（資料）責任に関する条文・審議（その15・現行刑法〜第二次大戦-14-）

責任

前回（7/12）のつづきです。初回は6/7。

第四十条
本条ハ検事ガ裁判所ニ対シ予防拘禁ノ請求ヲ為スニ付テノ手続規定ナリ。
予防拘禁ノ請求ハ本人ノ現在地ヲ管轄スル地方裁判所ニ附置セラレタル検事局ノ検事ガ其ノ裁判所ニ之ヲ為スヲ原則トシ、本人保護観察中ナル場合ニ限リ、例外トシテ、本人ニ対シ保護観察ヲ為ス保護観察所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ニ附置セラレタル検事局ノ検事ガ其ノ保護観察所ノ管轄スル地裁ニ現在スル本人ニ代其ノ裁判所ニ之ヲ為シ得ルコトト為シタリ。斯ル例外的管轄ヲ認メタルハ本制度運用上ノ実際ヲ考慮シタル結果ニシテ、予防拘禁ノ請求ヲ為スニハ予メ予防拘禁委員会ノ意見ヲ求ムルコトヲ要スルモ、其ノ請求ヲ為スコト極メテ稀ナル地方アルベキヲ以テ、全国総テノ検事局ニ予防拘禁委員会ヲ設クルハ不必要ナルニ依リ、保護観察所所在地タル二十二ケ所ノ地方検事局ニノミ之ヲ設ケ、在監者ハ予メ移監スルコトニ依リ、監獄外ニ在ル者ハ此ノ例外的管轄規定ノ活用ニ依リ、実際上ハ予防拘禁委員会ヲ設ケタル検事局ノ検事ヲシテ其ノ裁判所ニ請求ヲ為サシムル如ク運用セントスル為ナリ。
検事予防拘禁ノ請求ヲ為サントスルトキハ事前ニ必ズ予防拘禁委員会ニ諮問シ其ノ意見ヲ求ムルコトヲ要ス。此ノ諮問ハ検事ガ適法ニ請求ヲ為シ得ベキ法律上ノ要件ニシテ、此ノ要件ヲ欠クトキハ請求ハ不適法ト為リ、裁判所ハ予防拘禁ニ付スル旨ノ決定ヲ為シ得ザルモノトス。但シ検事ハ委員会ニ諮問シ其ノ意見ヲ徴スルヲ以テ足リ、実際上ハ兎モ角法律上ハ委員会ノ意見ニ拘束セラレズ独自ノ判断ニ従ヒテ適法ニ請求ヲ為シタルモノトス。尚検事ノ為ス諮問及請求ハ書面ヲ以テ之ヲ為スヲ相当トスベキガ故ニ施行令ニ於テ其ノ手続ハ書面ニ依ルベキ旨ヲ定ムル予定ナリ。
予防拘禁委員会ニ於テハ本人ガ更ニ本法第一章ニ掲グル罪ヲ犯スノ虞アルコト顕著ナリヤ否ヤニ付慎重ナル評議ヲ遂ゲ、其ノ結果ヲ検事ニ具申セザルベカラズ。具申ノ形式ハ書面ニ依ルヲ相当トスルヲ以テ施行令ニ於テ其ノ手続ヲ規定スル予定ニシテ、検事ハ委員会ノ意見書ヲ添ヘテ裁判所ニ請求ヲ為スベキモノトス。
予防拘禁委員会ハ前叙ノ如ク保護観察所所在地ノ地方裁判所検事局（全国デ二十二ケ所）ニ設クル予定ニシテ、委員会ノ官制ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ムベキモ、委員長一名、委員十名ヲ以テ組織シ、委員中ニハ学識経験アルモノトシテ弁護士ヲモ加フル予定ナリ。