ニューヨークの恋人 

時間系物語のようだったので、借りて観ました。

正直言って、前半部分がかなり退屈でした。19世紀からやってきた主人公が現代都市に戸惑うなんていう展開は、こうやって1行書けば充分です。観る側はすごく退屈になるんですよ。あるいはそのあたりのギャップが楽しいのかもしれませんが、私はその手のコメディがあまり好きではありません。
でもって、そういう特殊な事情を持つ人間とそれを信じない周囲との軋轢、という展開も、個人的には好きではありません。そういう設定にのめりこむことができないんですよ。
ただ、この作品について言えば、そういう序盤の退屈になんとかガマンできました。レオポルドの誠実な人柄が周囲を和ませるという方向がうまくいっていたからです。古き良き英国紳士、という感じです。19世紀イギリスにそんな紳士が残っているのか?という疑問も少し残りますが、そこは、日本人が「明治人」というものに対して抱く感情と似ているのでしょう。たぶん。
 
というわけで、この作品は時間系物語としては、「タイムマシン」よりはよかったけれど「13F」にはかなわないかな、と思います。タイム・パラドックスの処理もかなり大雑把ですし。
ですがこの作品は、そういう舞台とか伏線とかを吹き飛ばすくらいに、メグ・ライアンの味が出ていました。スタイリッシュなキャリア・ウーマンの役がすごく似合っています。キャリアウーマンとしてはJJの下心が見ぬけないあたりが少々心もとないのですが、そんな細かいことはともかくとして、極端なくらいに現代的な女性が、ちゃんと英国紳士と対比できているのは見事です。
しかし結末ではそういうキャリアを全部捨ててしまうあたり、「女というものはなんだかんだ言っても・・・」ということなのでしょうか。白馬に乗った王子様が颯爽と彼女を助けるというシーンも、そのための布石だったのでしょうか。そのあたり、もうひとひねり欲しかったです。それにしても19世紀上流階級で生き残れるのかメグ。レオポルドの叔父と彼女とは、どう考えてもうまくやっていけそうにありません。