精神医療に関する条文・審議(その67)

前回(id:kokekokko:20051011)のつづき。初回は2004/10/28。
平成6年法律第84号(地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律)による精神衛生法改正をみてみます。
保健所が管轄する区域についての変更に伴う法改正です。ここでは、精神保健関係の議論に絞ってアップします。

地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案【第30条、附則第1条】
精神保健法の一部改正)
第30条 精神保健法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
  第四十二条第一項中「及び保健所を設置する市」を「、保健所を設置する市及び特別区」に改め、同条第二項中「市」の下に「若しくは特別区」を加える。
  第四十三条及び第五十三条第一項中「市」の下に「若しくは特別区」を加える。
 
 附則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。【但書略】
 
 理由
急激な人口の高齢化、疾病構造の変化等に対応した地域保健対策を総合的に推進し、その強化を図るために、地方公共団体及び国の責務の明確化、地域保険対策に係る基本指針及び人材確保支援計画の策定、保健所及び市町村保健センターに関する規定の整備等の措置を講ずるとともに、母子保健事業の実施、診療所の開設届出の受理等の地方公共団体の地域保険対策に係る事務の再編その他所要の措置を講じる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

第129回衆議院 厚生委員会会議録第10号(平成6年6月17日)
○加藤委員長 次に、内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、内閣提出、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案及び内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案の答案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。大内厚生大臣
○大内国務大臣 ただいま議題となりました三法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 【略】
 次に、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。
 我が国における地域保健を取り巻く状況は、急速な高齢化の進展、慢性疾患の増加等による疾病構造の変化、保健サービスに対する地域住民のニーズの高度化や多様化などにより、著しく変化しております。
 こうした状況を踏まえ、終戦直後に構築された現在の地域保健対策の枠組みを抜本的に見直し、来るべき二十一世紀を展望しつつ、国、都道府県、市町村がそれぞれにふさわしい役割を分担し、地域保健対策の総合的な推進、強化を図ることを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、地域保健対策の推進体制の強化を図るための基本的な枠組みや方向を定めることであります。このため、現行の保健所法を抜本的に見直し、名称を地域保健法に改めるとともに、地域保健対策推進に当たっての理念や地方公共団体及び国の責務を定め、あわせて、地域保健対策のあり方を明らかにする基本指針を定めることといたしております。
 第二は、保健所の機能強化であります。その広域的・専門的・技術的な役割が期待されている保健所において、エイズ対策、難病対策、市町村に対する支援などを行うことを法律上明確にすることといたしております。また、都道府県の保健所の所管区域設定に当たっては、二次医療圏や老人保健福祉圏を参酌すべきことといたしております。
 第三は、市町村における保健サービスの充実及び実施体制の整備の促進であります。三歳児健診などの母子保健事業や一般的な栄養指導等に関する事務の市町村への移譲、一歳半健診の法定化などを通じて、住民に身近で頻度の高い保健サービスが、最も基礎的な自治体である市町村において提供されるようにすることといたしております。また、これとあわせて、市町村における保健サービスの総合的な実施拠点として、市町村保健センターを法定化するとともに、その設置に要する費用について国の補助規定を創設し、その整備の一層の促進を図ることにいたしております。また、人材の確保が困難な小規模な町村に対しては、都道府県が人材確保支援計画を定め、その計画に基づき都道府県が支援事業を行う場合に国が財政的、技術的支援を行うことといたしております。
 第四は、保健所設置市への事務の移譲であります。診療所、医薬品の一般販売業等についての許可や届け出の受理等の事務について、保健所設置市に移譲することといたしております。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日としておりますが、事務の移譲に関する事項や保健所の機能強化、所管区域の設定に関する事項については、平成九年四月一日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 【略】
