精神医療に関する条文・審議(その16)

前回(id:kokekokko:20041206)のつづき。初回は10/28(id:kokekokko:20041028)。
東佐誉子事件についての審議は後日にまわします。
昭和30年代に行われた精神衛生法の改正をみてみます。改正は以下のとおりです。

  • 昭和33年法律第17号 婦人補導院法
  • 昭和34年法律第75号 補助金等の臨時特例等に関する法律等の一部を改正する法律
  • 昭和36年法律第66号 精神衛生法の一部を改正する法律
  • 昭和37年法律第161号 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律
  • 昭和38年法律第108号 麻薬取締法等の一部を改正する法律

 
このそれぞれについて、改正の様子をみてみます。
まず、昭和33年法律第17号での改正です。売春防止法の改正とともに、婦人補導院法が成立しました。これは売春を行った者に対する補導処分を行う施設に関するものですが、矯正保護施設のひとつであるということで、精神衛生法26条での列挙にこの施設を書き加えることとなりました。

婦人補導院法案
附則
(施行期日)
1 この法律は、昭和三十三年四月一日から施行する。
精神衛生法の一部改正)
4 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 第二十六条中「及び少年鑑別所」を「、少年鑑別所及び婦人補導院」に改める。
 
理由
 売春防止法第五条の罪を犯した女子に対する補導処分を実施するため、婦人補導院における在院者の補導その他の処遇に関する基本的事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

法務委員会会議録第5号(28衆昭和33年2月18日)
○渡部(善)政府委員 婦人補導院法案の逐条につきまして御説明を申し上げます。詳細はお手元に配付してありますので、概略を申し上げます。
【略】
 第四項は精神衛生法の一部改正でございます。本項は、矯正施設の長の精神障害者の通報に関する規定中の矯正施設の定義に婦人補導院を加えたものでございます。
【略】以上簡単でありますが御説明を終ります。

法務委員会会議録第11号(28衆昭和33年3月6日)
○町村委員長 【略】
 これより討論に入ります。討論の通告がありませんので、直ちに採決いたします。売春防止法の一部を改正する法律案及び婦人補導院法案の両案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕

○町村委員長 起立総員。よって、両案は原案の通り可決いたしました。

本会議会議録第13号(28衆昭和33年3月6日)
○議長(益谷秀次君) 【略】
 売春防止法の一部を改正する法律案、婦人補導院法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長町村金五君。
町村金五君登壇〕

町村金五君 ただいま議題となりました売春防止法の一部を改正する法律案及び婦人補導院法案につき、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 【略】
 次に、婦人補導院法案について申し上げますと、本案は、さきに申し上げました補導処分に付せられた者の補導のための国立の施設を設け、婦人の自由と尊厳を自覚させ、家事その他婦人として必要な基礎的教養を授け、その情操を豊かにさせるとともに、勤労の精神を体得するように指導し、適当な職業の補導を行い、必要な医療を施すなど、婦人の更生に必要な事項を定めようとするものであります。
 両案につきまして、委員会は三月六日質疑を終了し、採決に入りましたところ、いずれも政府原案の通り全会一致をもって可決された次第であります。【略】
 右、御報告申し上げます。(拍手)

○議長(益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。

【20050715:参議院審議は、にわとりショコラへ移転しました。】

婦人補導院法(昭和33年3月25日法律第17号)
附則
(施行期日)
1 この法律は、昭和三十三年四月一日から施行する。
精神衛生法の一部改正)
4 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 第二十六条中「及び少年鑑別所」を「、少年鑑別所及び婦人補導院」に改める。

昭和34年法律第75号による改正です。精神衛生法第8条では、精神衛生相談所(都道府県などが設置・運営)に際する費用の2分の1を国が補助していました。そのうち、運営に際する費用の補助の比率を変更する、という趣旨の法改正です。

補助金等の臨時特例等に関する法律等の一部を改正する法律案
 (精神衛生法の一部改正)
第二条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 第八条中「その設置及び運営に要する経費に対して、政令の定めるところにより、その二分の一」を「政令の定めるところにより、その設置に要する経費については二分の一、その運営に要する経費については三分の一」に改める。
 
附則
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条中補助金等の臨時特例等に関する法律第二条、第三条及び第五条の改定規定は、社会教育法等の一部を改正する法律(昭和三十四年法律第百五十八号)による社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第三十五条及び第三十六条、図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二十条及び第二十二条並びに博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)第二十四条及び第二十五条の改正規定の施行の日から、第一条中補助金等の臨時特例等に関する法律第十条の改正規定並びに第二条及び附則第二項の規定は、昭和三十四年四月一日から施行する。
2 昭和二十九年度分から昭和三十三年度分までの予算に係る精神衛生相談所の運営に要する経費に対する補助金については、なお従前の例による。
3 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
 第三十六条中「昭和三十三年度」を「昭和三十四年度」に改める。 

