精神医療に関する条文・審議(その121)

前回(id:kokekokko:20051207)のつづき。初回は2004/10/28。
ひきつづき、平成11年の成年後見制度制定・精神保健福祉法改正についてみてみます。

第146回参議院 法務委員会会議録第4号(平成11年11月18日)
【前回のつづき】
福島瑞穂君 高齢社会も、あるいはいわゆる痴呆症と言われる人たちが何百万人と出るという事態は初めてですので、これから何か問題が起きたらぜひ考慮をお願いいたします。
 次に、これは先ほど小川さんが聞かれたんですが、本人の意思をどうやって確認するのか。
 例えば、午前中も田山参考人の方から、ドイツは本人のところに裁判官が出向いて意思を最低限確認するという制度もあるという御報告がなされました。私も極力裁判所が本人のいる現場に出かけて本人の意思を確認すべきであるというふうに思いますが、先ほどお答えがありましたけれども、しつこいですが、食い下がって。裁判所の機能の充実とあわせてどうお考えでしょうか。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
 御本人の意思を確認することが今回の成年後見制度を円滑に行う上でのかなめであるという認識は十分持っております。
 その方法といたしましては、私ども今、家事審判規則の改正の検討段階にあるわけでございますが、その中に一つの規定を置きまして、御本人の陳述聴取を行うという規定を置こうかと考えているところでございます。その陳述聴取の方法といたしましては、いろいろ場面によってあり得るわけでございますけれども、一つは裁判官が審判において審問するという方法がございます。いま一つは、家裁調査官が調査に赴いてそこでお会いして話を伺うという方法があるわけでございます。
 どう運用するかはまさにケース・バイ・ケースになろうかと思いますけれども、こういった事案の多くのものについては、家裁調査官の活躍が期待されている部分が多いんだろうと考えている次第でございます。
福島瑞穂君 これもほとんどすべての方が聞かれたことなんですが、家庭裁判所の充実ということが言われていると思います。
 今のお答えでも、裁判官が面接をするか調査官が出向くかどちらかにしろ、とにかく充実が必要で、特に調査官の増員はぜひやっていただきたい。裁判所は極めて不思議なところで、普通の役所は増員してほしいと言うんですが、増員してほしいと余り言わない役所で不思議だなと思っているんですが、その点はいかがでしょうか。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 調査官の増員につきましては、私どもといたしまして次年度の増員要求の中で五名の要求をいたしました。しかし、これはその趣旨といたしましては、成年後見制度ということではなくして、むしろ現在私どもが抱えております家事事件の困難化という状況を踏まえて、まずはその関係の対応策を講じたいという考え方に立ったものでございます。
 今、委員御指摘の、成年後見制度を踏まえてどう考えているのかということでございますけれども、今後、事件の受理状況の動向でございますとか、事件の困難度でございますとか、社会の法的ニーズの高まり、そしてさらに成年後見制度の運用の状況等を踏まえながら、家庭裁判所がその特色であります科学性、後見性といったものを十分に発揮して的確な事件処理ができますよう、事件処理の効率化あるいはOA化の推進について検討し、さらに必要に応じて家裁の人的、物的体制のあり方について検討してまいりたいと考えている次第でございます。
福島瑞穂君 午前中、副島参考人成年後見家庭裁判所をつくってほしいぐらいだとおっしゃったんですね。ですから、五人と言われると、みみっちいというか、ちょっと少ないと思います。
 離婚事件などでも少年事件でも大変調査官にはお世話になりまして、離婚すると言っていたカップルが調査官が入ってカウンセリングしてくれることでもとに戻るとか、そういうケースを扱ったりすることもあります。私たちは法律家ですから、心理学の専門家である調査官は本当に貴重な存在です。五名と言わずばんとぜひ増員要求をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 成年後見制度につきましては、今後の事件の動向そしてその運用状況、そしてさらに事務の改善が図れるかどうかといったことを総合的に見た上で、さらに検討していくべき問題であろうと考えている次第でございます。
福島瑞穂君 私たちはぜひ応援したいと思っていますので、みみっちく五名とか言わずに、ぜひ増員をよろしくお願いします。
 次に、これは通告していなかったんですが、小川さんの質問などを聞いてちょっと不思議というか質問したいと思ったことなので、聞きます。
 安楽死などの問題なんですが、これからターミナルケアについて自分は安楽死の方がいいということを判断される方は出てくると思うんですね。先ほどは臓器移植の点で小川先生が聞かれましたが、安楽死などについて成年後見制度はどのように考えているのでしょうか。
○政府参考人(細川清君) まず、私どもが法案の作成作業でそういったことと関連していることで検討したことをまず申し上げたいと思うんですが、これは医療に関する同意というものがこの代理権の範囲内に含まれるかどうかということが検討されました。結論と申しますと、これは基本的には御本人みずからの意思が大事であって他の人が代理することはできないものである。つまり、医療契約は代理できますが医療行為に伴う医的侵襲、つまり体に対する侵害は御本人だけが決めるべきことではないか。
 それで、本人に意思がない場合には、これは医療全般の問題として考えるべきである。現在は緊急避難等の法理で解決されておりますが、要するにこれは交通事故で意思がもう働かなくなった、そういう人と同じ問題ですから、医療全般の問題として考えなきゃならないんじゃないか。したがって、これは成年後見と関連して議論すべき問題ではないというのが私どもの結論であったわけです。
 ですから、安楽死については、我々の検討ではしておりませんが、やはりもっと御本人の意思が重視されなきゃならない問題なので、これは他の人がかわってできるような問題ではないんじゃないか。仮に安楽死が合法だということになっても、それはなかなか他の人がかわれるような事柄ではないんじゃないかというふうに私は思っております。
福島瑞穂君 それはわかるのですが、意識が非常にはっきりしているときに例えば任意後見制度で、ある程度はっきりしているときに任意後見制度の中で、例えば私が万が一ターミナルケアを受けた場合には安楽死を後見人が選択してほしいとか、そういう条項を結ぶということはいかがでしょうか。
○政府参考人(細川清君) これは後見人との問題よりも、まず安楽死についてどう考えるかというのが国民の間で御議論いただかなければならないことなんではなかろうか。それが国民の大方の意見で立法がなされるということであれば、その上でさらにそういった御指摘のような問題が俎上に上ってくるのではないかな、このように考えております。
