心神喪失者等医療観察法の条文・審議(その14)

前回(id:kokekokko:20060105)のつづき。
ひきつづき、連合審査会での質疑をみてみます。
【水島委員質疑】

第154回衆議院 法務委員会厚生労働委員会連合審査会会議録第1号(同)
○園田委員長 水島広子君。
○水島委員 民主党水島広子でございます。
 まず、冒頭に一つお願いしておきたいんですけれども、午後の委員会になりましたら出席されている議員の数は非常に多くなったようですけれども、それとともに何か私語の量もふえてきたようでございまして、一番後ろの席で聞いておりましたところ、なかなか審議が聞き取りにくいところがございました。非常に重要な審議でありますし、私も本当に答弁を一言一言聞き漏らさないようにしていきたいと思っておりますので、ぜひ委員の皆様には御協力していただけますようにお願い申し上げます。
 さて、本日もちょっと冒頭に確認をさせていただきたいことがございます。
 まず、法務大臣厚生労働大臣、両大臣にお伺いしたいんですけれども、もしも、きょうでもきのうでもいいんですけれども、池田小学校と同じような非常に残虐な事件が起こったとして、そしてメディアが、どうもその犯人は精神障害者手帳を持っていたとか、過去に措置入院歴があったようだとか、そのようなことを報道して大々的にやっていた場合に、談話を求められたとしましたら、両大臣はそれぞれどのような談話をお出しになりますでしょうか。法務大臣厚生労働大臣、それぞれお答えいただきたいと思います。
○森山国務大臣 御質問は仮定の事柄にかかわることである上に、御指摘のような痛ましい事件が再び起きることがないようにと願っておりますので、御質問に対する答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、あくまで一般論として申し上げれば、何らかの事件が発生した場合に、法務大臣として捜査中の具体的な事件についての所見を申し上げることは適切でないと考えておりまして、事件に対するコメントは差し控えると思います。
○坂口国務大臣 あってはならないことでございますけれども、もし小学校でそういうことが起これば、それは文部科学大臣の担当でございますから、私が談話を出すということはないというふうに思いますけれども、もしそうしたことを聞かれるということがあれば、やはり再びこういうことが起こらないようにするためにどうしたらいいかということを考えなければならないというのが、私の、もしあるとするならば、そういう答弁だろうと思っております。
○水島委員 坂口大臣に重ねてお伺いしたいんですけれども、そのコメントを求められたときに、どうもこの犯人は精神科の患者みたいなんですけれどもと、そのようなことを言われましたときにはどのようにお答えになりますか。
○坂口国務大臣 よく調べさせていただいて対応させていただきますと言う以外にないと思います。
○水島委員 極めて慎重な御答弁を両大臣からいただきましたが、昨年の小泉首相の出されたコメントとは随分違っているなと改めて感じたところでございます。本当でしたら、そのような精神障害者に焦点を当てさせないように、それを軌道修正するようなコメントをいただければなおよいと思いますけれども、昨年の小泉首相の事件の翌日に出されたコメントと、今の両大臣それぞれのお答えを伺っておりまして、先日、法務委員会で両大臣に小泉首相の対応についての批判的な御答弁を求めたところお答えいただけなかったわけでございますけれども、今のお答えを伺いまして、やはり昨年の小泉首相の事件直後の言動に関して、あれは正しくない対応であったのだということを両大臣御認識になっているということを確認させていただいたと思います。
 さて、それではこの法案そのものの質疑に入らせていただきたいと思いますけれども、前回、私が法務委員会で質問をいたしましたことに対していろいろと御答弁をいただいたわけですけれども、どうも答弁が、こちらが求めていたものとは違うような方向に何度となくそれてしまいまして、私も改めて速記録を読み返してみましたけれども、何をお答えになっているのかよくわからないような箇所が幾つかございましたので、本日はまずその確認から入らせていただきたいと思います。そして、前回、さんざん審議をしたことでございますので、これにつきましては大臣から総括した御答弁をいただきたいと思います。
 まず伺いたいのは、政府が目的としていることを達成するために、現行の措置入院制度の改善ではなく、新法の立法でなければ対応できない点は何かということを厚生労働大臣から総括してポイントを絞って御答弁いただきたいと思います。
○坂口国務大臣 心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対しましては、必要な医療を確保し、その病状の改善とこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、本人の社会復帰を図る、このことが重要であるというふうに考えております。
 心身喪失等の状態で重大な他害行為をした者を現行の精神保健福祉法措置入院制度により処遇することにつきましては、一般の精神障害者と同様のスタッフ、施設のもとで処遇することになりますため、専門的な治療が困難となり、また、他の患者にも悪影響を及ぼしかねないこともございます。このような者についての入退院の判断が事実上医師にゆだねられておりまして、医師に過剰な責任を負わせることになっていることも挙げなければなりません。都道府県を超えた連携を確保することができないことも現実でございます。退院後の通院医療を確実に継続させるための実効性のある仕組みがないことなどの問題があると考えております。
 このため、今回の法案では、広く精神障害者一般をその対象とするものではなく、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者のみを対象として、適切な医療を継続的に確保する必要上、自由に対する制約や干渉が強くなることもあり得ますことから、医師と裁判官により構成される裁判所の合議体が決定する仕組みを整備したわけであります。国が責任を持って専門的な治療を行いますとともに、退院後の医療の中断が起きないように、継続的な医療を確保するための保護観察所による観察、指導の制度を整備していくことにしたものでございます。
 したがいまして、現行の精神保健福祉法とは別の新しい法律とすることが適当と考えたところでございます。
○水島委員 今いただいた御答弁の中で、前回も私は入院と通院とをちょっと分けて質問をさせていただいていたわけでございますけれども、少なくとも入院の部分に関して、現行の措置入院制度の改善ではカバーし切れない点というのはどこになりますでしょうか。
○坂口国務大臣 先ほど申し上げましたことに尽きているというふうに思いますが、一つは、対象とする人が違うわけでありますから、そこがスタートからして違うわけでございます。そして、この皆さん方を再びそうした重大な問題を起こさないようにさせていくためには、かなり整備をされたと申しますか、マンパワーといたしましても整備をし、そして的確にその人たちに対応をしていく、そういうことが大事でありまして、そういうことを徹底的に行うという趣旨からいきまして、やはりこの人たちに対しましては区別をしていくべきだ、こういうふうに思っている次第であります。
○水島委員 きょうもこの後の質問の中でもう少し伺いたいとは思うんですけれども、けさからの議論を聞いておりましても、この対象とする人が違うと今大臣はおっしゃったんですが、今措置入院制度で扱われている対象者に比べると、今回のこの新法で対象とされる人はその中に含まれる、その一部であるという趣旨の御答弁をいただいているのだと思いますけれども、そうすると、対象とする人が違うというのはちょっと理解できない点でございます。
