精神医療に関する条文・審議(その39)

前回(id:kokekokko:20050531)のつづき。初回は2004/10/28。
精神衛生法の改正についての国会審議。今回は昭和61年法律第46号での改正をみてみます。
「国の補助金等の臨時特例等に関する法律」によって、前年度の補助金負担割合が3年間延長されました。これについて、前年度と同様に議論がなされました。
今回もここでは詳細は省略して、法案の成否に絞ってみてみます。

国の補助金等の臨時特例等に関する法律案【第18条と附則第1項から第2項のみ掲載】
精神衛生法の一部改正)
第十八条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
  附則第三項中「昭和六十年度」の下に「から昭和六十三年度までの各年度」を加える。
 
附則
(施行期日等)
1 この法律は、昭和六十一年四月一日から施行する。
 
2 この法律(第十一条、第十二条及び第三十四条の規定を除く。)による改正後の法律の昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度の特例に係る規定並びに昭和六十一年度及び昭和六十二年度の特例に係る規定は、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度(昭和六十一年度及び昭和六十二年度の特例に係るものにあつては、昭和六十一年度及び昭和六十二年度。以下この項において同じ。)の予算に係る国の負担(当該国の負担に係る都道府県又は市町村の負担を含む。以下この項において同じ。)又は補助(昭和六十年度以前の年度における事務又は事業の実施により昭和六十一年度以降の年度に支出される国の負担又は補助及び昭和六十年度以前の年度の国庫債務負担行為に基づき昭和六十一年度以降の年度に支出すべきものとされた国の負担又は補助を除く。)並びに昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度における事務又は事業の実施により昭和六十四年度(昭和六十一年度及び昭和六十二年度の特例に係るものにあつては、昭和六十三年度。以下この項において同じ。)以降の年度に支出される国の負担又は補助、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度の国庫債務負担行為に基づき昭和六十四年度以降の年度に支出すべきものとされる国の負担又は補助及び昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度の歳出予算に係る国の負担又は補助で昭和六十四年度以降の年度に繰り越されるものについて適用し、昭和六十年度以前の年度における事務又は事業の実施により昭和六十一年度以降の年度に支出される国の負担又は補助、昭和六十年度以前の年度の国庫債務負担行為に基づき昭和六十一年度以降の年度に支出すべきものとされた国の負担又は補助及び昭和六十年度以前の年度の歳出予算に係る国の負担又は補助で昭和六十一年度以降の年度に繰り越されたものについては、なお従前の例による。
 
理由
 最近における財政状況、社会経済情勢の推移及び累次の臨時行政調査会の答申の趣旨を踏まえ、財政資金の効率的使用を図るため、国の負担金、補助金等に関する臨時特例等の措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

本会議会議録第12号(104衆昭和61年3月20日
○議長(坂田道太君) この際、内閣提出、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣竹下登君。
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
国務大臣竹下登君) ただいま議題となりました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には一段と厳しいものがあり、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定、向上を図るためには、引き続き財政改革を強力に推進し、財政の対応力の回復を図ることが緊要であります。
 このため、政府は、昭和六十一年度予算におきまして、歳出面において、既存の制度、施策の改革を行うなど徹底した節減合理化を行い、全体としてその規模を厳に抑制することとしたところであります。
 このような中で、最近における財政状況、社会経済情勢の推移及び累次の臨時行政調査会の答申等の趣旨を踏まえ、補助金等につきましては、引き続きその整理合理化を推進するとともに、事務事業の見直しを積極的に進めながら補助率の総合的見直し等を行うこととし、また、厚生年金の国庫負担金の繰り入れ等につきましても所要の特例措置を講ずることとしたところであります。