福島瑞穂君 八百五十八条についてお聞きいたします。
 従来の八百五十八条は「禁治産者の後見人は、禁治産者の資力に応じて、その療養看護に努めなければならない。」となっておりました。それが新しい改正案では「療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、」云々という文言に変わっております。身上ケア、療養看護については現行八百五十八条よりも後退した形になっていると読めるんですが、この辺はどのような議論があったのでしょうか。
○政府参考人(細川清君) 現在の御指摘の条文の問題点は立案の過程で幾つか指摘されております。
 一つは、「療養看護に努めなければならない。」というのが後見人がみずから療養看護をしなければならないような事実行為も含むように読める、それだから後見人がなり手がいないんだという議論が相当有力にされました。もう一つは、「療養看護に努めなければならない。」というのはちょっと狭過ぎる、すべての後見人としての事務を扱う上においては、すべての事務はたとえ財産管理であっても本人の生活状況、環境に十分配慮しなきゃならないという二つの御指摘がありまして、そういうことからこれを改正したものでございます。
 ですから、私どもとしては、従来よりも弱まったとか後退したとか、そういうつもりは毛頭ないわけでございます。
福島瑞穂君 前回、欠格条項についてお聞きをしました。自治省の方でちょっと明確な答弁がいただけなかったというふうに思っているので、もう一度お聞きをいたします。
 午前中の参考人の中からも選挙権を行使させてほしいという意見も出ました。なぜ後見人がつくと選挙権、被選挙権が自動的になくなってしまうのかについて理由をお聞かせください。
○政府参考人(片木淳君) お答えを申し上げます。
 公職選挙法第十一条におきましては、禁治産者心神喪失の状況にある者であることから、選挙権及び被選挙権を有しないとされているところでございます。今回の民法改正案では、禁治産者成年被後見人と変わりますが、その対象者は一致するものであり、選挙時に個別に意思能力を審査することも困難でありますことから、従来の禁治産者と同様、成年被後見人について選挙権及び被選挙権を有しないこととしているところでございます。
 選挙権及び被選挙権を有する者の範囲をどのように定めるかにつきましては、諸外国の状況等も含めさまざまな角度から検討すべき課題ではございますが、事理を弁識する能力を欠く状況にある者とされております今回の成年被後見人につきまして選挙権及び被選挙権を認めますことについては、慎重に検討すべきものと考えておるところでございます。
福島瑞穂君 なぜ、事理弁識能力がないとされると選挙権、被選挙権が自動的になくなるのでしょうか。取引の安全を図るための制度と自分は投票したいというのとは違うと思います。それから、みんながなぜ今まで禁治産、準禁治産というのを恐れたかといいますと、選挙権がなくなる。みんなには投票の通知が来るけれども自分には来ない。欠格条項は結局は人間のプライドの問題につながると思います。今のお答えでは答えになっていないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(片木淳君) まず、今回の民法改正の経緯といいますか、その関係からお答えを申し上げたいと思います。
 今回の民法改正によりまして欠格条項の見直しが行われまして、個別的な能力審査手続が整備されているものにつきましては欠格条項を削除されたわけでございますが、十分な個別的能力審査手続を有しないものあるいは資格等の性質上欠格条項による一律の審査を必要とするものについては欠格条項として存置されているというふうに承知をいたしております。
 選挙権及び被選挙権については、先ほど申し上げましたとおり、選挙時に個別に意思能力を審査することは困難でありますことから欠格条項を存置したものでございます。
福島瑞穂君 今のもやはり答えになっていないんですね。つまり、なぜ個別に判断できるか、一律的にやるべきかということを聞いているのではなくて、なぜそもそも選挙権、被選挙権が一律に奪われるのかということを聞いているのに合理的な説明はないと思いますので、この後も、済みませんが、理由を聞かせてください。
 もうちょっといろいろ聞きたかったんですが、時間になりましたので、以上で終わります。
中村敦夫君 最高裁の人事局の方へお尋ねします。
 裁判官の増員について、これはもう長くて古い質問で絶えず出てくる。きょうも何度も出てきているわけですけれども、以前も私はやりました。これは司法界の七不思議ということで、いまだはっきりした理由がわからない。大変な裁判件数がふえているのに裁判官が全然ふえない。それで、司法関係者、批評家、そういう人たちに聞くと、とにかく最低三倍というものがなければ、現在の裁判が普通に行われるということは不可能だと言われています。
 実際、裁判の非効率、おくれ、あるいは裁判官の非常識な発言とか間違い、そして、とても常識では考えられないような判決とか裁定がかなり多く、世の中の批判がずっと続いているわけです。さらには裁判官の自殺まであるということなんですが、なぜふやさないのかということについて、私もいろいろな理由をつくって、これですかというふうに聞いたんだが、それでもないそれでもないと。結局は漠然と印象で残っている答えというのは、様子を見て検討するというような印象の答えと、あるいは余りふやすと質が落ちるというような答えが漠然と残っているわけですが、それではちょっと納得がいかないんです。では今の質は高いのかといったらいろんな議論になってしまうわけですね。私、質の問題ではなく、やはり量の問題だということです。それでもふやさないとなれば、わかりやすい明確な答えを用意してもらわないと困るんです。
 我々の方で一生懸命考えて、その答えを想定してみるんですけれども、最近言われているのは、結局これは少数者で権力を独裁したい、独占したいという、何かずっと続いている裁判所の哲学みたいなものがあるんじゃないか。要するに、数がふえると独裁が難しくなる、独占が難しくなる、権力が分散してしまうような恐怖があって、何かそういう幻想でもって裁判所というものが固まっている。なかなかそのマインドコントロールから解けていないんじゃないかというようなことが言われているわけです。
 もしこれが本当だとしたら、国民にとっては大変迷惑な話なわけでして、そんなことは全く裁判所の権威とか、裁判が非常によくなるということについて、数をふやして害があるなどということは整合性がないわけなんですね。ですから、なぜふやさないのかということを明確に答えていただきたいと思うんです。
