精神医療に関する条文・審議(その34)

前回(id:kokekokko:20050523)のつづき。初回は2004/10/28。
昭和50年代・60年代に行われた精神衛生法の改正をみてみます。改正は以下のとおりです。

  • 昭和53年法律第55号 審議会等の整理等に関する法律
  • 昭和57年法律第80号 老人保健法
  • 昭和58年法律第82号 国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律
  • 昭和59年法律第77号 健康保険法等の一部を改正する法律
  • 昭和60年法律第37号 国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律
  • 昭和61年法律第46号 国の補助金等の臨時特例等に関する法律
  • 昭和62年法律第98号 精神衛生法等の一部を改正する法律

このそれぞれについて、改正の様子をみてみます。

まず、昭和53年法律第55号での改正です。行政機構改革に伴い、中央の精神衛生審議会が公衆衛生審議会へと組織変更されました。それに伴っての法改正です。

審議会等の整理等に関する法律案
精神衛生法の一部改正)
第四十九条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 
目次中「精神衛生審議会」を「地方精神衛生審議会」に改める。
 
「第三章 精神衛生審議会及び精神衛生診査協議会」を「第三章 地方精神衛生審議会及び精神衛生診査協議会」に改める。
 
十三条から第十六条までを削る。
 
第十六条の二第三項を次のように改め、同条を第十三条とする。
3 地方精神衛生審議会は、関係行政機関に対し所属職員の出席、説明及び資料の提出を求めることができる。
 
第十六条の三第三項中「及び関係行政機関の職員」を削り、同条第四項中「(関係行政機関の職員のうちから任命された委員を除く。)」を削り、同条を第十四条とし、第十六条の四を第十五条とし、第十六条の五を第十六条とする。
 
第十七条の見出しを「(条例への委任)」に改め、同条第一項を削り、同条第二項を同条とする。
 
第二十九条の六第二項中「中央精神衛生審議会」を「公衆衛生審議会」に、「聞いて」を「聴いて」に改める。
 
附則
(施行期日等)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第四十九条中精神衛生法第十六条の三第三項及び第四項の改正規定並びに第五十九条中森林法第七十条の改正規定 公布の日から起算して六月を経過した日
 二 【略】
【2以下略】

内閣委員会会議録第5号(84衆昭和53年2月21日)
○荒舩国務大臣 ただいま議題となりました審議会等の整理等に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 先般、政府は、行政の合理化を推進するため、行政機構及び運営の全般にわたる改革を行うことを決定し、その一環として各行政機関に置かれている審議会等の整理及び委員構成等の改善を推進することといたしております。この方針に基づき、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 次に、法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、審議会等の整理につきましては、行政機構の簡素化及び合理化を推進するため、社会経済情勢の変化に伴い必要性の低下したもの、活動の不活発なもの等につきましては、これを廃止することとし、また、設置目的、審議事項等が類似しているもの等については、これを統合することとし、その他審議内容が地域的に限られてきているものの地方支分部局への移管等を行うことといたしております。これにより、各行政機関を通じまして、六審議会等を廃止することとし、また、三十九審議会等を対象に統合を行うことにより二十七審議会等を整理することとするほか、二審議会の地方支分部局への移管等を行うことといたしております。
 【略】
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

