精神医療に関する条文・審議(その2)

きのう(id:kokekokko:20041028)のつづき。
制定当時の精神衛生法施行令です。

精神衛生法施行令(昭和25年5月23日政令第155号)【全文】
 
内閣は、精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)第六条、第八条及び第三十条の規定に基き、この政令を制定する。
第一条 精神衛生法(以下「法」という。)第六条の規定による国庫の補助は、各年度において都道府県が精神病院及び精神病院以外の病院に設ける精神病室の設置及び運営(法第三十条の規定による場合を除く。)のために支出した費用の額から、その年度における事業に伴う収入その他の収入の額を控除した精算額につき、厚生大臣内閣総理大臣及び大蔵大臣と協議して定める算定基準に従つて行うものとする。
2 前項の規定により控除しなければならない金額がその年度において都道府県が支出した費用の額を超過したときは、その超過額は、後年度における支出額から前項の規定による控除額とあわせて控除する。
第二条 法第八条の規定による国庫の補助は、各年度において都道府県又は保健所法(昭和二十三念法律第百一号)第一条の規定に基く政令で定める市が精神衛生相談所の設置及び運営のために支出した費用の額から、その年度における事業に伴う収入その他の収入の額を控除した精算額につき、厚生大臣内閣総理大臣及び大蔵大臣と協議して定める算定基準に従つて行うものとする。
2 前条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
第三条 法第三十条第一項の規定による都道府県の負担は、厚生大臣内閣総理大臣及び大蔵大臣と協議して定める算定基準に従つて行うものとする。
第四条 法第三十条の規定による国庫の補助は、各年度において都道府県が同条第一項の規定により負担した費用の額から、その年度において法第三十一条の規定により都道府県知事が徴収した費用その他の収入の額を控除した清算額について行うものとする。
2 第一条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
 
 附則
1 この政令は、公布の日から施行し、法施行の日から適用する。
2 左の勅令は、廃止する。
 精神病者監護法第六条及び第八条第三項に依る監護に関する件(明治三十三年勅令第二百八十二号)
 精神病院法施行令(大正十二年勅令第三百二十五号)
 
 内閣総理大臣 吉田茂
 大蔵大臣 池田勇人
 厚生大臣 林譲治

制定当時の精神衛生法施行規則です。精神病院の設置・承認に関する規則が主であり、入院手続に関する規則が皆無ですから、現行規則とはまったく異なる規則といえます。

精神衛生法施行規則(昭和25年6月24日厚生省令第31号)【全文】
精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)に基き、精神衛生法施行規則を次のように制定する。
 
第一条 都道府県は、精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号以下「法」という。)第四条第二項の規定により、精神病院の設置の承認を受けようとするときは、左に掲げる事項を記載した申請書を厚生大臣に提出しなければならない。
 一 名称
 二 設置の場所
 三 精神科又は神経科以外の診療科を置こうとするときは、その診療科名
 四 医師、歯科医師、薬剤師、看護婦、看護人その他の従業員の定員
 五 敷地の面積及び平面図
 六 敷地周囲の見取図、交通路及び交通機関
 七 建物の構造概要及び平面図(精神病室、精神病室以外の病室、精神障害者であつて伝染のおそれある結核その他の疾患ある者を隔離する病室、保護室、不潔患者室、特殊な治療を施した患者のための病室、手術室、検査室、臨床研究室、エツクス線質、調剤室、作業室、事務室、職員宿舎等、各室各棟の用途を明示し、且つ各病室については、その定員を記載すること。)
 八 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第二十一条第一項第二号から第十三号まで及び第十五号に掲げる施設並びに同法第二十二条第一項各号に掲げる施設の有無及び構造、施設の概要
 九 作業療法施設等の施設(作業農場等を含む。)を有する場合は、その施設の構造、設備及び大きさ
 十 開設の予定年月
 十一 当該精神病院の建設に要する経費の内訳
 十二 収支予算表
2 都道府県は、精神病院を設置したときは、遅滞なく開設の年月日及び管理者の住所氏名を厚生大臣に報告しなければならない。
3 都道府県は、精神病院の増築又は改築の承認を受けようとするときは、左の事項を記載した申請書を厚生大臣に提出しなければならない。
 一 第一項第一号及び第二号に掲げる事項
 二 第一項第三号から第九号まで、第十一号及び第十二号に掲げる事項のうち増築又は改築に伴つて変更される事項
 三 完成の予定年月
4 都道府県は、第一項第一号、第三号若しくは第六号に掲げる事項又は管理者の氏名に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を厚生大臣に報告しなければならない。
5 都道府県は、第一項第四号、第五号又は第七号から第九号までに掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、その概要及び事由を具して申請し、厚生大臣の承認を受けなければならない。
 
