精神医療に関する条文・審議(その53)

前回(id:kokekokko:20050711)のつづき。初回は2004/10/28。
ひきつづき、平成1年法律第22号による改正です。

第114回参議院 大蔵委員会会議録第6号(平成1年4月5日)
国務大臣村山達雄君) ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 平成元年度予算は、内需の持続的拡大に配意しつつ、財政改革を強力に推進することとして編成いたしました。
 歳出面においては、引き続き既存の制度、施策の見直しを行い、経費の節減合理化を図るとともに一限られた財源を重点的、効率的に配分するように努めたところであります。
 国の補助金等につきましては、累次の臨時行政調査会の答申等の趣旨を踏まえ、昭和六十一年度の国の補助金等の臨時特例等に関する法律により補助率等に係る暫定措置を講ずるなど、これまでもその整理合理化を推進してきたところであります。
 平成元年度予算の編成に当たりましては、これらの暫定措置の期間が昭和六十三年度末に終了することに伴い、改めて一体的、総合的な見直しを行い、補助率等につき所要の措置を定めることとし、また厚生年金の国庫負担金の繰り入れ等につきましても、引き続き所要の特例措置を講ずることとしたところであります。
 本法律案は、以上申し述べましたように、昭和六十一年度の国の補助金等の臨時特例等に関する法律により措置が講じられてきた事項について、財政資金の効率的使用を図り、あわせて国及び地方の財政関係の安定化に資するため、所要の立法措置を定めるものであります。
 以下、この法律案の内容について申し上げます。
 第一に、昭和六十三年度まで暫定措置が講じられてきた事業に係る補助率等について、まず、生活保護、措置費等に係る補助率等を定める改正を行うこととし、さらに、義務教育費国庫負担金のうち共済長期給付、恩給等に係る補助率等の取り扱いを定めることとしております。また、公共事業等については、平成二年度までの暫定措置として、昭和六十三年度に適用されている補助率等を適用することとしております。これらの措置は、四十四本の法律にわたっております。【略】
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 なお、本法律案は、その施行日を「平成元年四月一日」と提案しておりましたが、その期間を経過しましたので、衆議院におきまして「公布の日」に修正されておりますので、御報告いたします。
【略】
○山本正和君 私は、厚生省それから文部省の関係法案を担当して勉強してみたのですけれども、例えば厚生省関係の法案でも、これは明らかに性格の違う法案、要するに国が負担すべきものとはっきり明定されている法案あるいは補助金をもつて措置するもの、補助金と負担金は性格が違うと思うのですね。それから文部省の法案でも、義務教育費国庫負担法という憲法で明定されているところの教育の義務にかかわる法案もある。そうかと思ったら、これはさまざまな他の省庁を見ると、そのときの政治情勢や経済情勢の中で奨励あるいは振興のためにつけていった補助金という問題もある。したがって、補助金といっても政治的な背景から考えた場合には、お金の面は、補助率を二分の一にするのか三分の一にするのか三分の二にするかというふうな簡単な、お金の上では係数が出てきて、そこから云々、こういうふうになりたくなるのでしょうけれども、実はその背景にある国民感情、その時代時代でさまざまな政治的論議の中で成立してきた法律あるいは補助制度、負担金、こういう問題からいったら、こうやって一括してやるとなれば、大蔵省はオールマイティーである。極端なことを言いますよ。
 だから、そういうことは極めて異常であって、こういうことは普通はないのだというふうに大臣はお考えなのかどうなのか、そこのところをまずただしておきたい。
国務大臣村山達雄君) それぞれの根拠法でその法律がどういう意義を持って制定されたか、これはやはり十分に今後とも引き続き考えていかなければならないと思っております。
 しかし今度は、一面におきまして例えば生活保護の問題でございますけれども、確かに生活保護法できちんと決まっております。しかし、基本補助率といっても全額ではなくて十分の八、こういうことになっておるのでございます。それからまた、その後の変化を考えてみますと、昭和二十年代は救貧、防貧という考えで進んできたのではないか。国民生活というものはその後、皆保険、皆年金、こういうものが非常に広く伝わりまして、さらに各種の福祉行政が展開してまいりました。ウエートでいいますと国民生活の基盤としてはそちらの方が非常に広がってきたという事実も考えねばならぬと思うのでございます。そしてまた、検討会が言っておりますように、補助行政というものの長所、これはたくさんあるわけですね。しかし、そのまた弊害もあるわけでございます。そういうことを総合的に考えながら、やはり総合判断の問題が、最も常識的な、国民に受け入れられるような総合判断が一番大事なんじゃないか、そういう考え方に基づいて各省庁が詰めておるわけでございます。
 今後といえども、恐らく行革審で幅広いところでいろいろな提言が行われると思いますけれども、それを踏まえて政府間で何らかの協議を行う場合も、ただいま私が申し述べたような観点で各省が十分に意見を闘わせ、そしてその意見のまとまったところで出していくべきではないか、こう考えております。
 【略】
○山本正和君 ひとつこれは早急な解決をぜひお願いしておきたいと思います。
 それから、先ほど大蔵大臣も触れられた生活保護の問題で少し考えていきたいのですけれども、これは従来十分の八であったものが今度は四分の三、七五%、こういうことになってくる。
 この生活保護の問題を国会審議の歴史でずっと見てみますと、随分大きな、非常に激しい政治問題といいますか、大臣が辞職されるというような問題まで含めて、生活保護の問題というのはいろいろある。ただ、四十年前の生活保護の状況と我が国の今日の状況とは違う。これはみんながよく知っていることです。私も社労に属していますから、生活保護の実態についても調べたし、厳正にやれということを言ったりもしているのです。
 しかし、生活保護というものの思想は、これは一体どうなんだと。要するに、我が国が世界に誇り得る施策として生活保護の問題に対応していると言い切れるかと私は思うのです。となると、本来、生活保護という問題を、現在の法律あるいは憲法の条項等から見てどういうふうに御認識なのか。この辺をひとつ大蔵大臣それから厚生大臣自治大臣、それぞれ御見識のほどをお聞かせいただきたい。
国務大臣村山達雄君) 今度は改定補助率で十分の七・五ということで恒久化さしていただき、そしてその財源としてたばこ税の二五%を充てたことではございますけれども、それだからといって生活保護に関するこの重要性、日本における、これはいささかも変わるものではない、このように考えているところでございます。
国務大臣小泉純一郎君) 生活保護は大変重要な問題であり、日本にとりましてもこれからの福祉社会を維持発展させていく上においても非常に重要な制度であるというふうに認識しております。
国務大臣坂野重信君) 両大臣がおっしゃいましたように、生活保護ということはまさに基本的な、大変重要な問題でございます。それで、不十分でございましたけれども十分の七・五と、恒久化した補助率の中では一番高い補助率にとどめたわけでございます。
○山本正和君 特に厚生大臣に、これは御承知だと思うのですけれども、昭和二十九年、首相、内閣改造断行、通産相に愛知揆一氏、厚生は草葉隆円氏、これは当時厚生大臣が大蔵大臣と激突をして、生活保護費の問題で職を賭して生活保護基準を守った、それに端を発した内閣改造なんです。ですから、我が国の社会福祉というものは、先人の大変な並み並みならぬ御苦労の中で今日に来ていると思うのですね。
