心神喪失者等医療観察法の条文・審議(その63)

前回(id:kokekokko:20060309)のつづき。
前回にひきつづき、法務委員会での審議です。
【井上委員質疑】

第156回参議院 法務委員会会議録第16号(同)
井上哲士君 日本共産党井上哲士です。
 日精協の政治連盟から参考人出席を、私も今日求めましたけれども、残念ながら参加をいただいておりません。この法案が金で動いたのではないかという疑惑の解明に必要な木村副大臣の昨年度の政治献金の報告についても出てまいっておりません。この間、様々な関係団体からも、国民からも疑惑の声が指摘をされまして、野党の側はいろんな努力もして、資料も突き付けてまいりましたけれども、結局、出した側からももらった側からも疑惑解明についての資料が出てこないと。出せないのか、正に疑惑が的中をしているのか、こういうことだと言わざるを得ません。
 この問題の徹底的な解明なしに法案の審議は終局をしないと、引き続きこの参考人の出席と資料の要求を最初に強く求めておきます。
 その上で、精神保健福祉対策本部の対策について、まず質問をいたします。
 この法案による新しい指定入院医療機関がいわゆる閉じ込めにならないようにするためには、地域のケアの充実が不可欠だということを繰り返し指摘をしてまいりました。厚生労働省は、受入れ条件が整えば退院可能ないわゆる社会的入院七万二千人について、十年間で社会復帰を図るということを言われました。新障害者プランの五か年目標というのが出ましたけれども、これではとてもその十年間の半分を達成できるようなものではない、関係団体からも大変目標の低さに失望の声が上がっていることも先日、指摘をいたしました。しかしながら、この低い目標すら一体達成できるのかどうかと、こういう問題であります。
 一昨日、六月一日付けの毎日新聞がこの問題で特集をいたしました。今年三月までの毎日新聞調査に基づきまして、四十七の都道府県と十二の政令市からの回答が掲載をされております。それによりますと、七割の自治体の精神保健福祉の担当者が、この十年間で解消するというこの目標については達成は厳しい、こういうふうに回答を寄せております。多くの自治体は予算、そして人手の不足をその理由に挙げているわけですが、こういう自治体からの反応をどのように受け止めておるのか、まずお願いをいたします。
○政府参考人(上田茂君) 我が国の精神保健、医療、福祉全般にわたる水準の向上を図り、条件が整えば退院可能なものであるとされている約七万二千人の方々の退院、社会復帰を促進することは極めて重要な課題であります。
 本年五月十五日に取りまとめました精神保健福祉対策本部中間報告におきましても、いわゆる社会的入院者対策を重点施策の一つの柱として進めていくこととしております。具体的には、新障害者プランにおいては、こうした方々の退院、社会復帰を実現することを目指し、ホームヘルプサービスグループホーム、あるいは社会復帰施設の数値等の目標を設け、整備を図っていくこととしております。
 ただいま御指摘ございました毎日新聞の調査に関しまして、その詳細は存じ上げませんが、いわゆる社会的入院者を十年で社会復帰させるという目標は種々困難もあろうかと思いますが、厚生労働省といたしましては、新障害者プランに基づき、省を挙げて全力で取り組んでいく所存であり、引き続き自治体の御理解、御協力を求めてまいりたいというふうに考えております。
井上哲士君 省を挙げてというのがお好きなようでありますけれども、現実の現場である自治体がとてもできない、予算も人手も不足だということを言っているんですね。
 今、理解を求めたいと言われましたけれども、それじゃ聞きますけれども、厚生労働省として、この達成のために何が必要か、自治体からの具体的な要望というのは聞いておられるんでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) いわゆる社会的入院者の社会復帰を進めるためには、地域の実情を踏まえた施策を効果的に推し進める観点から、地方自治体の方々の御意見を伺うことが大変重要であるというふうに考えております。このため、全国衛生部長会議等の機会における施策に関する意見交換ですとか、あるいは社会保障審議会障害者部会精神障害分会の委員に地方公共団体の代表者を加えております。また、大阪府における退院促進支援事業等、地域において独自に行われている施策についての事情聴取、こういう取組を行ってきたところでございます。
 引き続き、地方自治体の方々からの御意見を伺いながら適切な施策の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
井上哲士君 会議で意見を聞いたということでありますが、じゃ、あの五か年目標で出されているような様々な数字、それぞれの自治体でどれぐらいが必要なのかとか、こういう積み上げの数字などは出てきているんでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) それぞれの地方自治体の考え方を踏まえながら、この新障害者プランの目標を設定したところでございます。
井上哲士君 具体的なものはないんですよね。
 この毎日でも、五月の中間報告には目標達成のための年次計画さえ盛り込まれていないと、こういう指摘をしておりまして、現場である自治体との調整もせずに数だけが出ていると言わざるを私は得ないと思うんですね。
 例えば、具体的に聞きますが、この退院促進支援事業というのが打ち出されました。最初の予算は全国十六か所で四千四百万円、一か所当たりの補助金が二百七十五万円にすぎません。これは自治体からは、国の補助金が少なく一部地域でしか行えないと、こういう声が上がっておりますけれども、この声にはどうこたえるでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 精神障害者退院促進支援事業は、精神科病院に入院している精神障害者のうち、症状が安定しており、受入れ条件が整えば退院可能であるものに対し、作業所等の活動の場を確保し、医療機関と協力し退院訓練を行うことによりまして、精神障害者の社会的自立を促進することを目的としまして、平成十五年度から開始したものでございます。今年度は十六か所において実施することとし、現在、各県からの要望を聞いているところでございます。
 今後は、先ほど申し上げました本部の中間報告に示すとおり、全国への拡充を今後検討してまいりたいというふうに考えております。
井上哲士君 今年からスタートするということでありますが、十六か所、本当に少ないところからのスタートでありますし、先ほども紹介しましたように、これでは一部地域しか行えないという声が上がっているんですね。ですから、十年間で解消していく、こういうことは言われますけれども、実際には一つ一つの施策はとても間尺に合わないものにすぎないというのが実態だと思います。
 さらに、私は精神科医療の専門家の方のお話を聞きますと、この厚生労働省の精神保健計画について、発病した患者の対策しかないんじゃないかと、それが最大の欠点だと、こういう指摘もいただきました。中間報告も同様でありまして、冒頭のところで、「精神疾患は、誰でも罹る可能性のある疾患である」と、こう始まるんですが、すぐに、精神科病棟においては云々と、発病した患者の治療、処遇に入ってしまうわけですね。自分が精神障害に掛かっていると気付かない、いわゆる病識欠如と言われる方の対策がないんではないかという指摘があります。
 例えば、家庭の中で我が子が精神病ではないかと疑う親が保健所に相談に行きますと、本人連れてこないと駄目だと、相談できないということで門前払いをされるという例もある。言わば、発病し掛かっている患者予備軍とも言われる人を保健所が早期に見付け相談に乗るとか、そういう言わば病識欠如の人も含めた広い対策が必要ではないかと、こういう指摘がありますけれども、この点どうでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) ただいま議員御指摘のように、地域における精神保健福祉対策の充実を進めるに当たりましては、既に受診している者のみならず、新規に発症した患者についても、早期に適切な医療を受け、早期の回復を図れるようにすることが重要でございます。