第二条 都道府県知事は、国及び都道府県以外の者が設置した精神病院又は精神病院以外の病院に設けられている精神病室の全部又は一部につき、法第五条第二項の規定による承認を受けようとするときは、当該設置について左に掲げる事項を記載した申請書を厚生大臣に提出しなければならない。
 一 指定しようとする理由及び指定しようとする期間
 二 名称及び所在地
 三 開設者の住所及び氏名(開設者が法人であるときは、その名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の住所、氏名)並びに管理者の氏名及び履歴書
 四 職員の定員及び現員
 五 第一条第一項第五号から第九号に掲げる事項
 六 開設者の承諾書
 七 都道府県の収支予算書
 八 開設者が法人であるときは、定款、寄附行為又は条例
2 前項第四号及び第六号に関する事項の記載は、それぞれ別記様式第一号及び第二号によらなければならない。
 
第三条 都道府県又は保健所法(昭和二十二年法律第百一号)第一条の規定に基く政令で定める市(以下「指定市」という。)は、法第七条の規定により、精神衛生相談所(以下「相談所」という。)の設置の承認を受けようとするときは、左に掲げる事項を記載した申請書を厚生大臣に提出しなければならない。
 一 名称
 二 設置の場所
 三 敷地の面積及び平面図
 四 敷地周囲の見取図
 五 建物の構造及び平面図(他の建物の一部を使用しようとするときは、使用区分を明かにすること。)
 八 設備の概要
 七 所長の氏名及び履歴書
 八 医師その他の職員の定員
 九 業務開始の予定年月
 十 設置に要する経費の内訳
 十一 収支予算表
2 都道府県又は指定市は、相談所を設置したときは、遅滞なく、その業務開始の年月日を厚生大臣に報告しなければならない。
3 都道府県又は指定市は、第一項第一号又は第四号に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なく、厚生大臣に報告しなければならない。
4 都道府県又は指定市は、第一項第三号又は第五号から第八号までに掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、その概要及び事由を具して申請し、厚生大臣の承認を受けなければならない。
 
第四条 法第九条第一項の規定により、相談所の設置の許可を受けようとする者は、左の各号に掲げる事項を記載した申請書を当該施設の所在地の都道府県知事を経由して、厚生大臣に提出しなければならない。
 一 前条第一項第一号から第九号に掲げる事項
 二 設置者の住所、氏名(設置者が法人であるときは、その名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の住所、氏名)
 三 当該相談所に関する収支予算、経営方法その他参考となるべき事項
 四 設置者が法人であるときは、定款、寄附行為又は条例
2 前項第二項から第四項までに規定は、前項の規定によつて設置の許可を受けた相談所に準用する。但し、「都道府県又は指定市」とあるのは「設置者」と読み替えるものとする。
 
第五条 都道府県が法第四条の規定により設置した精神病院を廃止しようとするとき、又は都道府県若しくは指定市が法第七条の規定により、設置した相談所を廃止しようとするときは、当該都道府県又は当該指定市は、その事由を具して申請し、厚生大臣の承認を受けなければならない。
 
第六条 厚生大臣は、都道府県の設置し若しくは指定した精神病院並びに相談所の運営方針がその目的遂行の為に不適当であると認めたとき、又は設置者が法若しくはこの省令若しくはこれらに基く処分に違反したときは、その設置又は指定の承認又は許可を取り消すことができる。

第七条 精神衛生審議会(以下「審議会」という。)の委員は、左の各号に掲げる者につき、厚生大臣が任命する。
 一 厚生省公衆衛生局長
 二 厚生省医務局長
 三 厚生省児童局
 四 法務府矯正保護局長
 五 文部省初等中等教育局長
 六 精神医学について学識経験のある者
 七 前号に掲げる者の外学識経験のある者
 
第八条 審議会に会長一人を置く。
2 会長は委員の互選による。
3 会長は会務を総理する。
4 会長に事故があるときは、委員のうちから互選された者がその職務を行う。
 
第九条 審議会の会長の任期は一年とする。
2 会長又は委員に欠員を生じたときの補欠の会長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。
 
第十条 審議会の庶務は、厚生省公衆衛生局長において処理する。
 
第十条 法第二十七条第四項に規定する精神衛生鑑定医及び当該吏員の身分を示す証票は、それぞれ別記第三号及び第四号によらなければならない。
 
 附則
1 この省令は、公布の日から施行し、法施行の日から適用する。
2 精神病者監護法施行規則(明治三十三年内務省令第三十五号)及び精神病院法施行規則(大正十二年内務省令第十七号)は廃止する。
【別記表は省略】