 ところが、今ここで議論されている補助率問題というのは、もちろん中身は議論されていると思いますけれども、どちらかといえば財政の観点から、要するに自助努力だとかあるいは自治体に対して責任をもうちょっと持ってもらおうとか、そういういろんな発想の中できているのですけれども、これは国が何としても生活保護だけは面倒見ましょうという形でずっときているのですね。地方自治体にかぶせるという発想でなしに、国が何としてもこの部分だけは日本国民の最後のよりどころであるということで守っていこう、もちろんその実施に当たっては厳正にやらなきゃいけません。正直言って、暴力団関係者が生活保護費でキャデラックに乗ってやっている、そんなことは許されぬと思うのですよ。しかし、この生活保護というのは、日本国民にとって最後の生活のとりでという、日本国民であってよかったというこれは保障だと思う。これを単に、今までの十分の八ということの意味の大きさというのは、もっと違ったものがあるというふうに私は思うのです。
 生活保護についてのいろんな議論があることは承知しています。それで学者の中でも、例えば自治体の責任はどうするのだとか、いろんな問題ありますよ。しかし、我が国の戦後政治史をずっと見てきた場合、これぐらい大切なものはなかった。それをとにかくもう国の財政がどうにもならないからということでこの前削った。もとへ戻す。何で戻すのに五%だけ削るのだ。きちっと前のとおり八〇%にせめて戻しましょう、先人の努力に対しても何とかしましょうというのがなくちゃいかぬと思うのですよ。
 そういうことからいって厚生大臣、この辺随分析衝されたと思うのですけれども、最後の段階で厚生大臣も七五%ということでこれはやむを得ぬと御判断になったのかどうなのか。最後まで頑張ったけれども、結局財政当局に何といいましょうか、やっぱりお金を持っている人は強いですから、負けたのか。最後まで頑張ったのかどうか、ひとつ厚生大臣、見解を聞かしてください。
国務大臣小泉純一郎君) 勝った負けたという議論ではなくて、生活保護の重要性を認識しつつ、やはり国の責任ということで総合的に考え、いろいろな補助率の中でも最高水準を維持すべきである。十分の八がいいのか十分の七・五の方がいいのかというのは、それぞれ議論が分かれるところでありますが、財政再建も福祉政策を進めていく上において非常に重要なものである。総合的に勘案し、福祉の低下をもたらさないという確信を持ったがゆえに十分の七・五でよろしいというふうに判断した次第でございます。
○山本正和君 いろんな数字がありますから、これは大臣ごらんになっていると思いますけれども、この前の生活保護基準の切り下げ、それ以降やっぱりいろんな影響が出ているわけですね、現場では。
 それから、私は単に五%の問題じゃないと思う。基本的には政治姿勢の問題そこのところが一体これでいいのだろうか。五%切り下げました、まあ一番高いところですから、これは自治大臣もおっしゃいましたけれども、確かにそういう意味での位置づけはされていると思うのですよ。しかし、八割であったということの意味を、なぜ五%削るのだということを国民が本当に納得できるというふうにお考えでしょうか。要するにそれはお金の問題だということしか最後は理論づけないんじゃないでしょうか。なぜ八〇%を七五%にしなきゃいけないか、国民がわかるとお思いでしょうか。その辺はいかがですか、御見解は。
国務大臣小泉純一郎君) 私も、十分の八が十分の七・五になって実際の福祉の低下をもたらすあるいは生活保護行政の水準の後退をもたらすというふうに判断したならば、これは認めることができなかったと思いますが、そうではなくて、国と地方の機能の分担あるいは役割の分担、費用負担のあり方、それでなおかつこの補助率が一般の補助率に比べて最高水準を維持している。現に、実際の生活保護行政に当たる方は地方の方であるということも考え、お互い役割とか責任を考え、そして実際に生活保護を受ける方の水準が後退しないということの上に立ってこの四分の三について決断を下したものでありまして、私はこういう結果になったからといって生活保護行政が後退するとは思っておりませんので承知いたしました。
○山本正和君 これは数字で見ていただいたらわかると思うのですけれども、五十九年度以降の保護率、保護人員、それが減少しているというふうな問題、それからさまざまな各市町村における生活保護に対する対応あるいは職員の配置、いろいろな問題が実際はあるわけです。しかしそういう中で、私はこれはどうしても国民感情からいったら八〇%が七五%になったのだなと、これはだれが何と言っても後退だというふうにしか見ないと思うのです。しかし、ここで私がこれは大臣にお尋ねするべきことじゃないかもしれませんけれども、例えば政府・与党の中で社会労働関係の権威の方も随分たくさんお見えになるのです。与党の中でこれは本気になって議論したのですか。それから、もっと言うと、本来まず社会労働委員会で徹底的に議論すべきものだと思います。それが、先ほど冒頭に言いましたけれども、一括法案ではさっと持ってきて、四十四法案の中の一つです、補助率の問題です、行革審云々ですということでは、国民のこの種の問題に対して知る権利あるいは聞く権利が少々おかしくなっているのじゃないかという気がするのです。その辺については、御見解はいかがですか。
国務大臣小泉純一郎君) 与党のそれぞれの意見がどうであったか、こうであったかということは、私の立場から言うのは適当かどうかわかりませんし、私自身与党の議員それぞれ一人一人がどういう意見を発したのかということまで詳しく知りませんが、いろいろな議論を重ね、厚生省内部あるいは大蔵省当局といろいろ十分な討論、議論を重ねた上でこういう結論を見たということを御理解いただきたいと思います。
○山本正和君 ですから、役所の中では、厚生省、大蔵省の間で相当突っ込んだ議論があっただろう、これは私もわかります。しかし国会に提案する段階で、与党内の議論というもの、さらに与党内の議論がまとまったとしても、国政のこういう場で、少なくともこの種の問題については責任を持っている常任委員会でもって議論をすべきであると私は思うのです。その点についてはいかがですか。今日はここまできていますから、これを今やれということは私は言いません。しかし、本来どうあるべきだということについての大臣の見解を承りたい。
国務大臣小泉純一郎君) もちろん与党内には政務調査会というものがございまして、各部会もあります。厚生省関係の部会としては社会部会とか、あるいは労働省でありましたら労働部会、大蔵省は財政部会、それぞれ部会の議論を重ね、部会の了承を得、その上に今度は政務調査会、この中で議論もし了承を得、さらに総務会の了承を得て結論を得て法案として上がってくるものでありますので、与党内においては当然議論があり了解を得て提出されたものであります。
○山本正和君 ひとつ、与党内部での論議等も含めて、生活保護問題、基本的な立場からぜひもう一遍議論をしていただきたい。これは特に担当省庁ですから、厚生省の中でももっと過去の歴史をさかのぼって、そして生活保護の実態、本当にいろんな問題点がたくさんありますけれども、そういうことも含めて十分な御検討をお願いしておきだいと思います。ぜひ次の年度では八〇%に戻すように何とか頑張っていただきたい、こう思います。これは私どもの方からも盛んに言いますけれども、今度はもう与野党を通じて社会労働委員会でこれを何とかやろうということを提案していこうと私は思っているのです。本当におかしいです。これはどう考えても説明しようがないのです。あなたたち国会で何しておったのだと、こう言われる。その辺はぜひ今後の問題として、特に大蔵省、どうしても財政の方に目が向きがちでございますから、その点については十分ひとつ御検討願いたいと思います。【略】