 以上、三法案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○加藤委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。

第129回衆議院 厚生委員会会議録第11号(平成6年6月20日
○根本委員 今回の市町村保健センターは、今までの保健所の機能を一部移しましょう、特に住民の身近なニーズにこたえましょう、こういう基本的な考え方で行われているわけですね。それから中身としても、今お話がありましたように、妊婦さんとか乳幼児の保健管理から高齢者の介護まで保健・福祉サービスを一体的に進めたい。要は住民のニーズにきめ細かにこたえる、これが理念で、生活者の視点、こうおっしゃっているわけですね。
 私は、こういう生活者の視点に立ちますと、利用者本位ということで考えれば、確かに市町村の自主性を尊重する、これは、地方分権の時代ですから、それはそうだろうと思うのですよ。ただ、本来住民の身近なニーズそして利用者本位ということで考えれば、実はこれからの福祉は少し都市計画との連携を考える必要があるだろう。やはり都市計画的な他の施設との配置論、その辺が必要なのだと私は思うのですね。
 よく福祉のまちづくりとかと言いますけれども、住みやすい快適なまちづくり、福祉のまちづくり、こういう話になりますと、私は、これは市町村が個別に考えればいいという話なのかもしれませんけれども、やはり都市計画との連携、都市計画上こういうものもどう位置づけるか、これが必要だと思います。ですから、例えば他の既存の施設も活用してそれにブランチ機能を持たせるとか、その辺の考え方が必要なのだと思っておりますが、この辺についてお考えはいかがでしょうか。
○寺松政府委員 御承知のとおり、市町村の数というのは今三千二百ほどございますけれども、五年末現在で市町村保健センター自身は千二百十五ばかり設置されているわけでございます。差し引きしますと二千ぐらいあるわけでございますが、そのうちで、今先生がちょっと御指摘いただきました母子健康センターとかあるいは福祉センターというふうなものがございまして、差し引き九百ぐらいを整備しなければならぬのじゃないかなと思っております。
 それから、さらに保健所政令市の分がございますが、今まで市町村保健センターに対しましては、保健所政令市の場合には補助金を出しておりません。そこで、今回、六年度からひとつそれにも拡大して出そうとも考えておりまして、その数が大体五百ぐらいにはなるのじゃないかなと思っておるわけでございまして、そのような形で整備をしていく。
 ただし、それは、先ほどから何度も繰り返し申し上げておりますが、市町村の御意向といいますか実情等を踏まえた御判断というものに沿って、私ども、できるだけ補助してまいりたいと考えておるわけでございます。
【略】
○根本委員 保健所の数を縮小するということから、いろいろ反対する向きもあるわけでありますが、やはり私は保健所を再編成するにしても、その辺のサービスが十分に受け入れられるような配慮を講じていく必要があると思います。
 それから次に、政令市は三十五万から三十万に下げたとしておりますが、これは中核市との関連なんでしょうか。それから、政令市は従来保健センターの設置を認めないとしていたものを、今後は整備を進める市町村において認めますと。言ってみれば二層構造になるわけです。その辺のモデル的な考え方、イメージについてお伺いしたいと思います。
○寺松政府委員 簡単に申し上げれば、都道府県と市町村というものの機能分担といいますか、仕事の分担をやりまして、それぞれにふさわしい仕事を担当するということになるのだと思います。したがいまして、都道府県の保健所と、市町村が持っております市町村保健センターあるいは市町村自身がその仕事を分担してやっていく、こういうことが都道府県の場合は言えます。
 それから、保健所政令市の場合には、同じ保健所政令市が保健所とそれから市の保健センターとを持つことになるわけでございます。これもお互いに仕事を分かち合いながら、あるいは連携をとりながら一体的に対応していくということになるわけでございまして、非常に市長等の御意向あるいは地方公共団体のそれぞれの意向をよく反映してやっていけるのではないかと思っております。保健所政令市という制度自身は、今回の改正の中で大きなセールスポイントになっておるのではないかと思っております。
○根本委員 要はこういうイメージになるのですか。保健所の圏域設定は、例えば三十から三十五万ぐらいで管轄区域を設定するわけですね。そのうち政令市は三十万だから政令市については二層構造になって、政令市は一つの保健所があって、その下に複数の保健センター、これは人口密度が濃いから複数の保健センターになりますよ。それ以外のいわゆる郡部の町村を含めたような圏域は、一つの保健所で、町村に最低一つずつと言っているわけですから最低一つずつの保健センターができる、こんなイメージなんですか。
○寺松政府委員 大体今先生の御指摘のような感じではないかと存じます。都道府県におきましては行政主体が違います。しかしながら、それぞれにふさわしい仕事を分担しまして、市町村ではどちらかというと身近な保健サービス、都道府県の保健所では広域的な、技術的な、専門的なサービスが中心になってやる、そして相補いながら地域住民の要請に対応していく。