 なお、補助率のあり方等につきましては、補助金問題関係閣僚会議及び補助金問題検討会において鋭意検討を重ねてきたところであり、今般の措置は、補助金問題検討会の報告を最大限尊重することとし、その趣旨を踏まえて行うこととしているものであります。
 本法律案は、以上申し述べました国の補助金等の臨時特例等の措置について所要の立法措置を講ずるものであります。
 すなわち、本法律案は、国の補助金等に関し、社会保障、公共事業等の各政策分野の特性に配意しつつ、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度において補助率等の引き下げを行うこととしているもの及び地方公共団体一般財源による措置への移行を行うこととしているものについて所要の措置を講ずるとともに、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度における厚生年金保険事業に係る国庫負担金の繰り入れ等について所要の特例措置を講ずるものであります。なお、補助率等の引き下げの対象となる地方公共団体に対しましては、その事務事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずることとしております。
 以上、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)

大蔵委員会会議録第11号(104衆昭和61年4月1日)
○小泉委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。竹下大蔵大臣。
○竹下国務大臣 ただいま議題となりました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には一段と厳しいものがあります。このため、政府は、引き続き財政改革を一層推進することとし、昭和六十一年度予算におきましても、歳出面において、既存の制度、施策の改革を行うなど徹底した節減合理化を行い、全体としてその規模を厳に抑制することとしたところであります。
 このような中で、最近における財政状況、社会経済情勢の推移及び累次の臨時行政調査会の答申等の趣旨を踏まえ、補助金等につきましては、引き続きその整理合理化を推進するとともに、事務事業の見直しを積極的に進めながら補助率の総合的見直し等を行うこととし、また、厚生年金の国庫負担金の繰り入れ等につきましても所要の特例措置を講ずることとしたところであります。
 なお、補助率のあり方等につきましては、補助金問題関係閣僚会議及び補助金問題検討会において鋭意検討を重ねてきたところであり、今般の措置は、補助金問題検討会の報告を最大限尊重することとし、その趣旨を踏まえて行うこととしているものであります。
 本法律案は、以上申し述べました国の補助金等の臨時特例等の措置について所要の立法措置を講ずるものであります。
 以下、この法律案の内容について申し上げます。
 第一に、社会保障、公共事業等の各政策分野の特性に配意しつつ、補助率の総合的見直しを図るという観点に立って、四十四法律について昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度における国の補助金及び負担金の補助率及び負担率の引き下げを行うこととしております。なお、この引き下げの対象となる地方公共団体に対しましては、その事務事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずることとしております。
 【略】
 以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

大蔵委員会会議録第14号(104衆昭和61年4月16日)
○小泉委員長 この際、本案に対し、堀之内久男君外三名から、自由民主党・新自由国民連合の提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。中西啓介君。
 国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対する修正案
【略】
○中西(啓)委員 ただいま議題となりました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対する修正案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、附則で定められているこの法律の施行期日は、原案では「昭和六十一年四月一日」とされておりますが、既にその期日を経過いたしておりますので、これを「公布の日」に改めるとともに、所要の規定の整備を行うこととするものであります。
 以上が本修正案の提案の趣旨及びその内容であります。
 何とぞ、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○小泉委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