○中野鉄造君 よく先立つものは金だとか、あるいはないそでは振れぬということわざございますけれども、とかく初めに財政ありきというこの行政の施策が打ち出されてくるわけでございまして、その結果として常に最も切実な影響を受けるのは社会的弱者であるということには変わりないわけでございまして、今回の場合でも、補助金のカットによって最も大きな影響を受けたのは国民の関心と期待の高い社会保障の分野でありまして、先ほどからも言われておりますように生活保護については八割から四分の三に、それからまた措置費等については八割から半分に引き下げられた、今回のこの法案によってこういうことが固定化されようとしておりますけれども、そうすると今後仮に財政事情が悪化しても、あるいは今よりも好転してもこの率には変わりない、こういうことなんでしょうか。
○政府委員(篠沢恭助君) 補助率問題の経緯につきましては、先生御指摘のとおります財政事情の問題がございましたことはそのとおりでございますが、他方、補助金問題につきまして各方面からいろいろな御意見もございます。そして、昭和六十一年度補助金問題検討会で、補助事業をめぐって国、地方の機能分担とか費用負担のあり方等について基本的な検討が行われた。さらに今回の過程で、各省庁間の検討会でさらに議論をしたといったような問題がございます。したがいまして、補助率問題は財政問題でもございますから、財政事情という問題にかなり密接に絡む問題ではございますが、また財政事情だけでどうこうというような種類のものでもないと基本的には思われるわけでございます。
 したがいまして、将来の問題として国、地方の財政事情がどうである場合に補助率というものをどうするかということについては、ただいまにわかに確定的なことも申し上げられないわけでございますが、仕事を適切に進めていく観点に立って常に適切な補助率のもとでこれを執行していただくということに意を用いなければいかぬと思います。
 さしあたりは、暫定措置とされております公共事業等の問題についての各省庁間の検討会、二年間の暫定期間をお与えいただきたいと思うわけでございますが、その辺についても適切に検討を総合的に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○中野鉄造君 そうすると、重ねて聞きますけれども、決して固定化ということではない、こういうことでしょうか。
○政府委員(篠沢恭助君) 暫定補助率を続けるものは別といたしまして、経常経費の主なものについて今回恒久化をお願いしておるわけでございますが、これについてはまさに恒久化という言葉で理解をしているところでございます。
○中野鉄造君 財政がどのように好転してもそういうことなんでしょうか。
○政府委員(篠沢恭助君) ただいま申しましたように、補助率問題の経緯、もともと財政事情の問題が非常に大きな背景にあったわけでございますが、それを契機といたしまして諸般の検討が長い期間の間に行われてきているということを踏まえて恒久化をしておるわけでございます。
 いずれにしても、固定化という言葉ではなくて、これはたばこ税を交付税の対象とするといったようなこともございますが、恒久財源措置とともに補助率の恒久化を図り、国、地方の財政関係の安定化に資する、こういう趣旨でとにかく決定をしておりますので、その趣旨で今後進めていきたいと思っております。
 どのような状況に立ち至っても、未来永劫こういう補助率はどうにも変わらないのかどうかということについては、にわかにお答えをする特に用意もございませんが、国、地方の財政関係の安定化に資するということとして恒久補助率の措置をとったということを御理解いただきたいと思います。
○中野鉄造君 どうも釈然としないわけですけれども、いずれにしても補助率の削減によって最も大きな影響を受けるのは何といっても生活保護ではないかと思うのですが、先ほどからいろいろと論議されておりますように、生活保護は全額公費による制度でありまして、またこれが国の負担であっても地方の負担であっても適正な制度運用が必要なことは、これは当然でございます。補助率のカットによって受給が抑制されたり、あるいは社会福祉的対応に欠けることがあったのではないかと思うのですけれども、こうした懸念に対しては大蔵あるいは厚生当局ではどういうようにお考えになっておりますか。どういう御認識をお持ちなのでしょうか。
○政府委員(小林功典君) 補助率との関係での御質問だと思いますけれども、補助率は国と地方の間の負担割合の問題でありますけれども、福祉、生活保護も含めた福祉でございますが、そのレベルというものは変わらないという前提でございますから、補助率によって現場におけるそういう福祉レベルの低下というようなことはないと信じております。
○中野鉄造君 一つの例を挙げますと、生活保護の適用状況を見て非常に気になることは、被保護世帯が五十九年度の七十九万世帯をピークに六十三年の九月では六十八万世帯弱に、実人員では百四十六万九千人から百十七万人にまで低下しているわけですね。補助金の削減が始まったのは、これはもう言うまでもございませんけれども六十年度からでありまして、補助率のカットと対象者の減が実に見事に符合しているわけです。
 特に財政当局のお答えは、補助率の引き下げは不正受給をなくし、あるいは制度の適用が適正化されたのだというようなそういうニュアンスの答弁が再々行われていますけれども、つい先日の教育テレビでも「「母さんが死んだ」生活保護の周辺」という札幌テレビの番組を放送していましたけれども、こうした事実をどのように説明されるのか。また、そうした行き過ぎは本当になかったのか、もう一度この点についてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(小林功典君) テレビのケースでございますが、これは私も見ました。ただ、私どもの調べた事実と比べてみますと大変事実と著しく相違があります。しかし、これは先生の御質問の本筋ではないと思いますので、六十年以降保護対象人員が減ったという点の分析を申し上げます。
 幾つかの要因があるわけでございますけれども、もともと生活保護の適用状況といいますのは、基本的には経済的社会的な要因はもとより他の法律や施策の整備状況あるいは制度の運用、そういった要因が重なり合いまして影響してくるものでございますけれども、その中で我々いろいろ分析をした結果、主なものを申しますと、まず一番大きなものはやはり景気でございます。生活保護の動向というのは非常に景気の好不況に大きく左右されます。昭和五十八年度以降、御案内のように一時的に若干の後退がございましたけれども、全体見ますと非常に好況で推移している、これが一番大きな原因でございます。
 それから第二点は、昭和六十一年の四月に障害基礎年金制度、それから特別障害者手当制度、これができました。従来の福祉年金あるいは福祉手当、これに比べまして一挙に大幅に増額が図られた、これが生活保護に転落することを防ぐ役割をかなり占めているということがございます。
 それから第三に、これはちょっと小そうございますけれども、五十九年からそれまで年々増加を示しておりました離婚率が減ってまいりまして、ずっと減少傾向が続いております。したがいまして、母子世帯に対する保護の適用というのが減少ぎみである。
 それに加えまして、国とか地方公共団体における保護の適正実施の努力が出てきた。大体この四点が大きな理由だと思います。
 決して現場におけるいわゆる締めつけといったものの影響ではない、もちろん補助率の引き下げによる影響でもないというふうに考えております。
○中野鉄造君 そこで、元年度の予算を見ますと、生活保護費は一兆一千四百十六億円でありまして、昨年度より五百十八億円増加しておりますけれども、扶助基準の引き上げのほかに、実は国庫負担率が〇・五%回復する分だけでも七百三十億円が含まれているためでありまして、実質的な適用人員、適用世帯は新しい年度においてこれはさらに減り続けていくのじゃないのかと思うのですけれども、具体的にはどのくらいの数字を見込んでおられますか。
○政府委員(小林功典君) 確かに六十年度以降保護人員が減っております。平成元年度予算も今おっしゃいましたように金額的には伸びておりますけれども、伸びておる原因の中に補助率の〇・五%のアップが入って伸びております。これがありませんと減少でございます。
