心神喪失者等医療観察法の条文・審議(その4)

前回(id:kokekokko:20051226)のつづき。
心神喪失者等医療観察法制定についての国会審議です。
ここで、民主党が提出した対案をみてみます。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案(第154回国会平成14年5月22日水島広子君外5名提出 衆法第20号)
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 
目次中「地方精神保健福祉審議会」の下に「、判定委員会」を加え、「指定医の診察及び」を削る。
 
「第三章 地方精神保健福祉審議会及び精神医療審査会」を「第三章 地方精神保健福祉審議会、判定委員会及び精神医療審査会」に改める。
 
第十一条の次に次の四条を加える。
 (判定委員会)
 第十一条の二 第二十八条の二第一項、第二十九条の二の二第三項(第二十九条の三の二第四項において準用する場合を含む。)、第二十九条の三の二第二項及び第二十九条の四第二項の規定による判定を行わせるため、都道府県に、判定委員会を置く。
 (委員)
 第十一条の三 判定委員会の委員は、第十八条第一項に規定する精神保健指定医のうちから、都道府県知事が任命する。
 (判定の案件の取扱い)
 第十一条の四 判定委員会は、委員二人をもつて構成する合議体で、判定の案件を取り扱う。
2 合議体を構成する委員は、判定委員会がこれを定める。
3 合議体による判定は、合議体を構成する委員の意見の一致したところによる。
 (政令への委任)
 第十一条の五 この法律で定めるもののほか、判定委員会に関し必要な事項は、政令で定める。
 第十九条の四第一項中「第二十二条の四第三項」の下に「、第二十九条の三の三」を加え、同条第二項第一号中「第二十九条第一項及び」を削り、同項中第三号を削り、第四号を第三号とし、第五号から第八号までを一号ずつ繰り上げる。
 
第十九条の八の次に次の一条を加える。
 
(精神科集中治療センター)
第十九条の八の二 都道府県知事は、国若しくは都道府県が設置した精神病院又は指定病院であつて厚生労働大臣の定める基準に適合するものの全部又は一部を、その設置者の同意を得て、精神障害者に対する高度の医療及び保護を提供する医療施設(以下「精神科集中治療センター」という。)として指定する。
 
第十九条の九第一項中「が、前条」を「又は精神科集中治療センターが、第十九条の八若しくは前条」に改め、同条第三項中「指定病院」の下に「又は精神科集中治療センター」を加える。
 
「第三節 指定医の診察及び措置入院」を「第三節 措置入院」に改める。
 
第二十三条の見出し中「診察」を「判定」に改め、同条第一項中「指定医の診察」を「判定委員会の判定」に改める。
 
第二十七条の見出し中「指定医の診察等」を「判定の請求」に改め、同条第一項中「ついて」の下に「第二十九条の五の二第一項に規定する精神保健福祉調査員による」を加え、「その指定する指定医をして診察をさせなければ」を「判定委員会に対し、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあるかどうかの判定を求めなければ」に改め、同条第二項中「その指定する指定医をして診察をさせる」を「判定委員会に対し、前項の判定を求める」に改め、同条第三項から第六項までを削る。
 
第二十八条の見出しを「(判定委員会による診察等)」に改め、同条第二項中「前条第一項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項中「都道府県知事は、前条第一項」を「判定委員会は、前項」に、「させるに当つて」を「するに当たつて」に、「当つている」を「当たつている」に改め、同項を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。
 判定委員会が前条の規定により判定を求められたときは、当該判定の案件を取り扱う判定委員会の各委員は、当該判定を求められた者を診察しなければならない。
 
第二十八条に次の四項を加える。
 4 都道府県知事は、第一項の規定による診察が行われる場合には、当該職員を立ち会わせなければならない。
 5 判定委員会の委員及び前項の当該職員は、第一項又は前項の職務を行うに当たつて必要な限度においてその者の居住する場所へ立ち入ることができる。
 6 前項の規定によつてその者の居住する場所へ立ち入る場合には、判定委員会の委員及び当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があるときはこれを提示しなければならない。
 7 第五項の立入りの権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
 
