精神医療に関する条文・審議(その81)

前回(id:kokekokko:20051025)のつづき。初回は2004/10/28。
改正経過はid:kokekokko:20051024にあります。
平成11年法律第65号による改正をみてみます。精神保健福祉法について大幅改正が数度行われてきましたが、今回が最後の大幅改正です。平成5年改正時の附則において「5年をめどに見直す」との文言があり、それを受けた改正です。なお、この改正においても5年をめどにした見直し規定が存在し、またこの改正法が施行されてから現在で5年が経過していますので、もうそろそろ精神保健福祉法の大幅改正があるかもしれません。関係団体(とくに日精協、全家連など)や厚労省の動向に注意する必要があります。
さて、今改正では、医療保護入院や保護者の義務についての文言が変更され、仮入院が廃止されました。また、精神障害者地域生活支援センター等の法定など、保健福祉施策の拡充をはかった点も特徴です。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案(第145回閣法81号)【全文】
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第一条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 
第一条から第三条までの規定及び第四条(見出しを含む。)中「精神障害者等」を「精神障害者」に改める。
 
第五条中「中毒性精神病」を「精神作用物質による急性中毒又はその依存症」に改める。
 
十三条第一項を削り、同条第二項中「委員」を「精神医療審査会の委員」に改め、同項を同条第一項とし、同条第三項を同条第二項とする。
 
第十九条の二の見出しを「(指定の取消し等)」に改め、同条第二項中「取り消す」を「取り消し、又は期間を定めてその職務の停止を命ずる」に改め、同条に次の一項を加える。
 4 都道府県知事は、指定医について第二項に該当すると思料するときは、その旨を厚生大臣に通知することができる。
 
第十九条の四第一項中「の判定、第三十四条の規定により精神障害者の疑いがあるかどうか及びその診断に相当の時日を要する」を「及び第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にない」に改め、同条第二項中「のうち都道府県知事(第三号及び第四号に掲げる職務にあつては、厚生大臣又は都道府県知事)が指定したもの」を削り、第四号を第七号とし、第三号を第六号とし、第二号を第三号とし、同号の次に次の二号を加える。
  四 第三十四条第一項及び第三項の規定による移送を必要とするかどうかの判定
  五 第三十八条の三第三項及び第三十八条の五第四項の規定による診察
 
第十九条の四第二項第一号の次に次の一号を加える。
  二 第二十九条の二の二第三項(第三十四条第三項において準用する場合を含む。)に規定する行動の制限を必要とするかどうかの判定
 
第十九条の四第二項に次の一号を加える。
  八 第四十五条の二第四項の規定による診察
 
第十九条の四の次に次の一条を加える。
  (診療録の記載義務)
 第十九条の四の二 指定医は、前条第一項に規定する職務を行つたときは、遅滞なく、当該指定医の氏名その他厚生省令で定める事項を診療録に記載しなければならない。
 
第十九条の五中「、第三十三条の四第一項又は第三十四条」を「又は第三十三条の四第一項」に、「指定医を」を「指定医(第十九条の二第二項の規定によりその職務を停止されている者を除く。第五十三条第一項を除き、以下同じ。)を」に改める。
 
第二十条第一項各号列記以外の部分及び第二項中「後見人」の下に「又は保佐人」を加える。
 
第二十二条第一項中「精神障害者に」を「精神障害者(第二十二条の四第二項に規定する任意入院者及び病院又は診療所に入院しないで行われる精神障害の医療を継続して受けている者を除く。第三項において同じ。)に」に、「るとともに、精神障害者が自身を傷つけ又は他人に害を及ぼさないように監督し、かつ、」を「、及び」に改める。
 