内閣委員会会議録第15号(84衆昭和53年4月25日)
○中川(秀)委員 【略】
 では、審議会一括整理法案の中身に入らしていただきます。
 この審議会整理法案、私はいろいろ細かく考えてみたのですけれども、今度の整理の物差しは、必要性の低下したものあるいは活動の不活発なものの廃止、それと、類似のものの統合、あるいは審議内容が地域的に限られているもの、これの移管、あるいは常設でなくてもいいものというような、そんな物差しで選ばれているようであります。これについては、そのようにも書いてありますから、御答弁は要りません。
 ところが活動不活発なものという中に、これは全部が全部ということは確かに言えないと思いますけれども、いささか古い資料で恐縮ですが、五十年度、五十一年度、つまり昨年の春までですね、全く審議会が開かれていない、総会も部会も開かれていないという審議会が十三審議会あります。それから総会ないし部会が一回ないし二、三回五十年度に開かれて、五十一年度は全く開かれなかったという審議会が十審議会あります。いま一度申しますと、両年度にわたって全く開かれていないという審議会が十三、五十年度はちょっと開かれたけれども五十一年度は全然開かれていないという審議会が十審議会ある。これはいずれも整理の対象になっていない審議会の中から選び出したものであります。
 中には公務員制度審議会とか選挙制度審議会とか、確かに開かれていないが将来にわたって重要であるという審議会もあります。しかし考えようによっては、これはどこかに統合できるのではないかという審議会も、たとえば国民生活審議会が一方にあって、国民生活安定審議会というのがございますけれども、この国民生活安定審議会の方は五十一年度は全然開かれていません。あるいは臨時大学問題審議会、今度は整理対象になっていませんが、これも両年度にわたって全然開かれておりません。具体的に挙げるのがいいかどうかわかりませんけれども、いずれにしてもやはり検討対象にしたのかどうかもわかりませんし、中央生乳取引調停審議会などというものも両年度にわたって開かれておりません。石油需給調整審議会というのも開かれておりません。私は、内容、設置目的を全部当たって発言しているわけではないのですけれども、少なくともこういう開かれてない審議会がかなりあって、対象になったのかどうか。それではなぜ今度の整理法案には入らなかったのか。逐一の御説明をいただいたら時間がかかりますから、総論で結構ですから御答弁を願いたいと思うのです。
○辻政府委員 お話しのように、今回廃止あるいは統合の対象にいたしております中に、開催実績不活発のものがあるわけでございます。
 そこで、中川委員の御指摘のものと若干データが違うわけでございますが、私どもの資料でございますと、過去三カ年間、五十年度から五十二年度まで開催実績のない審議会が十五ございます。その中で、ただいまお話がございましたが、公務員制度審議会選挙制度審議会につきましては、今後調査審議すべき基本問題が出てくることが予想されますので、整理の対象にしなかったわけでございます。それから不服審査のための審査会、審議会がかなりあるわけでございますが、こういうものは、たまたま案件がございませんでも、そういう不服審査の仕組み自体は必要でございますので、存続をさせているわけでございます。関税不服審査会でございますとか自動車損害賠償責任再保険審査会は、この間審査案件がございませんけれども、機構自体は存置しておく必要があると考えたわけでございます。それから臨時大学問題審議会につきましては、処理案件はなかったわけでございますけれども、御承知のように、大学紛争に関する制度と一体的に検討した方がいいのではないかということで今回は見送っております。
 そこで、この十五審議会の中で、廃止をいたすことで御提案申し上げておりますのが三審議会ございます。それから三審議会につきましては、統合するわけでございます。その残りにつきましては、ただいま申し上げましたような理由によりまして今回の整理統合の対象にしていない、かようなことでございます。
○中川(秀)委員 私も不服審査会は名前も挙げませんでした。それから基本問題をやる公務員制度審議会あるいは選挙制度審議会については理解をすると申し上げたのですが、それ以外のものについても、どうしてこれは対象にならなかったのかなという感じのものが若干ある。私は、三年間にわたって開催ゼロという資料は持っておりませんが、両年度にわたってゼロもしくは一、二回、そういうものだけ拾い出してみたわけですけれども、きょうは余り時間がありませんから、これについては、いま一度何らかの形で御説明を願いたい、こう思っております。それをお願いしておきます。
 【略】
○中川(秀)委員 それから審議会等の設置形式ですけれども、中央精神衛生審議会、栄養審議会等が、現在はそれぞれ実体法で委員構成等が規定されておるわけですけれども、今度は公衆衛生審議会に統合される結果、同審議会の設置根拠のみが設置法で規定されて、委員構成は政令で規定されるということになるのですから、そういうことになると、できる限り法律で委員構成等も、こういう公衆衛生あるいはいろいろな食品公害等の問題も絡んで、あるいは精神衛生審議会にも微妙な問題、審議事項がたくさんあるわけですから、こういう委員構成も政令だけで一方的にできるということになるのが果たしていいのかどうか、私は、これも若干問題があるのではないかという気がするのです。
○辻政府委員 【略】
 公衆衛生関係の審議会につきましてもおおむね同様でございまして、ただいま結核、伝染病、精神、栄養というふうに分かれてあるわけでありますが、これをもう少し広い見地と申しますか、高い立場と申しますか、公衆衛生全体の立場から総合的に検討する審議会の方がいいのではないか、そしてまた、必要に応じまして、結核、精神等につきましては、それぞれの部会において御審議をいただく、そういう体制の方がよろしいのではないかと考えたわけでございます。
 なお、委員構成の細かい点を政令に譲っている例はほかにもございますので、そういうことも勘案いたしまして、今回の措置にいたしたわけでございます。