○小泉委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。笹山登生君。
○笹山委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表し、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案及び同法案に対する修正案に賛成の意見を述べるものであります。
 現下の我が国財政は、巨額の公債残高を抱えながらも、なお多額の公債発行に依存せざるを得ないという状態を続けております。
 このような財政状態をこのまま放置するならば、今後の社会、経済の急激な変化に財政が適切かつ柔軟に対応することがますます困難となるばかりでなく、後代の国民は、多額の公債の元利払いのための負担のみを負うというまことに憂慮すべき事態に立ち至ることは必至であります。したがって、今後ともさらなる財政改革への努力に加え、徹底した歳入歳出構造の見直しの推進がぜひとも必要であると考える次第であります。
 しかも、これらの財政改革推進のためには、特に一般歳出の四割を超える補助金等の見直しを図ることが避けて通ることのできない課題となってまいります。
 もちろん補助金等の見直しによる整理合理化は、行政領域の見直しをも伴うものであるがゆえに、極めて困難な側面を持っていることはよく承知しております。しかし、困難がゆえにこそ、その努力までをも放棄するというわけにはいかないのであります。
 先般成立いたしました昭和六十一年度予算における補助金等の総額は、前年度当初比三千二百十一億円減と、五十九年度、六十年度に引き続き三年連続の減額を達成いたしております。しかも、この三千二百十一億円の減額は、真にやむを得ない増加要素を織り込みつつもなおかつ達成されたものであることから、私は、この点を特に高く評価するものであります。
 なお、本法律案は、このような補助金等の整理合理化の中核をなす諸施策を措置するもので、六十一年度予算と一体不可分の重要な法案となるものであります。
 また、本案に盛り込まれている各措置は、累次の臨調答申等の趣旨を踏まえ、事務事業の見直しを積極的に進めながら補助率の総合的見直し等を行うこととしたものであります。さらには、地方財政の円滑な運営に支障を生ずることのないよう、別途、財政金融上の措置を講じることにより、万全を期していることもあわせ考えれば、現下の厳しい財政状況等の中にあって政府のなされるこのような努力と英断に対し、深く敬意を覚えるものですらあります。
 なお、施行期日を公布の日に改める等の修正案についても、事の性質上当然の措置であると考えるものであります。
 今日の我が国社会、経済の著しい変化の中で、行政は広範多岐にわたる課題に対する適切な対応が迫られているにもかかわらず、国と地方の財政はいずれも厳しい環境下に置かれております。このようなことから、今後とも国、地方を通じる行財政改革を着実に進めていくことが、財政が国民の多様なニーズに対応するためにも喫緊の重要課題であることは申し上げるまでもありません。
 その意味で、政府が国民各位の理解と協力を得て行財政改革に引き続き積極的に取り組み、補助金等を含めた歳出全般にわたる節減合理化を一層推進することにより、限られた財源の中での財政資金の一層の効率化と行政運営の能率化を図られることを切望いたし、本法律案及び修正案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
○小泉委員長 伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対し反対の討論をいたします。
 反対の第一の理由は、政府が国会で表明してきたことをみずから踏みにじっている点であります。
 昨年、繰り返し一年限りと表明されたのに、今回はさらに二倍の金額の補助金の削減、しかも三年にわたるという内容を持ち出して、しかも反省の色がないのであります。政治の基礎は信頼、信用でありますが、この法律案は、政府みずからこれを突き崩していると言わなければなりません。
 反対の第二の理由は、政府が国と地方との関係、財政の将来展望を持たないままにこのような不当な法律案を提案をしたことであります。
 昨年の一括削減法案によって、地方財政、特に福祉や教育の面で深刻な問題が発生していることが本委員会及び連合審査会を通じて明らかにされました。また、この法案によって、地方財政は債務の累積、公債費の増大など構造的に悪化することも重大なことであります。これは自治権に対する抑圧、侵害であり、今、時代の要求となっている分権型社会への展望に逆行するものであります。
 反対の第三の理由は、このような政策によって福祉を初め戦後四十年築き上げてきた諸制度そのものを突き崩す危険性を持っていることであります。
 生活保護法を初め社会福祉諸制度は、憲法の規定と精神に基づいて、国の責任を基本にしてつくられてきたのでありますが、それを政府自身が否定しようとしていると言わなければなり史せん。さらに今、福祉型社会が大きな社会目標になっているにもかかわらず、住民の希望と参加のもとに地域社会を建設する道を妨害をすることになるのであります。