 このため、平成十四年度から実施しております二十四時間医療相談事業については、既に医療機関を受診している者以外にも利用できるように、窓口の電話番号等を一般住民に広く周知することを実施主体であります都道府県等に求めているところでございます。
 また、ただいま議員からもお話ございましたが、保健所や精神保健福祉センターにおける精神保健福祉相談等によりまして、医療機関に受診していない者も含めた地域住民からの相談に対応しているところでございまして、今後ともこのような普及啓発、相談事業の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
井上哲士君 対応に努めているということでありましたが、大変不十分なのが実態であります。
 今もありましたけれども、この点で非常に大事なのが、二十四時間、だれでもいつでも相談できる相談体制の充実が大きな柱の一つになります。かなりのものについては、電話で相談するだけで解決をすることができる。独りで孤立をしている障害者の方などの心を落ち着けたり、随分、力を発揮しておりますし、必要な場合には初期医療にさっとつなげることができる重要な施策でありますけれども、この二十四時間相談体制、一体今どの程度整備をされているでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 精神障害者が地域で安心して生活できるような支援体制を作る上で、夜間、休日にも利用ができ、また重症例だけでなく幅広いニーズに対応できる精神科救急医療システムの整備は重要な課題と認識しております。厚生労働省におきましては、平成十四年度より精神科救急情報センターにおきまして二十四時間相談事業を開始し、精神障害者及び家族等から眠れない、あるいは不安なので夜、受診できるところを教えてほしい等々の救急医療相談のニーズにこたえる体制整備を図っておりまして、平成十五年四月一日現在では十七の都府県、指定都市で実施されているところでございます。
 今後とも、精神障害者の地域生活を支援する観点からも、この事業の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
井上哲士君 まだ十七の都府県と政令市にすぎないということでありましたが、非常にまだわずかだと思うんですね。なぜ進んでいないのか、どうこれを全国に広げるのか、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) これまで重症例を中心とした救急医療システムについては平成七年度から実施しておりまして、そして、ただいま申し上げましたこの精神科救急情報センターにおける二十四時間の相談体制、十四年度から実施したところでございます。しかしながら、こういった言わば初期救急、だれでも気軽に相談できる、そういう体制は非常に重要でございますので、現在は確かに十七か所でございますが、今後その拡充に努めてまいりたいというふうに考えております。
井上哲士君 その拡充のためには何が必要でどう強化をされようとしているのか、もう一度お願いします。
○政府参考人(上田茂君) こういった事業を進めるためには、夜間、休日、そういった相談体制でございますから、人の確保ですとか、あるいは医療機関等関係機関の協力等が重要になってきておりますので、そういった観点から、都道府県へ強く働き掛けながらそういった体制をできるだけ幅広く実施できるようにしてまいりたいというふうに考えております。
井上哲士君 少しも具体的に見えてまいりません。
 もう一点聞きますけれども、行政がやる相談活動というのはやはりなかなか敷居が高いという声もあります。共同作業所の全国連絡会、きょうされんの関係者や当事者団体を始めとしたNPOなどが行う相談活動、ピアサポートなど、こういうものを大いに援助することも必要だと思うんですが、その点はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) ピアサポート、ピアカウンセリングなど当事者同士の相談援助活動は、精神障害者の地域生活を支援するとともに、精神障害者の社会参加を図る上で重要なものであるというふうに認識しております。
 このため、平成十五年度予算において、都道府県、指定都市が実施します障害者社会参加総合推進事業、このメニュー事業の一つとしまして新たにピアカウンセリング事業を盛り込んだところでございます。
 さらに、先ほど来申し上げておりますが、精神保健対策推進本部の中間報告においてもピアサポート、クラブハウス等の当事者活動等の支援を盛り込んだところでありまして、今後ともこれらの活動に対する支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
井上哲士君 こういう救急相談や医療を拡充を進めるという問題と、地域での働く場、生活の場の確保が不可欠であります。
 障害者対策の中でも精神障害者対策への予算が非常に少な過ぎるということが指摘をされてまいりました。身体障害者三百五十一万人、知的障害者四十五万九千人に対し、精神障害者二百四万人。人数比でいいますと身体と知的を合わせた数の約五割程度でありますが、予算配分は非常に少ない。例えば、授産施設で見ますと、身体障害者授産施設は六十七か所、一万八千八百九十五人、百六十七億円、知的障害者の場合は千百八十六か所、五万八百八十一人、五百四十九億円、合わせますと七百十六億円ですが、精神障害者授産施設の場合、二百八か所、四千九百四十一人、五十一億円。ですから、人数でいいますとほぼ五割ですが、予算でいいますと一割にも満たないという状況があります。やはり、入院、閉じ込めを中心にしてきたということの結果でもあり、原因でもあると私は思います。
 当事者の皆さんからも、せめて身体障害者知的障害者並みに予算配分の充実をしてほしいと、こういう強い声がありますけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 精神障害者の社会復帰を推進することは大変重要な課題と考えており、従来から住まいの確保、生活訓練の実施、居宅生活支援等の施策を推進してきたところでありますが、御指摘のように、他の障害者施策と比較しても地域生活を支える福祉施策の面でいまだ十分と言えない状況にあることは認識しております。
 こういった状況を踏まえ、厚生労働省におきましては、精神保健福祉施策の計画的かつ着実な推進を図るため、省内に設置しました精神保健福祉対策本部において検討を進めてきたところでありまして、今般、精神保健福祉に関する普及啓発、病床機能の強化、地域ケア体制の整備等の精神医療改革、そして住居や雇用・相談支援機能などの地域生活支援、そしていわゆる社会的入院者対策、こういったことを柱とする中間報告をまとめたところでございます。
 今後、ここで示した方向に沿いまして、直ちに着手できる事項から順次実施し、精神保健福祉の充実向上に省を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
井上哲士君 本当に充実向上に省を挙げて取り組む状況になっているんだろうかと私は思うんですね。
 精神障害者の社会復帰施設等の市町村別の設置率を見ますと、全国で設置されている市町村はもう一〇%程度しかありません。こういう現状の中で、大変大きな役割を発揮しているのが民間の共同作業所でありまして、全国で六千か所以上作られております。
 障害者が地域で生活をする上でのこの共同作業所、ここが果たしている役割についてはどう認識をされているでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) ただいまお尋ねのいわゆる小規模作業所でございますが、家族会などによる自主的かつ地域に根差した取組として創意工夫を凝らした活動を展開しておりまして、障害者の自立やあるいは社会参加の促進を図る上で重要な役割を果たしていると認識しております。