○中川(秀)委員 繰り返しになりますけれども、二つまたは三つの審議会を一つにして、委員定数や構成は政令にゆだねる。そうすると、たとえば三つの審議会を一つにして、三つの部会をその一つの審議会の下に置く、そして各部会が委員定数等従前と全く同様だということにしますと、何のための審議会整理かということになってしまう、もしそうだとするならば。だから、この点についても、政令でゆだねられているところというのは若干問題があるといまでも私は思っているのですけれども、少なくとも今後、委員定数を政令でこういうふうにした心ということは逐一国会に報告していただきたい、こういうふうに私は思うのです。改めてその点だけお尋ねをしておきます。
○辻政府委員 委員の数が統合によりまして必ずしも減らない場合もあり得ると思うのでありますけれども、その点につきましては、審議会の整理統合、委員の数の縮減あるいは経費の節減ばかりを目的としているわけではございませんで、行政の簡素化あるいは能率化ということが大きな目標であるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、統合することによりまして、より高い立場から総合的に御検討いただけることになるというのは、それはそれとして一つのメリットであるというふうに思っておるわけでございます。
 なお、御指摘の点につきましては、適宜の方法によりましてその結果を御報告させていただくことにいたします。
○上原委員 【略】
 次は厚生省の関係なんですが、どうもこれがわれわれとしては、なかなか今回の提出されたものに賛成しかねる一つの事由にもなっておるわけですが、御承知のように、今回の整理統合法案の中で、厚生省関係についても四つの審議会を公衆衛生審議会に統一をするという案が出ているわけですが、これも指摘をするまでもなく、たしか四十八年の本委員会で修正可決になっているわけなんです。この四十八年の七月六日の委員会で原案が修正になっておって、当時も御承知のように、中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会及び伝染病予防調査会を廃止、公衆衛生審議会に統合するということが出されておるわけですね。われわれも当初から、当時も問題があるということで反対をいたしましたし、この修正案の趣旨説明を読んでみますと、こういうふうになっております。
  原案では、中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会及び伝染病予防調査会を廃止し、新たに公衆衛生審議会を設置することとしておるのでありますが、これらの廃止しようとする審議会、調査会は、それぞれ個別の分野、個別の疾病に対応して設けられているものでありまして、さらにその対策を推進していくためには、ますます整備拡充を行なっていくことが必要であり、単なる統合は適当でないと考えられますので、これらの審議会等の廃止統合に関する規定を削ることであります。
ということで、全会一致だったと思うのですが、削除されて、原案修正で通っているいきさつがあるわけですね。
    〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
 今回また同じように、この中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会、伝染病予防調査会を公衆衛生審議会に統廃合をしようとしている。もちろん、これまでの御説明をいろいろ聞いてみますと、大分状況の変化もあって、統合しても十分対応していけるので問題はないという御説明でしたが、どうも、公衆衛生審議会にこの中央精神衛生審議会あるいは栄養審議会を統合するというのには無理があるのじゃないかと思うのですね、性格は全く違うということ。一歩譲って、結核予防審議会と伝染病予防調査会を統合するというならまだ話はわかるわけですね、若干性格は似てくる。したがってわれわれとしては、これは中央精神衛生審議会なり栄養審議会というものは独自審議会として存置をせしめるべきだ。その理由は、いろいろ御説明はありますけれども、やはり今日の社会環境、いろいろな生活環境からして、精神衛生問題というのは最も重視をされなければいかない一つの医療行政といいますか、社会政策の範疇だと言っていいかと思うのです。そういう意味で、なぜいまの段階で無理をして、公衆衛生というこの大枠に統合しようとしているのかという疑問が依然として残っている。
 同時にまた、栄養審議会の問題にいたしましても、最近は、むしろ栄養はとり過ぎだとかいう御意見もあるようですが、であればこそ、国民の健康づくりあるいは体力づくりという面からしても、健康づくり、体力づくりをやるための栄養の摂取はどうあらねばいかないかということを、この栄養審議会をもっと活用して、低学年から中、高、あるいは青年とか壮年とか老人対策を含めてやるべきなのが本来の厚生省の姿勢でなければいかないと私は思うのですね。なぜこれを無理して統合なさるのか、ここを改めて御見解を聞きたいと思うのです。
○辻政府委員 四十八年の経過につきましては御指摘のとおりでございまして、私どもも十分承知をいたしております。しかし、ただいまお話もございましたように、近年におきます人口の老齢化と申しますか、精神病の増加と申しますか、そういうものでかなり様子が違ってきておりますし、またいろいろと新しい行政上の施策も進められておるようでございます。そういう状況でございますと、現在のような疾病ごとの、あるいは事項ごとの縦割り的な審議会では必ずしも十分対応できない問題も生じてくるわけでございますので、この際公衆衛生全般にわたりまして総合的な観点から御審議をいただいた方がよろしいのではないか、このように思ったわけでございます。
 確かに、お話しのように伝染病予防、結核対策、精神病、精神衛生でございますか、それから栄養、それぞれ違った分野ではあるわけでございますけれども、精神衛生のような問題でも結核とはもちろん疾病の種類は非常に違いますが、これに対します医療が何と申しますか社会防衛的な見地で考えられているという面では非常な共通性があるわけでございます。御承知のように、強制的に医療をいたしますとかあるいは公費負担の医療も八割国庫負担をいたしておりますとか、そういう共通な点もあるわけでございます。栄養の問題にいたしましても、近年単に疾病対策だけではなくて、国民栄養を含めた健康づくりとあわせて考えた方がよいというような問題もございますので、この際そういう点を総合的に勘案をいたしまして、一つの公衆衛生審議会ということで御提案を申し上げた次第でございます。