 それから、今の保健所政令市の場合には、先ほど申し上げましたようにいわゆる設置主体が同じでございます。したがいまして、恐らく保健所政令市には幾つかの保健所も持っていらっしゃると思います。そういうケースもございます。それから、市町村保健センターも、補助は出しておりませんけれども市の保健センターをつくられているというケースもございます。その辺を一体的にお考えになりまして、保健所をどういうふうに集約されるか、それは地域の特殊性がいろいろあるかと思います。その辺は、そこの地方公共団体にお任せしておるということでございます。
【略】
○五島委員 保健所の保健婦さんと新たにつくられます保健センターの業務とのかかわりでございますが、先ほど各局長の方から少し御答弁いただいたわけですが、もう少し具体的にお伺いしたいと思うわけです。
 例えば精神障害者の社会復帰に必要なさまざまな指導というものは当然必要でございます。あるいは、老人性痴呆の患者をお持ちの家族に対する指導、アドバイスというようなことも保健婦さんの業務として非常に大きな役割がと思います。あるいは、身体障害者に対する家屋の構造改善の指導、そうしたことも、これまた極めて重要である。しかも、これらはいずれも、従前からいっても、保健婦さんがケースのお家に訪問して、訪問指導サービスという形で具体的に相手側に理解していただけるようにして指導してきたというところに、これまでの保健所保健婦さんの、あるいはこれまでの市町村保健婦さんの活動の非常に大きな成果があったというふうに考えています。
 今回業務が分けられるということの中で、こうした業務はどなたがなされるのか。例えば老人性痴呆の患者さんに対する訪問指導というものは、保健センターがされるのか、それとも保健所の保健婦が訪問してされるのか、両者がした上でそれぞれについての情報交換をしていくのか、そのあたりについてはどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○谷(修)政府委員 精神保健対策あるいは精神障害者の社会復帰については保健所が中心になってやっていくということで、従来からもそういう形でやっているわけでございますが、今回の法改正を契機として、その点についての対策は強化をしていかなければいけない。
 老人性痴呆の問題につきましては、恐らく老人福祉の関係で対策をやらなければいけない場合、それから、御承知のように精神病院に関連いたしまして老人性痴呆疾患センターというものを設けておりますので、そういったところにおられる方に対する指導というはそれぞれのケースによって違ってくるのではないかと考えておりまして、老人性痴呆というものを例にとって申し上げれば、必ずしもすべてが保健所でということではないし、また必ずしもすべてが市町村ということではなくて、それぞれのケースに応じた両者の連携の中でこの問題の解決を図っていかなければならないのではないかというふうに理解をしております。
○五島委員 精神障害の患者であれ結核であれ、結核は減ってきておりますが、あるいは老人性痴呆のケースであれ、これらの問題について、今局長がおっしゃったように医療機関あるいは他のそうしたセンター等々とのかかわりの中においてやっていかれるということで、現実にそこに訪問してケースあるいは御家族の方々と接触する中において指導していく、そういう役割はもはや保健所の保健婦は担わないのか。それとも、そういうふうな業務は保健婦活動の基本であり、保健所の保健婦もそうした部分については積極的に担っていった中において、それぞれの町村のセンターとの間において総合性を持った保健活動を進めていこうというふうに考えておられるのか。その辺が、業務の中において大変不安を生み出している理由だと思うわけです。
 もし、精神の問題が、措置の問題等々と関連して、だから県なんだ、あるいは痴呆老人の問題についても、老人性痴呆障害のセンターとのかかわりにおいて県の保健婦がそこは対応するんだ、あとそうしたケースをめぐっての家族に対するアドバイスやケースに対する指導については町村の保健婦がやっていくんだということになりますと、これは私が危惧したように保健所がますますいわゆる管理的なオフィスになってしまうのではないかというふうに思うわけですが、そのあたり、今の各局長の御答弁でもよく理解できないわけでございます。具体的な業務の内容として、保健所の保健婦の業務としての対人サービス、とりわけ訪問指導といったような訪問サービスをこれからも従前どおりやっていくんだということなのかどうか、その辺お伺いしたいと思います。
○谷(修)政府委員 先生のお尋ねが精神保健対策という具体的なことでございますので、私の方からお答えをさせていただいているわけでございますが、御指摘のような精神保健関係の業務につきましては、今回の地域保健の総合的な見直しの中でも、基本的には従来に引き続いて保健所が行う業務というふうに位置づけているわけでございます。そういう意味で、保健所の保健婦が中心になってこれを受けとめていくということが基本であるというふうに思っておりますが、現場の状況に応じまして、市町村の保健婦との柔軟な協力体制ということは、当然のことながら必要だろうというふうに理解をしております。
 ただ、繰り返しますけれども、精神保健対策全般については保健所が責任を持って行うということについては従来と変わらないわけでございますし、またその点は具体的な業務として私どもは十分強化をしていくという考え方でございます。
