精神医療に関する条文・審議(その18)

前回(id:kokekokko:20050120)のつづき。初回は10/28(id:kokekokko:20041028)。
昭和37年法律第161号での行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律によって、精神衛生法が一部改正されました。措置入院に関する都道府県知事の処分に対して不服がある場合には、第32条で訴願ができると規定されていました。この訴願の制度を廃止して行政不服審査によって処置することになり、それにあわせて第32条は削除されました。行政不服審査法そのものの審議については、ここでは省略しました。
なお、行政不服審査法では、各々の法律に規定されていなくても行政上の処分に対して損害をこうむれば審査にかけることができることになっているため、精神衛生法では行政不服審査についての規定を設けませんでした。

行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案【第74条と附則】
第六章 厚生省関係(第六十八条―第百十一条)
 (精神衛生法の一部改正)
第七十四条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
  目次中「第三十二条(訴願)」を「第三十二条 削除」に改める。
  第三十二条を次のように改める。
 第三十二条 削除
 
 附則
1 この法律は、昭和三十七年十月一日から施行する。
2 この法律による改正後の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前にされた行政庁の処分、この法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為その他この法律の施行前に生じた事項についても適用する。ただし、この法律による改正前の規定によつて生じた効力を妨げない。
3 この法律の施行前に提起された訴願、審査の請求、異議の申立てその他の不服申立て(以下「訴願等」という。)については、この法律の施行後も、なお従前の例による。この法律の施行前にされた訴願等の裁決、決定その他の処分(以下「裁決等」という。)又はこの法律の施行前に提起された訴願等につきこの法律の施行後にされる裁決等にさらに不服がある場合の訴願等についても、同様とする。
4 前項に規定する訴願等で、この法律の施行後は行政不服審査法による不服申立てをすることができることとなる処分に係るものは、同法以外の法律の適用については、行政不服審査法による不服申立てとみなす。
5 第三項の規定によりこの法律の施行後にされる審査の請求、異議の申立てその他の不服申立ての裁決等については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
6 この法律の施行前にされた行政庁の処分で、この法律による改正前の規定により訴願等をすることができるものとされ、かつ、その提起期間が定められていなかつたものについて、行政不服審査法による不服申立てをすることができる期間は、この法律の施行の日から起算する。
7 【略】
8 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
9 前八項に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

内閣委員会会議録第25号(40衆昭和37年4月12日)
○川島国務大臣 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案についてその提案理由を説明申し上げます。
 この法律案は、行政不服審査法案が不服申し立てに関する統一法規として現行の訴願制度を全面的に整備するのに伴いまして、関係法律二百六十八件につき、必要な整理等を行なおうとするものであります。
 すなわち、第は、行政不服審査法案が一般概括主義を取り入れたため、関係法律において、不服申し立てをできる旨の規定が重複することとなりますので、これらを削除したことであります。
 第二は、行政不服審査法案において、不服申し立てに関すを名称を統して審査請求、異議申し立て及び再審査請求といたしましたので、これに伴い、関係法律につき、名称を整理したことであります。
 第三は、審査請求に関しまして、直近上級行政庁以外の行政庁を審査庁とする必要のあるものにつき、特例を規定したことであります。
 第四は、不服申し立て期間につき、個々の制度の特殊性にかんがみ、必要なものにつき、例外的に特例を定めたことであります。
 第五は、ものの検査、検定等の結果にかかる処分、特に緊急を要する処分等、当該処分の性質上、行政不服審査法案による不服申し立てを認めるのが適当でない処分等につきましては、これを除外し、また、行政審判その他不服申し立て制度として現に整備された制度があり、これらによらしめるのが適当と認められるものにつきましては、行政不服審査法案による不服申し立てから除外することにしたことであります。
 以上が、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の主な内容でありまして、いずれも行政不服審査法案の趣旨並びに現行制度の運用の実態に照らし必要とされる関係法律の改正であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。

○中島委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。

内閣委員会会議録第1号(41衆昭和37年8月14日)
○永山委員長 行政不服審査法案及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の両案を一括議題として、政府より提案理由の説明を求めます。行政管理庁長官川島正次郎君。

