イノセンス

正直言って、最近の攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIGに少し疑問があったんですよ。26話を消化するのだという姿勢が強いから、ストーリーが間延びしてしまってるな、と感じていたんです。
その点、2時間たらずという時間で強烈に存在感を放つイノセンスはさすがだと思いました。
たしかに、話の筋はオーソドックスです。語られる命題もそれほど奇抜ではありません。登場人物ももはや「いつものメンツ」です。しかしそれでも、これほどまでの圧倒的な雰囲気を出せるというのはたいしたものです。
 
特に研究所の描写が強烈でした。公安9課のメカメカな「研究室」と異なり、ハラウェイの部屋の重苦しい白さ。白い研究室をあそこまで重苦しく表現できるのはさすがです。
バトーは犬を飼うようなキャラじゃないとか、素子の出し方が中途半端じゃないかとか、序盤でいきなり「人はなぜ自分の似姿を・・・」みたいなテーマをなぜ出してしまうかとか、そのテーマ自体消化不良気味じゃないか、とか、そういう細かい点も気になりますが、そんな点を吹き飛ばすくらいのジメジメ感あふれる攻殻でした。