 それで、六十三年生活扶助費で申しますと、百十三万七千人が元年度予算で百六万五千人にカウントをしております。
○中野鉄造君 そこで、この適正な運用が行われていくためにもお尋ねするわけですが、六十年の十二月に補助金問題検討会の報告書でも、国の事務として処理される機関委任事務とするということうたがわれておりますけれども、この制度については今後とも国の責任において適正な制度運用がなされていくということを約束をしていただけますね。
○政府委員(小林功典君) 検討会では生活保護問題とそれから措置費の問題を議論したわけでございますが、措置費の方につきましては、例えば団体委任事務化とかということで地方の自主性、自律性を増すということを前提に二分の一、これは団体委任事務にしたわけでございます。
 片や生活保護の方は、依然としてこれは国の機関委任事務ということで、国の事務とすることについて合意を得ております。
○中野鉄造君 先ほど同僚議員から生活保護世帯に及ぼす、生活保護とは言われませんでしたけれども、一般の低所得者に対する消費税の影響ということについて質疑がありましたけれども、この元年度の引き上げ幅が四・二%予定されているようでありますが、この中に消費税の影響分は含まれているのか、また含まれているとしたら何%ぐらいを見込まれているのか、その点をお伺いします。
○政府委員(小林功典君) 御指摘のように、平成元年度の予算で生活扶助基準につきまして四・二%の引き上げを行うことにしておりますが、この生活扶助基準の改定は、先生もよく御承知のように、具体的には政府経済見通しにおけるその年度の民間最終消費支出の伸びを基礎に算定するものでございます。これは例年そうでございます。つまり、一般国民の消費動向に合わせて生活保護の生活扶助基準も改定していく、こういう仕組みでございます。したがいまして、直接物価を尺度にして決めるものではございませんので、四・二%の中にどれだけ消費税絡みの率が入っているかということはお答えできない、そういう性格のものでございます。
 ただ、経企庁が試算をしております消費税導入等による物価への影響、これは一・二%と言っていますが、それを含めまして物価全体で二・〇%ということでございますが、それと四・二を比較してみますと、今回の改定によって被保護世帯に必要な最低生活の水準を確保するということは可能であるというふうに考えております。
【略】

第114回参議院 大蔵委員会会議録第7号(平成1年4月6日)
○吉井英勝君 結局、消費税に対して国民の七割、八割が反対だということはアンケート調査でも数字が出ているわけです。その怒りもおわかりじゃない。それから、先ほどのリクルートの問題にしても、国民の政治不信、こういうものも全くおわかりじゃないという、私は驚くべきことだということを申し上げておきたいですし、そういうことをこそやはりまず改めるべきだということを申し上げたいと思うのです。
 さて、厚生大臣に伺いたいと思いますが、補助金の削減。行革の対象というのは社会福祉、中でも厚生省関係ですね、国民から見て厚生省関係が多いのですが、これは国民から見て福祉後退と受けとめられておりますが、あなたはどうお考えになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
国務大臣小泉純一郎君) 福祉の後退とは見ておりません。
○吉井英勝君 臨調行革により健康保険、国民健康保険、年金、老人保健、児童手当、児童福祉手当等々主な改正のねらいというのは、一つは給付の切り下げ、二つ目に国庫負担の削減、三つ目に国民と地方への負担の転嫁でなかったでしょうか。この点どうですか。
○政府委員(末次彬君) 厚生省におきましては、近年、医療保険あるいは年金各制度につきましてさまざまな改革を行ってきているところでございます。これは、二十一世紀の本格的な高齢化社会に備えまして、制度間あるいは世代間の給付と負担の公平を図る、あるいは将来にわたって国民の社会保障に係る負担を、経済の発展、社会の活力を損なわない程度にとどめる。こういうことを目途といたしておりまして、社会保障制度の基盤を揺るぎのないものにするべく、中長期的な観点から実施してきたものでございまして、御指摘のような御心配はないと、このように思います。
○吉井英勝君 高齢化社会に向けての制度の安定のためということを要するにおっしゃりたいわけですね。それは理屈は後でつけたものでありまして、実際にやったことをちょっと見てみれば、健康保険はもともと本人十割給付を九割にし、法律上は八割給付にしているわけです。国保は、地方負担の導入、国庫負担率四五%を三八・五%に削ったことは事実ですし、年金にしても給付の大幅切り下げを昭和六十年に行い、今六十五歳からの支給へと年齢を引き上げようとしているし、老人関係でも医療費の有科化そして各保険負担を出したり、児童関係では給付の切り下げ、国庫負担の削減。すべて制度改定と言われているものの中身、その本質を見てみれば、私が今言ったような内容じゃないでしょうか。どうですか。
国務大臣小泉純一郎君) やはり、年金にしても医療にしても、国全体の給付と負担のバランス、また国民から見ても給付だけを受けるという観点だけではなくて、それを負担する人のことも考えなきゃいけない。
 あわせて、これからますます高齢者がふえていく。そういう中にあって、給付と負担のバランスをどうやってとっていくか。そして、租税負担率とかあるいは社会保険科負担率、これもできるだけ低目に抑えていくという、全体から見て考えていただきたいと思うのであります。
 給付だけ多ければ多い、また負担の方は少なければ少ないほどいいというのはだれもが願うことでありますが、その点のよく調和されたものから判断して、我々としては年金とか医療というものを、今の制度が引き続き維持発展し、安定した制度のもとにいろいろな福祉政策を国民が享受できるような制度を維持していく、これが最も大事なことであるという観点からやっているわけでありまして、福祉の後退という批判は当たらないと思っております。
○吉井英勝君 もともと多いわけでもない給付の方を削り、負担をふやしたというのが事実としてあったわけでございます。
 臨調行革の名による制度改正や、もともと法律上国の負担金であるものの削減というのは、これは憲法二十五条で書いておりますように、「国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障」「の向上及び増進に努めなければならない。」、このことを空洞化させたことは明らかです。国の福祉後退の姿勢というのは、当然これは地方自治体に波及してくるものですが、地方自治体に波及するというふうに、そういうふうには思われませんか。
○政府委員(末次彬君) 今回の補助率の恒久化でございますが、そもそも生活保護あるいは老人ホームの入所措置等の福祉行政、これはもう国民生活に非常に密着した行政でございまして、国と地方公共団体はそれぞれの役割を果たしつつ、真剣に取り組んでいかなきゃならないというふうに認識いたしております。
 今回、これらの行政に係ります補助率について、改めて国と地方の機能分担あるいは費用負担のあり方等を勘案しながら、他の分野の補助率と一体的、総合的に検討を行いまして、ただいま御提案申し上げているような補助率で恒久化することといたしておりますが、今回の措置を講ずるに当たりましては、所要の地方財源措置が講じられておりまして、地方行財政の運営に支障が生じることのないように配慮されているというふうに理解しております。
 なお、今回の補助率に係ります措置は、国と地方の費用負担に係る問題でございますから、国民の福祉水準そのものに影響を与えるものではないというふうに考えております。
○吉井英勝君 まず、厚生大臣の任務というのは、これは憲法二十五条の遵守、福祉後退にそれこそ政治生命をかけても抵抗するという、それぐらいの気概を持ってやってもらいたいと思うわけですが、今も地方との間では、要するに交付税で見るなど、その種のことを調整を図るだけだということですが、しかし全国市長会の決議でも、大阪府など各都道府県からの予算要望などの中でも、福祉の後退を心配して、補助金を復元されたいという、これが全国市長会の決議その他でも出されてきたことですね。