井上哲士君 私、精神病院に二十回も入退院を繰り返した女性の記事を読む機会がありました。こう言われていますね。
 鉄格子にはまった閉鎖病棟で、両親と面会するときも職員の監視付き、医者の診療は週一回一分しかなく、看護婦も忙しいときは話を聞いてくれない、療養の場ではありませんでしたと、こう語っていた女性の症状が収まったのは地域の作業所に通い始めてからだと、こういう記事なんですね。入院するたびに絶望感でうつ状態になり、退院後は一か月も何もできず苦しかった、作業所の友人や指導員の励まし、家族の愛情が支えになったと語って、御本人が障害者の連絡会で同じような悩みを持つ方の電話相談に当たっていらっしゃるんですね。
 ですから、このように共同作業所は働く場であると同時にケアの場でもあるし、相談の場になっている。ある意味では行政がやるべき施策もやっているわけなんですね。こういう施設が本当に地域に網の目のようにできる、それでこそ不幸な諸般の事件もなくすことができるだろうし、不幸な事件を起こした方も安心して社会に帰ることができる、こういうものだと思うんです。
 ところが、この共同作業所の一か所当たりの補助金はわずか百十万円でありますが、この補助金が昨年度は三十億六千四百万円でしたが、今年、今年度初めて減額をされました。二十七億五千八百万円になりました。先ほど重要な役割を認識していると言われましたけれども、予算上は全くこれは逆行しているんじゃないですか。いかがですか。
○政府参考人(上田茂君) 国庫補助により小規模作業所の運営を支援しているところでございますが、この補助金につきましては、民間団体への補助であるために、平成十四年八月七日に閣議了解されました「平成十五年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」、ここにおきまして一割相当を削減することとされたことから、平成十五年度予算におきましては補助対象箇所数を一割削減したところでございます。
 しかしながら、一方では、こうした小規模作業所のより安定的な経営を確保するために小規模通所授産施設への移行を積極的に進めているところでありまして、法人格を取得して運営される小規模通所授産施設に対し、運営費につきましては一か所当たり年間一千百万円、そして整備費につきましては、施設整備費が二千四百万円、設備整備費が八百万円、この額を一か所当たりの上限としまして国庫補助を行っているところでございます。
 また、十五年度予算では、この小規模通所授産施設の運営費について、三百九十七か所増の六百三十七か所、額としまして三十五億を確保したところでございます。
井上哲士君 六百三十七か所と言われましたけれども、全国のいろんな作業所、六千か所を超えるわけですから、その一割にすぎません。
 新しいそういう施策を作ったことと、だからこの共同作業所への予算を減らすということはあってはならないことだと思うんですね。元々、全国で六千か所以上あるこの共同作業所の半分の二千七百八十五か所しか補助を受けておりませんでしたが、その一割を一律にカットするという本当にひどいものです。実際は毎年、今も増え続けているんですね。ですから、新しい制度を作ったと言いますけれども、そこに移って減っているんじゃないんです。毎年毎年増え続けている。それだけ今必要とされているものを一割カットをする。大体、年間で千二百万から千三百万円の運営費が掛かりまして、この百十万の補助金というのは実に貴重なものなんですね。補助金を削除されたことによりまして、職員をパートにしたり、楽しみにしている行事を削減したり、いろんな苦労をされております。
 そういう共同作業所の皆さんが補助金削減の下で苦労されている、そういう実態についてはどう把握をされていますか。
○政府参考人(上田茂君) ただいま議員の方から小規模作業所につきまして様々な御意見があることにつきましてお話しいただいたわけでございます。また、私どもも、小規模作業所につきましていろんな御意見がございます。
 したがいまして、この小規模作業所への支援の在り方に関しましては、関係団体等の意見を聞きながら十分な検討が必要であるというふうに考えております。
井上哲士君 その関係団体がこんなことでは困るということで怒りの声を上げているんですよ。
 大体、出発点は小泉総理の掛け声の中で今度のこの法案の仕組みが作られました。重大な他害行為を行った精神障害を持つ人の社会復帰を言って、一方では大きなお金を掛けて手厚い医療のための施設建設は進めると。その一方で、本当に今地域で求められているこういう作業所のわずかな予算も削ると。これでは問題の解決の逆行にしか私はならないと思うんですよ。その点いかがですか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 今後の精神保健福祉医療施策につきましては、これまで入院医療主体から地域における保健医療福祉を中心とした在り方への転換を促進することとしております。
 十五年度予算におきましては、厚生労働省の全体の予算の伸びが三・八%でございますが、ホームヘルプサービスグループホーム等、在宅福祉サービスに必要な経費として二十六億七千八百万円、これは四二・四%の増、また地域生活支援センター等の社会復帰施設の運営費に必要な経費として百七十九億二百万円、これは対前年度比一九・七%の増、また精神科救急システム整備事業としまして二十一億四千二百万円、対前年度比七・八%の増、このような形で精神障害者の地域生活を支援するためのこういった事業の充実を図るための予算を確保しているところでございますが、今後ともこのような福祉施策等の事業の必要な額の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
○委員長(魚住裕一郎君) 時間ですが。
井上哲士君 いろんな数言われましたけれども、先ほども言いましたように、本当に全国で厳しい中で支えているこの共同作業所への補助を削っておいて、これでは本当に地域の復帰ということは、とてもできるものじゃありません。予算という点でも、自治体のいろんな裏付けという点でも、早期退院や社会復帰を図る、こういう方向が見えてこないという中で、結局、新たな入院機関が閉じ込めになるだけではないかという懸念は一層強まるばかりだと思います。
 そういう点も含めまして、引き続き連合審査等も含めた徹底した審議を求めまして、質問を終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
【略】

【平野委員質疑】

第156回参議院 法務委員会会議録第16号(同)
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、青木幹雄君が委員を辞任され、その補欠として森元恒雄君が選任されました。
○委員長(魚住裕一郎君) 休憩前に引き続き、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案、裁判所法の一部を改正する法律案、検察庁法の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
平野貞夫君 厚労省の政府参考人の方は。──恐縮ですが、質問の通告をしていないんですが、お分かりならば説明していただいて、用意がなければ次回で結構でございますから、問題として提起しておきますので。
 平成十五年度の心神喪失者等医療観察法関連の予算として約三十六億円が計上されていると思いますが、この中で約三十五億円ですか、三十四億九千万円が心神喪失者等医療法案に基づく指定入院医療機関の整備という項目で付けられていると思うんですが、これは新しい施設というか病院を造るんですか。それとも、どういう予算の使い方を考えているんでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) これは新しい病棟を整備するものでございます。あくまでも病棟でございます。