 また、再び重大な問題を起こさないためには十分なマンパワーをかけての治療が必要であるということについては、それはそうなんだと思いますけれども、そうしますと、今の措置入院制度の、そして今回の新法の対象者とならない方たちに関してのマンパワーや専門的治療という観点からの改善は必要ないということで新法をつくられるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○坂口国務大臣 それはそんなことないわけでありまして、一般の精神病の皆さん方に対しましても、それは先ほどから申しておりますように、さらなる診断、治療が行われるようにしていかなければならないし、また、退院をされましたときの受け入れ体制というのも明確にしていかなければならない。
 現在、そのことにつきましては議論をさらにかなり重ねておりまして、入院中の皆さん方には少し機能別に入院をしていただくといったようなこと、それから、退院されました後の体制をどうつくるかといったことの議論も今続けているところでございまして、そのことも一日も早く明確にしていかなければならないと思っております。
○水島委員 それはぜひそうしていただきたいんですが、まだ先ほどの御答弁でもわからないんですけれども、そういうわけではないと今御答弁されたわけですが、そうしますと、やはりこれは、新法をつくるというよりも、措置入院制度全体に対して、マンパワーという面から、また治療の専門性という面から、治療の底上げを図るというような手法の方がふさわしいのではないかと今答弁を伺ってまた思うわけですけれども、これは違うんでしょうか。
○坂口国務大臣 そこはやはり一線があると思うんですね。今回の問題は、重大な犯罪を犯した、しかも心神喪失または耗弱状態にある人が重大な犯罪を犯す、そういう特別な人に対してどうするかということを今言っているわけでありまして、一般の精神病の皆さん方の治療の、あるいはまた診断のかさ上げをするということも大事でございますけれども、ここは一つの異質な部分として、そこには特別に目をかけていくと申しますか、そこは慎重に対応をしていく、こういうことを申し上げているわけであります。
○水島委員 申しわけございませんが、まだ伺うんですけれども、私が伺っておりますのは、一般の精神障害者の方たちと新法というよりは、今の措置入院制度とこの新法との違いについて伺っているわけでございます。
 今ちょっと大臣から、何か大臣らしからぬ特別な人という言葉が出たわけでございますけれども、今の措置入院制度の対象となる方も、ある意味では、どうしても強制入院をしていたただかなければならないほどの強い病勢を持っている、また自傷他害のおそれがある。そういう意味では、もちろん患者さん全体から見ますと一部の限られた状態にある方であると言えるわけですけれども、その措置入院制度とまた独立させてこのような制度をなぜつくらなければいけないのかという点についてお答えいただけますでしょうか。
○坂口国務大臣 何度か同じことを申し上げて恐縮でございますが、今対象にしております皆さん方は、重大な犯罪を既に犯した、そしてそれを繰り返す可能性があるかないかということの一点に絞っているわけでありますから、そうした意味で、この皆さん方と区別をしているわけでございます。
 一般の精神病の皆さん方に対しましても当然やっていかなければなりませんけれども、いわゆる重大な犯罪を既に犯している、そして、今後その人たちがそれを繰り返すおそれがないかどうかというその一点に絞って、この人たちを私たちは特別にひとつ治療をしていきたい、こういうふうに言っているわけであります。
○水島委員 まだわからないので、私の理解力がないのかわからないんですけれども、もっとお伺いしたいんですけれども、つまり、重大な犯罪を既に犯した、そして繰り返す可能性があるかないか、その一点のみに絞ってこの新法をつくられたと、それは私も理解しているつもりでございます。
 ただ、措置入院制度の対象となるような自傷他害のおそれのある方、その方たちのことを考えますと、今までに何をやったか、やっていないかということよりも、やはり今現在かなりしっかりした治療が必要である、それは入院環境で御本人の意思の有無にかかわらず行わなければいけない。そういう意味では、かなりそこも絞られている話だと思うんですけれども、その措置入院制度を全体的にもっと運用を改善して、もっと手厚いマンパワーのもとで専門的治療が行えるようにしていくという方法では、今回大臣が目的とされていることは達成されないんでしょうか。これは入院の面だけに限ってお答えいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 今までに大きな犯罪を犯したような皆さん方を治療いたしますときには、かなり自由を抑制するということも私はできてくると思います。また、退院をいたしまして、そして通院をするということになりましても、それはやはりかなり制限を加えられたものになる可能性がありますから、だから、そういう意味におきまして、一般の皆さん方もそれと同じようにしてはいけない。そこはやはり区別をしなければならないと私は申し上げているわけであります。
○水島委員 一般の方とおっしゃるんですけれども、措置入院の方がどういう環境に置かれるかということを考えますと、これはかなり、かなりというか、ある意味では完全に自由が制約されるようなところがございまして、なぜその措置入院の方以上に、入院環境においてどのようにプラスアルファの自由の制約ということがこの方たちの治療に対して特に必要なのかということはどうなんでしょうか。
○高原政府参考人 入院医療につきましてよりも、むしろ通院の場合、例えば、現在の措置入院制度におきましては措置通院制度というものはございません。一定のフォローアップは、例えば保健所等でも、委員御案内のとおり、保健婦さんたちが管掌しておりますが、それを、ぜひ行けと、かなりこの制度は強制力を持って通院を要請するわけでありまして、これは、普通の生活をしている生活者の感覚から見ると、かなり強度な自由の制約ではないか、そういうふうに感じるわけであります。
○水島委員 入院に限ってということを前回も言いましたし、先ほどからも申し上げているんですけれども、入院に絞ってお答えいただきたいんですけれども、今、通院の部分しかお答えがありませんでしたが。
○高原政府参考人 入院医療におきましては、十分な人手をもとに、措置入院におきましても、今回の新しい制度におきましても、例えば抑制帯の使用は最小限にするとか、不必要なことはやっちゃいかぬとか、そういうことは一般的な注意として現在の精神保健福祉法にも記載されておる。それに従って新しい制度でもやる。そういうふうな点では、物理的に新しい制度において強度に自由を制約するということが入院医療に今以上にあるということは想像しにくいわけであります。
 しかし、平均値で比べてみると、今の措置入院の方、大体三十万入院患者のうちの一%、三千人ぐらいと言われておりますが、そういうふうなもののさらに限られた人を対象とする、衝動性も大きい方が多い可能性もあるということで、今の措置入院の患者さんよりも、基本的な運用方針は同じでありますが、平均値をとってみると、より強い制限を課した制度ないしは運用となる可能性が全くないとは言えないわけであります。
○水島委員 今の答弁、確認させていただきたいと思いますが、そうしますと、運用上の違いは実質的にはないと。その場合に、なぜ今の措置入院制度と違う入院制度としてつくらなければいけないのかということなんです。
 ちょっと違う質問にかえて伺いますと、例えば、これは十分な予算があって、すべての措置入院の方に対して手厚い治療が確保できるのであれば、すべての措置入院の方にすることなのか。単に予算がないから、限られた、この前部長もプライオリティーという言葉を使われましたけれども、プライオリティーの高い方だけにしていこうとしているものなのか。その点についてはどうなんでしょうか。
 今部長がおっしゃった趣旨から申しますと、衝動性の高さとか、いろいろそういう可能性があってなんていうことをおっしゃるんですけれども、可能性があるからそのような方のための制度をつくるんじゃなくて、やはり、今現在目の前にいる患者さんが衝動性が非常に高くて非常に手厚い人手が必要だという医療上の判断があったら、そのような手厚い医療を提供できる、そのような判断に基づいて行うべきものなんじゃないんでしょうか。