○川島国務大臣 ただいま議題となりました行政不服審査法案について、その提案理由を説明申し上げます。
 訴願制度は、行政庁の違法なまたは不当な処分に関しまして行政庁に不服申し立てをさせ、よって、行政庁による簡易迅速な手続により国民の権利利益の救済をはかりますとともに、行政の適正な運営を確保する意義を有するものであります。
 このような趣旨のもとに、現行の制度は、一般法たる訴願法とその他の法令とによって通用されておりますが、明治二十三年に制定施行されましてから一回の改正も行なわれることなく今日に至っております訴願法と、他の法令において個々に定められております不服申立制度との間には、種々不備不統一の点が少なくない現状であります。
 すなわち、まず訴願法につきましては、一、その第一条で、訴願事項として「租税及手数料ノ賦課ニ関スル件」外五件を列挙しておりますが、その内容が不明確でありますため、訴願が認められるかどうか必ずしも明らかでない場合が多いこと、二、同条第七号の他の法律または政令で定める訴願事項が少ないこと、三、裁決庁に関する直接上級庁という規定の仕方が、行政組織の複雑化いたしました今日におきましては必ずしも明瞭であるとは言えないこと、四、執行停止、審理等の手続規定が不十分であること等の欠陥を有しているのであります。
 また、他の法令で個々に認められております異議申し立てその他の不服申立制度につきましても、一、申立事項が不統一であること、二、申立期間が極端に短いものが相当にあること、三、申立手続に関する規定がほとんどないこと、などの欠陥があるのでありまして、いずれも国民の権利救済のために十分であるとは言いがたいのであります。
 このような実情にかんがみまして、政府におきましては、さきに訴願制度調査会を設置し、制度の改善について諮問し、審議を求めておりましたところ、一昨年十二月答申を得ましたので、自来その結果に基づきまして、現行訴願制度の全面的な改正につき慎重に検討を加え、新たに行政不服審査法案として不服申立制度の整備をはかることとしたのであります。
【略】
 次に、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案についてその提案理由を説明申し上げます。
 この法律案は、行政不服審査法案が不服申し立てに関する統一法規として現行の訴願制度を全面的に整備するのに伴いまして、関係法律二百六十八件につき、必要な整理等を行なおうとするものであります。
 すなわち、第一は、行政不服審査法案が一般概括主義を取り入れたため、関係法律において、不服申し立てをできる旨の規定が重復することとなりますので、これらを削除したことであります。
 第二は、行政不服審査法案において、不服申し立てに関する名称を統一して審査請求、異議申し立て及び再審査請求といたしましたので、これに伴い、関係法律につき、名称を整理したことであります。
 第三は、審査請求に関しまして、直近上級行政庁以外の行政庁を審査庁とする必要のあるものにつき、特例を規定したことであります。
 第四は、不服申立期間につき、個々の制度の特殊性にかんがみ、必要なものにつき、例外的に特例を定めたことであります。
 第五は、ものの検査、検定等の結果にかかる処分、特に緊急を要する処分等、当該処分の性質上、行政不服審査法案による不服申し立てを認めるのが適当でない処分等につきましては、これらを除外し、また、行政審判その他不服申立制度として現に整備された制度があり、これらによらしめるのが適当と認められるものにつきましては、行政不服審査法案による不服申し立てから除外することとしたことであります。
 以上が、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案のおもな内容でありまして、いずれも行政不服審査法案の趣旨並びに現行制度の運用の実態に照らし必要とされる関係法律の改正であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。
 なお、この際、一言お願いを申し上げたいのでございますが、訴願制度の改善と並んで、数年来政府部内において検討を進めて参りました行政訴訟制度の改善につきましては、御承知の通り、すでに前国会において行政事件訴訟法並びに行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律として成立を見ておりまして、本年十月一日から施行されることとなっております。国民の権利利益の救済は、訴願、訴訟両制度の整備に待つところがきわめて大きく、かかる趣旨に立脚して、新しい両制度は密接な関連のもとに立案されたものでありますから、継続審査をわずらわしております行政不服審査関係二法案がかりに本年十月一日までに成立しない場合には、国民の権利利益の救済上、また行政の運営上も支障を来たすこととなりますので、このような事情をも十分御勘案の上、御審議下さるよう特にお願いを申し上げます。

内閣委員会会議録第4号(41衆昭和37年8月23日)
○永山委員長 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案に対し、岡崎英城君外八名より、自由民主党日本社会党、民主社会党の三党共同提案による修正案が提出されております。

○永山委員長 本修正案について、提出者より趣旨説明を求めます。岡崎英城君。

○岡崎委員 ただいま議題となっております行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案に対する修正案について、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付しておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。
 修正の第一は、従来木船運送法といっておりました法律が、前国会で小型船海運業法という名称に改められましたので、本法案中の目次及び第百九十条をそれぞれ改めることであります。
 第二は、本法案と密接な関係にあります行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律は、前国会においてすでに成立公布されておりますが、本法案が成立公布された場合、両法律が同時に施行されるため、これら両法律によって関係法律がどのように改正されることになるのか、疑問が生ずる場合も予想されますので、その関係を明らかにするため、関係法律中、同一法律につき、これら両法律の双方に改正規定がある場合は、その法律は、本法案によってまず改正され、次いで行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律によって改正されるものとする規定を、附則に追加することであります。
 その他、字句等について整理漏れが若干ありますので、これらもあわせて修正しようとするものであります。
 はなはだ簡単でありますが、以上が本修正案の要旨であります。何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げます。

○永山委員長 本修正案に御質疑はありませんか。――御質疑もないようでありますので、行政不服審査法案並びに行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及びこれに対する修正案を一括して、討論に入ります。
 別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。

○永山委員長 【略】
 次に、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について採決いたします。
 まず、本案に対する修正案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

○永山委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

○永山委員長 起立総員。よって、修正部分を除いて、原案の通り可決いたしました。
 これにて行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案は修正議決すべきものと決しました。
 この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。行政管理庁宇田政務次官