平野貞夫君 そうすると、どこか国立病院の施設の中か何かにその病院とは離して、これは金額からいってあれですか、いろんな幾つかある国立病院に幾つかずつ増やすのか、まとめて造る経費なのか。
○政府参考人(上田茂君) これは、国立病院、都道府県立病院の、その病院の敷地の中の一部門として、それぞれ各病棟がございますが、そのうちの一部門としてこの病棟を整備するものでございます。
 それから、今回、これまでもお話ししておりますが、今後、八百から九百床程度を整備するということで、十五年度にもこのような指定入院医療機関の整備費として三十五億計上いたしておりますし、今後、整備してまいりたいというふうに考えております。
平野貞夫君 その病棟の造り方なんですけれども、この三十五億というのは一か所の金額ですか、ばらした金額なんですか。何か所の金額ですか。
○政府参考人(上田茂君) これは八か所でございまして、そして整備も十五年度だけでなく、やはり十六年度ですから、ですから全体の中の一部でございます。いずれにしましても、八か所の整備をこの予算の中で計上しているところでございます。
平野貞夫君 この病棟の造り方というのが非常に大事だと思うんですが、何か構想はされていますか。
○政府参考人(上田茂君) 病棟につきましては、閉鎖病棟ではございます。そして、全室原則個室ということでございますし、それからやはり療養環境ということで幅広いスペースというようなことも配慮しております。
 もちろん、構造的にはそういった施設でございますが、運営につきましては、これまで来、できるだけ開放的ということで、当初の急性期の部分については行動制限というような部分がございますが、病状の改善に伴いながら、外出ですとか、あるいはもちろん面会ですとか、そういう意味でのできるだけ開放的な処遇にも心掛けながら、できるだけ早期の社会復帰を目指すことを考えております。
平野貞夫君 お医者さんとばかりじゃなくて、やっぱりいろんな人の意見を聞いてほしいんですがね。一部の見方といいますか、によりますと、今のお話のようなものではなくて、周りに堀を掘るとか、あるいは塀を非常に高くついて隔離したり、かつてのハンセン療養所みたいな、そういうものも造られるんじゃないかという危惧もあるんですが、そういう点についてのことはございませんですね。
 ちょっと確認したいんですが、そういう人権を、人権を迫害するようなそういう施設ではないということを言えますね。
○政府参考人(上田茂君) はい。人権については十分尊重しながら進めていきたいと思っておりますし、それからまた、先ほど申し上げましたように、そういう患者さんの治療、そしてそういう安全ですとか、いろんなこともバランスを考えながら今後進めていきますが、これから具体的には進めていくところでございます。
平野貞夫君 まだこの法案、成立するかどうか分からぬというところでございまして、私個人としては余り成立させたくない法案なんですが。まあ分かりました。予定している質問から入りたいと思いますが。
 日精協が平成十年一月二十九日に政府、これは当時は厚生省だと思いますが、厚生省に触法精神障害者対策についての要望を行っていますが、その内容を厚労省、どういうふうに承知していますか。
○政府参考人(上田茂君) ただいま先生お尋ねの平成十年一月二十九日の日精協「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律改正に関する要望」、この要望につきましては、いわゆる触法精神障害者対策について、日本では世界の先進諸国に見られるような専門的な法制度が充実しておらず、措置入院制度での対応は限界にさらされているとして、精神保健福祉法措置入院制度の中に触法精神障害者に対する特別な措置入院制度を設けることのほか、精神科救急医療体制の法定化や社会復帰施策の見直しなど、平成十一年に予定されていた精神保健福祉法改正に向けて様々な提案を盛り込んだものとして理解しております。
平野貞夫君 今の説明によりますと、名前は違いますけれども、特別措置入院、そういったことに関連しては、現在のこの付託されている審議中の法案との、同じものというか、あるいはその主体を成すものだと、要するにこの法改正の要請が最近ではスタートだというふうに考えますが、これは厚生大臣になされたんですかね、要望というのは、政府には。
○政府参考人(上田茂君) 当時の「厚生大臣小泉純一郎殿」ということで、厚生大臣あての要望でございます。
平野貞夫君 小泉厚生大臣は、直接、日精協の方にこのときに会っていますか。
○政府参考人(上田茂君) 承知しておりません。分かりません。
平野貞夫君 小泉さんは、当時、厚生大臣で、今、総理大臣なんですが、平成十二年には選挙の陣中見舞い百万もらっていまして、これも厳密な理論を言うならば、厚生大臣が要望を受けるというのは請託を受けたということになると思いますが、そして小泉総理大臣の名前でこの法律は国会に出されたわけでございまして、これも法律の専門家に吟味してもらわなきゃならぬ、法的責任が生ずるかどうかという問題でございますが、少なくとも道義的な問題はこれはだれも否定できないと思います。
 その指摘をしておきますが、この要望に対して政府はその後どういう対応をしましたか。
○政府参考人(上田茂君) こうした提案のうち、触法精神障害者対策については平成十一年の精神保健福祉法改正には盛り込まれませんでしたが、これは、この問題がかねてより長い歴史のある課題として司法と医療のはざまで積み残されてきた懸案であり、依然これを解決する機が熟していなかったものと理解しております。
平野貞夫君 そこで、私の調べたところによりますと、厚生省の事務当局は適当でないということで消極的だった。そこで、日精協は九月の二十五日、日にちが間違っていたら訂正してください、触法精神障害者の処遇の在り方ということについて、かなり政府及び与党に対して文句を、文句のある声明を出していると思いますが、この内容は分かりませんか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 これは、平成十年九月二十五日に出された日精協の触法精神障害者の処遇の在り方に関する声明は、いわゆる触法精神障害者の処遇について、民間病院では限界があり、何らかの対処がなされない場合には、検察官からの通報、保護観察所の長からの通報、矯正施設の長からの通報等による患者の受入れについて協力を見合わせることもあり得るというような内容でございます。
平野貞夫君 これは一種の政治的恐喝ですね。自分たちの言うことを通さないならば患者の受入れ拒否するぞ、その可能性あるぞという恫喝ですね。そして、その年になるか翌年になるか分かりませんが、自民党の中にプロジェクトチームができると。そして、平成十一年から日精協の政治献金が幅広く行われるようになるという動きだと思います。
 そこで、日精協は、精神科のお医者さんというのは非常に立派な人と、非常に何かいわゆる俗物といいますか、そういう非常に極端ですが、私も遠縁におるものですからよく分かるんですが。さて、そこで一つ、平成十二年にかけて総選挙、このときに大変な陣中見舞いを出すという中で、保岡議員なんかが私的勉強会を始めて、この日精協の政策要求を何か上手に政府の政策の中に入れ込もうとするというのがこの動きなんですが、そこで結構な金額の陣中見舞いをいただいた、昭和、十二年六月にいただいた。保岡さんが法務大臣になり、津島さんが厚生大臣になったと。そこで、その年の暮れに保岡さんの声掛かりで津島さんと打ち合わせして法務省と厚生省の合同研究会ができるわけですが、先般の法務省の話では、次の年、十三年の一月から協議が行われたということでございますが、保岡大臣と津島厚生大臣が話し合われたということは、これは個人的に話し合ったんじゃないと思うんですよ。当然、両省がかかわった上の話合いだったと思うんですが。