○高原政府参考人 委員御指摘のとおり、医療的なニードに従って医療は行われるものだと考えております。そのニードが、この新法において想定しております患者さんたちはより強度なものが要請される場合も想定されるということでございます。
 いずれにいたしましても、入院というものは本人の同意をもとにした通常の医療とは異なりますので、システムを整備して、その手続を明らかにするということは必要なことであると考えております。
○水島委員 ということは、やはり医療上のニーズに応じてきちんとした医療が提供できるような体制を措置入院制度の底上げによって図るべきではないんでしょうか。それでは何が足りないんでしょうか。この入院治療というところだけに限ってお答えいただきたいと思います。
○高原政府参考人 私は、医療というふうなものは入院部分と通院部分と切っていいのだろうかということを感じるわけであります。一人の患者さんは一人の患者さんでございまして、主治医がかわるということはあるわけでありますが、やはりシステムとしては、入院、通院といったものは少なくとも一貫した思想のもとに構築させられているべきだろう、そういうふうに考えております。
 また、資源の点だけでこの制度をつくったのかということでございますが、これは、一般の精神障害者と同様のスタッフ、施設のもとで処遇することは、専門的な治療が困難である、また他の患者にも必ずしもいい影響ばかりではない、悪影響も及ぼしかねない。それで、このような者についての入退院の判断について事実上医師にゆだねられている現在の措置制度におきましては、医師が過剰な責任を負わされることになっているということ等が考えられます。
○水島委員 そろそろまた堂々めぐりになってきましたので、次の答弁は大臣にいただきたいと思うんですが、今回の新法の制度を見ますと、幾つかポイントがあると思うんですけれども、今部長は、入院も通院も一つのものとして考えるべきだとおっしゃった。そんなのは当たり前のことなわけですけれども、今回この新たな制度をつくるときに、今ある医療資源のどこをどう使って、それに例えばどこを改正して、あるいはどこに新しい仕組みをつくるか、そういう組み立て方の問題があると思います。
 今回の新法でいえば、例えば、最初の処遇を決めるところに裁判官が加わっていることですとか、入院治療を行う施設が専門的なというか特別なものになっている点ですとか、あるいは退院後に治療継続を保護観察所を利用して図っていく。幾つかのポイントがあるわけですけれども、私は、これはポイントごとに議論しても何らおかしなことはないと思います。その入り口の部分と入院の部分に関しては現行の措置入院制度の改善という形で取り組んで、その後に、どのような通院の確保の手だてを考えるかということをそれぞれ考えても、別にその患者さんの治療の一体性を損なうものではないと思うんですけれども、まず、そのような認識を共有していただけるのだとすれば、大臣に、今のこの入院の部分に限って、現行の措置入院制度の底上げでは今回達成できないものは何かあるのかということをお答えいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 私は精神科医じゃございませんから、具体的にどういう治療方法があるのかというようなことにつきましては私は存じません。
 ただ、重大な犯罪を犯した心神喪失者、そうした人たちと一般の精神病者といった場合には、これは違うんだと私は思っております。ですから、治療方法も、そこはおのずから異なってくるのではないかというふうに私は思います。
 そうした意味で、やはり重大な犯罪を犯した人たちに対しましては、再びそれを繰り返さないというのは、ただ単に精神病を治すということだけではなくて、この人たちに対しましてはもう少し何か幅広い治療方法というのがあるのではないかという気がいたします。それは、私は初めにお断りしましたように精神科医じゃございませんから、具体的にそれはどういうことかということまで申し上げることはできませんけれども、やはりそこにはおのずからの大きな違いがあるということを申し上げているわけでございます。
○水島委員 ということは、今の御答弁をお聞きしますと、重大な犯罪を心神喪失等の状態で犯した人と、一般の、それ以外の措置入院の患者さんとの治療法は違うという趣旨で受け取らせていただいてよろしいんでしょうか。
 大臣御自身の知識がどの程度あるかということではなくて、これだけの制度を考えられて、特別な病棟までつくられるわけですから、当然厚生労働省としてそれなりの、こういう治療を提供するためには特別な病棟をつくらなければいけないんだという考えがあってのことだと思いますので、今の点を確認させていただけますでしょうか。これは、人手ということじゃなくて治療法ということで確認させていただきたいと思います。
○高原政府参考人 まず、治療を開始するに当たっては、患者とそれから医師の間で、その事態の評価、つまり、病気がどういう病気であって、どういう状況で、何を患者さんはやったんだという認識を共有する必要があると思います。それで、その認識を共有した上で、どうすれば医師と患者が共同で、医師というのは医療スタッフということでお願いしたいわけですが、医療スタッフと患者さんとが共有して、どういう目標を立てて、信頼を醸成しながらさまざまな、怒りのコントロールであるとか被害者へのシンパシーをはぐくむとか、そういった社会適応性を増す方向での治療、これはやはりある種の、重大な犯罪行為に該当する行為というふうなものに対する認識から出発する、そういうことがこの病棟、この制度では行われる。
 それに対しまして一般の措置入院におきましては、自傷他害のおそれという、それよりかなり広い概念でくくっておりますので、そういうふうな認識における共有、もちろんその病識を共有するという点では一緒でありますが、やったことに対する自覚を促し、共通の、どうするかということ、そういうふうなことの目標の立て方はいささか違うものではなかろうかというふうに考えております。
○水島委員 今、私、聞き違えかと思うような答弁をいただいたんですが、怒りのコントロールを覚えたり、被害者へのシンパシーをはぐくむ、やったことへの自覚を促す、これは医療なんですか、矯正なんですか。
 そもそも、心神喪失の状態で重大な犯罪を犯す方というのは、怒りに基づいてやったりとか、被害者へのシンパシーが足りないからやったりとか、そういうことなんですか。
○高原政府参考人 通常、こういった医療は司法精神医療の中に包括された治療法というふうに言われておりますし、委員御案内のとおり、いわゆる認知行動療法等を利用したそういった治療も実際されているというふうに承知しております。
 もちろん、非常に深い意識の昏迷がある、ないしは心神喪失もしくは耗弱の状態が持続しているということでこういった治療法が始められるものではないということは、委員御指摘じゃありませんがお感じのとおりでありまして、そこにつきましては一般の精神病としての対応というふうなものがなされる。その後、ある程度平衡といいますか、寛解を迎えたときに考えていただく。そういうふうなものは、治療目標を共有しながら、信頼を持って社会復帰に向けて歩む、そういうことだろうと考えております。
○水島委員 司法精神医学の中に含まれているといっても、心神喪失に陥るような状態を認知行動療法で治療できるとは私にはとても思えないんですけれども、そもそも、怒りのコントロール、被害者へのシンパシーをはぐくむ、やったことへの自覚を促す、これらのことは何を目的としてされるものなんでしょうか。
○高原政府参考人 委員御質問のような治療が深い意識の昏迷であるとか心神喪失であるとか心神耗弱の状況で始められるものではないということは、私も先ほど申し上げたわけでありまして、これに対しては一般の精神科医療が先立つものである。その寛解期を迎えた後、そういった治療法を行う。
 その目的でございますが、これは、やはり患者さんの社会に復帰した後の受容性、社会への適合性、こういうふうなものを増加させる社会復帰訓練の一環であると考えております。