○宇田政府委員 長官がただいま留守でございますので、私から発言をお許し願います。
 慎重御審議をいただきまして本法案が可決されましたことは、非常に感謝にたえない次第であります。
 この法案について先ほどからの御注意もありました通り、本法案の運用、また行政の指導という事項に対しましては、留意いたしたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

本会議会議録第7号(41衆昭和37年8月24日)
○副議長(原健三郎君) 日程第一、行政不服審査法案、日程第二、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、日程第三、法務省設置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。

○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長永山忠則君。
  〔永山忠則君登壇〕

○永山忠則君 ただいま議題となりました三法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 【略】
 次に、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、行政不服審査法が不服申し立てに関する一般法として施行されるに伴い、関係法律に必要な整理等を行なおうとするものでありまして、そのおもなる内容の第一は、行政不服審査法が一般概括主義を採用いたしたことに伴いまして、関係法律中の重複規定を削除することであり、第二は、行政不服審査法と同じく、不服申し立ての名称を整理統一することであります。第三は、不服申し立て期間について、行政不服審査法における原則に対し例外を認めることであり、その他審理手続等につきましても、行政不服審査法に対する特例を認めることなどでございます。
 両法案は、前国会より継続審査となっておりましたもので、それぞれ八月四日、本委員会にあらためて付託され、十四日政府より提案理由の説明を聴取いたしまして、慎重に審議が行なわれたのでございますが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。
 かくて、二十三日、質疑を終了いたしましたところ、整理法案に対し、自民、社会、民社の三党共同提案にかかる、この整理法案と密接な関係にあります行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律はすでに公布されており、この整理法案が成立公布された場合、両法律が同日に施行されるため、関係法律がこの両法律によってどのように改正されたことになるのか疑問を生ずる場合が予想されるので、両法律の関係を明らかにするための規定を附則に追加することをおもなる内容とする修正案が提出され、岡崎委員よりその趣旨説明がなされた後、討論の通告もなく、両案の採決に入り、行政不服審査法案については全会一致をもって原案の通り可決し、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案については全会一致をもって修正案の通り修正議決いたしました。
 【略】
〔参照〕
  行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案に対する修正案(委員会修正)
 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の一部を次のように修正する。
 【略】
  附則に次の一項を加える。
  この法律及び行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十号)に同一の法律についての改正規定がある場合においては、当該法律は、この法律によってまず改正され、次いで行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律によって改正されるものとする。

○副議長(原健三郎君) 三案を一括して採決いたします。
 日程第一及び第三の委員長の報告は可決、第二の委員長の報告は修正であります。三案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告の通り決しました。

【20050715:参議院審議は、にわとりショコラへ移転しました。】

行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(昭和37年法律第161号)【第74条と附則】
第六章 厚生省関係(第六十八条―第百十一条)
 (精神衛生法の一部改正)
第七十四条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
  目次中「第三十二条(訴願)」を「第三十二条 削除」に改める。
  第三十二条を次のように改める。
 第三十二条 削除
 
 附則
1 この法律は、昭和三十七年十月一日から施行する。
2 この法律による改正後の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前にされた行政庁の処分、この法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為その他この法律の施行前に生じた事項についても適用する。ただし、この法律による改正前の規定によつて生じた効力を妨げない。
3 この法律の施行前に提起された訴願、審査の請求、異議の申立てその他の不服申立て(以下「訴願等」という。)については、この法律の施行後も、なお従前の例による。この法律の施行前にされた訴願等の裁決、決定その他の処分(以下「裁決等」という。)又はこの法律の施行前に提起された訴願等につきこの法律の施行後にされる裁決等にさらに不服がある場合の訴願等についても、同様とする。
4 前項に規定する訴願等で、この法律の施行後は行政不服審査法による不服申立てをすることができることとなる処分に係るものは、同法以外の法律の適用については、行政不服審査法による不服申立てとみなす。
5 第三項の規定によりこの法律の施行後にされる審査の請求、異議の申立てその他の不服申立ての裁決等については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
6 この法律の施行前にされた行政庁の処分で、この法律による改正前の規定により訴願等をすることができるものとされ、かつ、その提起期間が定められていなかつたものについて、行政不服審査法による不服申立てをすることができる期間は、この法律の施行の日から起算する。
7 【略】
8 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
9 前八項に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
10 この法律及び行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十号)に同一の法律についての改正規定がある場合においては、当該法律は、この法律によつてまず改正され、次いで行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律によつて改正されるものとする。
 
 内閣総理大臣 池田勇人
 法務大臣 中垣国男
 外務大臣 大平正芳
 大蔵大臣臨時代理 国務大臣 宮沢喜一
 文部大臣 荒木萬寿夫
 厚生大臣 西村英一
 農林大臣 重政誠之
 通商産業大臣 福田一
 運輸大臣 綾部健太郎
 郵政大臣 手島栄
 労働大臣 大橋武夫
 建設大臣 河野一郎
 自治大臣 篠田弘作