 再度お聞きするんですが、この両大臣の間でどのような協議が行われたんですか。法務省として掌握していること、あるいは当時の厚生省として掌握されていることがあれば御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(樋渡利秋君) 御指摘のように、この検討会の開催は平成十二年十一月、当時の保岡法務大臣と津島厚生大臣との間の合意に基づくものと言えますが、重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇の在り方につきましては、それ以前から両省の担当者において検討を行っておりまして、意見交換も行っていたものというふうに聞いております。
 つまり、法務、厚生、労働の各事務担当部局におきましては、平成十一年五月の精神保健福祉法の改正に際しての附帯決議を受けまして、精神障害に起因して重大な他害行為が行われることは極めて不幸な事態であって、このような精神障害者の処遇については医療と司法の両分野が互いに協力し合ってこれに対応することが重要であると考えられました。
 そこで、このような者の処遇の在り方につき両部局で検討を進めることが必要であるとの共通の認識に立ち、実際に両部局の担当者間において随時、意見を交換し、協議、検討を始めていました。それで、当時の保岡法務大臣におきましてもその必要性を十分認識され、議論を更に深めるためには関係者も参加する開かれた形式の合同検討会という議論の場を設定することが適当ではないかという御判断の上で、津島大臣とも相談されまして、これを踏まえて合同検討会が立ち上げられるに至ったものと承知しております。
 そういう意味では、保岡法務大臣は大臣の立場で津島厚生大臣とお話しになられて、そういうものを、開かれた検討会を開くように御指示されたものというふうに理解しております。
平野貞夫君 そこがなかなかやり方のうまいところでして、この附帯決議というのが問題なんですよ。我々ちょっと審議の中で苦しくなったらすぐ附帯決議というんですけれども、附帯決議で政府に要請して、政府がおっしゃるとおり努力しますと言えば、これは国会の要求ですから、個人の要求じゃありませんから、それは法務省も厚生省も、何といいますか、言い開きが何ぼでもできますわな。
 我々は、よく附帯決議については、こういう業界関係のことについては気を付けておかないかぬわけですが、もう一人、いわゆる、長勢さんが法務副大臣にたしか十三年の一月になる。長勢さんは四月の終わりごろ辞めるわけですが、この合同検討会に長勢さんがどのようにかかわったか。長勢さんから何か指示があって、あるいは意見があったかなかったか。それから、長勢さんには事務当局はこの合同委員会のことについてどのような報告をしたか、していなかったか。そこら辺分かったら御説明ください。
○政府参考人(樋渡利秋君) 私の前任の当時の刑事局長、それから当時の審議官、課長等に聞いたところでございますが、この合同検討会につきましては、当時の長勢副大臣に対しましては、このような検討会を開催することについては御報告をしておりましたが、これに対して長勢副大臣からは特段の御質疑はなかったというふうに聞いております。
平野貞夫君 刑事局長をやっている方が言う話ですから、それは本当だと信用しますが、しかし長勢さんはこの精神病院関係者との関係が非常に深くて、この問題に強い関心を持っていたわけですが、そこで、その平成十二年の総選挙の際にも六月に三百万という陣中見舞いをもらっておる。これは日精協の中では一番金額の多い額なんですが、当然、日精協としてはいろいろ思い、思惑のある金だと思います。陣中見舞いの金の性格というのはひとつ議論のあるところですが、一応、届出をされていますから、そういう意味での届けという手続での法的な問題はないと思いますが、しかし長勢さんは副大臣を辞めて十日後、すなわち五月、十日じゃありません、二十日後の五月十六日に衆議院法務委員会でこの合同検討会が議論していた話、すなわち触法精神障害者の問題についてかなりポイントとなる質問をしております。
 そこで、国会のこの委員会、委員が委員会の質疑の場を使っていろいろ問題を起こす、贈収賄等を起こすケースというのは間々あるんですが、類似の問題として、これは昭和五十六年ごろだったと思いますが、起こりました撚糸工連汚職事件というのがございます。衆議院の商工委員会の質疑の中で繰り広げられた問題で、一審有罪、二審ひっくり返って、たしか最高裁で元へ戻ったというケースなんですが、このときの横手衆議院議員を起訴した起訴理由を教えてくれませんか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 起訴理由といいますか、起訴した内容ということだろうと思うのでありますが、御指摘の事案の公訴事実の要旨は、被告人は昭和五十七年八月上旬ごろ、日本撚糸工業組合連合会の理事長及び専務理事から、同月六日の衆議院商工委員会において行われる通商産業の基本施策に関する調査について質疑するに当たり、同委員会委員として通商産業省幹部に対し、同連合会が行う昭和五十七年度過剰仮より機共同廃棄事業の早期実施等、同連合会のため有利な取り計らいを求める質問をされたい旨の請託を受け、その謝礼としてその前後に現金合計二百万円を収受し、もって自己の職務に関して収賄したというものであると承知しております。
平野貞夫君 このとき事件のポイントになったのが、これは法律を作ることじゃなくて国政調査権で政府に行政措置を要求することでございましたんですが、仮より機という、いわゆる機織り機、これがもう使えなくなって政府が買上げするということなんですが、それを非常に有利に業者、業者側に有利にということを質問するわけですが、そのときに政府側が用意していた答弁は、今後検討してまいりたいという想定問答を、いろいろ言って、十分慎重に検討してまいりたいというふうに言わさせて、これがやっぱり贈収賄のいわゆる職務行為に当たっておるわけなんですよ。そういう事件なんです。
 そこで、その長勢委員がこの平成十三年五月十六日の衆議院法務委員会で何を質問しているかといいますと、これは答弁したのは古田さんですな、古田政府──あっ、あなた、上田さんだ、失礼しました。古田政府参考人に攻めておるわけですが、これ、刑事局長さんだったんですかな。
 精神障害者の犯罪の問題であると。えらい事件を起こした人はどうしておったといったら、何か病院におられたんだったけれども、いつの間にか出ていって何かしておるというようなことがよく議論になって、みんな不安に思っておると。前々からいろんな意味で議論された問題だが、精神障害者の犯罪に関してどういう問題意識を持っているかという質問から始まって、状況を政府側は、仮に社会の中で、これは政府側の意見ですが、答弁ですが、仮に社会の中で生活ができるということにまで回復いたしたとしても治療の継続というのが確保されていないと、また危険が生ずるおそれもある、そういうふうな問題をどう対応すべきかということが、現在検討しなければならない問題だというふうに政府側が答えて、それで長勢さんは、それじゃ不満だというんですよね。理論は正しいんだけれども、ありていに申し上げると、理屈は合っているけれども答えが違っているというケースが多いじゃないかと。
 そこで、日精協の要請のそのものなんですが、精神鑑定の実情なり、あるいは現場の検事さんの方のそういう方々に対する対応の状況なり若干改善すべき点もあるんではないかと、国民の常識に合ってないということを、というふうに怒って、そこで、それは二十日前まで副大臣やっていたから余り乱暴なことも言えぬと思いますが、何か保護観察的な司法制度の中での取組も併せてやらないと国民の不安というのは解消されないのではないか、是非早急に解決の方向を見いだしていただきたいと、強くこう言っておるわけなんですが。
 そこで、私は、この撚糸工連よりもっとたちの悪い、このときにはある自民党の議員が仲介に立ってそういう質問させるわけなんですが、この心神喪失者のこの問題は、政府をも附帯決議で無理に巻き込んで、消極的な政府をもこのハッパを掛けながらこういうふうに立法に持ち込んでいったという極めて政、官、業界ですね、精神病病院という、業界の結構たちの悪い行為、犯罪行為じゃないかと思います。
