ソラリス

舞台は宇宙SFですが、本題はラブストーリーです。
しかしこの作品はちょっと、話の筋をはしょりすぎています。ですから展開についていくのが大変でした。SF恋愛ものを楽しむためには、前提として、観客がその世界に入り込んでいる必要があるのです。過去の世界にせよ惑星にせよ、電脳都市にせよ。でもこの作品ではテンポが良すぎるので、いつまでも受け手が物語と対面した姿勢で身構えたまま、という感じで、最後まで違和感がありました。
それに、フラッシュバックシーンが多いので、宇宙ものという感じがあまりしませんでした。どうもこの先品は、SFとしては評価は厳しいと思います。
いっぽうのロマンスのほうは良いですね。味付けが強めの、甘口ラブロマンスです。ナターシャ・マケルホーンががんばって魅力を出しています。宇宙船寝室のシーンではかなり上手な演技をしています。記憶の中の妻、という実に難しい役どころをキッチリこなしていて、その点が私には満足でした。