 私も先日、自治体責任者に会っていろいろと伺ってまいりました。吹田市では、市長会で決議してやってきて、ことしは復元されるものと思っていたと。生活保護や老人などを中心にして、市民サービスの低下につながることになりますと地方自治体の責任者は心配しています。
 堺市補助金カットの痛みは全国共通の悩みですと。特に、国保についてはもっと国で心配してほしいと。
 ちょうど、これせんだって、三月三十日に大阪の茨木市というところの議会で、これは茨木だけじゃありませんが、「国庫補助カットの撤回と超過負担解消を求める意見書」というのが、これは自民党の皆さんも賛成されて全会一致で決議されました。
  いま、自治省生活保護費を十分の七・五に復元したことや財源措置として国のたばこ税の二五%を地方交付税に繰り入れたことを評価してカット撤回運動に終止符を打たせようとしているが、実際には、自治体は一般財源から二千七百六億円の持ち出し、六千五百十二億円もの臨時特例債発行を強制され財政困難が加速することは確実である。
  よって、政府は自治体の求める国庫補助カット反対、負担率の即時復元、自治体負担の国による全面補填をただちに実施するよう強く求める
 これは、今おっしゃった答弁とは全然違うように地方自治体は受けとめているわけであります。
 自治大臣にそこで伺いたいのですが、こういう地方自治体の悩みや苦労を大臣はどのように受けとめていらっしゃるか伺いたいと思います。
国務大臣坂野重信君) 御指摘のような、いろんな要望とか決議の出ていることは私ども承知いたしておりますが、きのうから答弁申し上げているように、私どもは補助率の完全復元ということは、まさにことは理想的なことでございますし、また各地方公共団体はそれを願っておったことは事実でございます。
 しかし、総合的にいろいろ判断をして、最終的にはやっぱり地方の自主財源をいかに充実してやるかということと、補助率の復元等いろいろ総合的に考えて、補助率復元の方はほどほどにして、そのかわり補助率の復元できなかった分は地方交付税とか、いろいろ午前中もほかの先生方に答弁したとおりに措置したわけでございます。しかし、それで終わるということではございません。中央と地方との権限をどうするか、また財政への負担をどうするかというような問題は、やっぱり国庫負担金の性格と、そして補助金の性格と違いますから、私個人的には、やっぱり負担金といいますか、国が責任を持って面倒を見なければならないナショナルプロジェクトというものは、できるだけ手厚く国の方で出して、それで一般の奨励的な補助金というものはある程度やはり辛抱して、そのかわりに地方の自主財源というものを一方において充実してやって、そういう中で面倒を見ていこうということでございます。確かに国保問題は前自治大臣も非常に心配しておりまして、厚生大臣とかんかんがくがくやったということも私も承知しておりますが、私どもではできるだけの範囲内で、地方財源の自主財源という面で面倒を見ていこうということでやったわけでございます。
○吉井英勝君 地方の苦労や悩みを一番知ってもらわなければいけない自治大臣が、余り御存じないということは極めて残念です。地方では先ほども言いましたように、自民党の皆さんも含めて地方財政困難が加速されることは確実だと悲鳴を上げているのですよ。このことはぜひ考え直してもらいたい、重く受けとめてもらいたいと思うわけです。
【略】
○吉井英勝君 次に、共同作業所の問題についてお尋ねしたいと思いますが、障害者やその親御さんなどが自主的に運営している共同作業所というのは今どんどんふえています。認可施設が不足しているものですから、無認可の作業所が急増しておりまして、大阪の無認可の例で言いますと、一九八〇年の四十三カ所が八九年には百八十二カ所へ四倍以上になりました。その利用人員というのは八〇年の五百十六名が八九年で二千五百四十八名と五倍にふえている。この点で全国的にも大変な伸びでございますが、なぜこういうふうにふえてきているのか、その点についてどういう御見解でいらっしゃるか、伺いたいと思います。
○政府委員(長尾立子君) お答えを申し上げます。
 今、先生お話しの小規模作業所は、二十人未満の非常に小さな規模で、親御さんたちが中心にこういった精神薄弱者の方、身体障害者の方が自主的に行っておられる作業所でございます。先生が今これが非常に増加しているのではないかという御指摘がございましたが、この理由といたしましては幾つかのものが考えられるかと思います。
 一つは、養護教育の義務化ということが進行いたしまして、こういった精神薄弱者の方々につきまして、中学への進学ということが全員行われるようになったわけでございますが、現実問題といたしまして、高校への進学が難しいということから、親御さんたちがこういった精神薄弱者の方々について、小規模でも作業所を設けたいという御希望が非常に強くあるということが一つの原因かと思います。
 もう一つは、認可施設につきまして、今申し上げましたように、二十人という規模がございますし、それなりの施設の整備等が必要でございますので、これがなかなかできがたいという要素があるのかと思っております。
○吉井英勝君 共同作業所というのは全国的に非常に急増しておりますが、その理由は、今もおっしゃったように、養護学校義務設置制の実施以来十年たちまして、卒業生が出てこられて、私もいろんな方とお会いしましたが、卒業後せっかく学校に行ったのにまた在宅になるというこれまでの
事情があった中で、共同作業所に希望の光を見出したという、そういうお母さん方の声を随分私も聞きました。
 こういう実態にあるのに対して、ただ、現在障害者雇用対策なんかは非常に立ちおくれている問題などもありまして、これはいよいよ充実させていかなきゃいけないときだと私は思うわけです。
 そこで厚生大臣にちょっと伺いたいのですが、無認可の共同作業所などお訪ねになったことございますか。
国務大臣小泉純一郎君) 無認可のは大臣になってからはありません。
○吉井英勝君 これもぜひ一度訪ねていただいて、その実態を把握していただいて、そこに働いている人たちの生き生きした姿も見ていただきたいし、ぜひ父母の皆さんともお話し合いもしていただいて、今日どういう状況に置かれているか、そういう中でどんなに必死の思いで運営に当たっていらっしゃるかということをよく聞いていただいて、そして今後この分野で、厚生省には既に幾つか取り組んでいただいていることもございますが、さらにこの充実を大臣としても図っていただきたい。これはそういうふうに要望しておきたいと思うのです。
 そこで、労働省の方に障害者雇用の問題としてこの実態をつかんでいらっしゃるかということと、認可作業所への補助というのは厚生省の方でやっておりますが、無認可の小規模になると、これは国の方でも何もない。ところで、共同作業所が障害者の就業施設であり、同時に職業訓練的性格を持っていることも考えますと、労働省としても心配をしてもらわなきゃならぬと思うわけです。
 そこで、一九八五年十一月十四日の参議院社会労働委員会で山口大臣は、共同作業所は障害者の父母にとっても御当人にとりましても大変有効に機能しておる、援助というものがどういう形で可能か十分前向きに検討しなければならぬという御答弁をしておられます。大臣の国会答弁というのは非常に重いものだと私は思いますが、そこで労働大臣に伺いたいのですが、今の問題については、これはさきの大臣も十分前向きに検討しなければならぬということでございますが、ぜひ真剣に研究をしていただきたい、労働省としてもやっていただきたいということを思うのですが、労働大臣の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(竹村毅君) お答え申し上げます。