 今日、内外の経済社会条件が大きく変動している中で、二十一世紀に向けた我が国の設計図を明確にすることが強く求められているにもかかわらず、この法律案に示される政府の態度は、社会の将来への発展展望のないことをみずから証明するものと言わざるを得ません。
 以上の理由から本法案に強く反対し、討論を終わります。(拍手)
○小泉委員長 矢追秀彦君。
○矢追委員 私は、公明党国民会議を代表いたしまして、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案及び同法律案に対する修正案に対し、反対の立場から討論を行います。
 反対する第一の理由は、六十年度における補助金カット一括法は一年限りの措置であると言いながら、今回再び一括化した特例法案を提出し、しかも三年間の特例措置とした点であります。
 一年限りの措置ということは、六十一年度以降はもとの補助率に復元するものだとだれしも考えることは至極当然のことであります。それにもかかわらず、政府は再び、しかも三年間の暫定期間の特例法を提出し、多くの反対を押し切ってこれを成立させようとしていることは、国民を欺瞞し、国と地方の信頼関係を大きく損ない、将来に禍根を残すものであると言わざるを得ません。私は、このような政府の姿勢を絶対容認することができません。厳しく反省を求めるものであります。
 第二に、地方財政への影響額が極めて多額に上っている点であります。
 今回の補助率の引き下げによる地方財政への影響額は一兆一千七百億円と、六十年度における五千八百億円と比較いたしまして実に倍増しております。しかも、三年間の特例措置でありまして、年々これがふえていくことは十分に予想されるところであります。
 地方財政にとりましてこれだけの負担増になりながら、政府は、交付税の特例加算と建設地方債の増発で面倒を見ているから完全に補てんされ、負担増にはならないとの答弁に昨年来終始されているのでありますが、個々の自治体にとりましては、予算も満足に組めず、結局は住民に対する負担の増加を来すという、まことに憂慮すべき大きな問題となることが心配されるのであります。
 経過についていろいろ問題がありましたたばこ消費税の引き上げ措置も六十一年度限りのものであります。今後の地方財政対策については、そのときどきの諸情勢を勘案して適切な措置を講じると言われておりますが、これでは、地方団体は将来に対する見通しも立たず、不安を感ずるばかりで、まことに遺憾な姿勢であります。
 第三の理由は、今回の措置は、地方間の格差を拡大するおそれがあるということであります。
 本来国が負担すべき福祉、教育を中心に大幅なカットが行われることに伴いまして、それでなくても苦しい地方自治体の財政危機を一段と助長し、さらには、都道府県より市町村の方がより負担増が多くなっております。これによりまして地域格差がますます拡大していく傾向をもたらすことが懸念されます。これでは、全国にバランスのとれた行政サービスを住民が等しく受けることができず、平等の精神に反する結果となるのであります。
 第四は、国と地方との役割分担の基本的ルールを決めることを避けて通り、国の財政事情を理由に、ただ補助率だけを下げていくやり方には非常に問題があるということであります。
 補助金問題検討会報告においても、補助率のあり方については、個々の補助率について何ら具体的な提言がなされておらず、わずかに生活保護について両論併記の形での意見が報告されている程度で、すべて今後の検討にゆだねられていると言って過言ではありません。これでは、昨年一年の間に国と地方との役割分担、費用負担のあり方を検討すると約束した政府の言葉は一体何であったのでしょうか。私は、深い失望と大きな憤りを感ぜざるを得ません。
 最後に、昨年私どもがその提出のあり方について数多くの疑点を指摘したにもかかわらず、今回再びこのような一括法案を提出した政府の姿勢について反省を促すとともに、国民本位の、また、地方の自主性と自律性を尊重した真の行財政改革補助金等の整理合理化を推進し、今後、いやしくも国の責任を地方に押しつけたり、単なる地方への財政負担の転嫁となるような措置をとることのないよう強く要求して、私の反対討論を終わります(拍手)
○小泉委員長 玉置一弥君。
○玉置(一)委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております国の補助金等の臨時特例等に関する法律案及び同修正案に対し、反対の討論を行うものであります。
 反対の第一の理由は、一律補助率のカットは六十年度限りの暫定措置とするべきとの国会の意思を踏みにじり、補助率カットの対象を拡大し、しかも、三年間の暫定措置として補助率カットを強行したことであります。これは政府の国会軽視のあらわれであり、断じて認めるわけにはいきません。
 【略】
  以上、反対の理由を述べ、私の反対討論を終わります。(拍手)
○小泉委員長 正森成二君。