第二十八条の二の見出しを「(判定委員会の判定)」に改め、同条中「第二十七条第一項又は第二項の規定により診察をした指定医」を「判定委員会は、前条第一項の規定により診察をしたとき」に、「診察をした者」を「判定を求められた者」に、「の判定を行わなければ」を「並びにそのおそれがあると認めた場合におけるその者の症状が重く高度の医療及び保護が必要であるかどうかの判定を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければ」に改め、同条に次の一項を加える。
 2 判定委員会は、前項の判定を行うに当たつて必要があると認めるときは、判定を求められた者の過去の病歴、現在の病状、治療状況、過去の自身を傷つけ又は他人に害を及ぼす行為の有無及び内容、現在の生活環境等判定のために必要な事項について、第二十九条の五の二第一項に規定する精神保健福祉調査員に調査を行わせることができる。
 
第二十九条第一項中「第二十七条の規定による診察の結果、その診察」を「前条第一項の規定により通知された判定委員会の判定の結果に基づき、その判定」に、「且つ」を「かつ」に改め、「指定病院」の下に「(精神科集中治療センターを含む。第二十九条の六第一項及び第二十九条の七において同じ。)」を加え、同条第二項を次のように改める。
 2 前項の規定による入院措置を採る場合において、都道府県知事が、前条第一項の規定により通知された判定委員会の判定の結果に基づき、当該精神障害者についてその症状が重く高度の医療及び保護が必要であると認めたときは、その者を入院させる施設は、精神科集中治療センターとする。
 
第二十九条第四項中「及び指定病院」の下に「(精神科集中治療センターを含む。)」を、「第十九条の八」の下に「又は第十九条の八の二」を、「受けている指定病院」の下に「又は精神科集中治療センター」を加える。
 
第二十九条の二第一項中「、第二十八条」を削り、「前条第一項に規定する精神病院又は指定病院」を「精神科集中治療センター」に改め、同条第四項中「第二十七条第四項から第六項」を「第二十八条第五項から第七項」に、「第二十八条の二」を「第二十八条の二第一項」に、「診察」を「指定医の診察」に改める。
 
第二十九条の二の二第三項中「当該精神障害者を診察した指定医が必要と認めたとき」を「判定委員会が必要と認めたとき(前条第一項の規定による入院措置に係る移送の場合にあつては、当該精神障害者を診察した指定医が必要と認めたとき)」に改める。
 
第二十九条の三中「第二十九条第一項に規定する精神病院又は指定病院」を「精神科集中治療センター」に改め、同条の次に次の二条を加える。
 (精神科集中治療センターからの移送)
 第二十九条の三の二 都道府県知事は、第二十九条第一項の規定により精神科集中治療センターに入院した者が、精神科集中治療センターにおける入院を継続する必要がないと認められるに至つたときは、直ちに、その者を精神科集中治療センター以外の国若しくは都道府県が設置した精神病院又は指定病院へ移送しなければならない。この場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その者を入院させている精神科集中治療センターの管理者の意見を聴くものとする。
 2 前項の場合において都道府県知事がその者を移送するには、その者が精神科集中治療センターにおける入院を継続する必要がないと認められるかどうかに関し判定委員会の判定を求めた結果、判定委員会がその必要がないと判定した場合又は判定委員会の委員の一人がその必要がないと認めた場合でなければならない。
 3 判定委員会が前項の規定により判定を求められたときは、当該判定の案件を取り扱う判定委員会の各委員は、次条の規定による診察がなされている場合を除き、当該判定を求められた者を診察しなければならない。
 4 第二十九条の二の二第二項及び第三項の規定は、第一項の規定による移送について準用する。
 第二十九条の三の三 精神科集中治療センターの管理者は、指定医による診察の結果、第二十九条第一項の規定により入院した者が、精神科集中治療センターにおける入院を継続する必要がないと認められるに至つたときは、直ちに、その旨、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。
 