最高裁判所長官代理者(金築誠志君) この問題は、委員からも御指摘がありましたようにたびたびお尋ねがありまして、従来からお答えしているところでございますので繰り返しという点もございますが、改めてお答えいたしますと、裁判所といたしましては、これまでも適正迅速な裁判を実現するために訴訟手続の運営改善あるいは裁判官の執務環境の整備に努めてまいりましたけれども、それとともに毎年、司法修習生からの任官希望者の数なども考慮しながら継続的に裁判官の増員を図ってきたところでございます。
 現に平成二年度から十一年度までの十年間で合計百三十一人、判事補が百二十六人、簡裁判事が五人ですが、百三十一人を増員しておりまして、来年度、平成十二年度の概算要求では、これは来年度は司法修習制度の変更に伴いまして二期分の修習生からの採用が可能という事情がございますが、来年度は七十人の裁判官の増員をお願いしているところでございます。
 裁判官の増員というのは、詰まるところ、適正迅速な裁判を実現するためのものでございますから、事件数の動向を見ながら、訴訟関係人の協力や訴訟手続、管理運営方法等の改善など、いろいろなさまざまな方策を講じつつ増員のあり方について検討する必要があるわけでございます。
 近時の社会経済情勢の変化等を反映いたしまして裁判所に提起される事件は全般的に増加しておりますし、裁判所としてもこれに対応して人的体制の整備を図ってきたつもりでございます。特に民事事件につきましては著しい増加を示しておりまして、現在の社会経済情勢を踏まえますと、このような事件数の動向が当面は継続するものと予想されるところでございます。そこで、裁判所といたしましては、このような事件数の動向を踏まえて、今後とも適正迅速な裁判の実現を図るために必要な増員を図っていきたいと考えております。
 なお、政府に置かれました司法制度改革審議会におきまして、今後、法曹人口全体について論じられ、また将来の裁判のあり方についても検討されるというふうに聞いております。その中で裁判官の規模等についても当然議論がなされるものというふうに考えておりますので、長期的にはこの審議会の意見をも踏まえて検討していくことになると思います。
 御質問の中で、少数者で権力云々というふうな哲学があるのじゃないかというふうなお話もありましたが、今申し上げたようなことが増員の方針でございまして、決してそういう哲学を持ってやっているというわけではございません。
中村敦夫君 圧倒的に不足しているとだれもが言っている、世の中もそう言っている。ですから、やはり大きなスケールのチェンジでもってふやさなきゃいけないという質問なんですが、それに対してはずっと、これから考えていくと。過去にも既に、大変で、今も大変だと言うんですが、これから考えていく、ちょびちょびふやしていくということですから、やはり本当の七不思議の答えとしては私はほかの人に聞かれて説明ができないということが続くと思うので、次にまた別な答えを想定してきますから、もうちょっと前向きな決意を聞かせていただきたいと思うんです。
 つながっていく話ですけれども、今度、成年後見法が施行されると家庭裁判所の問題というものが大きくなります。おとといも聞いたわけです。やはり圧倒的に人材が足りないんじゃないか。きょうの参考人にお聞きしましても、田山参考人は、もう足りないことはわかっている、ですから何か起こったら柔軟にどんどんふやしていかなきゃいけない。副島参考人にしては、これはもう家庭裁判所がもう一つ要るということを明確に言うんです。そのぐらいのことをしなければだめだろうと。これは、様子を見て考えるんじゃなくて、常識で考えてもわかると思うんです。
 おとといの私の質問で、効率化とOA化、きょうもそういう答えがありましたが、それによって何とかやると。どちらにしてもふやしたくないというような答えの傾向なんです。ところが、この問題に限りましてはOA化、効率化というのはできないんですよ。つまり、七十五歳のおばあさんをコンピューターに入れて一律にして一律の対応をするというような性質の話じゃなくて、これは本当に複雑な一人一人に対してマンパワーで対しなきゃいけない、そういう種類の仕事なんですね。ですから、それはちょっと答えにならないんじゃないかなというふうに考えているんです。どうでしょうか、その点。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
 私が前回御説明申し上げたことに関する御指摘というふうに伺ったわけでございますけれども、私どもといたしましては、成年後見事件もあれば他の家庭裁判所家事事件、少年事件等もあるわけでございまして、ある事件がふえてきたと仮に仮定した場合には、家庭裁判所の処理全体を見ながら、その中で効率化を図れる部分、OA化によって処理が効率化できる部分があるかといったことを見ながら、その全体の事務のあり方というものを見た上でどうするかを考えていく必要がある、こういうことでございまして、その趣旨は、成年後見制度についてOA化で簡単に処理をしようという趣旨ではないということは御理解いただきたいと考えております。
中村敦夫君 ですから、なぜこの大幅な増員計画、もう大変な混乱が来るか仕事が絶対できないかという二つの事態しか予想できない、それなのに様子を見てからという答えしかないということが非常に疑問なんです。
 この理由もいろいろな人に私は聞いて歩きました。その中にはこういう説もあるんです。最高裁労働組合との間に家裁調査官研修所の統合をめぐる綱引きがあるんだ、そうなると、簡単に増員すると労働組合の発言力が強まってしまって困る、これも原因じゃないかというような声もありました。
 しかし、もしこれが大きな原因だとしたら、これは国民にとってえらい迷惑なんです。法律の施行の問題、そして国民が便利にそれを使えるという問題とは全然別の原因でもって増員がされないということになっては大変だと思うんですが、これは解決の道はないんですか。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) ただいま増員をしない理由についてこういう指摘があるという御指摘がございましたけれども、私どもとしてはそういうことは全く考えていないというふうに申し上げておきたいと考えております。そしてその上で、解決の道はないか、こういう御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、事件の受理状況等を見ながら、そしてその事務の改善の方策を講じながら、その上での人的体制の整備について考えていきたいと考えている次第でございます。
中村敦夫君 納得は全くできないので、また永遠のなぞとして、その原因について考えていきたいというふうに思います。
 質問を終わります。
○委員長(風間昶君) 他に御発言もないようですから、四案に対する質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。