○正森委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、ただいま議題となりましたいわゆる補助金削減一括法案及び自由民主党・新自由国民連合提出の修正案に対し、反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、昨年の一括法の二倍にも上る国庫負担、補助率引き下げ等による地方負担増が地方の独自財源を食いつぶし、国民生活に重大な打撃を与えるからです。
 本法案は、生活保護法、老人福祉法、児童福祉法、義務教育国庫負担法など社会保障、福祉、教育、国民生活密着型公共事業など四十八本、四十九事項の法律を一括し、昨年の六千四百億円の二倍に当たる一兆二千八百億円もの国庫負担、補助率カットを予定しております。
 政府は、口を開けば、国と地方との負担区分の調整で、国民には直接影響なしなどと述べておりますが、これはとんでもないうそであります。審議で明らかになったように、昨年の一括法以来特に進行している生活保護などでの適正実施の名による非人道的な受給制限の強化、保育料値上げや保育所の閉鎖、老人ホーム入所料などの値上げ、教育条件悪化など、国庫負担削減の一方で国民負担と地方負担が激増するという傾向が本法案により一層拍車がかかることは必至であります。
 同時に、これらの措置は、憲法を初めこれらに基づいて築かれてきた各分野の制度、施策の原理原則を真っ向からじゅうりんするもので、断じて容認できないのであります。
 【略】
 第三に、本法案が制度全面改悪のてことされることが確実だからであります。
 今回は三年間の暫定措置であるとし、特例期間後、五十九年度時点のもとの姿に戻るかのような印象も与えておりますが、一連の経過や制度、施策の根本見直しを声高に叫ぶ政府のやり方及び大蔵大臣の答弁から見て、三年後もカットが継続され、さらなる制度改悪のてことされるであろうことが十分予想されます。
 第四に、本法案が、住民サービス切り捨てと住民負担増、地方自治じゅうりんの地方行革大綱全面実施の強要や、裁判抜き代執行導入法案などとともに、政府による地方自治破壊攻撃の中核をなすからであります。
 第五に、広範多岐にわたる多数の法律を一括提出、審議した問題であります。
 既に述べたように、本法案による措置対象は、いずれもが長年にわたって血のにじむような国民の声と闘いを反映し、関係委員会での慎重な審議の上に築かれてきた制度、施策ばかりであります。これら各分野の制度改悪を一括提出し、一本の法律で一挙に片づけようとする一括処理方式は、議会制民主主義を形骸化するもので、断じて容認できません。
 最後に、昨年の一括法をさらにエスカレートした重大な内容を持つ本法案は政府の臨調行革路線の一環であり、軍拡、大企業擁護の政策によって生じた財政赤字のツケを全く責任のない国民と地方自治体に一方的に転嫁し、押しつけるもので、政府の反国民的な行革路線を一層新たな段階に押し上げようとするものにほかなりません。
 日本共産党・革新共同は、このような本法案に断固反対し、行財政改革を国民本位の方向に根本的に転換するよう強く要求し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○小泉委員長 これにて討論は終局いたしました。
○小泉委員長 これより国の補助金等の臨時特例等に関する法律案について採決に入ります。
 まず、堀之内久男君外三名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小泉委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決された修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小泉委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
○小泉委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中村正三郎君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党国民会議及び民社党・国民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。上田卓三君。
○上田(卓)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、案文を朗読いたします。
    国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について十分配慮すべきである。
 一 今回の措置は、国庫補助金等に係る三年間の暫定措置であることに鑑み、六十二年度以降においても地方の行財政運営に支障を生じないよう万全の措置を講ずることとし、その具体的措置を予算編成時ごとに明示すること。