○五島委員 現在、先ほどの話でも約一万一千人おられる保健所の保健婦さん、この保健婦さんのマンパワーによっても、まだまだ保健サービスというものが不十分であるというふうに言われているわけでございます。今回こうした制度が入ることによって、保健所の保健婦さんのそういう具体的な対人サービスというものが一歩後ろに後退してしまうということになりますと、現実のそういう住民のレベルにおいては、大変な保健サービスの低下につながっていくというふうに心配いたします。そういうふうなことをお考えでこうした法案をつくるということであれば、これはこの法案の基本的理念とは相反するのではないかというふうに考えるところでございます。その点については、改めて後ほど大臣の御見解も賜りたいというふうに考えています。
 次に、政令市保健所といいますか保健所政令市制度について、これの基本的なお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
○寺松政府委員 今先生の御質問の保健所政令市制度の件についてでございます。
 保健所政令市制度というのは、保健所の設置、運営を円滑に遂行し得る人口規模、現在三十五万人以上とされているわけでありますが、地理的範囲、行財政能力等を備えた市が、みずから保健所を設置して地域保健行政の実施主体としてやる仕組みでございます。現在は、三十三市及び特別区が保健所を設置することとされているわけであります。
 この制度は、意思と能力のある市が保健サービスを一元的に実施する制度として評価できるものでありまして、今後可能な限り拡大していくことが望ましいとの御意見を、地域保健基本問題研究会よりいただいておるところであります。したがいまして、保健所政令市制度の機能の強化と制度の普及を促進することといたしております。
 また、具体的に申し上げれば、今回の地域保健関係の法律改正で医療法等を改正いたしまして、診療所の開設届け出の受理等の権限を都道府県から保健所政令市に移譲する、こういうことでございます。
○五島委員 この政令市保健所を保健所政令市制度に基づいて設置したところは、市町村保健センターはつくらないわけでございますね。
○寺松政府委員 保健所政令市の場合は保健所を持っておりますし、現在でも市の保健センターというのは事実上持っておるところがあります。今後は、今までは保健所政令市には市の保健センターをつくります場合に補助金を出しておりませんでしたが、今回から出すということにしまして、保健センターの整備促進を図りたい、このように考えております。そこで保健所と保健センターとが相協力しまして、設置主体が同一でございますから、一番円滑におやりいただけるのではないか、こういうふうに考えております。
 それから、ちょっともう一つ補足させていただきたいと思っておりますのは、保健所政令市の指定基準というものを今回少し緩和をしたいと考えておりまして、先ほど申し上げましたように、現在は人口三十五万人以上、こうしておったわけでございますが、それを三十万人以上、こういうふうにしまして少し緩和したわけでございます。そのようにいたしまして保健所政令市制度の普及を
図りまして、先ほど申しました保健所と保健センターとが相協力いたしまして、一元的、一体的に地域保健活動をやっていただきたい、このように考えておるわけであります。
○五島委員 保健所政令市制度というのは現在でも三十五万以上の都市については政令市保健所をつくることができるわけでございますが、実態が、今局長おっしゃったように大変数少のうございます。その理由を考えてみた場合に、やはり市が独自で医師を確保したりあるいはその他の保健婦さんを確保することの困難性及び設置運営に対する費用についての問題があるかというように考えるわけでございますが、今の御答弁では、この政令市保健所も、それから市町村保健センターも同一市の中において両方設置してもいいのだというお話でございます。そうなりますと、これらの市町村保健センターの設置及び運営に要する費用及び保健所政令市制度に基づく保健所設置及びその運営に関する費用について、財政上どのような措置を講じられるのかお伺いしたいと思います。
○寺松政府委員 市の保健センターの設置につきましては、先ほど申し上げましたように、保健所政令市におきましても同様に補助の対象といたしたい、こういうように考えております。それから一般的な問題で、市町村保健センターの設置及び運営に要します費用につきまして財政上の措置をちょっと御紹介したいと思いますが、地域保健法案の第十九条の規定に基づく補助といたしまして、平成六年度予算案におきましては、その施設の整備に要する費用についての定額九千万円の補助を行うことといたしております。
 それから、市町村保健センターの場合にいろいろな機器の整備があるわけでございますが、必要な機器の整備に要する費用につきましても国の補助の対象といたしておるわけでございます。また、その運営に要します費用のうち、関係法令に基づきます事業費はもちろんでございますが、その事業の内容に着目して国の補助をするわけでございますけれども、それに加えまして、職員の配置のための経費などにつきましては、地方財政計画において市町村の基準財政需要額の算定基礎に、先ほども御紹介しましたように盛り込まれているところでございます。
○五島委員 今おっしゃった中身というのが、その保健センターは新しい機構でございますが、政令市保健所というのは前からあった制度でございます。それが余り進んでいなかった。従前もそういう扱いでもってこの政令市保健所については措置されていたにもかかわらず、それがそのように、ここ最近になって政令市保健所が少しふえてきているというふうに承知しておりますが、余りふえていない。それが、おっしゃるように例えば人口三十五万を三十万に人口要因を引き下げたということにおいて、飛躍的にふえていくのかどうか大変疑問があるところでございまして、そのあたりについての一層の努力が必要ではないかというふうに考えるところでございます。