第146回参議院 法務委員会会議録第5号(平成11年11月19日)
○委員長(風間昶君) 民法の一部を改正する法律案、任意後見契約に関する法律案、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び後見登記等に関する法律案、以上四案を一括して議題といたします。
 四案につきましては、昨十八日、質疑を終局いたしております。
 これより四案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、民法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(風間昶君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、任意後見契約に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(風間昶君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(風間昶君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、後見登記等に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(風間昶君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、竹村泰子君から発言を求められておりますので、これを許します。竹村泰子君。
竹村泰子君 私は、ただいま可決されました民法の一部を改正する法律案外三案に対し、自由民主党民主党・新緑風会公明党日本共産党社会民主党・護憲連合及び自由党の各派並びに各派に属しない議員中村敦夫さん及び松田岩夫さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
  
  民法の一部を改正する法律案、任意後見契約に関する法律案、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び後見登記等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び最高裁判所は、新たな成年後見制度の実施に当たり、次の諸点について格段の努力をすべきである。
 一 新制度の実施に当たっては、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション等の改正理念が、制度の運用に十分に反映されるよう、制度の趣旨・内容について、関係者を始め広く国民に理解されるよう努めること。
 二 新制度の運用が柔軟かつ弾力的に行われるためには、家庭裁判所の役割が極めて重要なものとなっていることにかんがみ、家庭裁判所の人的・物的強化及び研修の充実など、体制の整備に努めること。
 三 新設される補助の制度に関しては、自己決定の尊重の理念に基づき、補助開始の審判、補助人・補助監督人の選任、補助人への同意権・代理権の付与及びその範囲等について、家庭裁判所調査官が本人との面談の機会を利用するなど、本人の意思を最大限に尊重して、柔軟かつ的確な運用に努めること。
 四 成年後見人等の選任に当たっては、本人との利益相反のおそれのない信頼性の高い者が選任されるよう、成年後見人等となる法人及びその代表者と本人との利害関係の有無等の確認について適正な運用をするとともに、選任後においても、家庭裁判所の監督の充実・強化に努めること。
 五 成年後見制度について、地域福祉権利擁護事業等の福祉制度と連携を密にして、より有効に機能させるとともに、後見等の事務費用の負担、福祉関係諸団体への支援、後見人等に人材を確保するための研修など、実施体制の整備に努めること。
 六 後見登記等は、戸籍記載に代わる新たな公示方法であることにかんがみ、戸籍から登記への移行を促進させるとともに、登記事務の運用に当たっては、プライバシーの保護に十分配慮すること。また、利用者の利便の向上に資するため、登記の申請数等を勘案しつつ、利用しやすい登記所の体制の整備に努めること。
 七 成年被後見人又は被保佐人であることを欠格事由とする百十六件の資格制限規定については、更なる見直しを行うこと。
 八 新たな成年後見制度について、運用状況、経済的状況、高齢者・障害者をめぐる社会状況等を勘案し、必要に応じて、見直しを行うこと。
 九 聴覚又は言語機能に障害がある者が公正証書遺言をすることを可能とした改正の趣旨・内容について、周知徹底を図るとともに、視覚障害を含む全ての障害を持つ人の立場に立った適正な運用が行われるよう公証人等の指導に努めること。
  右決議する。
 