 その上に、率直に言いまして、我々、一生懸命質問しているんだけれども、この問題に対するマスコミの対応というのはごく一部の新聞以外は実にクールに扱っておると、ここら辺も後ろに何かあるんじゃないかと私は危惧するんですが。
 そこで、何よりも大事なのは、やはり平成十四年、昨年のこの日精協の政治連盟の金の使い方なんですよ。裏の金は分かりません。裏の金も相当予想されますが、やっぱり表の金を見れば裏の金の動きというのは推測できますので、是非やっぱり日精協からしかるべき人を、本当は証人ですよね、取りあえず参考人としてこの委員会に来てもらうこと、そしていろいろ言われている長勢さん、保岡さん、あるいは木村副大臣、そのほかのいろいろ疑惑を持たれている人たちのあかしといえばあかし、疑惑といえば疑惑をきちっとするまでこの法案は採決すべきではないと、是非ひとつ日精協政治連盟の平成十四年の収支報告と、その説明あるいはその資料でもいいですから、そういうものをこの委員会に出していただく、そういうことを委員長に強く要望いたしまして、質問を終わります。

【福島委員質疑】

第156回参議院 法務委員会会議録第16号(同)
福島瑞穂君 社民党福島瑞穂です。
 まず、冒頭に一つだけちょっと質問をいたします。人権擁護法案におけるメディア規制と関係があるかもしれないので、出てくるかもしれませんので質問させていただきます。
 五月二十九日付けで法務省入国管理局長が読売新聞東京本社編集局長あて抗議申入れ書を出しました。北元工作員難民認定へと題する記事が、事実に反し、かつ読者に誤った印象を与える憶測記事が掲載されており、極めて遺憾である、よって、速やかに同記事の訂正と謝罪を求めるとともに、今後このような誤った記事を掲載することのないよう厳重に抗議を申し入れると。
 この記事は誤っているのでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) ただいまお尋ねの件は、入国管理局長である私の責任で出したものでございますから私の方でお答えいたしますけれども、今般の抗議は、難民問題について報道を控えるようにというような趣旨ではなくて、あくまでも国民に対して事実に反し、誤った印象を与える記事が掲載された、そのことに対してけじめを付けた方がいいという判断で抗議を申し入れたものでございまして、表現の自由を侵害するとか、そういったものとは、そういうような意思は毛頭ございません。
福島瑞穂君 改めてお聞きしますが、この記事は誤っているのですか。
○政府参考人(増田暢也君) 委員の御質問が個別の案件で新聞報道に出ているような審査経過であるのかというようなことをお尋ねだとしますと、私どもは、個々の認定申請につきましては、申請があったかどうかも含めて、従来から、申請者やその家族の生命、身体を守らなければいけないという観点でお答えを差し控えさせていただいているわけでございます。
 したがいまして、ただいまのお尋ねにつきましても、その記事に出ている案件が本当に審査の対象になっているのかを含めてどうもお答えしにくいところではございますが、ただ、お尋ねですのでその限りで申しますと、少なくともその記事には、ある人物について法務大臣が近く難民認定すると、そういうことが書かれておりました。それは、近く難民認定という事実は決まってもいないことであって、そのような事実はないということでございます。
福島瑞穂君 大臣の記者会見等の記事を見ておりますと、間違っているというふうにかっちり判断されていらっしゃるのかどうか、その点がちょっと分かりませんでしたので、メディア規制になるかどうかも含めてちょっと質問をさせていただきました。将来、この心神喪失者処遇法案は、未来はだれにも分からないというのが一つのキーワードだと思うんですが、この人が将来、この難民認定が真実になるかどうかはちょっとまだ分かりませんけれども、経緯を見守らせていただきたいと思います。
 では、本題に移ります。
 先日、再犯率のことで質問をいたしました。再犯率について質問するのはおかしいというふうにも思われます。つまり、再犯率が仮に高い人たちがいたとして、であるならば、なぜ隔離収容の対象になるのかというふうになりますので、再犯率そのものを問題にするのは非常に危ない、危険、問題であるとも思います。しかし、どう調べても、いわゆる精神障害者の人たちの再犯率は高くないんですね、一般の人に比べて。はっきり言うと低い。であるならば、一般の人は、一般の人たち、一般というのも変ですが、再犯率が高いから収容しますと言われれば、だれだって怒り狂うでしょう。だとすれば、再犯率が一般の人よりも低い人たちがなぜこのような法律を作られなければならないのかと思います。
 手元に「精神経誌」、精神に経済の経に雑誌の誌、一九九八年百巻十一号、東京医科歯科大学の山上教授が触法精神障害者をめぐる諸問題として論文を書いていらっしゃいます、彼はこの審議会のメンバーでもありますが。
 殺人、精神障害者六・八%。彼は触法精神障害者と一般犯罪者の再犯の比較を十一年間追跡調査の上、していらっしゃいます。殺人、精神障害者は六・八%、一般犯罪者は二八%。放火は、精神障害者は九・四%、一般犯罪者は三四・六%。明らかに、この山上教授の追跡調査によりますと、精神障害者の人たちの、例えば放火ですと四分の一ぐらいになっておりますので、大変低いんですね。この事実をどういうふうに考えられますでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 確かに、山上教授のお調べになったところで、今、委員の御指摘になったような数字がその研究の結果として発表されていることは、これは事実でございます。
 しかし、といいますか、御指摘の山上教授らの調査結果は、これは昭和五十五年に不起訴処分又は裁判において心神喪失者等と認められた者の平成三年までの十一年間の再犯率と、昭和五十五年に殺人により有罪判決を受けた一般の犯罪者の一部の者のそれとを比較したものでございますか、放火も同じでございますが、一般の犯罪者につきましては、心神喪失者等と異なり、起訴猶予との処分をされた者が全く含まれていないことなど、この両者を単純に比較することは必ずしも適当ではないと考えられます上に、この調査結果にも記載されておりますとおりに、一般の犯罪者が再び犯した犯罪は、その多くが覚せい剤取締法違反その他の比較的軽いものでありまして、凶悪犯罪の再犯に限って見れば、これは殺人を例に取っておりますが、両者の間にそれほどの差はないとの結果であったというふうに書かれております。
 それやこれやあるわけでございますが、そうではありましても、要は、私どもは心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者につきまして、その精神障害が改善されないまま再びそのために同様の行為が行われることとなれば本人の社会復帰の重大な障害となりますことから、国の責任において手厚い専門的な医療を確保し、その円滑な社会復帰を促進することが特に必要あると考えて本法案を提出した次第でございます。
福島瑞穂君 例えば、一般の人で覚せい剤をやる人の方が物すごく再犯率が高い。一般の人の再犯率の方が精神障害者の、まあ統計の取り方は今るるおっしゃいましたが、この論文を隅から隅まで読んでも、精神障害者の人の方が低い。特に、この法案で問題になっている殺人、放火などはとても低いわけですね。だとすれば、そもそも立法理由、こんな法律を作る必要があるのかというふうに思いますが、いかがですか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 従来からお答えいたしておりますとおりに、例えば委員が今おっしゃいましたように、再犯率が高いとか低いとかということで危険だとか危険でないとかということを考えて、その人たちを保安処分として入れよう、あるいは刑罰として刑務所に入れようということを考えているのではなしに、何度も繰り返しますように、こういうふうな、省略いたしますが、二重のハンディキャップを負った方たちにこのような同様の行為を繰り返すことなく社会に復帰していただくために治療を受けていただこうというのが本法案の趣旨でございます。