○上原委員 いま行管の方の御答弁はあったのですが、政府ですからみんな同じことを一応お答えになるかもしれませんが、厚生省は一体どうお考えなんですか。
○舘山説明員 お答え申し上げます。
 行政管理局長の御答弁に補足してお答えさせていただきたいと存じますけれども、中央精神衛生審議会につきましては、ただいまも局長が申されましたように、疾病予防対策としては結核、伝染病対策と施策上の共通性を有しております。それから今日要請されている心身両面にわたる総合的な健康づくり対策の一環として推進する必要があるという点がございます。また保健上、市町村保健センターを中心とする地域保健対策の一環として推進する必要がある。以上のようなことを考えますと、公衆衛生行政全般として精神衛生の問題も考えた方がよいのではないかということ。
 それから栄養審議会の点について申し上げますと、近年高血圧等の成人病の増加、さらに肥満、貧血等の増加が国民健康上重大な問題となっているわけでございます。成人病対策との関連なくして栄養問題を論ずることはできないということで、これまた公衆衛生審議会として総合的な面からの検討をする方がより適当であると私どもは考えております。
○上原委員 実に優等生答弁をなさっているようなんですが、これはおっしゃるほどそう簡単な問題じゃないのじゃないですか。特に皆さんから出されている資料を見ましても、最近の審議会の開催状況を見ましても、伝染病予防対策なんというのは相当の頻度で開かれているわけですね、最近もコレラ問題もいろいろありましたし。また結核は環境の整備、いろいろな医療水準の向上なり国民の栄養摂取の問題等からして、患者は従来よりは少なくなっているのは認めますが、これとて公衆衛生全般にくくるというのはどうかと思いますよ。特に精神衛生審議会というのは、開かれている回数は確かに少ないかもしれませんが、今日の国民生活、社会状況、いろいろな親子の関係とかあるいは入試問題その他をめぐって、いまこそ精神衛生についてはそういう審議会をもっともっと活用すべきだと思うのです。そういう意味で、これはにわかにわれわれ賛成しがたいということを改めて申し上げておきたいと思うのです。
【略】
○鈴切委員 今回の審議会等の整理については、過去国会で修正されたものが、ほぼそのままの内容として含まれているものが二つあります。厚生省の関係の中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会及び伝染病予防調査会を公衆衛生審議会に統合する点、四十八年の第七十一回国会において全く同様の内容の厚生省設置法改正案が提出されたけれども、衆議院で修正されているという内容と、もう一つは、労働省関係の労働基準監督官分限審議会を廃止して、その事務を中央労働基準審議会に合わせるための、労働省設置法改正案が第六十五回国会に提出されたけれども、第七十回国会において、衆議院で廃案となっております。
 かつて国会で修正されたもの、廃案になったものが今回再び提出されてきているわけでありますけれども、そのときの情勢と今回の情勢と、何らか変化があったのか。もちろん再提出されることについては問題はないとしても、それはそれなりの理由があってしかるべきだと思うけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
○辻政府委員 労働基準監督官分限審議会の場合には、四十六年の政府案と申しますのは、今回の案と違いまして、中央労働基準審議会に統合するという案だったわけでございます。今回御提案申し上げております案は、先ほど来申し上げておりますように、常設の機関としては廃止をいたしまして、万一そういう事案が起こりました場合には、必要の都度設置をするということに改めさせていただきたいと考えておるわけでございます。
 それから、厚生省関係の四審議会の統合でございますけれども、四十八年に御提案申し上げまして以来、人口の老齢化でございますとか、精神病の増加でございますとか、いろいろと公衆衛生をめぐる諸情勢が変化をいたしておりますし、最近は、また公衆衛生の施策としても新しい施策も取り入れられたようでございます。こういう新しい事態に即応いたしまして、また新しい問題に対応いたしますためには、従来のような疾病ごと、事項ごとの縦割り的な審議会では不十分ではなかろうか、むしろ公衆衛生全般にわたる総合的な観点から御審議をいただくような審議会の方が望ましいのではないかと考えまして、四審議会を統合するという案を御提案申し上げた次第でございます。
【略】
○始関委員長 この際、高鳥修君から、審議会等の整理等に関する法律案に対する修正案が提出されております。
【略】
○始関委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。
 修正案について別に発言の申し出もありません。
○始関委員長 これより審議会等の整理等に関する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
○上原委員 日本社会党を代表して、審議会等の整理等に関する法律案について反対の討論を行います。
 この法案は、政府がさきに決定した改革案に基づいて行政の合理化を推進するため、行政機構及び運営の全般にわたる改革の一環として各行政機関に置かれている審議会等の整理及び委員構成等の改善を図り、目下の社会経済情勢の変化に伴い必要性の低下したもの、活動の不活発な審議会等については、これを廃止する措置をとろうとするものであります。また、設置目的、審議事項等が類似しているもの等については、これを統合することとし、審議会等の委員を縮減することが主な内容になっているのであります。
 わが党も、国政多年の懸案である行政改革に全面的に反対するものではなく、本法案についても全くその必要性を認めていないわけではありません。しかしながら、特に以下に指摘する諸点を中心として、委員会審議を通じても納得いく解明がなされず、問題がなお残っておりますので、本法案に反対せざるを得ないのであります。
【略】
