしされていたとするのであればどの修正部分がそれに該当するのか、御教示いただけますでしょうか。
○塩崎委員 今回の法律は、もともと昭和四十九年の保安処分という忌まわしい言葉にやはりみんな心配をしたわけであって、入ったまま出てこないんじゃないか、こういうことだろうと思うんです。そこで、今回、政府案に対していろいろな御批判をいただいて、ここの場でも議論が行われて、そして幾つかこの修正を加えさせていただいたわけであります。
 例えば、一番のことは、まず第一に、精神的にもそうなんですが、三十一条に、審判手続において対象者の精神障害の状態に配慮をすべきというような点であるとか、それから、何といっても、入院をした際に退院の申請、申し立てが三カ月できなかったのを、正当な理由があれば必ず、その申請をして、申し立てをして、そして審判をもって出てくるということを可能にするとか、それから、五十条についても、入院患者側からの退院許可の申し立ての期間制限に係る規定を削除したのは今申し上げたとおりでありますけれども、それから対象者の精神障害の状況等を考慮し、裁判所が職権で弁護士である付添人を付することができるというようなことで、このプロセスの中で、まず第一に精神障害者の方の人権が守られ、なおかつそれが社会に出ていくための邪魔にならないようにやっていくという思いも込めて修正をしている。
 そしてもう一つは、一番は、何といってもこの附則の中で地域の精神医療、保健、福祉をちゃんとやらなきゃいかぬということを政府に対して法律で明定をしているというのは、先ほど、差別の問題をおっしゃいましたが、私も私の最初の質問で取り上げたように、文科省を呼んで、なぜ小学生、義務教育のうちから精神障害者に対する差別意識をなくすような教育をやらぬのかと。結局、聞いてみれば聞いてみるほどさっぱりやっていないということもよくわかりました。そういうことで、これは法律には入っておりませんが、そんな思いで今回の修正をやらせていただいたということでございます。
○植田委員 私が聞きたかったのは附則の部分なんです。それ以外のところは、この間のやりとりで何遍もその辺の似た答弁をなさっているからつい出たんだろうとは思います。
 というのは、恐らく今塩崎先生がお示しになったのは、この「精神医療等の水準の向上」ということを附則の三条で三項目にわたって書き込んでいることが、今おっしゃった最後の部分、私なりの思いをここに書き込んでいるんだというところだろうと思うんですが、ただ、この附則第三条でカバーされているのは、あくまでも医療等の、医療の向上なんですよ。地域社会全体として、精神障害者が社会復帰を果たして地域で普通に暮らしていく基盤、また言ってみれば差別意識を解消していく、そういうことについて触れたものではないんですよね、これはどう読んでも。
 だから、これは、今言ったいわゆる著しい差別や偏見の解消、社会意識としての精神障害者に対する差別意識というものを解消していくという視点が完全に欠落しているというふうに私は言わざるを得ないんです。どこで読むんですか、今の私の問題意識は。
○塩崎委員 確かに例えば差別意識の解消とかそういう言葉が入っていないのでなかなか読みづらいかなという気はいたしますが、私の思いは先ほど申し上げたとおりであって、あえて条文にのっとって申し上げれば、この附則の三項のところに「政府は、この法律による医療の必要性の有無にかかわらず、精神障害者の地域生活の支援のため、精神障害者社会復帰施設の充実等精神保健福祉全般の水準の向上を図るものとする。」ということであって、福祉ということは、やはり地域に戻っていくということを実現するにはこの福祉がうまくいかなければだめなわけでありまして、その中にこの「充実等」という「等」、法律だとやはりちいちゃい言葉ではありますが、ここに思いを込めて、これでまじめにやらなかったら許すものじゃないぞというのが我々の気持ちであって、そこのところは、「保健福祉全般の水準」というときに、先ほどちょっと話が出ましたけれども、教育という場はやはり福祉をちゃんとやる、ノーマライゼーション教育というのはやはり学校でやらなきゃいけないことだし、もちろん家庭もそうですし、前も申し上げたかもわかりませんが、幼稚園のときからほかの国なんかやっていることですから、そういうようなことで、ここに思いを込めて読み込めるんだということのつもりでございますので、よろしくお願いします。
○植田委員 私も、そういう答弁やろうな、この「精神障害者社会復帰施設の充実等」の「等」で全部読んでくれと恐らく塩崎先生おっしゃるんやろうなと思いつつ聞いたんですがね。
 でも、私が言っているのは、ここに出てくるのは、何ですか。地域生活支援のために精神障害者社会復帰施設の充実という話と、それこそ精神障害者を取り巻く不当な差別や偏見というものが、この末尾に「等」でくくられるような中身なんですかということなんですよ。