福島瑞穂君 そんなに本人のためというのであれば、選択制にすればいいと。意に反して拘束されるのはどんな人にとっても最大の苦痛だろうというふうに思います。
 次に、今日、残念ながら、日精協の方が来られないということについて非常に残念です。私もいろいろお聞きをしたかったですし、日精協の方を必ず参考人と、まあ何らかの形で質問できる機会を保証してくださるように私からもお願いいたします。また、資料が十分出ていないことについても、今後、委員会の中で出していただくように要求をしたいと思います。
 その日精協のことですが、この法案には日精協の意見や要望がどの程度、どのような形で反映されているのでしょうか。それは、法案賛成という結論のみならず、基本的な考え方や制度の内容にまで影響を与えるものであるのでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) お答え申し上げます。
 現在、こういった対象者につきまして措置入院制度で多くが医療が行われているわけでございます。そういった中で、医療関係者がその医療あるいは退院あるいは等々につきまして大変苦労がされているわけでございます。こういったようなそういう医療の状況についての、状況からこういった今回の法案についての賛成というような声が私どもに、伺っているところでございます。
福島瑞穂君 その点との関係で、他の精神科医や精神医療現場の意見や要望はどのような形で反映されていますか。反映させるような努力が実際になされたのでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 今回のその法案につきましては、これまでも御説明申し上げておりますが、法務省との合同のそういった打合せ、あるいは自民党、与党のプロジェクト等々、その際に関係者が御出席されいろいろな御意見が出されているわけでございます。そういった幅広い御意見も伺いながら今回の法案提出に至った経過がございます。そういう中で関係者等のお話を伺っているところでございます。
福島瑞穂君 同僚委員等の質問でも、こういう言い方良くないかもしれませんが、プロジェクトチームや様々なかかわった人たちというのは、かなりたくさんの方が政治献金を受けていると。そうしますと、日精協の意向に沿うような形でこの法案が審議されたのではないかというふうに疑惑も感じるところであります。
 ところで、日精協は、七万二千人の社会的入院の解消という方針自体に反対の態度を示しているやに考えられますが、この法案の立案者はこの点をどのように評価をされますか。社会的入院の解消についての立法者の基本的な考え方をお聞かせください。
○政府参考人(上田茂君) 私ども、精神保健福祉対策本部の中間報告でも、普及啓発、精神医療改革、地域生活の支援、そして受入れ条件が整えれば退院可能な七万二千の対策、こういった中間報告をまとめました。そして、この報告の内容につきましても、当然これは幅広く関係者にも我々の考えをお示ししているわけでございますが、日精協におきましてもこの七万二千の退院につきまして御理解をいただいているところでございます。
福島瑞穂君 七万二千の、明記するかどうかについては、かつて朝日委員がこれを明記しないでほしいという日精協の申入れがあったことを上田部長との質疑の中で明らかにしていますが。
 ところで、昨日の連合審査会で閉鎖病棟における開放処遇ということが問題になりました。閉鎖病棟における開放処遇というのはもう概念矛盾ではないかと。開放というのは、まあ開放刑務所がそうですが、外に出られる、外出ができる、塀がないということを通常、開放というのであって、完璧に隔離の収容して、外に出られない、自由に出入りできなくてどこが開放的処遇なのかやはり私には分かりません。そこはいかがでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 昨日、ただいま先生の御質問に十分お答えできず大変失礼いたしました。改めて、御質問いただきましたので、御説明を申し上げます。
 まず、一般に精神医療では、患者が重い症状にあった場合には安全を保つよう閉鎖病棟で一定の行動を制限しまして治療が行われる、行われることがございます。しかし、閉鎖病棟におきましても、病状の改善に伴って行動の制限を徐々に緩めまして、医療スタッフが同伴して閉鎖病棟から外出をさせたりグラウンドで運動やあるいは閉鎖病棟の外での作業療法等を行わせたり、最終的には単独で閉鎖病棟の外に自由に出入りし、そして外泊も行えるように段階的に開放し、処遇していくこととしております。指定入院医療機関閉鎖病棟でありますが、ただいま申し上げましたように、一般の精神病院と同様に、病状の改善に伴って患者の行動制限を徐々に緩め、最終的には単独で病棟の外に外出をしたりあるいは外泊をしたりすることができるよう段階的に開放し、処遇していくことを考えております。
 なお、指定入院医療機関においては、医師の判断で患者を外出させたり外泊、外出させたり外泊させたりすることが可能となっております。
福島瑞穂君 この指定医療機関のイメージがまだよく分からないんですが、急性期、慢性期、それから社会復帰病棟も含めて四十床、三十床と昨日おっしゃったんですよね。とすると、その全部の中でそれを賄うことができるのですか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 ですから、それぞれの国立病院等の医療施設に三十床のこういった専門病棟ユニットを整備いたします。先ほど申し上げましたような治療を当然この病棟の中で行うと同時に、先ほどの作業療法ですとかグラウンドでのスポーツですとかレクリエーション療法ですとか、あるいは外出ですとかということで、その病棟を、病棟での生活、失礼しました、入院、療養に加えまして、今申し上げました様々な社会復帰等の治療を行うものでございます。
福島瑞穂君 セキュリティーはどうするんでしょうか。その指定医療機関と通常のそうでない人たちというのは、交流をするんですか、隔離するんですか、塀を設けるんですか。
○政府参考人(上田茂君) 先ほども申し上げましたように、その病状、当初、病状が、状態が悪い場合にはどうしても行動制限ということで治療が始まりますが、だんだん病状が改善するに従いまして先ほどの様々な治療を行います。そうしますと、そういった中で他の病棟での患者さんとの交流とか、先ほど外出などもお話しさせていただきましたが、そういう意味での、病状が改善に伴いながらまた社会復帰を目指してそういった交流が行われるものでございます。
福島瑞穂君 間には塀を置くんでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) その点についてはまだ、これから検討するものでございまして、決めているものではございません。
福島瑞穂君 昼夜独居の処遇になるのでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 指定入院医療機関は全室個室とする予定でございますが、これは刑務所のいわゆる独居房とは異なりまして、患者さんのプライバシーを最大限に尊重し、かつ快適な療養生活を送らせるために一般の病院で使われております個室と同じものでありまして、また、他の患者との接触を制限するために用いられるものではございません。
福島瑞穂君 それでは、その個室は外からかぎは掛けないんですね。
○政府参考人(上田茂君) 先ほど申し上げましたように、病棟は閉鎖病棟でございますが、その病棟の中で各個室がございまして、それについてはかぎは掛けません。