 反対するその第二は、厚生省に係る中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会、伝染病予防調査会の四つを公衆衛生審議会に包含しようとしていることであります。
 この四つは、これまた全く異なる審議会であるにもかかわらず、しかも第七十一国会に厚生省設置法の一部改正案として提出され、審議されたのでありますが、これらの審議会、調査会は、より整備拡充を図っていく必要があるとして修正可決されたいきさつがあるのであります。
 その後若干の状況変化はあったにしても、これら審議会、調査会を公衆衛生審議会に統合せねばならない根拠とはなり得ないと考えるのであります。
【略】
 以上が本法案に反対する主な理由であります。
 行政改革は、単なる形式的なもの、あるいは国民の必要性を否定した統廃合であってはなりません。わが党は、行政改革は国民各般の期待とコンセンサスの上に進められるべきであると考え、そのことを強く要求し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○始関委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、審議会等の整理等に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
 そもそも審議会制度は、戦後の行政民主化の中で行政運営に国民各層の意見や関係各方面の専門的知識を導入し、国民全体に奉仕する公正、民主的で効率的な行政運営を確保するために、行政委員会とともに広く採用された制度であります。しかし現実は、大企業役員や財界代表が、政府関係者とともに重要な地位と比重を占め、主要な審議会のほとんどすべてを大企業奉仕の許認可等の決定や官僚的行政の隠れみのとして悪用しているという現状にあります。したがって、今日の審議会制度改革の中心問題は、こうした現状に抜本的なメスを入れ、その構成、運営を民主化して、審議会制度を、国民全体に奉仕する公正、民主的な行政運営を確保するためにいかに活用するかということでなければなりません。だが本案は、こうした民主的改革の課題に真正面からこたえていないというだけでなく、全体としてはこれと逆行するものになっています。
 本案には、行政機構の簡素化、効率化を図るとともに、一定の審議会について委員構成の一定の適正化を図るなどの改善部分はありますが、法案全体としては重大な欠陥、問題が随所にあります。
 第一に、本案は審議会の数を減らすことを主眼にしているというだけでなく、そのやり方は国民金融公庫の民主的運営を確保するための国民金融審議会や労働基準監督官の身分保障のための労働基準監督官分限審議会など、国民生活や国民の民主的権利と密着した各種審議会を廃止しながら、大企業奉仕型、官僚的行政隠れみの型のものには何一つ手をつけようとしておらず、全体としては行政機構から民主的要素を奪うものとなっています。また、審議会統合についても、審議会の数を減らすことに熱中する余り、国土開発関係の十四の審議会を一括統合するというような行き過ぎがあり、統合により規模が大型化し、その内部組織が政令以下の命令や会長などの権限でどのようにもできるようになり、国会による監視が及びにくくなるという問題もあります。
 第二に、本案は財政支出の合理化を基本精神とした昨年末閣議決定行政改革計画に基づいて提出されたものでありますが、廃止されるものは予算規模が小さなものばかりであり、統合についても、従前の予算と定員をそのまま合算するということであり、経費節減という点ではほとんど意味がないという問題があります。
 第三に、本案は一定の審議会について行政職員委員制や大臣・職員会長制を廃止することとしていますが、廃止されるのは一部だけであり、きわめて不徹底であります。しかも、大企業役員や財界代表が重要な地位と比重を占めている現状には何らのメスをも入れようとしていないという重大な欠陥があります。
 第四は、本案の欠陥のうち最も決定的な欠陥、つまり各種審議会の運営上の問題については、何一つ具体的な措置を講じようとしていないということであります。ロッキード事件、日韓癒着問題を契機に、わが国の政治における行き過ぎた秘密主義や密室的な行政運営に対する国民的批判が強まり、アメリカでウォーターゲート事件を教訓にして行政委員会の公開に踏み切ったように、わが国でも審議会の公開原則を確立することが切実に求められています。また、国民各層の意見を公正かつ総合的に反映させ、合理的な決定を行うために公聴会開催主義の原則を導入することや、各種審議会の公正、民主的な構成と運営に関する一般的基準についての通則を確立することなども国民的要望となっています。しかし、本案はこうした課題に何一つこたえようとしていないだけでなく、運営上の改革については何らの具体策をも打ち出していないのであります。
 以上の理由により、審議会等の整理等に関する法律案に反対するものであります。
○始関委員長 これにて討論は終局いたしました。
○始関委員長 これより採決に入ります。
 審議会等の整理等に関する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。
 まず、高鳥修君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○始関委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○始関委員長 起立多数。よって、本案は、高鳥修君提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。
【略】
○始関委員長 この際、行政管理庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。荒舩行政管理庁長官。
○荒舩国務大臣 一言ごあいさつを申し上げます。
 ただいま審議会等の整理等に関する法律案及び許可、認可等の整理に関する法律案の両案を可決いただきました。まことにありがとうございました。
 御審議の間におきまして承りました貴重な意見を体し、一層の行政の改革、合理化に努める所存でございます。
 今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

