廃止された法律の改正

日本法令索引では、戦時民事特別法昭和17年法律第63号)は「現行法令」の項目で検索できます(「廃止法令」の項目で検索してもヒットします)。
戦時民事特別法がアクティブ扱いされている点につき、法律の条文を旅するさま法制執務コラム集では、戦時民事特別法を廃止する法律(戦時民事特別法廃止法律、昭和20年法律第46号)の附則に、一部効力を有する旨の規定があるからである、と説明しています。
しかし、「旧法ノ規定ハ当分ノ内仍其ノ効力ヲ有ス」という文言を根拠にアクティブであるとするならば、旧刑法も監獄則もアクティブだということになってしまいます。
 
日本法令索引で戦時民事特別法が現行法令扱いなのは、廃止法律に附則があるからではなく、むしろ廃止法律がその後改正されているからでしょう(法律Aを改正する法律Bがある場合、日本法令索引ではBが改正されるとAも改正扱いされる、という点は以前書きました。id:kokekokko:20050617)。
ところが、たとえば精神衛生法の附則には、民法を改正する規定があります。では精神衛生法が改正されるたびに民法が改正扱いされるのか、といえばそうでもありません。ルールとしては、改正法律、つまり施行と同時にもとの法律に溶け込む法律に限り、この扱いを受けるというようです。
ただ、こういう扱いは日本法令索引以外の法令集ではほとんどみられません。となると、やはり戦時民事特別法は、廃止された法律だとするのが妥当でしょう。