   この間においては、義務教育費国庫負担法による二分の一国庫負担率の引下げなど、国・地方間の財政関係を基本的に変更するような補助率の引下げは行わないこと。
【略】
 三 生活保護については、社会保障における根幹的制度であることを踏まえ、公平公正な執行を図るものとすること。
   また、高齢化社会の到来に備え、在宅福祉についても、その充実に努めること。
 四 国庫負担金及び補助金の整理に当たっては、国・地方公共団体との行政責任を明確にし、一般財源化する場合は、適切にして、十分な財源の措置を講ずること。
   また、奨励補助金の整理については、適宜見直しを行い措置すること。
   なお、地方公共団体に対する国庫補助金等については、予算書上の区分の明確化に努めること。
 【略】
 七 法律の改廃に当たっては、立法の趣旨と制定の経過を踏まえ、国会審議のあり方について、十分配慮すること。
 八 補助金行政に伴う種々の問題点については、引き続きその解消に努めること。
以上であります。
 よろしく御賛成いただきますようお願い申し上げます。
○小泉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小泉委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。
○竹下国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして、配意してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。

本会議会議録第21号(104衆昭和61年4月17日)
○議長(坂田道太君) 日程第六、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長小泉純一郎君。
    〔小泉純一郎君登壇〕
小泉純一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、最近における財政収支、社会経済情勢の推移及び累次の臨時行政調査会の答申等の趣旨を踏まえ、財政資金の効率的使用を図るため、国の負担金、補助金等に関する臨時特例等の措置を講じようとするもので、その主な内容を申し上げますと、
 第一に、社会保障、公共事業等の各政策分野の特性に配意しつつ、補助率の総合的見直しを図るという観点に立って、四十四法律について、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度における国の補助金及び負担金の補助率及び負担率の引き下げを行うこととしております。
 なお、この対象となる地方公共団体に対しましては、その事務事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう、財政金融上の措置を講ずることとしております。
 【略】
 本案につきましては、去る四月一日竹下大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、同月七日から五日間にわたり関係各委員会との連合審査会を開会したほか、参考人より意見を聴取する等慎重に審査を行い、昨十六日質疑を終了いたしましたところ、堀之内久男君外三名から、自由民主党・新自由国民連合提案による施行期日を「公布の日」に改める等の修正案が提出されました。
 次いで、討論を行い、採決いたしました結果、本案は多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(坂田道太君) 討論の通告があります。順次これを許します。伊藤茂君。
    〔伊藤茂君登壇〕
伊藤茂君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対し、反対の討論をいたします。
 反対の理由の第一は、政府が国会で表明し、約束したことをみずから踏みにじっていることであります。
 昨年の通常国会に提案された補助金一括削減について、政府は、一年限りと繰り返し表明したにもかかわらず、本年は昨年の二倍の額、一兆一千七百億円の削減、しかも三年にわたるという内容を持ち出しまして、三年後の対応も不明確にして、制度改悪の恒久化をねらっております。これは国会軽視であり、背信行為であります。政治と国会の重要な基礎は信頼でありまして、国会と国民の前に表明したことを誠実に実行することであると思いますが、この法案は、政府みずからこれを突き崩すものであり、断じて容認できないものであります。(拍手)
 反対の第二の理由は、この法案が地方自治地方自治法地方財政法への重大な侵害であることであります。政府は、全国の八割に上る地方議会の反対決議を無視し、国と地方との関係、税財政の将来、財政再建の展望を何ら示さないまま、このような法案を提案したことであります。