第二十九条の四第一項中「指定病院」の下に「(精神科集中治療センターを含む。次条、第三十八条の二第一項及び第四十一条において同じ。)」を加え、「聞く」を「聴く」に改め、同条第二項中「ことについて、その指定する指定医による診察の結果又は次条の規定による診察の結果に基づく」を「かどうかに関し判定委員会の判定を求めた結果、判定委員会がそのおそれがないと判定した場合又は判定委員会の委員の一人がそのおそれがないと認めた」に改め、同条に次の一項を加える。
 3 第二十九条の三の二第三項の規定は、前項の規定により判定を求められた場合について準用する。
 
第二十九条の五の次に次の一条を加える。
 (精神保健福祉調査員)
 第二十九条の五の二 第二十七条第一項及び第二十八条の二第二項に規定する調査に従事させるため、都道府県に精神保健福祉調査員を置く。
2 精神保健福祉調査員は、精神保健福祉士のうちから、都道府県知事が任命する。ただし、特に必要があるときは、精神障害者の保健及び福祉に関し学識経験を有する精神保健福祉士以外の者を任命することができる。
 
第三十四条第四項に後段として次のように加える。
 この場合において、同項中「判定委員会が必要と認めたとき(前条第一項の規定による入院措置に係る移送の場合にあつては、当該精神障害者を診察した指定医が必要と認めたとき)」とあるのは、「当該精神障害者を診察した指定医が必要と認めたとき」と読み替えるものとする。
 
第三十八条の三の次に次の一条を加える。
 (定期の報告の判定委員会への通知)
 第三十八条の三の二 都道府県知事は、前条第一項の規定により精神医療審査会に通知する事項(第三十八条の二第一項の規定による報告に係るものに限る。)を、判定委員会に通知しなければならない。
 
第三十八条の六第三項中「第二十七条第五項及び第六項」を「第二十八条第六項及び第七項」に改める。
 
第四十三条第二項中「及び第二十七条の規定を除く外」を「、第二十七条並びに第二十八条第一項及び第四項から第七項までの規定を除くほか」に改める。
 
第四十七条第一項中「次条第一項」を「第四十八条第一項」に改め、同条の次に次の一条を加える。
 (連携を図るための協力体制の整備)
 第四十七条の二 都道府県等は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、医師、精神保健福祉士保健師、看護師、作業療法士その他精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互の連携が図られるよう、その協力体制の整備に努めなければならない。
 
第五十条の二の四第二項、第五十条の三の三第二項及び第五十一条の九第二項中「第二十七条第五項及び第六項」を「第二十八条第六項及び第七項」に、「同条第五項」を「同条第六項」に、「指定医」を「判定委員会の委員」に、「同条第六項」を「同条第七項」に、「第四項」を「第五項」に改める。
 
第五十一条の十四第一項中「第十九条の八」の下に「、第十九条の八の二」を、「含む。)」の下に「、第二十九条の五の二」を加える。
 
第五十三条第一項中「臨時委員」の下に「、判定委員会の委員」を、「精神医療審査会の委員」の下に「、精神保健福祉調査員」を加える。
 
第五十五条第一号中「第二十七条第一項又は第二項」を「第二十八条第一項」に、「同条第四項」を「同条第五項」に改め、同条第二号中「第二十七条第四項」を「第二十八条第五項」に改める。
 
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 
(経過措置)
第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前にこの法律による改正前の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「旧法」という。)第二十三条から第二十六条の二までの規定による申請、通報又は届出があった者及び施行日前に旧法第二十七条第二項の規定による診察を受けた者に係る入院措置の手続については、なお従前の例による。
 