○水島委員 それが心神喪失等の状態で重大な犯罪を犯した人に特有の治療法と言い切っていいんでしょうか。このような治療が必要な人というのはほかにもいると私は思いますけれども、なぜこの方たちだけにこの治療が、この特別な病棟において行われるということになるのか。
 本当にきょうも全く、通告している事項のまだ三分の一もいっていないと思うんですけれども、時間ももったいないので、今すぐにお答えいただけないんでしたら、その病棟で行おうとしている治療の詳細について次回までにきちんとまとめて、資料にでもしていただければと思うんですけれども、いかがですか。
    〔園田委員長退席、森委員長着席〕
○高原政府参考人 当該入院施設で行われる医療の目標なり、おおよそのプログラムというふうなことはお話しできる、ないしは資料として提出できるとは思いますが、詳細については、それぞれの専門医ないしは今後の発展、それから治療者との間の合意というふうなものが必要でございますので、あくまでも大綱ということではお示しできると考えております。
○水島委員 先ほどから、一般の方と一緒に治療をすると悪影響が及ぶとか、いろいろおっしゃるんですけれども、今でも、措置入院を解除できないような、極めて病勢が強いような状態にある方の場合には、これは医療上の判断で保護室に隔離されていたりですとか、別に、一般の患者さんが大勢いらっしゃるところに、ただそのまま入院されているというわけではないわけですので、何でここで別棟で特別な病棟をつくらなければいけないのかということの御説明にもなっていないと思います。医療上、隔離する必要がある場合には隔離できるように精神保健福祉法で定められているわけですので、何でプラスアルファの入院制度をつくらなければいけないのか、まだ理解できません。
 また、今大綱をお示しいただけるということですので、これはぜひ次回までに大綱としてお示しいただきたいと思いますけれども、その際には、それがほかの措置入院患者の方に関しては必要のない医療であって、特にこの人たちに特別の病棟において独立した形で行わないとうまくいかないのだということがわかるような形でお示しいただきたいと思います。
 普通の精神病院にもいろいろな病気の方が入院されていまして、それぞれの方にはそれぞれの専門的な治療があるわけでございまして、精神分裂病の方とうつ病の方が全く同じ病院に入っているから、同じ入院形態だから同じ治療を受けるなんということはあり得ない話でございますので、なぜそれを同じ環境の中で個別の治療として行っていくことができないのかというところもぜひお示しいただきたいと思います。
 では、これはぜひ次回までにそのような大綱の形で出していただけるということをもう一度確認いただけますでしょうか。
○高原政府参考人 大綱についてお示ししたいと考えております。
○水島委員 では、その大綱に基づきまして、ぜひ、本当に時間を効率的に使いたいと思いますので、次回、また質問をさせていただきたいと思います。
 さて、残り時間が少なくなってまいりましたが、前回の御答弁の確認の今度二つ目でございます。まだまだございます。
 まず、前回の高原部長の答弁、「私が医学的な観点からと言うのは、現行の措置入院制度におきましては医学的観点から医師のみが判断をしておるという点につきまして、医学的判断からと言っておるわけでありまして、担当しておる医師は、それなりに、家庭の状況であるとか、社会の状況であるとか、そういうふうなさまざまなことを考えて御判断にはなっておると思いますが、やはり、メディカルスキームといいますか、メディカルパラダイムといいますか、医療的な物の見方のみにとどまる。これはやはり対象者にとって必ずしもいいことではないのではないか。」と答弁されているわけですけれども、この「医療的な物の見方」「医学的な観点」というのは何なのか、そこに含まれないもので政府案において新たに制定されようとしているものは何なのか、それについて、これは大臣にお答えいただけますでしょうか。
○高原政府参考人 ちょっと委員が混乱なさるような答弁を申し上げて遺憾でございます。
 精神保健福祉法における自傷他害のおそれの判断におきましては、措置診察の結果が重要な資料となっております。実務上、医療的な判断が重視されていることは事実でございます。措置診察を行う医師は、患者の生活環境など、さまざまな状況を考慮する際も、やはりみずからの専門分野である医療の視点から検討することが通常であることから、その旨を説明したものでございます。
 また、自傷他害のおそれの最終的な判断権者は都道府県知事でございます。このことは、措置入院制度の場合も純粋に医療的判断以外の判断を行うことが排除されているものではないということだと承知しております。
○水島委員 そうしますと、前回の御答弁というのは余り意味がなかったということになるんでしょうか。医学的な物の見方とそうじゃない物の見方というのは、その違いと、今最後に、知事の判断というものがあるので医学的な物の見方以外のものが排除されているわけではないという趣旨であったと思いますけれども、医学的な物の見方と医学的な物の見方でないもので今回の法案で決められるものというのは何なのか、ちょっとそこの点だけもう一度お答えいただけますでしょうか。
○高原政府参考人 余り上手な説明ではないかもしれませんが、措置制度におきましては、やはりクリティカルなポイントは措置診察であろうと思います。やはりこれからの情報がかなりの、かなりといっても半分どころじゃなくて、七、八割ぐらい重視されているんじゃないかというふうに考えております。
 その他の情報とは具体的にはどういうことなのかということでございますが、これは患者さんの置かれているいわゆる社会的なリスクファクター、つまり友人関係の強固さであるとか、サポーターがいるとか、家庭内が安定しているかとか、そういうふうな情報というものは当然参照すべきではあるけれども、自傷他害のおそれを判断する場合には、そういうふうなところまではなかなか入っていけないのが実情ではなかろうかという点で医学的と申し上げたわけでございます。
 新しい制度におきましては、裁判所が鑑定入院を命じまして、その間また精神保健福祉士等に意見を聞くとか、保護観察所が環境等について調査をするとかということもございまして、その社会的なサポート体制とか、入院しなきゃ本当に孤立してしまう人なのか、それとも地域の中できちんと通院をマネージすれば社会の中で治療しながら社会に溶け込むことができるのか、そういうふうな点は今回の制度の方が幅広に情報収集をするということになっております。
○水島委員 私もまさに同じ問題意識を持ちますので、民主党案においては措置入院制度の判定をするときに精神保健福祉調査員というものを新設しているわけでございますけれども、つまり今の高原部長の御答弁というのは、民主党案にはそこの部分については賛成というような御答弁として受け取ってよろしいんでしょうか。
○高原政府参考人 何らかの、例えばケアマネジャーとかケースマネジャーというふうな役割の人が、特に自傷他害であるとか、それから心神喪失状態で重大な犯罪に該当する行為を行った人とか、そういう患者さんには必要だねという点においては一致しているかと思います。
 しかしながら、私どもは、それを司法のサイドにおきます精神保健観察官という新しい官名といいますか公務員として規定したわけでありまして、これは、精神医療、保健福祉の専門家が該当する、どこにオフィスを置いてどうやるかという点においていささかの違いがあろうかと思います。
 さらに対象者につきましても、正直を申しまして、こういったケースマネジメントというのは、精神障害者に限らず障害者の社会復帰には必要なものでありますが、かなりのエネルギーと人手を食うものでございます。それで、御意見をあるいは異にするかとも思いますが、プライオリティーをつけてやるとするならば、やはり私どもが御提案申し上げている、心神喪失等の状態で重大な犯罪行為を行った、これでありますとかなり深いといいますか面倒見のいい体制ができるのではないかということで、こう考えております。
 一般の患者さんにつきましては、精神障害者生活支援センターでありますとか市町村の保健婦さんであるとか、さまざまな一般対策を車の両輪として進め、より適切な処遇を心がけてまいりたいと考えております。