 昨年の補助金一括削減によって、地方財政、特に福祉、教育行政の現場で深刻な問題が引き起こされ、国の最低基準さえ守られないおそれが生まれていることが、法案審議の過程、特に五日間にわたる連合審査会を通じて明らかにされましたが、政府は、この状況を打開する対策を何ら示すことができなかったのであります。さらに、本年度末における自治体の累積債務は五十八兆円に及び、本法案によって今後、さらに急増することは明らかであります。自治体財政にとって、公債費負担比率一五%が危険ラインと言われておりますが、既に二割以上もの自治体がその状態に陥っており、本法案によってさらに拍車がかかることになるのも明らかであります。
 政府は、このような深刻な状況を顧みないだけでなく、財源不足の補てん策として、ルール違反のたばこ消費税の引き上げにより二千四百億円もの国民負担を強行し、大部分は地方債の増発、借金で対応させようとしているのであります。財源に対する万全の措置を講じているという政府の弁明は、全くの詭弁であります。政府は、国と地方は車の両輪と言いますが、長年の政府の失政の結果ゆがみ切った国の財政の失敗を地方に押しつけ、結果として、国と地方の両輪とも動きのとれない状態に陥れるものと断ぜざるを得ないのであります。
 反対の第三の理由は、このような政策によって、福祉制度を初め、戦後四十年にわたって国民の皆さんと私ども国会が築き上げてきた諸制度を突き崩す危険性を持っていることであります。
 保育所、老人ホームなどの補助率が一挙に二分の一に引き下げられることに対し、これでは制度維持の限界を超えるという悲痛切実な声が上がっております。生活保護法を初め社会福祉制度は、憲法の規定と精神に基づいて国の責任を基礎にしてつくられてきたのでありますが、政府自身がこれを突き崩そうとしていると言わなければなりません。教育基本法、義務教育費国庫負担法、生活保護法や地域社会を築くための諸制度、それを支える財源を削減しながら、世界に例のない軍事費突出を強行している中曽根内閣の政策に断固として反対するものであります。(拍手)
 反対の第四の理由は、私たちが昨年来強く要求してきたにもかかわらず、一括法案として提案してきたことであります。
 ここに提案をされましたそれぞれの法律は、本院の各委員会において真剣な努力の結晶として実現してきたものであります。それを一括し、大幅削減を強行することは、各専門委員会の権威と議員の努力を否定するものであり、認めることのできないものであります。これは、本院の本来のルールと構造にかかわる問題でございまして、連合審査会で代行できるものではないと思います。
 最後に、このような法案を提出した政府に、社会の将来への展望がないことを厳しく指摘をしなければなりません。
 今、内外の社会経済情勢は大きく変動しております。高齢化、高度情報化などの大きな変化、福祉型都市づくりの重要性などの中でよりよい社会を築くためには、地域自治体の重視、分権と自治、参加の進路が不可欠であります。明治以来、日本の政治は国家を最大の物差しとしてまいりましたが、今必要な新しい物差しの一つは地域自治体であります。もう一つは世界であると思います。歴代自民党政府の政策を見ますと、亡き大平首相の当時が、その田園都市構想、分権型社会の発想に見られるように、唯一まじめな模索がなされたときであったと思いますが、中曽根首相には、その重要な視点が欠落しているのであります。この法案に示されるような政策では、日本の社会の将来への展望のないことをみずから証明するものと言わざるを得ないのであります。
 以上、反対の理由を申し上げますとともに、政府が最低限、八項目の附帯決議に示された内容を具体的に必ず実行するよう強く要求し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(坂田道太君) 笹山登生君。
    〔笹山登生君登壇〕
笹山登生君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表し、議題となっております国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に賛成の意見を述べるものであります。
 申し上げるまでもなく、我が国財政は、昭和五十五年度に財政再建の第一歩が踏み出されて以来、今日まで歳出の節減合理化を中心に財政改革に向けて懸命な取り組みが行われてきましたが、なお多額の公債発行に依存せざるを得ないという、極めて深刻な状態を続けております。このような財政状態をこのまま放置するならば、今後の社会経済の急激な変化に、財政が適切かつ柔軟に対応することがますます困難となるばかりでなく、後代の国民は、多額の公債の元利払いのための負担のみを負うという、まことに憂慮すべき事態に立ち至ることは必至であります。
 したがって、今後とも、さらなる財政改革への努力に加え、徹底した歳入歳出構造の見直しの推進がぜひとも必要であると考えるものであります。そのためには特に、一般歳出の四割を超える補助金等の見直しを図ることが避けて通ることのできない課題となってまいります。