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(風間昶君) ただいま竹村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(風間昶君) 全会一致と認めます。よって、竹村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、臼井法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。臼井法務大臣
国務大臣臼井日出男君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対応いたしてまいりたいと存じます。
○委員長(風間昶君) なお、四案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

第146回参議院 本会議会議録第7号(平成11年11月24日)
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 民法の一部を改正する法律案
 日程第二 任意後見契約に関する法律案
 日程第三 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
 日程第四 後見登記等に関する法律案
  (いずれも第百四十五回国会内閣提出衆議院送付)
 以上四案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長風間昶君。
   〔風間昶君登壇、拍手〕
○風間昶君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、民法の一部を改正する法律案は、高齢社会への対応及び障害者福祉の充実の観点から、痴呆性高齢者等の判断能力の不十分な者の保護を図るため、禁治産及び準禁治産の制度を後見及び保佐の制度に改め、軽度の精神上の障害がある者を対象とする補助の制度を創設するとともに、聴覚・言語機能障害者が手話通訳または筆談により公正証書遺言をすることができるようにすること等を内容とするものであります。
 次に、任意後見契約に関する法律案は、任意後見契約の方式、効力等に関し特別な定めをするとともに、任意後見人に対する監督に関し必要な事項を定めることにより任意後見制度を創設するものであります。
 次に、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、民法の一部を改正する法律の施行に伴い、関連する百八十一の法律の規定の整備等を行うものであります。
 最後に、後見登記等に関する法律案は、禁治産及び準禁治産の宣告を戸籍に記載する公示方法にかえて、後見、保佐及び補助並びに任意後見契約に関する新たな登記制度を創設するものであります。
 委員会におきましては、四法律案を一括して議題とし、参考人から意見を聴取するとともに、新たな法定後見制度を後見、保佐及び補助の三類型とした理由、成年被後見人等であることを欠格事由とする資格制限の見直し、成年後見制度と福祉制度との連携、家庭裁判所の体制強化等につきまして質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終わり、順次採決の結果、四法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、四法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これより四案を一括して採決いたします。
 四案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十一
  賛成           二百三十一
  反対               〇
 よって、四案は全会一致をもって可決されました。(拍手)