 また、市町村保健センターは保健と福祉の総合窓口的な機能を持ったものとして整備される必要があるのではないかというふうに考えるわけでございます。この意味において、保健と福祉の総合的な窓口の役割、同時に医療との連携、それをやっていく、そういうふうなことを考慮に入れた目に見える活動の展開というものが今必要ではないかというように考えるわけですが、そうしたことを進めていくために、地方公共団体の中からやはりモデル事業というものをまずは進めていくということが必要ではないかとも思うわけですが、その点についていかがでございましょう。
○寺松政府委員 御承知のように、地域住民のニーズの高度化や多様化があるわけでございますが、そこで、保健、医療、福祉の連携のとれた総合的な保健サービスを提供していくことが必要になってまいります。私ども、こういうふうに認識をいたしておるわけであります。このために、地域保健推進特別事業といたしまして、地方公共団体が保健、医療、福祉の総合的な推進に関しますモデル事業、こういうものを実施した場合には、その事業費の十割相当額を補助することといたしておりまして、平成六年度予算案におきましては四十二億円を計上いたしておるところでございます。
【略】
○加藤委員長 これより討論に入ります。
 地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案について討論の申し出がありますので、これを許します。岩佐恵美さん。
○岩佐委員 私は、日本共産党を代表し、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案に反対の立場から討論を行います。
 本法案に反対する第一の理由は、人口十万人に一カ所と定めた保健所設置基準が廃止され、事実上保健所を半減させることを第一の目的としていることです。
 保健所は、憲法二十五条の「国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」の規定により、国の責任を明確にした公衆衛生の実施機関として保健所法に位置づけられています。国民の生存権、健康権、環境権を保障するための行政機関であることは言うまでもありません。
 その業務も、母子保健から成人・老人保健を初め、結核感染症対策、エイズアトピー問題、難病対策、精神保健の推進、栄養改善指導やごみ、公害問題の処理、食品の安全や監視業務、国民生活のあらゆる分野の公衆衛生業務を遂行し、無料の原則により、国民の健康を守るために大きな役割を果たしてきました。
 さらに、今日こうした問題に加えて、寝たきり老人の保健指導、育児、仕事、介護に追われる女性たちの健康問題、広がる環境汚染など、健康に生きる権利と密接不可分の問題がより一層深刻になっていると言わなければなりません。
 実態から見ても、国の責任を明確にした市町村単位の保健所の増設こそが必要であり、保健所の半減が多くの国民の要求に反することは明らかです。
 第二点は、本来国が行うべき保健業務を市町村に押しつけ、責任と財政負担まで自治体に転嫁していることです。
 保健所を整理統合、半減させ、さらに、保健所運営費交付金を全額削除しています。これまで必要人員の三分の一を国庫負担していたものを、八四年度からは定額交付とし、母子保健事業の事務経費が一般財源化されたために、東京二十三区だけでも三億円余りの事業費がカットされています。九四年度からは保健所運営費交付金まで一般財源化するとしており、大幅な国庫負担削減になることは、これまでの経緯を見ても明らかです。
 また、妊産婦や新生児保健指導などの母子保健業務を市町村に移譲しても、保健婦が一名もいない自治体が七十三市町村もあります。医師や保健婦などの配置基準もなく、きめ細かなサービスどころか人材の確保もできず、均等で良質な保健衛生水準が維持できないおそれも十分にあります。
 しかも、センター建設費の予算は年間百件にすぎず、全市町村の設置が順調に終わったとしても十年から十五年もかかる上に、市町村保健センターの設置自体が努力義務規定にすぎず、財政力の乏しい市町村にとって、設置そのものが危ぶまれています。さらに、民間委託を中心にした業務遂行は、かかる費用負担を地域住民に転嫁される懸念や、保健婦の本来業務をも形骸化させるおそれがあります。
 第三点は、保健所業務の大半が情報収集や監視、監督業務であり、わずかに残されたエイズや難病等の医療、精神保健業務は、広域化したことによって活用自体が困難となり、また、水質検査や食品の安全性検査などのサービスは著しく低下することも否定できません。保健所職員の合理化も懸念されます。いわば国民のための保健所は一層国民から遠ざかるものとなっていきます。住民の声を聞くための唯一の機関である保健所運営協議会を法定機関から任意設置機関に格下げしていることも大きな問題です。
 こうしたやり方は、保健、医療、福祉の質的低下を招き、国民の健康権、環境権を侵害し、住民負担の増大をもたらしかねないものです。
 以上の理由により本法案に反対し、法案の撤回を強く求めて反対討論を終わります。
○加藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
○加藤委員長 これより両案について採決に入ります。
【略】
○加藤委員長 
 次に、内閣提出、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