 私どもにおきましても、いわゆる小規模作業所につきましては事例調査も行っておりまして、その結果、平均的なものを申し上げますと、一週当たり五ないし六日程度通所するとか、そして一日平均四、五時間の作業時間、一月平均五千円から一万円の手当を得ているというのが平均的な形態だというふうに思います。将来的には、いわゆる社会福祉法人への移行を希望しているところが非常に多いわけでございまして、したがいまして、雇用というよりも生きがい対策的な面が非常に強いと思われますけれども、中には一日八時間程度の作業を行っている例も少数ではございますけれどもございます。そういうものにつきましては、私どもの身体障害者の雇用促進その他にあります助成金その他が利用できるところには利用していただいて、これからもいろいろな面でお手伝いしたいというふうに思っております。
○吉井英勝君 労働大臣は。言っておいたのですが、大臣はいらっしゃらないですね。さきの大臣の答弁もありますので伺いたいということで事前に通告しておいたのですが、これはこういうことでは困る。今、大臣じゃない方の御答弁しか得ないのであれですが、労働大臣の方はやはり真剣に検討、研究してもらいたいということを重ねて申し上げたいと思います。
 次に、養護学校に関係してですが、全国の知恵おくれの養護学校の過大校ワーストテンのうち大阪が五校あります。その高等部の状況、またワーストテンのうちやはり大阪が六校で最悪という事態でありますが、それも一位から上位を占めております。
 私は、全国で最悪の過大校である大阪府立和泉養護学校高等部を見てきました。生徒数は二百七十六名で、文部省の指導を受けてもともと百五十名規模の学校として建設したわけですから、今では約二倍。その結果、言語訓練室、心理治療室、相談室、職能室、図書室がすべて普通教室に転用されていました。中には板一枚で特別教室を二つに仕切って、入り口のドアが真ん中にないものですから幾らでも授業中でも行き来できるという、そういうのもありました。実習用の農園もつぶしてプレハブ教室をつくったりとか、それから百名の先生が一つの教員室に入っているとか、これまでは一人一人の子供の知恵おくれの実態に合わせた指導ができたのですが、数がうんと多くなったものですから、父母を含めて検討したいという先生の熱意があっても、父母の皆さんの願いがあっても、過密過大で大変だという実態が生まれています。また、子供さんの中には、ほかの教科に出ておりますと、今度自分の教室がわからなくなっててんやわんやするとか、先生もあとちゃんと見つけなきゃいけないという、そういうことがありまして、過密過大の中ではこういう事態というのは本当に満足にやっていくには物理的に困難だという状態が生まれております。文部大臣は、こういうふうな状態をどうお考えになられるか伺いたいと思います。
国務大臣西岡武夫君) 委員既に御承知のとおり、養護学校の学校規模の実態と申しますのは、児童生徒の障害の状態が非常に多様だということもございますし、小学部、中学部、高等部等も置かれて、発達段階が非常にまちまちで、年齢の幅も非常に広いということで、その設置、運営につきましては、各学校の実態、地域の実情を十分考えて行わなければいけないというふうに考えております。しかし、それを一律に学級数等によって全国同じような適正規模ということを定めるということは、委員も十分御承知のとおりなかなか困難な状態にあるということが実態でございます。
 しかし、そうは申しましても、今委員御指摘のような実態というものがあるわけでございますので、設置者であるところの都道府県等において、学校規模がただいま御指摘のような過大な状態なために教育上の支障が出たり、施設等問題があるという判断が下されて分離、新設を行うというような決定がなされた場合には、文部省といたしましては国庫補助金の執行に当たって優先的にこれを採択していくということで、できる限りの援助をしてまいりたい、このように考えております。
○吉井英勝君 この八年間、ずっと大阪では養護学校が新設されないので過密状態がひどくなったのですが、それは文部省が新設を抑えてきたということじゃなくて、府の方からさえ出てくればやるということですね。
国務大臣西岡武夫君) そのとおりでございます。
 【略】
○委員長(梶原清君) これにて質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○志苫裕君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、反対の討論を行います。
 国の補助金等のカットは、一律というやり方が示すように、あくまでも国の財政事情による緊急避難でありました。したがって、一年限りの約束でしたが、三年間も延長され、あげくの果てに復元どころか、その多くを引き下げたままに固定しようというのであります。これは重ね重ねの約束違反であり、断じて容認できません。しかも、カットの要因だった国の財政事情は史上まれに見る増収に恵まれ、もはや一方的に地方に対して負担転嫁を強いる状況ではありません。財政事情を言うならば、不足財源の大半を財源対策債に頼り、補助金カットだけで五兆円に上る国の肩がわりを強いられてきた地方団体の方がより厳しいのであって、財政的には、なおカットを続ける理由は全く存在しないのであります。
 私は、国の補助金等をすべてもとどおりに継続せよ、補助率引き下げは断じて相ならぬと主張するものではありません。個別にその根拠や合理性を吟味し、地方自治の本旨にのっとって国と地方の役割分担と、それに伴う権限、財源の調整を念入りに行うことによって改廃または増減の措置をとることはけだし当然だと思っております。
 しかしながら、本法がそのような入念な作業や、合理的判断を行ったものとは認めがたいのであります。足して二で割るか、半分半分か、さもなければ先送り。いかにも場当たり的、その場しのぎの論法で、補助負担割合を律することは将来に禍根を残すものと憂えるのであります。
 次に、個別の内容について意見を述べます。
 生活保護は、憲法二十五条の要請を満たす国の基幹的事務であり、補助金とはその性格を全く異にするものであります。この負担割合をめぐっては、しばしば国と地方及び政府部内での論生大争や綱引きが行われ、昭和二十九年には時の厚生大臣が職を賭すという事態も発生しております。このような先人によって守られた負担率を引き下げ、恒久化を図ろうとする本法において、現職厚臣の使命感はいかなるものであったのか、その片りんすらも認めることができないのは慨嘆にたえません。生活保護は全額国庫負担の基調を貫くよう主張いたします。
【略】
 以上、個別の事項についての問題点を指摘し、主張を行いましたが、本法案は、あらゆる意味において合理性に乏しく、納得できるものではないので、一たんはカット以前の姿に戻して再検討を行うべきであります。
 以上をもって反対討論を終わります。(拍手)
○斎藤文夫君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に対し、賛成討論を行うものであります。
 御承知のとおり、高齢化、国際化時代を迎え、さまざまな社会変化、行政ニーズの多様化、多量化に対応できる足腰の強い財政確立こそ、国家的重要課題であります。
 しかしながら、我が国の財政事情は、特例公債依存体質からやっと脱却できる展望が開けたとはいえ、平成元年度末の公債残高は百六十二兆円。それに要する公債費は歳出の二割を占め、財政硬直化が懸念されておるところであります。
 その中で、元年度予算は、内需の持続的拡大を図りつつ財政改革を進めていこうとするものであり、特に歳出面で既存の制度、施策の見直しを行い、限られた財源を重点的かつ効率的に配分して編成されましたが、特に補助金等の臨時特例法の暫定措置が昭和六十三年度末に終了するに伴い、国と地方のあり方を総合的な観点から見直しを行い、補助率等の恒久化や地方の一般財源化を図りながら、国と地方の財政関係の適正化、安定化を築こうとする本法案に対し、我が党は賛意を表するものであります。
