神霊此れを監みたまへ。

前に、深夜の討論番組で天皇制について議論されていました。天皇制の議論なんてものは、興味がない人にとってみれば本当にどうでもよく、他人の家庭の問題くらいにしか関心がないものなのですが、それでも番組では宮崎哲弥が「不文律で千何百年と続いていた天皇制を、たかだか百年ちょっとの歴史しかない憲法というワクに納めるということはできないのだ」みたいな主張をしていたのが印象的でした。
右翼*1のなかには議論が強い人がたくさんいますが、そのとき私は、その理由が少しわかった気がしました。天皇制のような実体の薄い存在をいっしょうけんめいに主張していれば、そのうち弁も立つでしょう。
 
というわけで私もやってみます。
印紙犯罪処罰法」という法律があります*2明治42年施行で、今も生き残っており、小さな六法にも収録されている法律です。そこには以下のような文言があります。

第1条 行使ノ目的ヲ以テ帝国政府ノ発行スル印紙又ハ印紙金額ヲ表彰スヘキ印章ヲ偽造又ハ変造シタル者ハ五年以下ノ懲役ニ処ス行使ノ目的ヲ以テ印紙ノ消印ヲ除去シタル者亦同シ
第4条 本法ハ何人ヲ問ハス帝国外ニ於テ第一条又ハ第二条ノ罪ヲ犯シタル者ニ之ヲ適用ス

そうです。この国はまだ帝国であるのです。帝国というからには帝(みかど)がいるのです。
あるいは、刑法などでは「帝国」の文言は「日本国」に書き換えられました(昭和22年改正)から、現行憲法の制定によりこの国は法的には「日本国」であり、よって印紙犯罪処罰法における「帝国」はどこか別の国を指す、とも考えられますが。

*1:その番組では、小林よしのりが「右翼系」と発言して、その直後に宮崎のチャチャが入って、でもって小林が「民族派系」と言い直したこともありました。右翼≒民族派、なのでしょうか。

*2:ほかにもいくつかこのような法律はあります