第三条 前条に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
 
地方自治法の一部改正)
第四条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
 別表第一精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の項中「第十九条の八」の下に「、第十九条の八の二」を、「含む。)」の下に「、第二十九条の五の二」を加える。

裁判所法の一部を改正する法律案(第154回国会平成14年5月22日水島広子君外5名提出 衆法第18号)
裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
 
第二編中第十四条の四を第十四条の五とし、第十四条の三を第十四条の四とし、第十四条の二を第十四条の三とし、第十四条の次に次の一条を加える。
 第十四条の二(司法精神鑑定センター) 刑事事件における被告人の心神に関する鑑定を行う鑑定人の候補者の選定並びに裁判官その他の裁判所の職員の当該鑑定に関する研究及び修養に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に司法精神鑑定センターを置く。
 
第四十一条第二項中「在つた」を「あつた」に、「及至第六号」を「から第六号まで」に改め、「司法研修所教官」の下に「、司法精神鑑定センター教官」を加える。
 
第四十二条第一項第五号及び第四十四条第一項第四号中「司法研修所教官」の下に「、司法精神鑑定センター教官」を加える。
 
第五十六条の七を第五十六条の九とし、第五十六条の二から第五十六条の六までを二条ずつ繰り下げ、第五十六条の次に次の二条を加える。
 第五十六条の二(司法精神鑑定センター教官) 最高裁判所に司法精神鑑定センター教官を置く。
 司法精神鑑定センター教官は、上司の指揮を受けて、司法精神鑑定センターにおける研究及び修養の指導をつかさどる。
 第五十六条の三(司法精神鑑定センター長) 最高裁判所に司法精神鑑定センター長を置き、司法精神鑑定センター教官の中から、最高裁判所が、これを補する。
 司法精神鑑定センター長は、最高裁判所長官の監督を受けて、司法精神鑑定センターの事務を掌理し、司法精神鑑定センターの職員を指揮監督する。
 
附則第三項中「以て」を「もつて」に改め、「司法研修所教官」の下に「、司法精神鑑定センター教官」を加える。
 
附則
(施行期日)
1 この法律は、平成十五年四月一日から施行する。
 
検察庁法の一部改正)
2 検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
 第十九条第一項第三号中「司法研修所教官」の下に「、司法精神鑑定センター教官」を加え、「在つた」を「あつた」に改める。
 
検察審査会法の一部改正)
3 検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。
 第六条第六号中「司法研修所教官」の下に「、司法精神鑑定センター教官」を加える。
 
(弁護士法の一部改正)
4 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
 第五条第二号中「司法研修所」の下に「、司法精神鑑定センター」を加え、「在つた」を「あつた」に改める。

検察庁法の一部を改正する法律案(第154回国会平成14年5月22日水島広子君外5名提出 衆法第19号)
検察庁法の一部を改正する法律案
検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
 
第一条に次の一項を加える。
 検察庁に、政令で定めるところにより、検察官その他の検察庁の職員の職務の遂行に資するために必要な機関を附置することができる。
 
附則
 この法律は、平成十五年四月一日から施行する。

この法案の内容については、要綱にて整理されています。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案要綱
第一 改正の趣旨
  最近の精神障害者の医療及び保護並びに保健及び福祉をめぐる状況にかんがみ、措置入院制度の適正な実施を確保するため、措置入院が必要であるかどうか等に関し判定を行うための判定委員会の設置、当該判定に資するための調査等を行う精神保健福祉調査員の設置並びに精神障害者に対する高度の医療及び保護を提供する精神科集中治療センターの指定について規定するとともに、精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互の連携が図られるようその協力体制の整備について規定するものとすること。
 
