ゲシュタルト心理学と倉木麻衣

私は、倉木麻衣がけっこう好きです。
で、「何がいいのか」と言われると少し困るのです。曲はそれほどいいというわけでもないし、歌はそれほど上手というわけではありません。では彼女のルックスがいいかと言われるとそんなにいいとは思わないし、しゃべりもあまり上手ではないですし、ライブではギタリストが盛り上げてしまっていったい誰のライブなのかわからないです。チマタで言われる通り宇多田とよく似てますし、パパはうさんくさいです。
と言うと、「では何が好きなのだ」と言われるのですが、「うーん、全部まとめると、好きになるんですよ」としか答えられなくて、そういうのは非科学的ではないかと批判されます。

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さて、心理学では、ゲシュタルトという考え方があります。
2つの図形を用意します。縦棒が一本、左端に立っている図形A【| 】と、 横棒が一本、下に引かれている図形B【_】です。そして、Aを被験者に提示した後しばらく(0.5秒前後)してからBを提示します。この間隔が短ければ、被験者は「棒がパッと入れ替わった」と感じ、この間隔が長ければ、被験者は「図形が入れ替わった」と感じます。で、この間隔を適度に取れば、被験者が「棒が倒れた」と感じるのです。
このとき、図形Aと図形Bしかないのに、被験者は、ありえない図形【/】をちゃんと「見る」のです。

これがゲシュタルト心理学の出発点です。全体は部分の寄せ集めではなく、まず全体があり、そして部分は全体に依存して存在するのです。図形Aと図形Bの2つという部分をあわせただけでは、棒が倒れるという全体は出てこないのです。心理学というのはこの全体の過程を重視すべきではないか、というのがゲシュタルト心理学です。(たとえば、Wertheimer,M.など。)
人間が物を見るときは、ある法則にしたがって意味のあるまとまりを作ろうとする傾向があります。しかも、それは経験や学習に大きく依拠します。ネットに慣れた人ならば、(^-^)という形を見て、カッコのなかに^と-がある、とは見ないでしょう。全体で意味のあるまとまりを作ろうとするわけです。

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すみません、というわけで、どの部分がいいというのはないのですが、全体として倉木麻衣が好きなんです。

オススメできないけど好きなもの ------
○ 音楽(倉木麻衣
   ダメダメな部分もありますが、それでも(だからこそ)、私は応援していきたいです。