○水島委員 本当に時間がなくなってしまいましたが、私が伺ったのは、先ほど部長がいみじくも、措置制度においてはクリティカルなところは措置診察だとおっしゃったので、その措置診察のときのサポートとしての精神保健福祉調査員のことを申し上げたわけで、退院後の保護観察所のことを答弁されるというのはまさに最初から全く違う答弁をされているわけですけれども、そんなことを指摘ばかりしておりましたので、議論の前提にまだ至る前にきょうも持ち時間が今終わろうとしております。
 私が一番伺いたい、再び対象行為を行うおそれの判定のあり方などについて、今まで二回質問させていただいて、そこに行くまでの前提の整理すらまだ終わらないという状況でございますので、これからぜひしっかりと慎重な審議を進めさせていただきたいと思います。
 そして最後に、その前提として一つお願いしたいんですが、けさからもまた鑑定の問題についての審議がございました。そして、我が党の五島委員も先ほど各地検での簡易鑑定のばらつきについて問題にしておりましたが、その議論が先ほどから毎日新聞の記事をもとに行われているというのがちょっとおかしな話だと私は思いまして、これは今後の審議に備えて、法務省としてきちんと各地検における簡易鑑定の状況についての資料提出をしていただきたいんですけれども、お願いできますでしょうか。
○古田政府参考人 簡易鑑定につきまして、網羅的な統計資料というのは実は持ち合わせておりません。ただ、単年度に限りましてどういう状況になっているのかということを調べた結果がございますので、それを提出することは検討させていただきたいと思います。
○水島委員 新聞記事をもとに国会での審議をするというのも、特にそれが地検に関する資料であるというのに、私はとてもおかしなことではないかと思いますので、ぜひ資料の提出をお願い申し上げまして、そしてまた、次回以降それをもとにきちんとした審議をぜひさせていただきたいことをお願い申し上げまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

【佐藤委員質疑】

第154回衆議院 法務委員会厚生労働委員会連合審査会会議録第1号(同)
○森委員長 次に、佐藤公治君。
○佐藤(公)委員 自由党佐藤公治でございます。本日は、こういう機会をいただきましてありがとうございます。
 私は、法律の専門家でもなければ医療の関係の専門家でもございません。ただし、自分がこの法案等を見させていただく中、疑問に思う点を率直に投げかけさせていただければありがたいかと思います。
 まず、坂口厚生労働大臣、大臣は私の質問に関してはもう大分おなれになっていらっしゃるので、どんなものが飛んできてもお答えになられると思います。ですので、私も気楽に聞かせていただきたいかと思いますけれども、大臣がさっき御答弁でもおっしゃいました、この法律というのは一つのことに絞り込んでいる、再発するかしないか、ここ一点に絞っているということなんですが、私がいろいろなものを見させていただく中、どうも議論がかみ合わない、平行線。民主党さんの話、また、ここで答弁されている方、また質問されている方、なかなかかみ合わない部分が多い。
 判定ということに関して、いろいろなマスコミ、メディアでも報じられている、判定の基準はいかがなものか、果たして予測というものが本当につくのか。そういう中で、大臣また法務大臣も、予測がつくということをはっきりおっしゃっておる。
 このかみ合わない議論をもう少し整理していただいて、国民にわかりやすい形で、一体全体、その判定の基準というものをどこに考え方、価値観を持って考えているのか、また、ほかの皆さんの意見はその価値観というものがどこにあると思われているのか、ここを一回きちんと整理して、わかりやすい形で私そして国民の皆さんに説明をしていただければと思うんです。
 ちょっと難しい質問かもしれないんですけれども、この判定ができるできない、天気予報の予測じゃありませんが、九〇%ならできるのか八〇%ならできるのか。実際問題、将来の予測に関して、それをきちっと確実になんということはまずできないというのが一般的な見方だと思います。
 こういうことに関して、大臣は、自分はどういう判定基準というものを設けて、できるとおっしゃるのは、一〇〇%じゃない、一〇〇%はあり得るわけない、それはわかっている、でも、今、現状、パーセンテージでいえばこれぐらいだ、しかし、民主党さん、ここで質問される、もしくは反対の意思を持たれている方々、こういう方々はこういう部分を違って見られているんではないか、こういうところをわかりやすく整理して説明をいただきたいかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 再犯のおそれというのが診断できるのかどうかというお話だというふうに思いますが、これは、日本の精神医学界におきましても、ある大学の先生はそれはできるんだというふうにおっしゃるし、また、あるグループの皆さん方はそれはできないというふうにおっしゃるし、現在の段階におきましては、専門家の間でもそうした意見が分かれていることも事実でございます。
 しかし、諸外国に目を転じましたときに、諸外国におきましては、それをある程度でき得るという確信のもとにおやりになっている。そうしたこともあって、私は、ドイツの精神病院に対しまして、どういうふうにしてそれが行われているのか、本当にそこが間違いなくできるのかということを勉強しに行ったわけでございますが、少なくともドイツの私がお邪魔をしました精神科の先生方は、それは、今までの議論を重ねて、そして幾つものデータを重ねてきたけれども、それを診断することは可能であるという前提の上に立っておみえになるわけであります。
 ただし、今委員が御指摘のように、それじゃ一〇〇%できるのかという話になれば、それは私は、医療の世界の話でございますから、一〇〇%というのはいかなる分野においてもなかなか難しいんだろうというふうに思いますけれども、しかし、そこは診断し得るという立場に立っておやりになっていることは事実でございます。
 今回のこの我々の出しております法案におきましても、そういう確信のもとに出しているわけでございますが、しかし、そこでそれじゃ見直しは必要でないのかといえば、見直しも必要である。それは、少なくとも半年ごとの見直し規定を入れて、そしてそこで見直しを行って、もし万が一、初めそういうふうに思っていたけれども現状はそれほどではなかったということならば方向転換するということも、多分それはあり得るんだろうというふうに思います。しかし、それは可能だという前提の上に立って私たちは主張を続けているというところでございます。
○佐藤(公)委員 可能だということで大臣、皆さん方は思われているんですけれども、それが可能じゃないという人たちは、ここがなぜかみ合わないんでしょうか。その前提が違っているということになるんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 そこが、どういう理由でもって反対をされるのかということにつきまして、私は十分に存じておりません。
 しかし、精神科医が、いわゆる精神障害の類型、どういう形のものか、過去の病歴、現在及び対象行為を行った当時の病状それから治療状況、それから病状及び治療状況から予測される将来の症状、対象行為の内容、過去の他害行為のあるなし及びその内容、こうしたことを考慮に入れて総合的に判断をすれば、この人が将来起こす可能性としてあり得るかどうかということの判断はつき得るという立場で申し上げているわけでございますし、そして、可能性があるというふうに言われる先生方もそういうことを御主張になっているということでございます。
○佐藤(公)委員 こうやって大臣からお話を聞いて、それもというふうにわかる部分があるんです。反対をされている方々の話を聞いても、それもわかるんです。でも、実際、なぜ本当にこんなにかみ合わないのかというところが本当にわかりづらい。ここをきちっとかみ合わせていかなければ本当の議論というのはできないのかなという気がいたします。