第二 判定委員会の設置等
 一 判定委員会の設置
  1 第五の三の1、四の3及び六の2並びに第六の一の判定を行わせるため、都道府県に、判定委員会を置くものとすること。(第十一条の二関係)
  2 判定委員会の委員は、精神保健指定医のうちから、都道府県知事が任命するものとすること。(第十一条の三関係)
 二 判定委員会における判定の案件の取扱い(第十一条の四関係)
  1 判定委員会は、委員二人をもって構成する合議体で、判定の案件を取り扱うものとすること。
  2 合議体を構成する委員は、判定委員会がこれを定めるものとすること。
  3 合議体による判定は、合議体を構成する委員の意見の一致したところによるものとすること。
 
第三 精神科集中治療センターの指定
 一 都道府県知事は、国若しくは都道府県が設置した精神病院又は指定病院であって厚生労働大臣の定める基準に適合するものの全部又は一部を、その設置者の同意を得て、精神障害者に対する高度の医療及び保護を提供する医療施設(以下「精神科集中治療センター」という。)として指定するものとすること。(第十九条の八の二関係)
 二 都道府県知事は、精神科集中治療センターが一の基準に適合しなくなったとき、又はその運営方法がその目的遂行のために不適当であると認めたときは、その指定を取り消すことができるものとすること。(第十九条の九関係)
 
第四 精神保健福祉調査員の設置
 一 第五の一の1及び三の2の調査に従事させるため、都道府県に精神保健福祉調査員を置くものとすること。(第二十九条の五の二第一項関係)
 二 精神保健福祉調査員は、精神保健福祉士のうちから、都道府県知事が任命するものとすること。ただし、特に必要があるときは、精神障害者の保健及び福祉に関し学識経験を有する精神保健福祉士以外の者を任命することができるものとすること。(第二十九条の五の二第二項関係
 
第五 措置入院の決定の手続等の見直し
 一 申請等に基づき行われる判定の請求(第二十七条関係)
  1 都道府県知事は、第二十三条から第二十六条の二までの規定による申請、通報又は届出のあった者について精神保健福祉調査員による調査の上必要があると認めるときは、判定委員会に対し、判定を求めなければならないものとすること。
  2 都道府県知事は、自傷他害のおそれがあることが明らかである者については、1の申請等がない場合においても、判定委員会に対し、判定を求めることができるものとすること。
 二 判定委員会による診察(第二十八条関係)
   判定委員会が一により判定を求められたときは、当該判定の案件を取り扱う判定委員会の各委員は、当該判定を求められた者を診察しなければならないものとすること。
 三 判定委員会の判定(第二十八条の二関係)
  1 判定委員会は、二により診察をしたときは、厚生労働大臣の定める基準に従い、当該判定を求められた者が精神障害者であり、かつ、自傷他害のおそれがあるかどうか並びにそのおそれがあると認めた場合におけるその者の症状が重く高度の医療及び保護が必要であるかどうかの判定を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければならないものとすること。
  2 判定委員会は、1の判定を行うに当たって必要があると認めるときは、判定を求められた者の過去の病歴、現在の病状、治療状況、過去の自傷他害行為の有無及び内容、現在の生活環境等判定のために必要な事項について、精神保健福祉調査員に調査を行わせることができるものとすること。
 四 都道府県知事による入院措置
  1 都道府県知事は、三の1の判定委員会の判定の結果に基づき、措置入院の決定を行うものとすること。(第二十九条第一項関係)
  2 1による入院措置を採る場合において、都道府県知事が、三の1の判定委員会の判定の結果に基づき、当該精神障害者についてその症状が重く高度の医療及び保護が必要であると認めたときは、その者を入院させる施設は、精神科集中治療センターとするものとすること。(第二十九条第二項関係
  3 都道府県知事は、1による入院措置を採ろうとする精神障害者の当該入院措置に係る病院への移送に係る行動の制限については、判定委員会の判定の結果に基づいて行うものとすること。(第二十九条の二の二第三項関係)
 五 緊急措置入院に係る病院(第二十九条の二関係)
   第二十九条の二の規定による緊急措置入院の決定を受けた者を入院させる施設は、精神科集中治療センターとするものとすること。
 六 精神科集中治療センターからの移送(第二十九条の三の二及び第二十九条の三の三関係)
  1 都道府県知事は、四の1及び2により精神科集中治療センターに入院した者が、精神科集中治療センターにおける入院を継続する必要がないと認められるに至ったときは、直ちに、その者を精神科集中治療センター以外の国若しくは都道府県が設置した精神病院又は指定病院へ移送しなければならないものとすること。この場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その者を入院させている精神科集中治療センターの管理者の意見を聴くものすること。
  2 1の場合において都道府県知事がその者を移送するには、その者が精神科集中治療センターにおける入院を継続する必要がないと認められるかどうかに関し判定委員会の判定を求めた結果、判定委員会がその必要がないと判定した場合又は判定委員会の委員の一人がその必要がないと認めた場合でなければならないものとすること。
  3 判定委員会が2により判定を求められたときは、当該判定の案件を取り扱う判定委員会の各委員は、4による診察がなされている場合を除き、当該判定を求められた者を診察しなければならないものとすること。
  4 精神科集中治療センターの管理者は、指定医による診察の結果、四の1及び2により入院した者が、精神科集中治療センターにおける入院を継続する必要がないと認められるに至ったときは、直ちに、その旨、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならないものとすること。
 