 さりながら、国と地方は親と子のようなものであり、相互の信頼、共同、協力なくしては国の繁栄はあり得ません。その意味で、地方自治の充実発展こそ地域の振興、格差の是正に不可欠であり、そのために地方の自主性を高め、財政基盤の確立を図らねばなりません。平成三年度には補助率の見直しも期待されるところでありますが、政府におかれましては、行財政改革の立場からも地方との機能分担、地方分権の拡大、それに伴う財政措置等に特段の配慮をされるよう要望して、私の賛成討論といたします。(拍手)
○太田淳夫君 私は、公明党国民会議を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例に関する法律案に対し、反対の意見を表明して討論を行います。
 その第一の理由は、いわゆる内容の全く異なる法律四十七本について、しかも一部は補助率を引き下げたまま恒久化し、また一部は地方の一般財源に振りかえ、さらに残りについては平成二年度までの暫定措置とするなど、極めて複雑な改正を本法律案で一括して処理しようとしている法案の提出の仕方についてであります。
 政府は、一括して補助率を改正するもので、まとめた方がわかりやすいとか、昭和六十年度、六十一年度など、過去の例に倣ったとか申しておりますが、過去の例も本案も、それぞれの法律改正を審議すべき常任委員会制度を無視していることには変わりありません。しかも、本案は、国と地方の信頼関係を損ならばかりでなく、国民生活に重要な影響を与えるものとして、我々野党が強く慎重審議を求めたにもかかわらず、リクルート疑惑隠しに奔走し、暫定予算に追い込まれた政府が、本案を日切れ法案として短時日のうちに成立させようとすることは、議会制民主主義のルールを踏みにじるものと言わざるを得ません。
 第二の理由は、社会保障関係の補助率等の恒久化についてであります。これらの事業は憲法にも保障されている国民の生存権に係るものであり、当然、補助率については昭和五十九年度水準の十分の八に復元することが政府の責務であります。それをあろうことか、生活保護法等七法律に係る補助率をわずか五%の引き上げにとどめ、また、老人福祉法等六法律に係る補助率を二分の一に据え置いたまま恒久化しようとしているのであります。政府の福祉切り捨て姿勢がはっきりと表明されたものと言わざるを得ません。
 【略】
○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に対して、反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、本法案の成立に強く反対している国民の声に耳を傾けないで、採決を強行しようとしていることであります。
 政府は、臨調・行革の名のもと、一年限りだ、三年限りだと言いながら、八五年度から八八年度までの四年間だけでも、六百七十二件の補助率引き下げを含む五千百六十七件もの補助金等を整理、福祉、教育など国民生活に多大な影響を強いてきました。国民と地方公共団体が復元を強く求め続けてきたのは当然のことであります。
 しかるに今回、一片の反省の弁もなく、十一省庁、十一委員会にも関係する四十七法律を一本の法律にして、二百六十五件もの補助金等の削減を含む整理合理化を一括処理しようとしているのであります。しかも、このような重大、重要法案を、衆議院で、我が党を除く自、社、公、民の密室協議で日切れ法案と決め、当委員会においても審議時間を極端に短縮して採決に至ろうとしていることは、断じて許せません。国民無視の国会の形骸化であり、議会制民主主義を踏みにじるやり方に強く抗議をするものであります。
 反対の第二の理由は、本法案は国民に重大な被害をもたらすからであります。社会保障福祉関係の補助金カットによる本年度の影響額は四千七百六十五億円、五年間では二兆三千六百億円余りに達しています。このために、乳幼児、身体障害者精神障害者、母子家庭、老人、経済的に恵まれない家庭と保育所助産施設、老人ホーム等はどれほど泣かされてきたことでしょうか。加えて、厚生省が補助金カットの方針のもと、保育所や老人ホームヘの入所条件を厳しくし、生活保護世帯に残酷な仕打ちまでしてきたことを考えますと、私は激しい怒りを禁じ得ないのであります。
 教育関係についても、憲法第二十六条と教育基本法の精神を真っ向から踏みにじる改悪をさらに一歩進めるものであり、断じて容認できません。
 公共事業については、現在でもおくれている国民生活密着型公共事業をさらに後退させるものであり、国民各界各層に重大な打撃を与えるものであります。
 【略】
○栗林卓司君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
 昭和六十年度以来数次にわたって国の補助金等が切り下げられてまいりました。しかし、そのいずれも暫定的意味合いを持ったものであり、本来の補助金の整理合理化の目的に照らしていえば不徹底、不十分でありました。今回は、それら措置の期限である昭和六十三年度が到来するところから、全般を見直し、財源の重点的、効率的な配分に努めたとしておりますが、地方財政への配慮を踏まえた補助率の切り下げという点で進歩が認められはするものの、依然として中途半端であります。政府は、何よりもまず国と地方の役割分担を明確にしなければなりません。その上に立って、臨時行政審議会が指摘するごとく、補助率そのものの簡素合理化、恒久化を進めるべきであります。
 【略】
○委員長(梶原清君) これにて討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(梶原清君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 志苫裕君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。志苫君。
○志苫裕君 私は、ただいま可決されました国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に対しまして、自由民主党日本社会党・護憲共同、公明党国民会議民社党・国民連合及び新政クラブ税金党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 高齢化社会に対応して、行政需要の拡大に的確に応えるとともに、地方財政法第十条等の趣旨を踏まえ、今後とも国庫負担制度の基本を維持し、国の補助負担金の整理に当たっては、その事務事業の性格及び国と地方間の財政秩序の維持を十分に勘案すること。 
一 社会保障、文教行政等、国民のナショナルミニマムに関する制度及び負担の変更については、地方公共団体をはじめ関係団体の意見を十分に尊重すること。
 また、国と地方の行財政の再配分に係る国の施策の変更に当たっては、地方自治の本旨に則り、地方公共団体の一方的な財政負担増をもたらさぬよう特段の配慮を払うこと。
 一 国の補助金等については、国と地方との役割分担・費用負担の見直しを基本として整理合理化を行い、地方の自主性に委ねるべきものについては一般財源への振替等を行うよう努めること。
【略】
 一 法律の改廃については、立法の趣旨と制定の経過を踏まえ、審議権を尊重し、法案提出のあり方に慎重を期すること。
 右決議する。
 以上でございます。
○委員長(梶原清君) ただいま志苫裕君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(梶原清君) 多数と認めます。よって、志苫君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、村山大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。村山大蔵大臣。
国務大臣村山達雄君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえて配意してまいりたいと存じます。

第114回参議院 本会議会議録第9号(平成1年4月6日)