 また、大臣が先ほどおっしゃいましたが、反対をされている方々の前提というのは知らないがというふうにおっしゃいましたが、やはりそこいら辺をより研究し、わかった上で議論をかみ合わせる努力、時間というものも必要なんではないかと私は思います。
 ついては、こういう法律ができ上がるということ、これは、どの法律も大切ですけれども、またより一層、精神障害を持たれている方、こういう方々にとっても大事な法律というふうに言えると思うんですけれども、それにはやはりこれを成立させる上では責任というものが伴うと思います。予測ということに関して、これは実際問題、予測ということを踏まえた上での話ですけれども、これを成立させ、では、それが実際ちゃんとできるのかできないのか。見直していくということですけれども、できなかったときに見直していくということを考えられていると思うんですけれども、では、できなかったときに、うまく回らなかったときの責任ということに関しては、大臣、どうお考えになられるんでしょうか。
○坂口国務大臣 申しわけありません、もう少しお話しいただけませんか。何が回らなかったときのお話でございますか。
○佐藤(公)委員 私の言いたいことは、この法律が成立をし、これによって被害をこうむるような方々が出てきた場合、その人たちに対しての一つの、成立をさせた、つくった所管の大臣としての責任というものがあり得るんではないか。その被害というのはいろいろなことが想定されると思います。被害をこうむるということもあり得ると思います。これに関して責任というのをどう大臣はお考えになられるのか、また、どうやってそういったものをとるお考えがあられるのか、あったら教えてください。
○坂口国務大臣 どういう被害をこうむることがあり得るのかということをにわかに判じがたいわけでございますが、我々は少なくとも、過去に重大な犯罪を犯した、そういう皆さん方に対して、再びその人たちが起こす可能性があるかどうかということの判断をしていく、そして、もしその人たちが繰り返すという判断をした場合には、その人たちにそれなりの治療を行うということでございますから、御迷惑をおかけするということは私はないんではないかというふうに思いますが、委員が御指摘になっております内容が十分に私理解できていない面もあるかもしれません。ありましたら、御指摘いただきたいと思います。
○佐藤(公)委員 これは事前通告しておりませんけれども、法務大臣、今の私の質問を御理解していただけましたでしょうか。もしもいただいたのであれば、その責任というのは、これは厚生労働大臣に聞くべきことじゃなかったかもしれません、法務大臣に聞くべきことだったのかもしれません。法務大臣、いかがでしょうか。
○森山国務大臣 大変難しいような御質問でございまして、私も十分理解しているかどうかわかりませんが、この法律の目的は、先ほど厚生労働大臣がおっしゃいましたように、重大な犯罪を犯された、心神喪失あるいは心神耗弱の状態等でそのようなことをしてしまった方々が二度とそのようなことを犯さないようにするために十分なケアをしなければいけない、そういう趣旨でつくられたものでございまして、目的は社会復帰ということにあるわけでございます。
 ですから、これによって被害を受けるというふうにおっしゃいますが、どういう被害があり得るのか。場合によって、もしかしたらあるいは人権を制約されて迷惑するということを考えていらっしゃるのかなとも思いますが、そういうことが全くないようにということは考えられておりまして、当然、人権の尊重ということは前提でございますし、また、入院されました場合にも、六カ月ごとに必ず点検をするようになっておりますし、さらに、退院されました後も十分なケアが行き届きますように保護観察の仕事も新しく創設いたしますし、考えられる限りのことを考えている次第でございまして、この法律によって被害をこうむるということが私といたしましては十分わかりかねますが、お答え申し上げるとすれば、今のようなことでございます。
○佐藤(公)委員 これが僕は今の国会のあり方の問題なんじゃないかなという気がすごくする部分があるんですよね。やはり本当に、つくった以上、責任を持って、極論からいえば、何かあったら、私たちはそのときいたらばやめますとか、ちゃんと賠償請求、きちんとした金額補償はしますとか、そういうことが言える立場の方々だと思います。ですが、そういうこと、絶対いいなんということが言い切れるのかどうか、その辺のあたりというのは、私は非常に疑問に思う部分がある。
 僕が言いたいことは、今のこの法案、そして民主党さんの言っていること、両方とも大事なこと、大切なことがあるということなんですよ。両方とも本当は同時並行で考え、同時並行で進めるべきことだと私は思います。ですので、どっちがいいかどっちが悪いかというんじゃなくて、両方とも大事なこと。これを真剣に議論し、本当に今の社会、こういった問題を解決していくべき国会をやはり議論していかなくてはいけないかと思うんです。
 では、そういう中でちょっと法務大臣に幾つかお尋ねをさせていただければありがたいんですけれども、今までの議論の中で他害の議論が幾つかございました。他害ということにすればいい、いや限定をしていると。こういう中で、対象行為、第二条の第二項におきまして、この見方を、他害という広い範囲じゃなくて、この対象行為の中から見た場合には、実際、重大な犯罪ということになってくると、このほかに、刑法を見ますと、第百十七条激発物破裂罪とか、第百二十五条の往来危険罪とか、第百二十六条の汽車転覆罪、すごく古い名前な感じですね、汽車転覆罪、第百四十六条の水道毒物等混入罪、これは大事件だと僕は思うんですけれども、なぜこういったものを外して、この第二条の第二項にあるようなものに限定をしたんでしょうか。本来ならば重大な事件、それは確かに件数は少ないかもしれません、犯罪の絶対数は極めて少ないかもしれませんが、重大犯罪であることに変わりはなく、これらを排除する合理性がないのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○横内副大臣 委員の御指摘のように、この法律案では、殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害という六つの行為を対象行為といたしまして、心神喪失心神耗弱の状態でこれらの行為を行った者をこの制度の対象にしているわけであります。これらの犯罪行為は、いずれも、個人の生命、身体、財産等に重要な被害を及ぼす行為であるということは当然でありますけれども、同時に、心神喪失等の状態で行われるのが過去の例としても相当数としても多いということから、心神喪失等の状態でこれらの行為を行った者については特に継続的かつ適切な医療の確保を図ることが肝要だというふうに考えまして、これらの行為を対象にしたものであります。
 御指摘のような、確かに激発物破裂とか往来妨害というような重要な犯罪行為もあるわけでありますけれども、こういうものが心神喪失の状態で行われるというのが必ずしも多くはないということが一つありますし、それに加えまして、そういった犯罪の場合には、そういった行為の場合には、同時に殺人だとか傷害の罪にも当たる場合が多くて、そちらの方で本法の対象になるという場合が多いと考えられますので、対象の犯罪とはしなかったということでございます。
○佐藤(公)委員 今の説明でもわかる部分もあるんですけれども、そこで私が非常に疑問に思うことは、実際の今の全体の理念というか基本というものが、どういうことでこういった法律ができ上がってくるのかというのを非常に疑問に思う部分がございます。いろいろなことをこのたび読ませていただき、見させていただく中、例えば、一九八一年のときにつくられた、発表された保安処分の骨子における限定したものというのは幾つの対象ということにいたしたのか、答えられますでしょうか。
○古田政府参考人 お尋ねは、改正刑法草案の後に法務省刑事局で発表した、修正をした骨子のことであると思いますが、これにつきましては、対象罪種としては、殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害、これは傷害致死を含むわけですが、現実に起こることが相当数ある、そういうものに限ってするということにしておりました。