 というのは、これこそある与党の理事の方は、ロンドンまで視察に行ったんだからこの法案を通してくれなどとおっしゃる方もいらっしゃいますが、私もロンドンに行った。ホステルという施設があるんですよ。私が法務委員会で行ったのは、総合病院の一画にそういう施設があるわけですが、退院なさった精神障害者の方々が、みずからの意思で集まって、その施設の中でいろいろな作業をしたり活動をしている、そういう施設なんです。それがイギリスでは地域にあるらしいんですよ。
 私、そのとき、向こうのお医者さんに質問したんです。その地域にあるそのホステルが、あちこちから障害者の方々が集まってくる、では、そういう施設が地域社会とどういう交流を持っていますかということを伺いましたら、にっこり笑ってお医者さん、地域住民にとってはそういう施設があるというのはハッピーじゃない、だから、そういうようなのをつくると言ったらやはり反対する人が多い、ただ、できてしまうとなれてしまうんだと。あるのはなれる。だから、そこの地域社会の中にホステルがあったとしても、施設があったとしても、地域の住民たちとの交流があるわけじゃなくて、いろいろなところからそこに通ってくるだけなんですよね。
 よく先進地域と言われているイギリスでも、そういうホステルという施設があっても、それが実際地域住民と精神障害者の方、別に障害者に限らない、地域の人たちが共生していくそれこそノーマライゼーションになっていないんですよ。
 日本でどうなんですかというときに、施設を充実しますということから入るのか、社会意識として普遍的に存在しておる差別や偏見をどう解消するのかということがやはりまずもって大前提であるべきじゃないんですか。それをなぜ、「等」で読み込んでください、気持ちは同じだけれども「等」で読み込んでくれと。やはりそれは主客転倒しているんじゃないでしょうか。
 だから、そういう意味で、確かに塩崎先生は別に悪意があって修正案をまとめられたとは決して思いませんが、しかし、今申し上げたような疑問に対してはやはり塩崎先生はお答えできないでしょう。何かお答えできますか。そこはできないんじゃないですか、この条文からであれば。
○塩崎委員 確かに不十分であることは認めますが、施設一つといえども、その施設をつくるためにどれだけ苦労するかというのは先ほどのイギリスの地域でもそうなんですね。私の地元でも、今、通所の作業所の移転で、前も申し上げましたけれども、地域の住民から大反対があって困っているわけであって、復帰施設そのものが建てられない、あるいは移転できない、こういうことにやはり問題が凝縮されていることでもあるわけなんで、先生のおっしゃることもよくわかりますが、私は私なりの気持ちを込めたつもりでございます。
○植田委員 そこは平行線なんでしょうが、なぜそこにこだわるかというと、今回のこの私に言わせれば希代の悪法が、建前は社会復帰を促進するという冠をかぶせて、しかも修正案ではそれを強調なさっている以上、じゃ、復帰を促進するんだったらその基盤整備が先じゃないかという話で、私は偏見、差別の解消ということを言ってきたわけですよ。しかし、実際、社会復帰を受け入れるところの地域社会の実態の貧困さはお互い共通認識として持ち得る。そこは御同意いただけるでしょうけれども、修正案では実際具体的に書き込まれてへんわけですよね。
 だから、この修正案が、社会復帰の促進といいながらも実際にそうした具体的なさまざまなケースを想定して書き込まれるのがどうなのかというのが非常に疑問ですし、実際、社会復帰できる社会的基盤の整備について、もっと言うなら整備なりまた意識ですね、差別意識の解消、そういうことに言及しないまま一方で社会復帰を促進するなんというのは、これ自体自己矛盾じゃないでしょうか、塩崎先生。思いはそうかもしれぬ。では、私とさほど変わらぬ思いだったら、私の思いで書いたってよかったじゃないですか。
○塩崎委員 植田議員の意見をもうちょっと早く聞いておけばよかったと思っております。
○植田委員 質疑、持ち時間が終了いたしましたということですけれども、今いみじくも塩崎先生、早く聞いておけばよかったと。やはりそれはまだまだ不十分だし、私はそもそもこの法案自体立法事実がないという立場で反対していますけれども、しかし、法案の審議を通してさまざまな今の実態改善に向けた議論というものをやはりもっともっとしたいと思うんですよ。これで終わるんですか。私、もう持ち時間終了いたしましたといってこの紙が来ましたけれども、これで終わりなんですか。やはりこれは、山本委員長、先ほどの理事会で委員長の職権で採決をするとおっしゃったけれども、私、山本先生に何の恨みもないですし、すてきな方やと思うけれども、ちょっともう一回考え直さはったらどうですか。
 しかも、この当事者の方々に、目の前にいる当事者と語り合うことすらできへんとおっしゃる法務大臣厚生労働大臣法務大臣法務省というのは人権擁護行政をつかさどっているんですよ。その資格、ありますか。
 審議の続行を強く求めます。そういう意味では、一応私の質疑はこれで終わりますけれども、引き続きの審議の続行は強く求めて、終わりたいと思います。
 以上です。
○山本委員長 これにて各案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