本会議会議録第27号(84衆昭和53年4月27日)
○議長(保利茂君) 日程第二、審議会等の整理等に関する法律案、日程第三、許可、認可等の整理に関する法律案、右両案を一括して議

題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長始関伊平君。
    〔始関伊平君登壇〕
○始関伊平君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 両法律案は、いずれも昨年末に政府の決定した行政改革計画に基づき、行政の簡素化及び合理化を行おうとするものであります。
 まず、両法律案の要旨を申し上げますと、
 審議会等の整理等に関する法律案は、台風常襲地帯対策審議会等四十七の審議会等を整理統合するとともに、社会保障制度審議会等四十の審議会等について、委員構成等の改善を行おうとするものであります。
 許可、認可等の整理に関する法律案は、古物営業法等三十一の法律を改正して、九十六事項の許可、認可等の整理を行おうとするものであります。
 両法律案は、二月十三日及び三月七日に本委員会に付託され、二月二十一日及び三月二十三日にそれぞれ荒舩国務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月二十日より両法律案を一括して質疑に入り、慎重に審査を行いましたが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
 かくて、四月二十五日質疑を終了いたしましたところ、審議会等の整理等に関する法律案に対し、高鳥委員から、本法律案中に「農林水産省」とあるのを「農林省」に改める旨の修正案が提出され、趣旨説明の後、同法律案について討論に入り、日本社会党を代表して上原委員から、日本共産党・革新共同を代表して柴田委員から、それぞれ反対の意見が述べられました。
 次いで、両法律案について採決いたしましたところ、審議会等の整理等に関する法律案は、多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決し、許可、認可等の整理に関する法律案は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(保利茂君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
【略】