民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成11年12月8日法律第151号)【第45条と附則第1条】
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第四十五条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 
 目次中「第五十一条の十二」を「第五十一条の十一の二・第五十一条の十二」に改める。
 
 第二十条第一項中「各号の一」を「各号のいずれか」に改め、同項第三号中「又は保佐人」を「、保佐人又は補助人」に改め、同項第五号を次のように改める。
 五 成年被後見人又は被保佐人
 
 第三十五条を次のように改める。
 第三十五条 削除
 
 第五十一条の二第一項中「民法」の下に「(明治二十九年法律第八十九号)」を加える。
 
 第八章中第五十一条の十二の前に次の一条を加える。
 (審判の請求)
 第五十一条の十一の二 市町村長は、精神障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条、第十一条、第十二条第二項、第十四条第一項、第十六条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。
 
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、第百十一条の規定は、この法律の公布の日又は核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律の公布の日のいずれか遅い日から施行する。

 * * 
次に、平成11年法律160号による精神保健福祉法改正についてみてみます。
中央省庁等改革基本法によって、省庁の機構などの改革がなされました。これに伴い、中央省庁等改革関係法施行法が制定され、
それによって、厚生省や審議会などに関係する精神保健福祉法の条文が改正されました。
ここでは、中央省庁改革法に関する議論は省略し、ごくおおまかな流れのみをアップしました。

中央省庁等改革関係法施行法案【第617条、771条、附則第1条】
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第六百十七条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 目次中「第五十一条の十四」を「第五十一条の十五」に改める。
 
 本則(第二十八条の二第二項及び第二十九条の六第二項を除く。)中「厚生大臣」を「厚生労働大臣」に、「厚生省令」を「厚生労働省令」に改める。
 
 第十八条第三項及び第十九条の二第三項中「公衆衛生審議会」を「医道審議会」に改める。
 
 第二十八条の二第二項を削る。
 
 第二十九条の二の二第三項中「定める」を「あらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める」に改める。
 
 第二十九条の六第二項中「厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聴いて」を「厚生労働大臣の」に改める。
 
 第三十六条第二項及び第三項並びに第三十七条第三項中「公衆衛生審議会」を「社会保障審議会」に改める。
 
 第八章中第五十一条の十四の次に次の一条を加える。
  (権限の委任)
 第五十一条の十五 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
 2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
 
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正)
第七百七十一条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成十一年法律第六十五号)の一部を次のように改正する。
 第二条中「厚生省令」を「厚生労働省令」に改める。
 
附則
(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 【略】

第146回衆議院 行政改革に関する特別委員会会議録第2号(平成11年11月17日)
○西田委員長 【略】
 内閣提出、中央省庁等改革関係法施行法案、【略】を一括して議題といたします。
 それでは、趣旨の説明をお願いいたします。続総務庁長官。
○続国務大臣 ただいま議題となりました中央省庁等改革関係法施行法案並びに国立公文書館法の一部を改正する法律案など五十九件の独立行政法人個別法案及び独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律案、すなわち省庁改革施行関連法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 さきの国会において、中央省庁等改革基本法にのっとり、内閣機能の強化、新たな府省の編成、独立行政法人制度の創設等を行うための内閣法の一部を改正する法律等十七件の法律が成立したところでありますが、このうち、内閣法の一部を改正する法律及び新たな府省の設置法等の中央省庁等改革関係法を施行するため、その施行期日を定めるとともに、その施行に伴い、関係法律の整備等を行う必要があります。
 また、独立行政法人通則法等を受けて、具体的に独立行政法人を設立し、国の事務事業を行わせるため、同法において定められている事項を実際に適用する個々の独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めるとともに、これらの独立行政法人の業務の実施の円滑化等を図るための関係法律の整備等を行う必要があります。
 以上が、省庁改革施行関連法案を提案した理由であります。
 次に、法律案の内容の概要について、順次御説明申し上げます。
 初めに、中央省庁等改革関係法施行法案についてであります。
 第一に、内閣法の一部を改正する法律の施行期日を、平成十三年一月六日とすることとしております。これにより、新たな府省は、平成十三年一月六日に発足することとなります。
 ただし、金融庁を設置するための規定の施行期日は、平成十二年七月一日とすることとしております。
 第二に、中央省庁等改革関係法の施行に伴う関係法律の整備等として、新たな府省の事務の分担に従い、関係法律中の大臣名、府省名、府省令名等を改め、審議会等の整理合理化に伴う審議会名の変更等を行い、並びに地方支分部局への大臣等の権限の委任に係る規定の整備等を行うこととしております。なお、あわせて、関係事務の終了等により実効性を喪失し、不要となった法令を廃止することとしております。
【略】
 以上が、省庁改革施行関連法案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。