【内閣討論】

第155回衆議院 法務委員会会議録第15号(同)
○山本委員長 この際、平岡秀夫君外五名提出、裁判所法の一部を改正する法律案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。森山法務大臣
○森山国務大臣 本法律案につきましては、政府としては反対であります。

日本共産党討論】

第155回衆議院 法務委員会会議録第15号(同)
○山本委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。木島日出夫君。
○木島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案及び与党提出、同法案修正案並びに民主党提出、精神保健福祉法改正案ほか二案に対し、反対の討論を行います。
 反対の理由を申し上げるに先立って、委員会運営に関し、一言申し上げます。
 本日昼の理事会において、法務委員長は、四野党一致して、まだ法案に対する審議が尽くされていない、質疑終結、採決は時期尚早との意見にもかかわらず、職権で質疑終結、採決を宣告いたしました。そして、まさにそれを実践しようとしております。委員長の横暴な委員会運営に厳しく抗議いたします。
 一昨年の長崎バスジャック事件、昨年の池田小学校事件などを契機として、触法心神喪失者に対する処遇問題が国民の関心を呼び、本法案の提出の契機となりました。我が党は、政府の法案提出を踏まえて、去る五月三十日、これらの問題解決のための見解と提案を発表いたしました。
 そこでは、日本の精神医療が、先進諸外国と比較して極端におくれていることに根本的な問題があることを指摘するとともに、精神障害者の治療を進め、犯罪の発生を減らしていくためには、欧米諸国で取り組まれている地域ケアを本格的に推進し、触法心神喪失者の医療と社会復帰を推進する司法精神医療を前進させていかなければならないとの観点を明らかにいたしました。
 そういう観点から、一、逮捕・捜査段階での精神鑑定と治療を充実させる、二、入院治療を含む処遇の決定は、裁判官、医師、福祉関係者などが関与する審判によって行う、三、医療処分内容とその要件を適切に判定できるようにする、四、医療・生活支援、社会復帰促進のための地域ケア体制を確立する、五、おくれている我が国の精神保健、医療、福祉を抜本的に拡充するという政策を発表いたしました。
 政府原案は、我が党の見解と提案に比べて、二、三の審判手続の導入以外については、全く触れていないか、極めて不十分であり、現状を改善するものとなっていません。
 反対の理由の第一は、まさにこの点であります。すなわち、新しい審判制度に基づく国の責任による医療が、真に触法心神喪失者の治療と社会復帰に役立つのか、それとも、基本的人権を侵害する保安処分の強化になってしまうのかの決定的な分岐点は、精神医療、とりわけ地域医療に対する人的、物的体制、予算がどのくらい手厚く確保されるかにかかっています。にもかかわらず、本法案ではこれが全く明らかにされておらず、修正案の附則でわずかに入院治療については前進が見られるものの、地域ケア体制の整備については、再三にわたる質問に対しても具体的答弁はありませんでした。
 反対の第二の理由は、退院後の通院治療を含めた社会復帰のための医療・観察を保護観察所が中心となって行うこととしている点であります。
 通院治療を含めた社会復帰のための施策は、まさに医療、保健、福祉、雇用の問題であって、厚生労働省が責任を持って行うべき分野であります。刑事政策として、犯罪者の更生を目的とする保護観察所が対象者を観察するという法案の基本的仕組みは、まさに保安処分的発想に基づくものであり、また、現在の保護観察所は、心神喪失者対策の専門性があるわけでもなく、更生保護本来の人員すら極度に不足しており、ここに責任を押しつけることはふさわしくないと言わなければなりません。修正案も、官職名を変えただけで、中身を変えるものではありません。
 反対の第三の理由は、法案に対する国民の理解が現時点で極めて不十分であるという点であります。
 国民の基本的人権に重大な影響をもたらす制度を新設するに当たっては、その制度に対する国民の理解と合意を得て進めるべきであり、日弁連を初めとする関係団体と国民の理解と合意が十分得られていない現時点での導入は、適当ではありません。
 与党提出に係る修正案については、附則第三条の精神医療等の水準の向上や第四条の検討条項については一定の評価をすることはやぶさかではありませんが、治療処分の要件に関し、再犯のおそれ隠しの小手先の文言修正によって、審判の基準を不明確にしたことを初め、法案全体に逆に大きな混乱をもたらすものであり、到底賛成できるものではありません。
 民主党提出の精神保健福祉法等改正案は、重大な他害行為を行った心神喪失者に対する医療、保健、福祉をどうするかという基本点で我が党と立場を異にいたしますので、賛成できません。
 以上で反対討論を終わります。(拍手)