福島瑞穂君 あるお母さんからメールをもらいました。二十三歳の息子が統合失調症で入院歴のある母親ですと。このたびの心神喪失法案については、断じてその成立を認めるわけにはいかないということを言いたいと思いますと。息子が発症し、一年余りの入院をせざるを得なかったのは、地域に戻っても家族以外に支援する社会システムがなく、とても不安であったことがあります。ですが、入院中もできるだけ病棟から出してもらい、散歩や作業療法、外泊を重ね、投薬量を減らすことで回復が早まりました。そして、退院後、親しか支援はありませんが、スポーツセンター通いやピアノレッスンなど健常な社会への出入りでめきめき回復しております。回復を思うなら、多剤・大量投与を止める。囲い込みではなく健常者とのんびり触れ合うことです。収容による治療では本質的な回復は得られません。いかに触法精神障害者であれ、囲い込み収容では回復は望めませんし、収容房で一生を棒に振ると確信しています。触法行為以前の治療と社会支援の貧困を抜本的に改革せねば、触法行為の起こる背景の問題を抱えたままですというのがあります。
 新聞の広告も出ておりますが、私はいわゆるハンセン予防病の国家賠償請求訴訟をやった人たちや弁護士の人たち、弁護士が、社会の人々の不安を利用して作られる法律は危険です。人間を強制的に隔離して無期限に収容するこの患者隔離法案はその典型です。国は、これまで精神障害者を強制的に隔離収容し続けてきました。しかも、世界最大の規模で。精神障害者に対する法と政策の誤りを謝罪し、加えて社会に作出、助長し続けた差別と偏見を除くこと、これこそ国が今しなければならないことです。更なる患者隔離法を作ってその失態をごまかそうとするなんてとんでもない。弁護士のこれは声明です。
 この予算がやっぱり変だと思うんですが、精神障害者、ごめんなさい、言い直します、ごめんなさい、予算が変だと思うんですが、この法案に見合う予算については以前、質問しました。圧倒的な部分が新設の医療施設、病棟の設備費で、退院後の社会復帰のための予算は社会復帰調整官の新設を除けば微々たるものです。
 昨日も派遣についてお聞きをしましたが、平成十四年に本当に少ない人数を海外に派遣しただけです。退院の困難性を増幅するだけであり、問題の解決に全くならない。むしろ、逆に予算の大部分はアフターケアの部分にこそ充当すべきではないでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 今回こういった対象者に対する医療を行うと同時に、これまでも御指摘ありますように、一般の精神医療対策、特に社会復帰対策ということが強く叫ばれておりまして、そして御指摘されておりまして、そして私ども厚生労働省で精神保健福祉対策本部を作りまして普及啓発、精神医療改革、そして生活支援、そして七万二千の社会復帰、退院と、こういう大きな柱を立てておりまして、こういった施策につきまして私ども順次、取組を今後進めながら、先生御指摘の社会復帰対策等々の充実に図ってまいりたいというふうに考えております。
福島瑞穂君 病院の中の社会復帰は全く役に立たないというふうに外国では言われているという文献を読みます。社会復帰というんであれば、さっきのメールにもありますが、いろんな人と触れ合って社会復帰をすべきであると。この新しく作られる施設がそうなるとはやはりとても思えません。
 なかなか病院の入院している人たちの数が減らないんですが、精神障害者保健福祉施策の推進で、精神障害者社会復帰対策の推進として百八十億円が今年度二百十五億円になっています。二百十五億も使いながらなぜ社会復帰がうまくいかないんでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 私ども、これまでグループホームですとかあるいは福祉ホームですとか、社会復帰施設等々の施設を整備しながら地域の社会復帰対策に取り組んできたところでございますが、そういう意味ではまだまだ必ずしも十分ではなく、そういった各種の施設あるいはマンパワー、そういった活動に取り組まれる人たちの不足等々のような課題がございます。
 したがいまして、私ども、こういった課題を解決すべく、先ほど申し上げましたような対策をこれからしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。
福島瑞穂君 今まで、これは朝日委員やほかの委員も質問していますが、入院が減っていないんですよね。微々、ちょっとだけ最近は減っておりますが、急カーブでどんどんどんどん増えてきた歴史があると。社会復帰がうまくいっていない状況で、この法案が社会復帰が目的だと言われても、本当にその効果があるのかというふうに思います。
 例えば、さっきちょっと細かく聞きましたが、社会復帰のプログラムが必要でも、じゃ他の病院は利用できるのでしょうか。あるいは、本人が例えば裁判所における解除、更新拒絶がない段階で、例えば他の病院を利用したり地域へ出ることができるんでしょうか。
 というのは、さっき外出できるとかいうふうにおっしゃいましたけれども、外泊とかを認める、それは裁判所が退院を命じなくてもその人は出ていけるのでしょうか。あるいは、本人がかなり症状が良くなったので、自分は地域の病院に帰りたいというふうなことは裁判所の更新の許可が出ない段階でも解除、入院解除でもそれはできるのでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 百条で「外出等」という項目がございまして、これは医師の判断で外出することができるという内容でございます。また、本制度における通院患者につきましては、精神保健福祉法による入院が行われることを妨げないこととしております。これは百十五条でございます。
 この法律による入院医療の必要がない者として、指定入院医療機関からの退院が認められ、通院医療を受ける者が精神保健福祉法に基づき地域の病院に入院することも制度上認めているところでございます。
福島瑞穂君 通院の場合はそれを可能だと思うんですが、入院の場合はどうでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 先ほども申し上げましたように、患者さんの退院、社会復帰に向けて外出ですとか外泊ですとか、そういうことをいわゆる社会復帰のプロセスとして進めていくわけでございます。そして、他の施設へ入院するような状況、失礼いたしました、他の施設へ入院するような状況、すなわちこの指定入院医療機関で必要でない、そういう状況になりますと言わば退院というふうな状況になるわけでございます。
 ですから、先ほど申し上げましたように、社会復帰へ向けて外出、外泊をしながら退院されるわけでございますから、そういう患者さんはそういう状況、正に退院できる状況というふうな状態に至るというふうに考えております。
福島瑞穂君 ちょっと私が危惧するのは、結局、物すごく時間が掛かるだろうというふうに思うんですね。つまり、普通、分かりませんが、精神病院、入院していて少しずつ社会復帰をしていく、それで社会復帰をしながら親元に帰るなりして、いろんな人と付き合ったり、グループホームなどをやりながら少しずつ、さっきのメールじゃないけれども、回復していくと。しかし、変な言い方をすれば、隔離された国立指定病院の中で完璧に社会復帰が仕上がるまで退院できないんですよね。物すごく長期に時間が掛かるんじゃないかとも思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 指定入院医療機関におきましては、スポーツあるいはレクリエーション、音楽等、こういった病棟のプログラム、社会復帰へ向けてのプログラム、あるいは各種の作業療法、また集団で行う精神療法、こういうものを通じまして、ともに同じ悩みを持つ者同士が助け合って社会復帰を遂げられるよう積極的に患者さん同士の交流を促していく予定でございます。
 こういう形で社会復帰へ向け、取り組んでいきたいというふうに考えております。
○委員長(魚住裕一郎君) 時間ですが。
福島瑞穂君 はい。社会復帰の考え方がちょっと違うようにも思いますが、もう既に現行の保護観察官に加え、社会復帰調整官の募集を掛けていると聞きますが、この法案はたくさんの献金の問題や根本的な問題、日精協の人に対してもきちっと聞くなど、たくさん課題を残しております。
 法案が通る前から通るという前提で募集を掛けて、法案が成立しなかったらどうなるのかなというふうにも思いますが、また、残りの質問については、後日、質問をいたします。