第146回衆議院 行政改革に関する特別委員会会議録第5号(平成11年11月24日)
○西田委員長 これより各案を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。
○古賀(一)委員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となっております中央省庁等改革関係法施行法案、国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係五十九法案及び独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律案、計六十一本の法律案に対しまして、反対討論を行います。
【略】
○西田委員長 次に、春名直章君。
○春名委員 私は、日本共産党を代表して、中央省庁等改革関係法施行法案及び独立行政法人個別法に係る五十九法案、独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律案の三案に反対討論を行います。
【略】
○西田委員長 これにて討論は終局いたしました。
○西田委員長 これより採決に入ります。
 まず、内閣提出、中央省庁等改革関係法施行法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○西田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

第146回衆議院 本会議会議録第6号(平成11年11月25日)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第四、中央省庁等改革関係法施行法案、日程第五ないし第六十三に掲げました国立公文書館法の一部を改正する法律案外五十八件の個別の独立行政法人関係法律案、日程第六十四、独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律案、右六十一案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。行政改革に関する特別委員長西田司君。
    〔西田司君登壇〕
○西田司君 ただいま議題となりました、中央省庁等改革関係法施行法案並びに国立公文書館法の一部を改正する法律案外五十八件の独立行政法人個別法案及び独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、行政改革に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、中央省庁等改革関係法施行法案は、中央省庁等改革の一環として、第百四十五回国会において成立した内閣法の一部を改正する法律及び新たな府省の設置法等の中央省庁等改革関係法を施行するため、その施行期日を定めるとともに、その施行に伴う関係法律の整備等を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、内閣法の一部を改正する法律の施行期日を平成十三年一月六日とし、金融庁を設置するための規定の施行期日は平成十二年七月一日とすること、
 第二に、中央省庁等改革関係法の施行に伴う関係法律の整備等として、新たな府省の事務の分担に従い関係法律中の大臣名、府省名、府省令名等を改め、審議会等の整理合理化に伴う審議会名の変更等を行い、並びに地方支分部局への大臣等の権限の委任に係る規定の整備等を行うこと、
 第三に、関係事務の終了等により実効性を喪失し、不要となった法令を廃止すること
といたしております。
【略】
 各案は、いずれも去る十一月八日本院に提出され、十一日本委員会に付託されました。
 本委員会におきましては、同月十七日続総務庁長官から提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑に入り、昨二十四日まで質疑を行い、同日質疑終了後、討論、採決の結果、各案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、国立公文書館法の一部を改正する法律案外五十八件の独立行政法人個別法案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 六十一案を一括して採決いたします。
 六十一案の委員長の報告はいずれも可決であります。六十一案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、六十一案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

第146回参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会会議録第2号(平成11年12月2日)
○委員長(吉川芳男君) 中央省庁等改革関係法施行法案、【略】各案を一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。続総務庁長官。
国務大臣(続訓弘君) ただいま議題となりました中央省庁等改革関係法施行法案並びに国立公文書館法の一部を改正する法律案など五十九件の独立行政法人個別法案及び独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律案、すなわち省庁改革施行関連法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 さきの国会において、中央省庁等改革基本法にのっとり、内閣機能の強化、新たな府省の編成、独立行政法人制度の創設等を行うための内閣法の一部を改正する法律等十七件の法律が成立したところでありますが、このうち内閣法の一部を改正する法律及び新たな府省の設置法等の中央省庁等改革関係法を施行するため、その施行期日を定めるとともに、その施行に伴い、関係法律の整備等を行う必要があります。
 また、独立行政法人通則法等を受けて、具体的に独立行政法人を設立し、国の事務事業を行わせるため、同法において定められている事項を実際に適用する個々の独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めるとともに、これらの独立行政法人の業務の実施の円滑化等を図るための関係法律の整備等を行う必要があります。
 以上が省庁改革施行関連法案を提案した理由であります。
 次に、法律案の内容の概要について、順次御説明申し上げます。
 初めに、中央省庁等改革関係法施行法案についてであります。
 第一に、内閣法の一部を改正する法律の施行期日を、平成十三年一月六日とすることとしております。これにより、新たな府省は、平成十三年一月六日に発足することとなります。
 ただし、金融庁を設置するための規定の施行期日は、平成十二年七月一日とすることとしております。
 第二に、中央省庁等改革関係法の施行に伴う関係法律の整備等として、新たな府省の事務の分担に従い、関係法律中の大臣名、府省名、府省令名等を改め、審議会等の整理合理化に伴う審議会名の変更等を行い、並びに地方支分部局への大臣等の権限の委任に係る規定の整備等を行うこととしております。なお、あわせて関係事務の終了等により実効性を喪失し、不要となった法令を廃止することとしております。
【略】
 以上が省庁改革施行関連法案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いいたします。