○加藤委員長 この際、本案に対し、衛藤晟一君外四名から、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党及びさきがけ・青雲・民主の風の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。網岡雄君。
○網岡委員 私は、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党及びさきがけ・青雲・民主の風を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
 一 国及び都道府県は、市町村保健センターの整備、保健婦等人材の確保など、地域保健の基盤整備について、市町村が計画的に推進するよう適切に指導すること。
 二 市町村の要請に応じて都道府県が対応する支援体制を確立し、とりわけ保健・医療・福祉のシステムづくりに関する企画や関係機関との連絡調整を行い、各種の地域保健サービスを専門的立場から評価し、将来の施策に反映させていくことが必要であり、これらの業務を円滑に推進するために、都道府県は、保健所の機能強化を積極的に推進するよう努めること。
 三 都道府県は、地域の実情に十分留意しつつ、医療計画及び老人保健福祉計画の圏域を参酌して、その保健所の管轄区域を設定すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○加藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 衛藤晟一君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、大内厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大内厚生大臣
○大内国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。

第129回衆議院 本会議会議録第29号(平成6年6月21日)
○議長(土井たか子君) 日程第一、健康保険法等の一部を改正する法律案、日程第二、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、日程第三、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生委員長加藤万吉さん。
    〔加藤万吉君登壇〕
○加藤万吉君 ただいま議題となりました三法案について、厚生委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
【略】
 最後に、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。
 本案は、終戦直後につくられた現在の地域保健対策の枠組みを抜本的に見直し、国、都道府県、市町村がそれぞれの役割を分担し、地域保健対策の総合的な推進、強化を図ろうとするもので、その主な内容は、
 第一に、現行の保健所法の名称を地域保健法に改め、地域保健対策推進の理念や地方公共団体及び国の責務を定め、地域保健対策の基本指針を定めること、
 第二に、エイズ対策、難病対策、市町村への支援などを法定化し、保健所の機能強化を図ること、
 第三に、三歳児健診などの母子保健事業等を市町村が行い、その実施拠点としての市町村保健センターを法定化し、設置費用に対する国庫補助を創設すること、
 第四に、診療所、医薬品の一般販売業等の許可や届け出受理等の事務を保健所設置市に移譲すること等であります。
 本案は、去る五月二十六日付託となり、六月十七日大内厚生大臣から提案理由の説明を聴取し、昨日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(土井たか子君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一及び第三の両案を一括して採決いたします。
 日程第一の委員長の報告は修正、第三の委員長の報告は可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり議決いたしました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

第129回参議院 厚生委員会会議録第7号(平成6年6月21日)
○委員長(会田長栄君) 次に、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。大内厚生大臣
国務大臣大内啓伍君) ただいま議題となりました二法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。
 我が国における地域保健を取り巻く状況は、急速な高齢化の進展、慢性疾患の増加等による疾病構造の変化、保健サービスに対する地域住民のニーズの高度化や多様化などにより、著しく変化しております。
 こうした状況を踏まえ、終戦直後に構築された現在の地域保健対策の枠組みを抜本的に見直し、来るべき二十一世紀を展望しつつ、国、都道府県、市町村がそれぞれにふさわしい役割を分担し、地域保健対策の総合的な推進、強化を図ることを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、地域保健対策の推進体制の強化を図るための基本的な枠組みや方向を定めることであります。このため、現行の保健所法を抜本的に見直し、名称を地域保健法に改めるとともに、地域保健対策推進に当たっての理念や地方公共団体及び国の責務を定め、あわせて、地域保健対策のあり方を明らかにする基本指針を定めることといたしております。
