小六法では「精神二〇−二二の二保護者」となっていました。

1/2付で書いたように、今年は刑事責任能力についていろいろ断片的に書いていこうと思っています。
その前に、興味深い記事が書かれていましたので、質問をしてみたいとおもいます。
いつも楽しく読ませていただいてますparanoimia’s diaryさんです。

しかし、現実には家庭裁判所が選任した保護者に対する損害賠償請求がされるケースがないわけではなく

1999年改正(自傷他害防止監督義務の削除)以後、「家庭裁判所が選任した保護者に対する損害賠償請求」がされたケースはないと思いますが、どうでしょうか。
とはいうものの、法の保護義務と民法714条との関係についての議論は従来から相当されていますが、99年改正以後でもあまり論調は変わっていないんですね。強制入院の患者に治療を受けさせる義務があるので、患者の行為に対して民法上の責任を負うとされていますし*1

そのあたりの関係については、私が見聞した範囲でも、白書・文献でも、検討はあまり多くありません。1999年以後の検討としては、川本哲郎「医療保護入院の新たな基準」(季刊精神科診断学11巻1号)などがあります。民法714条但書によれば治療を受けさせれば「損害を賠償する責任」を負わないことになるのか、などの点は考える必要がありますので、「家庭裁判所が選任した保護者に対する損害賠償請求」は気になります。

*1:厚生省公衆衛生審議会精神保健福祉部会(1999年2月17日)議事録8ページ