第146回参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会会議録第7号(平成11年12月13日)
○委員長(吉川芳男君) 【略】
 これより各案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○佐藤泰介君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました中央省庁等改革関係法施行法案、国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係五十九法律案並びに独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律案に対し、反対討論を行います。
【略】
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、約千三百本の関係法律の整備等を内容とする中央省庁等改革関係法施行法案及び国立公文書館法の一部を改正する法律案など五十九件の独立行政法人個別法案並びに独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律案、すなわち省庁改革施行関連法案に対する反対討論を行います。
【略】
○委員長(吉川芳男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
【略】
○委員長(吉川芳男君) それでは、これより順次各案の採決に入ります。
 まず、中央省庁等改革関係法施行法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(吉川芳男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

第146回参議院 本会議会議録第14号(平成11年12月14日)
○議長(斎藤十朗君) 【略】
 日程第一 中央省庁等改革関係法施行法案
 日程第二ないし第六〇の国立公文書館法の一部を改正する法律案外五十八案の個別の独立行政法人関係法律案
 日程第六一 独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上六十一案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。行財政改革・税制等に関する特別委員長吉川芳男君。
   〔吉川芳男君登壇、拍手〕
吉川芳男君 ただいま議題となりました省庁改革施行関連六十一法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、中央省庁等改革関係法施行法案は、さきの国会で成立した新たな府省の設置法などの中央省庁等改革関係法を施行するため、内閣法の一部を改正する法律の施行期日などを定めるとともに、関係法律の整備等を行おうとするものであります。
【略】
 委員会におきましては、六十一法律案を一括して議題とし質疑を行ったほか、特に独立行政法人個別法関係五十九法律案につきましては、再編後の府省に対応した三グループに分けて質疑を行いました。
 質疑の主な内容は、円滑な新省庁体制への移行方策、独立行政法人制度創設の目的と効果、独立行政法人化対象事務・事業の選定基準、国立青年の家など四独立行政法人を非公務員型とした根拠、政策評価制度導入の意義と評価方法、国立大学の独立行政法人化の検討状況などでありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して佐藤理事より反対、日本共産党を代表して吉川委員より反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終わり、順次採決の結果、省庁改革施行関連六十一法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係五十九法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これより六十一案を一括して採決いたします。
 六十一案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十五  
  賛成            百五十二  
  反対             八十三  
 よって、六十一案は可決されました。(拍手)

中央省庁等改革関係法施行法(平成11年12月22日法律第160号)【第617条、771条、附則第1条】
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第六百十七条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 目次中「第五十一条の十四」を「第五十一条の十五」に改める。
 
 本則(第二十八条の二第二項及び第二十九条の六第二項を除く。)中「厚生大臣」を「厚生労働大臣」に、「厚生省令」を「厚生労働省令」に改める。
 
 第十八条第三項及び第十九条の二第三項中「公衆衛生審議会」を「医道審議会」に改める。
 
 第二十八条の二第二項を削る。
 
 第二十九条の二の二第三項中「定める」を「あらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める」に改める。
 
 第二十九条の六第二項中「厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聴いて」を「厚生労働大臣の」に改める。
 
 第三十六条第二項及び第三項並びに第三十七条第三項中「公衆衛生審議会」を「社会保障審議会」に改める。
 
 第八章中第五十一条の十四の次に次の一条を加える。
  (権限の委任)
 第五十一条の十五 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
 2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
 
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正)
第七百七十一条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成十一年法律第六十五号)の一部を次のように改正する。
 第二条中「厚生省令」を「厚生労働省令」に改める。
 
附則
(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 【略】