第六 入院措置の解除の手続の見直し
 一 都道府県知事が措置入院者を退院させるには、その者が自傷他害のおそれがないと認められるかどうかに関し判定委員会の判定を求めた結果、判定委員会がそのおそれがないと判定した場合又は判定委員会の委員の一人がそのおそれがないと認めた場合でなければならないものとすること。(第二十九条の四第二項関係
 二 判定委員会が一により判定を求められたときは、当該判定の案件を取り扱う判定委員会の各委員は、第二十九条の五の規定による診察がなされている場合を除き、当該判定を求められた者を診察しなければならないものとすること。(第二十九条の四第三項関係)
 
第七 定期の報告の判定委員会への通知
  都道府県知事は、第三十八条の三第一項の規定により措置入院者に関し精神医療審査会に通知する事項を、判定委員会に通知しなければならないものとすること。(第三十八条の三の二関係)
 
第八 連携を図るための協力体制の整備
  都道府県等は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、医師、精神保健福祉士保健師、看護師、作業療法士その他精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互の連携が図られるよう、その協力体制の整備に努めなければならないものとすること。(第四十七条の二関係)
第九 施行期日等
 一 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。(附則第一条関係)
 二 所要の経過措置を設けるとともに、所要の規定の整備を行うものとすること。

裁判所法の一部を改正する法律案要綱
一 司法精神鑑定センターの設置
  刑事事件における被告人の心神に関する鑑定を行う鑑定人の候補者の選定並びに裁判官その他の裁判所の職員の当該鑑定に関する研究及び修養に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に司法精神鑑定センターを置くこと。(第十四条の二関係)
 
二 司法精神鑑定センター教官
 1 最高裁判所に司法精神鑑定センター教官を置くこと。(第五十六条の二第一項関係)
 2 司法精神鑑定センター教官は、上司の指揮を受けて、司法精神鑑定センターにおける研究及び修養の指導をつかさどること。(第五十六条の二第二項関係
 
三 司法精神鑑定センター長
 1 最高裁判所に司法精神鑑定センター長を置き、司法精神鑑定センター教官の中から、最高裁判所が、これを補すること。(第五十六条の三第一項関係)
 2 司法精神鑑定センター長は、最高裁判所長官の監督を受けて、司法精神鑑定センターの事務を掌理し、司法精神鑑定センターの職員を指揮監督すること。(第五十六条の三第二項関係
 
四 その他
 1 施行期日
   この法律は、平成十五年四月一日から施行すること。(附則第一項関係)
 2 その他
   その他所要の規定を整備すること。