攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX

ビデオを借りて観ました。完結です。
さてさっそく疑問なのですが、9課の人たちはなぜ生き残っていたのでしょうか。
9課壊滅が出来レースだったとしても、石川やバトーはただではいられなかったはずなのに。

これに限らず、今回のシリーズではどうもすっきりしない結末が多かったです。誰かが襲われたと思ったら、インターセプターだったとか、ニセ義体だったとか、記憶操作だったとか。
そういう技法がシリーズで多用されてたので、クライマックスがいまいち信用できなくて、でもって、案の定、みんな生き残っていた、っていうのがなんとも。

いっぽう、バトーはまたも「もとこぉ〜っ」って叫んでくれました。そこは良かったかな、と思いました。

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さて、結局のところ、この作品のテーマは「悪徳政治家」「クールな企業恐喝」といったもののようです。最後のスタッフインタビューでも、グリコ・森永事件やリクルート疑惑に影響を受けたと言っています。
ここで映画版攻殻と比べてみますと、映画のほうは「ネット社会とアイデンティティ」でまとめていました。進化の果てにあるものは何?そして自分が自分であるために必要なのは何?というテーマを、サイバー世界の申し子のような草薙が静かに探っていく、というような作品だったと思います。

いっぽう今回の攻殻は、もうすこし社会に目が向いています。舞台も、製薬会社と政治家との関係ですよね。サイバーパンクの続編なんて作るのがすごく難しい(マトリックス?)ので、映画版とは異なるジャンルにしたのは正解だったのですが、ちょっとシナリオの評価は微妙です。20話以降あれだけドタバタが続いて、結局9課は無傷の大団円っていうのはアリなのか、あるいはさらなる続編への布石なのか。それならば、全滅したタチコマ集団のほうがずっと印象的です。だって、9課メンバーって、勝ったんじゃなくて、いつのまにか勝ったことにされたわけですから。

細かい点はおくとして、全体としてはすごく楽しい作品です。いろいろ考えさせる場面もあったので、またふっと私の気が向いた時に書いてみようと思います。