 もちろん、補助金等の見直しによる整理合理化は、行政領域の見直しをも伴うものであるがゆえに、極めて困難な側面を持っていることはよく承知しております。しかし、困難なゆえにこそ、その努力までをも放棄するというわけにはいかないのであります。先般成立いたしました昭和六十一年度予算における補助金等の総額は、前年度当初比三千二百十一億円減と、五十九年度、六十年度に引き続き三年連続の減額を達成しております。しかも、この三千二百十一億円の減額は、真にやむを得ない増加要素をその中に織り込みながらも達成されたものである点を、私は特に評価したいのであります。
 本法律案は、このような補助金等の整理合理化の中核をなす諸施策を措置するものであり、六十一年度予算と一体不可分の重要な法案となるものであります。また、本案に盛り込まれている各措置は、累次の臨調答申等の趣旨を踏まえ、事務事業の見直しを積極的に進めながら補助率の総合的見直し等を行うこととしたものであります。さらには、地方財政の運営に支障を生ずることのないよう、別途財政金融上の措置を講じることとしております。これら各措置の周到なる用意のもとに円滑なる財政運営に万全を期していることをあわせ考えるとき、政府のなされるこのような努力と英断に対し、深く敬意の念を覚えるものであります。
 今日の我が国社会経済の著しい変化の中で、行政は広範多岐にわたる課題に対する適切な対応を迫られているにもかかわらず、国と地方の財政は、いずれも厳しい環境下に置かれております。このようなことから、国、地方が車の両輪となり、共通の行政目的の実現を分担し、責任を分かち合うとの考え方に立ち、幅広い観点から引き続き行政施策の見直し等に努めることにより、国、地方を通じての行財政改革を着実に進めていくことが、喫緊の重要課題であることは申し上げるまでもありません。
 その意味で、政府が国民各位の理解と協力を得て、行財政改革に引き続き積極的に取り組み、そして補助金等を含めた歳出全般にわたる節減合理化を一層推進することにより、限られた財源の中での財政資金の効率化と行政運営の能率化をなお図られることを切望し、本法律案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(坂田道太君) これにて討論は終局いたしました。
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。

【20050715:参議院審議は、にわとりショコラへ移転しました。】

国の補助金等の臨時特例等に関する法律(昭和61年5月8日法律第46号)【第18条と附則第1項から第2項のみ掲載】
精神衛生法の一部改正)
第十八条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
  附則第三項中「昭和六十年度」の下に「から昭和六十三年度までの各年度」を加える。
 
附則
(施行期日等)
1 この法律は、公布の日から施行する。
 
2 この法律(第十一条、第十二条及び第三十四条の規定を除く。)による改正後の法律の昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度の特例に係る規定並びに昭和六十一年度及び昭和六十二年度の特例に係る規定は、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度(昭和六十一年度及び昭和六十二年度の特例に係るものにあつては、昭和六十一年度及び昭和六十二年度。以下この項において同じ。)の予算に係る国の負担(当該国の負担に係る都道府県又は市町村の負担を含む。以下この項において同じ。)又は補助(昭和六十年度以前の年度における事務又は事業の実施により昭和六十一年度以降の年度に支出される国の負担又は補助及び昭和六十年度以前の年度の国庫債務負担行為に基づき昭和六十一年度以降の年度に支出すべきものとされた国の負担又は補助を除く。)並びに昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度における事務又は事業の実施により昭和六十四年度(昭和六十一年度及び昭和六十二年度の特例に係るものにあつては、昭和六十三年度。以下この項において同じ。)以降の年度に支出される国の負担又は補助、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度の国庫債務負担行為に基づき昭和六十四年度以降の年度に支出すべきものとされる国の負担又は補助及び昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度の歳出予算に係る国の負担又は補助で昭和六十四年度以降の年度に繰り越されるものについて適用し、昭和六十年度以前の年度における事務又は事業の実施により昭和六十一年度以降の年度に支出される国の負担又は補助、昭和六十年度以前の年度の国庫債務負担行為に基づき昭和六十一年度以降の年度に支出すべきものとされた国の負担又は補助及び昭和六十年度以前の年度の歳出予算に係る国の負担又は補助で昭和六十一年度以降の年度に繰り越されたものについては、なお従前の例による。