 第二は、保健所の機能強化であります。その広域的、専門的、技術的な役割が期待されている保健所において、エイズ対策、難病対策、市町村に対する支援などを行うことを法律上明確にすることといたしております。また、都道府県の保健所の所管区域設定に当たっては、二次医療圏や老人保健福祉圏を参酌すべきことといたしております。
 第三は、市町村における保健サービスの充実及び実施体制の整備の促進であります。三歳児健診などの母子保健事業や一般的な栄養指導等に関する事務の市町村への移譲、一歳半健診の法定化などを通じて、住民に身近で頻度の高い保健サービスが、最も基礎的な自治体である市町村において提供されるようにすることといたしております。また、これとあわせて、市町村における保健サービスの総合的な実施拠点として、市町村保健センターを法定化するとともに、その設置に要する費用について国の補助規定を創設し、その整備の一
層の促進を図ることにいたしております。また、人材の確保が困難な小規模な町村に対しては、都道府県が人材確保支援計画を定め、その計画に基づき都道府県が支援事業を行う場合に、国が財政的、技術的支援を行うことといたしております。
 第四は、保健所設置市への事務の移譲であります。診療所、医薬品の一般販売業等についての許可や届け出の受理等の事務について、保健所設置市に移譲することといたしております。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日としておりますが、事務の移譲に関する事項や保健所の機能強化、所管区域の設定に関する事項については、平成九年四月一日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容であります。
【略】
 以上、二法案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。
○委員長(会田長栄君) 【略】
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
西山登紀子君 私は、日本共産党を代表し、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案に反対の討論を行います。
 本法案に反対する第一の理由は、人口十万人に一カ所と定めた保健所設置基準が廃止され、事実上保健所を半減させることを第一の目的としていることです。
 保健所は、憲法二十五条の「国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」の規定により、国の責任を明確にした公衆衛生の実施機関として保健所法に位置づけられてきました。
 その業務も、母子保健から成人、老人保健を初め結核感染症対策、エイズアトピー問題、難病対策、精神保健の推進、栄養改善指導やごみ・公害問題の処理、食品の安全や監視業務等、国民生活のあらゆる分野の公衆衛生業務を遂行し、無料の原則により国民の健康を守るために大きな役割を果たしてきました。
 この実績から見ても、国の責任を明確にした保健所の増設こそが必要であり、保健所の半減が多くの国民の願いに反することは明らかです。
 第二点は、本来国が行うべき保健業務を市町村に押しつけ、責任と財政負担まで自治体に転嫁しようとしていることです。
 保健所を整理・統合、半減させ、さらに保健所運営費交付金を全額削除しています。これまで必要人員の三分の一を国庫負担していたものを、八四年度からは定額交付とし、母子保健事業の事務経費が一般財源化されました。その上、九四年度からは保健所運営費交付金まで一般財源化するとしており、大幅な国庫負担削減になることはこれまでの経緯を見ても明らかです。
 また、妊産婦や新生児保健指導などの母子保健業務を市町村に移譲しても、保健婦が一名もいない自治体が七十三市町村もあります。医師や保健婦などの配置基準もなく、きめ細かなサービスどころか人材の確保もできず、均等で良質な保健衛生水準が維持できないおそれも十分にあります。しかも、センター建設費の予算は年間百件に過ぎず、全市町村の設置が順調に終わったとしても十年から十五年もかかることになります。さらに、民間委託を中心にした業務遂行は、かかる費用負担を地域住民に転嫁される懸念や保健婦の本来業務をも形骸化させるおそれがあります。
 第三点は、保健所業務の大半が情報収集や監視、監督業務であり、わずかに残されたエイズや難病等の医療・精神保健業務は、広域化したことによって活用自体が困難となり、また水質検査や食品の安全性検査などのサービスが低下することを心配する保健所長も多くおられます。保健所職員の合理化も懸念されます。いわば国民のための保健所は一層国民から遠ざかるものとなっています。住民の声を聞くための唯一の機関である保健所運営協議会を法定機関から任意設置機関に格下げしていることも大きな問題です。
 以上の理由を述べて、反対討論を終わります。
○委員長(会田長栄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次両案の採決に入ります。
