2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

240条と241条 (6)若干の検討(承前)

(4)重畳適用説 この立場は、(3)説では重い結果やその故意について評価されていない、として、傷害罪や殺人罪を重畳的に適用する。以下のような例となる。 傷害結果 死亡結果 なし 240条前 240条後 傷意 240条前+204条 240条後+? 殺…

240条と241条 (5)若干の検討(承前)

4.学説の再検討(3)刑法典のなかでも法定刑が重い240条について、結果的加重犯よりもむしろ故意犯についての規定とみるべきであるという見解がある*1。傷害や殺害についての故意がない強盗致死傷の規定としては、240条の法定刑は重過ぎるというの…

240条と241条 (4)若干の検討

1.学説の再検討(1)結果的加重犯は重い結果の故意犯を徹底して含まない、とする見解は、強盗が傷害の故意を持って行為して死亡結果が発生した、いわゆる強盗傷害致死の場合についてはどのように考えるのであろうか。 強盗傷人罪について236条(強盗)…

240条と241条 (3)山本説(重畳適用説)の検討

これらの問題について、近時、結果的加重犯に故意ある場合を含めつつさらに重い結果についての故意犯を重畳適用する説(山本光英説)がある。 まず強盗殺人罪につき*1、240条は死亡結果について故意ある場合を含めるという通説を認めながら、この場合には…

240条と241条 (2)強盗強姦致死傷の擬律

1.問題の所在(1)強盗犯人が強姦して(強盗強姦)、致傷結果を発生させた場合には、どのように処断されるのか。刑法241条には、強盗強姦致死についての規定があるが、致傷の場合については規定されていない。 (強盗強姦及び同致死)第241条 強盗…