大蔵委員会会議録第5号(31衆昭和34年2月3日)
○早川委員長 
【略】補助金等の臨時特例等に関する法律等の一部を改正する法律案、【略】、株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律の一部を改正する法律案及び連合国財産の返還等に伴う損失の処理等に関する法律案の二十一法律案を一括して議題といたします。
 政府より提案理由の説明を求めます。大蔵政務次官山中貞則君。

○山中政府委員  【略】
 次に、補助金等の臨時特例等に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 政府は、国の財政の健全化をはかる等の目的から、補助金等の整理合理化につきまして、昭和二十九年度以降予算において所要の措置を講ずるとともに、法的措置を講ずる必要があるものにつきましては、補助金等の臨時特例等に関する法律により特例措置を講じてきたのであります。
 政府といたしましては、補助金等の整理合理化につきましては、今後ともなお調査検討を進めて参る所存でありますが、昭和三十四年度予算の編成に当りましても、各種補助金等につき検討の結果、一般的には同年度においても引き続き同法による特例措置を講ずることといたし、その有効期限を昭和三十五年三月三十一日まで延長することといたしました。
 また、社会教育法、図書館法及び博物館法に基く補助金につきましては別途御審議をお願いいたしております社会教育法等の一部を改正する法律案により、精神衛生法に基く精神衛生相談所の運営費に対する補助金につきましては本法案により、それぞれ特例法の規定の趣旨にのっとった改正を行うことといたしておりますので、これらに関する特別措置の規定を削ることといたしております。
 【略】
 以上が特別鉱害復旧特別会計法を廃止する法律案外二十法律案の提案の理由及びその概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛成、御可決下さいまするようお願い申し上げます。

大蔵委員会会議録第17号(31衆昭和34年3月5日)
○早川委員長 補助金等の臨時特例等に関する法律等の一部を改正する法律案、【略】株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律の一部を改正する法律案の八法律案を一括して議題といたします。
【略】

○早川委員長 ただいま議題となっております八法律案中、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案、補助金等の臨時特例等に関する法律等の一部を改正する法律案、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案及び株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律の一部を改正する法律案の五法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。これより討論に入るのでありますが、五法律案に対しましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
 まず、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び補助金等の臨時特例等に関する法律等の一部を改正する法律案の両法律案を一括して採決いたします。両案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○早川委員長 起立多数。よって、両案はいずれも原案の通り可決いたしました。
【略】

本会議会議録第23号(31衆昭和34年3月6日)
○議長(加藤鐐五郎君) 【略】日程第十四、補助金等の臨時特例等に関する法律等の一部を改正する法律案、【略】、右十案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事山下春江君。
〔山下春江君登壇〕

○山下春江君 ただいま議題となりました十法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。
 【略】
 次に、補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 補助金等の臨時特例等に関する法律は、昭和三十四年三月三十一日限り効力を失うこととなっているのでありますが、その有効期限をさらに昭和三十五年三月三十一日まで延長することといたそうとするものであります。
 なお、社会教育法、図書館法及び博物館法に基く補助金につきましては別途今国会に提出されております社会教育法等の一部を改正する法律案により、また、精神衛生法に基く精神衛生相談所の運営費に対する補助金につきましては本法により、それぞれ特例法の趣旨にのっとった改正を行うこととしておりますので、これらに関する特例措置の規定を削ることといたしております。
 以上の両案につきましては、審議の結果、昨五日質疑を終了し、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしましたところ、起立多数をもって原案の通り可決いたしました。
 【略】
 なお、以上の各法律案に対する質疑応答等の詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)

○議長(加藤鐐五郎君) 【略】次に、日程第十一ないし第十四の四案を一括して採決いたします。四案の委員長の報告はいずれも可決であります。四案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○議長(加藤鐐五郎君) 起立多数。よって、四案とも委員長報告の通り可決いたしました。【略】

【20050715:参議院審議は、にわとりショコラへ移転しました。】

補助金等の臨時特例等に関する法律等の一部を改正する法律(昭和34年3月31日法律第75号)
 (精神衛生法の一部改正)
第二条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 第八条中「その設置及び運営に要する経費に対して、政令の定めるところにより、その二分の一」を「政令の定めるところにより、その設置に要する経費については二分の一、その運営に要する経費については三分の一」に改める。
 
附則
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条中補助金等の臨時特例等に関する法律第二条、第三条及び第五条の改定規定は、社会教育法等の一部を改正する法律(昭和三十四年法律第百五十八号)による社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第三十五条及び第三十六条、図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二十条及び第二十二条並びに博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)第二十四条及び第二十五条の改正規定の施行の日から、第一条中補助金等の臨時特例等に関する法律第十条の改正規定並びに第二条及び附則第二項の規定は、昭和三十四年四月一日から施行する。
2 昭和二十九年度分から昭和三十三年度分までの予算に係る精神衛生相談所の運営に要する経費に対する補助金については、なお従前の例による。
3 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
 第三十六条中「昭和三十三年度」を「昭和三十四年度」に改める。