社会民主党討論】

第155回衆議院 法務委員会会議録第15号(同)
○山本委員長 次に、植田至紀君。
○植田委員 私は、社会民主党を代表いたしまして、今議題となっておりますすべての法案に反対の立場から討論を行います。
 まず、そもそも、精神障害者のみを対象にした予防拘禁制度を新たにつくり出さなければならない立法事実など、どこにも存在しません。そのことは、あえて申し上げておきたいと思います。
 いわゆる触法精神障害者問題への対応の前提は、全般的な精神医療の向上、地域ケア体制の整備、充実によって、加害者を生み出さない社会をつくることにあります。そもそも、再犯率が非常に低く、一般の犯罪に比べ起訴率も決して低いとは言えない触法精神障害者のみを対象にしているという点においては、立法事実そのものに重大な疑義があるのは明らかであります。
 にもかかわらず、あえて政府・与党が本法案を提出するに至った背景には、精神障害者に対する根強い差別、偏見が存在していると断ぜざるを得ない。法案そのものがまさに偏見と差別を見事なまでに表現していると私は断ぜざるを得ないわけであります。
 政府案では、再犯のおそれを根拠に、裁判官と医師の判断により処遇を決定するものでありましたが、社民党は、再犯のおそれの判断可能性や、おそれにより長期拘禁することの違憲性などを厳しく追及してまいりました。
 今国会で提示された与党修正案は、処遇決定に際して医療判断を重視することになったにもかかわらず、裁判官が法律に関する学識経験に基づき意見することになっている。制度の柱とも言うべき合議体の役割自体に矛盾と混乱が生じているのであります。
 当事者の人権を著しく侵害する制度を導入するにもかかわらず、かかるあいまいさを残したまま、十分な審議も尽くさず、本日、採決に至るなど、立法府の良心は死んだと言うほかありません。
 なお、民主党さんが出された案につきましては、民主党の中で、この精神医療の拡充に向けたさまざまな真摯な議論に対して心より敬意を表するものでありますけれども、その出された法案の内容については、我々社民党とは基本的に立場が異なりますので、反対とさせていただきます。
 最後に、やはりこのことを言わずにはおれません。山本委員長、やはり私は山本委員長を厳しく糾弾せざるを得ない。
 この間、不当に野党が審議をストップさせたりしてきたことは一度もないんです。審議がストップするときは、おおむね与党席ががらがらやったときに定足数に満たずにストップしただけであって、四野党は、常に審議には応じてきたし、真摯な審議を続けてきた。それゆえにこそ、さまざまな論点が提示され、そして、その中でさまざまな疑問点が出てきた。だから、引き続き審議を続けようと先ほども四野党一致して申し入れているにもかかわらず、いわばかかる審議を途中で委員長は打ち切られた。
 これは、私は、山本委員長御自身の出処進退にかかわる決断をされたと認識させていただいていますが、この点について改めて厳しく糾弾をするものであります。
 以上で終わります。(拍手)
○山本委員長 これにて討論は終局いたしました。