【20050715:参議院審議は、にわとりショコラへ移転しました。】

審議会等の整理等に関する法律(昭和53年法律第55号)
精神衛生法の一部改正)
第四十九条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 
目次中「精神衛生審議会」を「地方精神衛生審議会」に改める。
 
「第三章 精神衛生審議会及び精神衛生診査協議会」を「第三章 地方精神衛生審議会及び精神衛生診査協議会」に改める。
 
十三条から第十六条までを削る。
 
第十六条の二第三項を次のように改め、同条を第十三条とする。
3 地方精神衛生審議会は、関係行政機関に対し所属職員の出席、説明及び資料の提出を求めることができる。
 
第十六条の三第三項中「及び関係行政機関の職員」を削り、同条第四項中「(関係行政機関の職員のうちから任命された委員を除く。)」を削り、同条を第十四条とし、第十六条の四を第十五条とし、第十六条の五を第十六条とする。
 
第十七条の見出しを「(条例への委任)」に改め、同条第一項を削り、同条第二項を同条とする。
 
第二十九条の六第二項中「中央精神衛生審議会」を「公衆衛生審議会」に、「聞いて」を「聴いて」に改める。
 
附則
(施行期日等)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第四十九条中精神衛生法第十六条の三第三項及び第四項の改正規定並びに第五十九条中森林法第七十条の改正規定 公布の日から起算して六月を経過した日
 二 【略】
【2以下略】