○佐藤(公)委員 保安処分とは別物だということで考えられていると言いながらも、何か、その基本の考え方がどこにあってこういうものが出てきているのかというのが非常に疑問に思う部分があるということなんです。まず、保安処分や何かのことに関しても一つの延長線上で考えられた上での考え方、そしてまた、もしかしたら今法務省さんそして政府が考えていることは、法律の世界また司法の世界の話になると思うんですけれども、一元性、もしくは一元主義というような考え方を持たれてやられようとしているのか、現在の二元主義、二元制度というもの、こういったものと何か考え方が違ったものが出てきているのか。それは、本音の部分と建前論というものをうまく使い分けながら、ごまかしながら法律を通していく、そういうふうに感じられる部分が多く、非常に疑いを持たざるを得ないと思うんです。
 でも、一番今問題になっているのは、一般の方々に聞いてみてください、もしも政府に信頼というもの、国民との信頼関係があったんであれば、こういう法律というのはそんなに問題なく考えられる、そして議論が進むことだと思いますけれども、国民が、そして一般の方々が今の政治や行政に信頼ができないというところが一番の問題とも言えるんじゃないかと思います。いい法律をつくっても、使う人たちが悪かったら悪い法律になっちゃう、ここの部分だと僕は思うんですね。
 だから、僕は、今皆さん方がお話しされていることは、すごく大事なこと、必要なこともあるから、その賛否は別にしても、これは考えていくべきだ。民主党さんがおっしゃられるのも事実なんです。これも同時にやっていかなきゃいけない、直していかなきゃいけない部分、こういったものを強く感じるところがございます。
 そういう中で、法務大臣にお尋ねをしたいんですけれども、個々における細かい質問はちょっと後にさせていただきまして、法務大臣は代表質疑のところでおっしゃられておりました。鑑定ということに関しては、今、現状問題はないということをおっしゃられていたと思います。鑑定に関しては問題がないということをおっしゃられていたと思います。「事案の内容や被疑者の状況等に応じて、行われるべき精神鑑定の手段、方法についても適切に選択しているものと承知しており、現在の鑑定のあり方に重大な問題点があるとは考えておりません。」こういうお答えをされたと思います。
 しかし、いろいろな方々、またいろいろなメディアが報じている部分の中で、例えば一つの例を挙げさせていただければ、心神喪失心神耗弱とされた者の九割近くが不起訴処分の対象であり、公判段階でも、無罪もしくは刑の減軽を受けた者が少ないこと。我が国の裁判で九九%近くが有罪判決を受ける傾向が反映されている。すなわち、公判で心神喪失を理由として無罪判決を受ける可能性が高い被疑者に関しては、検察官があらかじめふるいにかけて、その多くでは措置入院のための通報を行っていると推測される。こういうこととか、実際、検察、現場の方々の話を聞くと、もっと露骨な言い方をすれば、面倒くさいからこういう部分は先にどんどん処理できるものはしちゃえとか、本来のあるべき姿としての鑑定等をしていない、こういうような話がたくさん漏れ伝わってきております。
 こういう部分であると、鑑定自体はきちんとされているかもしれませんけれども、それを使う方々に問題がある部分がある。本来は裁判所が決めなきゃいけないことを事前に検察側が決めている。こういうような状態の中で、それを使う人たちによって恣意的にゆがめられている、もしくは恣意的に不起訴にされているというような話もたくさん出てきております。
 こういう部分に関して、法務大臣、いかがごらんになり、また、その辺は全く問題がないのか、もしくは、そういう部分をどう考えるのか。いかがでしょうか。
○森山国務大臣 前にお答えいたしましたように、重大な問題があるとは考えておりません。検察当局におきましても、精神障害の疑いのある被疑者による事件の処理に当たって、犯行に至る経緯とか犯行態様とか犯行後の状況などについて、刑事事件として処理するために必要な捜査を尽くしまして、事件の真相を解明した上で、犯罪の軽重や被疑者の責任能力に関する専門家の意見等のいろいろな事情を総合的に勘案いたしまして、適切な処分を行うように努めているものと承知しておりまして、重大な問題はないはずだと信じております。
 しかし、いろいろなことをいろいろなメディアを通じて言われていることも私散見いたしておりまして、今まで行われたすべての事件について全く何の問題もなかったかというふうにおっしゃられますと、ずっと昔のことはもちろんわかりませんし、たくさんの事件の中には、百点満点ではないものもあるかもしれないとは思いますが、しかし、仮にそのような話をした人がいたといたしましても、それは、自分自身に対する自戒の念を込めて、十分心を引き締めてやっていかなければいけないということを言ったんではないだろうかというふうに思いますので、御心配のようなことはないと思います。
○佐藤(公)委員 法務大臣、あなたは、そういう方々の一番最高の長にあられる。そこの部分では監督責任というものがあります。人ごとじゃないんです。やはり、それは謙虚に、きちんと耳を傾けて聞き、自分なりに調査をするなり、その環境が何が問題なのか、原因なのか。作業量なのか、仕事のやり方なのか。
 私は、先ほどの答弁の中でも不信感を抱いた一つ、これは、検察というものがきちんと公平、中立に行われていなきゃいけない、いるべきだと思いますし、そうあると私は思いますが、国民の皆さんと話をしても、やはり、まじめに生きている方々が報われるようなものになっているかといったら、みんな、疑問だと言います。力の強い方が得をし、力の弱い、でもまじめに生きている人たちが不遇な目に遭っちゃう、こういうことが現実あるように私は思います。
 そういったものを一つ一つ、やはり監督者である大臣がきちんと、その原因が何かを明確にし、変えていかなくてはいけないところがあります。人ごとではないと思いますので、きちんと調査をし、職場の改善その他をしなくてはいけないんであればそれなりにやる、人が足りないんであれば増員をきちんと要求をし、それだけの、公平、中立にできるような体制をつくる、こうあるべきだと思います。
 済みません、この論争をしていると時間がなくなっちゃって、また事前通告の質問ができなくなっちゃいますので、先に進めます。そういうことですので、十分気をつけてください。
 では、法務大臣、ちょっと細かいところに移らせていただきますけれども、この法案の中で、第二十四条の第五項において、警察官が行方不明の対象者を発見、通知した後の手続はどのように想定されているのか。同行状が発せられているときは第七十五条の二項によりますけれども、発せられていない場合はどうするのであろうか。また、発見と同時に身柄を確保する必要性、手段はいかがなものかというふうにこの法律を見て思うんですけれども、いかがでしょうか。
○古田政府参考人 ただいまお尋ねの点につきましては、行方不明となった対象者の発見の通知を裁判所が受けまして、行方不明になったことが確定して、既にわかっていて同行状を発付しているときには、その同行状の執行ということでこれを裁判所まで連れてくる。それから、まだ同行状が発付されていなければ、同行状を発付しまして、裁判所まで連れてくるということになります。
○佐藤(公)委員 では、次のことをちょっと聞かせていただきます。
 第三十二条の第一項の被害者の閲覧、民事訴訟関係、民事訴訟提起の必要性から、やはり、これは許可ではなくて権利とすべきだというふうにこの法律を見て思います。実際問題、これはただ横並びということで許可とされているのかもしれませんけれども、被害者の立場を考えた場合に、これは権利としてやはり考えていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○古田政府参考人 そのような御意見もあろうかと存じますけれども、処遇事件の事件記録、これは対象者の精神の状態、いわばその病気の状態等を中心といたしまして、対象者あるいは場合によってはその家族等のプライバシーに非常に深くかかわる事実が含まれている、そういうことが非常に多いことも事実でございます。そういうことからいたしますと、これが安易に明らかになるということになりますと、社会復帰の促進ということを阻害するということにもなる上、プライバシーの保護の上で非常に大きな問題が生ずるということでございます。