【採決】

第155回衆議院 法務委員会会議録第15号(同)
○山本委員長 これより採決に入ります。
 まず、平岡秀夫君外五名提出、裁判所法の一部を改正する法律案及び検察庁法の一部を改正する法律案並びに水島広子君外五名提出、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立少数。よって、三案は否決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、塩崎恭久君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
○山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

法務委員会での可決を受けて、4日後の本会議に付されました。
【委員長報告・趣旨弁明】

第155回衆議院 本会議会議録第17号(平成14年12月10日)
○議長(綿貫民輔君) 【略】日程第二、平岡秀夫君外五名提出、裁判所法の一部を改正する法律案、日程第三、平岡秀夫君外五名提出、検察庁法の一部を改正する法律案、日程第四、水島広子君外五名提出、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案、日程第五、内閣提出、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案、右五案を一括して議題といたします。
 委員長の趣旨弁明及び報告を求めます。法務委員長山本有二君。
    〔山本有二君登壇〕
山本有二君 【略】次に、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案外三法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案は、右の他害行為を行った者に対し、継続的かつ適切な医療を行うこと等により、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進するため、一定の対象者について、検察官等からの申し立てにより、地方裁判所が審判を行い、対象者の処遇の要否及び内容を決定し、厚生労働大臣の指定する医療機関が医療を実施することとする手続等を定めようとするものであります。
 次に、裁判所法の一部を改正する法律案は、刑事事件における被告人の精神鑑定に資するため、最高裁判所に司法精神鑑定センターを置くこととするものであります。
 次に、検察庁法の一部を改正する法律案は、検察庁に、検察官等の職務の遂行に資するために必要な機関を附置することができるとするものであります。
 最後に、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案は、措置入院制度の適正な実施を確保するため、判定委員会及び精神保健福祉調査員の設置並びに精神科集中治療センターの指定等を行おうとするものであります。
 四法律案は、さきの第百五十四回国会にそれぞれ提出され、今国会まで継続審査となっていたものであります。
 委員会においては、去る十一月二十七日塩崎恭久君外二名から、自由民主党及び公明党の共同提案による内閣提出法律案に対する修正案が提出され、同日趣旨の説明を聴取いたしました。二十九日から質疑に入り、十二月三日には厚生労働委員会との連合審査会において参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、去る六日質疑を終局し、討論、採決の結果、裁判所法の一部を改正する法律案、検察庁法の一部を改正する法律案並びに精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の各案は賛成少数をもって否決すべきものと決し、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案は賛成多数をもって修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)

【採決】

第155回衆議院 本会議会議録第17号(同)
○議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。【略】
 次に、日程第二、平岡秀夫君外五名提出、裁判所法の一部を改正する法律案、日程第三、平岡秀夫君外五名提出、検察庁法の一部を改正する法律案及び日程第四、水島広子君外五名提出、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して採決いたします。
 三案の委員長の報告はいずれも否決であります。
 この際、三案の原案について採決いたします。
 三案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(綿貫民輔君) 起立少数。よって、三案とも否決されました。
 次に、日程第五、内閣提出、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。