○議長(土屋義彦君) この際、日程に追加して、
 国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長梶原清君。
   〔梶原清君登壇、拍手〕
○梶原清君 ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における財政状況及び累次の臨時行政調査会答申等の趣旨を踏まえ、財政資金の効率的使用を図り、あわせて国、地方間の財政関係の安定化に資するため、昭和六十三年度まで暫定措置が講じられてきた事業に係る補助率等について、改めて一体的、総合的な見直しを行うこととし、補助率等につき、生活保護等に係るものは恒久化し、義務教育に係る恩給については一般財源化を図り、公共事業等については六十三年度適用の補助率等を引き続き平成二年度まで適用することとするとともに、厚生保険特別会計等、一般会計から特別会計への国庫負担金等の繰り入れについての特例を定めようとするものであります。
 なお、本法律案においては、四十七法律に係る補助率等の見直し等を一括して行うこととしており、また、別途、地方交付税法の改正によりたばこ税を地方交付税の対象に加えることとするほか、地方公共団体の財政運営等に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずることとしております。
 委員会におきましては、平成元年度暫定予算と本法律案との関係、多省庁にわたる補助率等の改正を一括して提案することの当否、高齢化社会の進展に対応した財源確保のあり方、補助率に係る大蔵、自治両大臣の覚書の性格、補助率引き下げがもたらす住民負担への影響等について大蔵大臣ほか関係各大臣等に対し質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して志苫裕理事、公明党国民会議を代表して太田淳夫理事、日本共産党を代表して吉井英勝委員、民社党・国民連合を代表して栗林卓司委員よりそれぞれ反対、自由民主党を代表して斎藤文夫理事より賛成する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(土屋義彦君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。志苫裕君。
   〔志苫裕君登壇、拍手〕
○志苫裕君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、反対の討論を行います。
【略】
 さて、国の補助金等のカットは、一律というやり方が示すように、あくまでも国の財政事情による緊急避難でありました。したがって一年限りの約束でしたが、三年にも延長され、あげくの果てに復元どころかその多くを引き下げたまま固定化しようというのであります。これは重ね重ねの約束違反であり、断じて容認できません。しかも、カットの要因だった国の財政事情は史上まれに見る増収に恵まれ、もはや一方的に地方に対して負担転嫁を強いる状況ではありません。財政事情を言うのであれば、不足財源の大半を財源対策債に頼り、補助金カットだけで五兆円にも上る国の肩がわりを強いられてきた地方団体の方がより厳しいのでありまして、財政的にはなおカットを続ける理由は全く存在しません。私は、国の補助金等をすべてもとどおりで継続せよ、補助率引き下げは断じて相ならぬなどと主張しているものではありません。個別にその根拠や合理性を吟味し、地方自治の本旨に基づいて、国と地方の役割分担とそれに伴う権限、財源の調整を念入りに行うことによって改廃もしくは増減の措置をとることはけだし当然でありましょう。しかしながら、本法がそのような入念な作業や合埋的判断を行ったものとは認めがたいのであります。足して二で割るか、半分半分か、さもなければ先送り。いかにも場当たり的、その場しのぎの論法で補助負担割合を律することは将来に禍根を残すものと憂えるのであります。次に、個別の内容についての意見を述べます。生活保護憲法二十五条の要請を満たす国の基軸的事務であり、補助金とはその性格を全く異にするものであります。この負担割合をめぐってはしばしば国と地方及び政府部内での論争や綱引きか行われ、昭和二十九年には時の厚生大臣が職を賭すという事態も発生いたしております。このよりな先人によって守られた負担率を引き下げ、恒久化を図ろうとする本法において、現職厚生大臣の使命感はいかなるものであったのか、その片りんすらも認めることができないのは慨嘆にたえません。生活保護は全額国庫負担の基調を貫くよう主張いたします。
 【略】
○議長(土屋義彦君) これにて討論は終局いたしました。
○議長(土屋義彦君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(土屋義彦君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。

国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律(平成元年法律第22号)【18条と附則1〜3項】
精神保健法の一部改正)
第十八条 精神保健法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 第三十条第二項中「十分の八」を「四分の三」に改める。
 
附則
(施行期日等)
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律(第十一条、第十二条及び第三十四条の規定を除く。)による改正後の法律の平成元年度及び平成二年度の特例に係る規定並びに平成元年度の特例に係る規定は、平成元年度及び平成二年度(平成元年度の特例に係るものにあっては、平成元年度。以下この項において同じ。)の予算に係る国の負担(当該国の負担に係る都道府県又は市町村の負担を含む。以下この項及び次項において同じ。)又は補助(昭和六十三年度以前の年度における事務又は事業の実施により平成元年度以降の年度に支出される国の負担及び昭和六十三年度以前の年度の国庫債務負担行為に基づき平成元年度以降の年度に支出すべきものとされた国の負担又は補助を除く。)並びに平成元年度及び平成二年度における事務又は事業の実施により平成三年度(平成元年度の特例に係るものにあっては、平成二年度。以下この項において同じ。)以降の年度に支出される国の負担、平成元年度及び平成二年度の国庫債務負担行為に基づき平成三年度以降の年度に支出すべきものとされる国の負担又は補助並びに平成元年度及び平成二年度の歳出予算に係る国の負担又は補助で平成三年度以降の年度に繰り越されるものについて適用し、昭和六十三年度以前の年度における事務又は事業の実施により平成元年度以降の年度に支出される国の負担、昭和六十三年度以前の年度の国庫債務負担行為に基づき平成元年度以降の年度に支出すべきものとされた国の負担又は補助及び昭和六十三年度以前の年度の歳出予算に係る国の負担又は補助で平成元年度以降の年度に繰り越されたものについては、なお従前の例による。
3 第十三条(義務教育費国庫負担法第二条の改正規定に限る。)、第十四条(公立養護学校整備特別措置法第五条の改正規定に限る。)及び第十六条から第二十八条までの規定による改正後の法律の規定は、平成元年度以降の年度の予算に係る国の負担又は補助(昭和六十三年度以前の年度における事務又は事業の実施により平成元年度以降の年度に支出される国の負担又は補助を除く。)について適用し、昭和六十三年度以前の年度における事務又は事業の実施により平成元年度以降の年度に支出される国の負担又は補助及び昭和六十三年度以前の年度の歳出予算に係る国の負担又は補助で平成元年度以降の年度に繰り越されたものについては、なお従前の例による。
 
 内閣総理大臣 竹下登
 大蔵大臣 村山達雄
 文部大臣 西岡武夫
 厚生大臣 小泉純一郎
 農林水産大臣 羽田孜
 運輸大臣 佐藤信二
 建設大臣 小此木彦三郎
 自治大臣  坂野重信