 そこで、この制度におきましては、その辺の事情を十分考慮して、裁判所において適切な範囲で、御指摘のような閲覧とか謄写その他について、被害者あるいはその遺族の方々等に裁判所が相当と認める範囲で、傍聴あるいは閲覧、謄写等を認めるということにすることが両方の調和の上で適切であると考えたということでございます。
    〔森委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
○佐藤(公)委員 では、次を聞かせていただきます。
 第四十七条の第二項、ここにおいては「正当な理由」というふうに書いてあるんですけれども、「正当な理由」というのは具体的にはどういうことを指しているんでしょうか。
○古田政府参考人 これは、先ほど申し上げましたようないろいろな対象者あるいはその家族等のプライバシーの保護、それから対象者の社会復帰、こういうようなことを十分念頭に置かなければならないわけでございます。そこで、そういう点を阻害することがないように十分注意をしていただく必要があるので、こういう規定を設けておるわけでございますが、この「正当な理由」というのは、一概にこういう場合ということが事柄の性質上決めにくいものでございまして、個別具体的な状況、目的で決まってくるということでございます。
 ただいま委員御指摘のように、例えば民事訴訟上これを利用する必要があるということで、弁護士さんに相談いたしますとか、あるいは、自分たちの家族、被害者等の民事訴訟以外でもいろいろな意味での利益の保護というのもあろうかと思いますが、そういう場合に、そういう問題についての職務を行っている人に相談する際にそれを打ち明けるとか、そういうふうなたぐいのことが典型的に「正当な理由」がある場合に当たるものと考えております。
○佐藤(公)委員 この「正当な理由」というのがちょっとあいまいで抽象的な部分があるんですけれども、ここはなぜ具体的に例示的列挙をしていないんでしょうか。
○古田政府参考人 それは、ただいま申し上げましたように、非常にいろいろな場合が考えられるわけで、それを個別具体的に、制限的に列挙するということは、実際問題として大変難しいと申しますか、かえってその範囲を狭くしてしまう、そういう問題があることから、やはり個別具体的なそれぞれの事情の判断で一般的に考えていくということにする方が適当であると考えたことによるものです。
○佐藤(公)委員 これは、抽象的であると被害者の権利行使が萎縮する可能性がある、そういう部分からやはり具体性を持たせて列挙すべき点だと私は考えております。
 第三十三条の第三項において入院等の決定を申し立てない場合に、ここで被害者に対して処分結果を通知すべきだと私は思うんですけれども、それがこれに盛り込まれておりません。どうしてでしょうか。
○古田政府参考人 ただいまお尋ねの件につきましては、これは刑事事件の処理をした後になるわけでございますが、その刑事事件の処理に関しまして被害者通知制度というのを設けて、これによって、特に御希望のある方を中心として通知をしているわけでございます。ただいまお尋ねのような場合には、その制度によって対応することになると考えております。
○佐藤(公)委員 じゃ、同じようなことで、第五十一条の退院許可とか医療終了の場合、被害者に対して決定の結果をここでも通知すべきだと思いますが、同じようなことでしょうか。
○古田政府参考人 今お尋ねのような御意見もあろうかとは存じますけれども、やはり一番重要なポイントは、この対象となる人について、どういうことでどういう処遇が決められるのかということがまず一番重要であろうと考えるわけでございます。
 それによりまして、以後、それに従った処遇が行われていくわけでございますが、その後の過程は、これは基本的に本人の社会復帰ということを重視しなければならないものでございまして、先ほども申し上げましたように、いろいろな、プライバシーとかそういうことにかかわることも非常に多い問題でもあり、最初の処遇の決定、そこの手続が終わった後は、基本的に対象者の社会復帰を重視して考えさせていただくようにしたい、そういうことでございます。
○佐藤(公)委員 じゃ、もう一つ。第九十九条の第三項なんか、行方不明になった場合でも被害者への連絡を必要になすべきではないかということも、ここもそう思うわけでございますけれども、これから法務大臣厚生大臣に聞かせていただきますので、聞いておいてくださいませ。
 私が言いたいことは、今こうやって指摘をさせていただいたことは、一般犯罪に比べてなぜここまで被害者に配慮するのかというようにお思いになる部分もあると思います。という問題もありますが、一般犯罪に比べると、重大犯罪を犯しながら社会内処遇で処理されるケースが多いと思われること、法律目的に照らしても、被害者に配慮してこそ対象者の社会復帰促進に資するということがその根拠となっていく。とても被害者のことを気遣いながら社会復帰促進に関して考えていく。その被害者というものに関して、これをもう少し考えていくべきところが幾つかの箇所であるのではないかと思います。
 被害者に対して、被害者の権利または被害者の権利保護ということでも、いろいろなところで議論がありますけれども、法務大臣、今回の法案に関して、被害者に関する配慮というか、被害者に関するものを前提にした気遣いの中での社会復帰促進というものを考えていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○森山国務大臣 この法律による新たな処遇制度におきましては、重大な他害行為が行われた後、検察官の申し立てによって行われる審判につきましては、裁判所が被害者等の申し出によりその傍聴を許すことができることとするとともに、決定の内容等を被害者等に通知することとしておりまして、被害者等の心情にも十分配慮したものとしているところでございます。
 また、本制度においては、継続的な医療を行わなければ心神喪失等の状態の原因となった精神障害のためにその者が再び重大な他害行為を行うおそれがあると認められるか否かを判断するに当たりまして、その者によって行われた重大な他害行為の内容も重要な考慮要素の一つとしております。当該行為の動機、態様、その者と被害者との関係等の事実につきましても、処遇の要否、内容の決定に当たって当然考慮されることと考えます。
○佐藤(公)委員 同じ質問を厚生労働大臣に。
 今の質問に関して、ちょっとわかりにくい部分もあり、また担当分野外のこともあるかもしれませんが、やはり私は、被害者という方をもう少し意識した、また考えた法律であるべきことという考え方というのが大事だと思うんですけれども、厚生労働大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 被害者のことにつきましても十分配慮をしなきゃならないという委員のお気持ちは、私もよくわかるわけでございます。
 ただ、それは司法全体の中でお考えをいただくことであって、いわゆる重大な過失を犯しました方々に対する、再びその人たちが同じようなことを起こさないようにするというその一点に絞りましたこの制度の中ではなかなか考えにくい。もっと幅広く全体の中で考えていただくべきものと思います。
○佐藤(公)委員 もう最後になりますのであれですけれども、私は、その一点に絞った、再犯のおそれということに関しての判定基準ということがどうしても、幾ら聞いてもよくわからない、かみ合わない部分が多い。ここをかみ合わせるともっといい議論ができるんじゃないかなというふうに私は思います。ここら辺のあたりをもう少し厚生労働大臣の方でもいろいろと見ていただき、議論をかみ合わせるようにお願いをさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。