 まず、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(会田長栄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(会田長栄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、大島君から発言を求められておりますので、これを許します。大島君。
○大島慶久君 私は、ただいま可決されました地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案に対し、自由民主党日本社会党・護憲民主連合、新緑風会公明党国民会議の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
 一、国及び都道府県は、市町村保健センターの整備、保健婦等人材の確保など、地域保健の基盤整備について、市町村が計画的に推進するよう適切に指導すること。
 二、市町村の要請に応じて都道府県が対応する支援体制を確立すること。とりわけ保健・医療・福祉のシステムづくりに関する企画や関係機関との連絡調整を行い、各種の地域保健サービスを専門的立場から評価し、将来の施策に反映させていくことが必要であるので、これらの業務を円滑に推進するために、保健所の機能強化を積極的に推進するよう努めるとともに、保健所の管轄区域の設定に当たっては、地域の実情に十分留意すること。
 三、市町村保健センター、在宅介護支援センター等保健福祉に関わる各種センターが、地域において有機的に連携しつつ、十分に機能を発揮できるよう指導、援助に努めること。
 右決議する。
 以上であります。
○委員長(会田長栄君) ただいま大島君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(会田長栄君) 多数と認めます。よって、大島君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大内厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大内厚生大臣
国務大臣大内啓伍君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。

第129回参議院 本会議会議録第24号(平成6年6月22日)
○議長(原文兵衛君) 日程第二六 地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案
 日程第二七 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生委員長会田長栄君。
   〔会田長栄君登壇、拍手〕
会田長栄君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、厚生委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案は、急激な人口の高齢化、疾病構造の変化等に対応した地域保健対策を総合的に推進し、その強化を図るために、地方公共団体及び国の責務の明確化、地域保健対策に係る基本指針及び人材確保支援計画の策定、保健所及び市町村保健センターに関する規定の整備等の措置を講ずるとともに、母子保健事業の実施、診療所の開設届け出の受理等の地方公共団体の地域保健対策に係る事務の再編その他所要の措置を講じようとするものであります。
【略】
 委員会におきましては、両案を一括して審査し、保健所の設置基準と市町村保健センターの整備、保健婦等人材の配置と確保策、歯科保健医療の推進、健康管理手当の更新手続の改善等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日大共産党を代表して西山委員より地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、順次採決の結果、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 また、原子爆弾被爆者こ対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案は全会一致をもつて原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、地域保健対策強化のための関係法律の轄備に関する法律案に対し、附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 まず、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。

地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律(平成6年法律第84号)【第30条、附則第1条】
精神保健法の一部改正)
第30条 精神保健法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
  第四十二条第一項中「及び保健所を設置する市」を「、保健所を設置する市及び特別区」に改め、同条第二項中「市」の下に「若しくは特別区」を加える。
  第四十三条及び第五十三条第一項中「市」の下に「若しくは特別区」を加える。
 
 附則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。【但書略】
 
 内閣総理大臣 村山富市
 大蔵大臣 武村正義
 厚生大臣 井出正一
 自治大臣 野中広務