第二十二条の四第三項後段を削る。
 
第二十八条第二項中「後見人」の下に「又は保佐人」を加え、「当つている」を「当たつている」に改める。
 
第二十九条の二の次に次の一条を加える。
 第二十九条の二の二 都道府県知事は、第二十九条第一項又は前条第一項の規定による入院措置を採ろうとする精神障害者を、当該入院措置に係る病院に移送しなければならない。
 2 都道府県知事は、前項の規定により移送を行う場合においては、当該精神障害者に対し、当該移送を行う旨その他厚生省令で定める事項を書面で知らせなければならない。
 3 都道府県知事は、第一項の規定による移送を行うに当たつては、当該精神障害者を診察した指定医が必要と認めたときは、その者の医療又は保護に欠くことのできない限度において、厚生大臣が定める行動の制限を行うことができる。
 
第二十九条の三中「前条第一項」を「第二十九条の二第一項」に、「とらない」を「採らない」に、「前条第三項」を「第二十九条の二第三項」に、「とる」を「採る」に改める。
 
第三十三条第一項中「指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のため入院の必要があると認めた者につき」を「次に掲げる者について」に改め、同項に次の各号を加える。
  一 指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のため入院の必要がある者であつて当該精神障害のために第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの
  二 第三十四条第一項の規定により移送された者
 
第三十三条第二項中「前項」を「前項第一号」に、「場合において、その者」を「場合又は第三十四条第二項の規定により移送された場合において、前項第一号に規定する者又は同条第二項の規定により移送された者」に改める。
 
第三十三条の四第一項中「指定医の診察の結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障があると認めた」を「その者が、次に該当する者である」に改め、同項に次の各号を加える。
  一 指定医の診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの
  二 第三十四条第三項の規定により移送された者
 
第三十四条の前の見出しを削り、同条を次のように改める。
  (医療保護入院等のための移送)
 第三十四条 都道府県知事は、その指定する指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたものにつき、保護者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条第一項の規定による入院をさせるため第三十三条の四第一項に規定する精神病院に移送することができる。
 2 都道府県知事は、前項に規定する者の保護者について第二十条第二項第四号の規定による家庭裁判所の選任を要し、かつ、当該選任がされていない場合において、その者の扶養義務者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条第二項の規定による入院をさせるため第三十三条の四第一項に規定する精神病院に移送することができる。
 3 都道府県知事は、急速を要し、保護者(前項に規定する場合にあつては、その者の扶養義務者)の同意を得ることができない場合において、その指定する指定医の診察の結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条の四第一項の規定による入院をさせるため同項に規定する精神病院に移送することができる。
 4 第二十九条の二の二第二項及び第三項の規定は、前三項の規定による移送を行う場合について準用する。
 
第三十四条の二を削る。
 
第三十六条第三項後段を削る。
 
第三十七条の次に次の一条を加える。
  (指定医の精神病院の管理者への報告等)
 第三十七条の二 指定医は、その勤務する精神病院に入院中の者の処遇が第三十六条の規定に違反していると思料するとき又は前条第一項の基準に適合していないと認めるときその他精神病院に入院中の者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該精神病院の管理者にその旨を報告すること等により、当該管理者において当該精神病院に入院中の者の処遇の改善のために必要な措置が採られるよう努めなければならない。
 
第三十八条の三第三項中「、その者が入院している精神病院の管理者その他関係者の意見を聴く」を「に対して意見を求め、若しくはその者の同意を得て委員(指定医である者に限る。第三十八条の五第四項において同じ。)に診察させ、又はその者が入院している精神病院の管理者その他関係者に対して報告若しくは意見を求め、診療録その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問する」に改める。
 
第三十八条の四中「(第三十四条の規定により入院した者にあつては、その後見人、配偶者又は親権を行う者その他その扶養義務者)」を削る。
 
第三十八条の五第四項中「関係者の意見を聴く」を「当該審査に係る入院中の者の同意を得て委員に診察させ、又はその者が入院している精神病院の管理者その他関係者に対して報告を求め、診療録その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問する」に改める。
 
第三十八条の六第二項中「若しくは第三十四条」を削る。
 
第三十八条の七第一項中「対し、」の下に「措置を講ずべき事項及び期限を示して、処遇を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又は」を加え、同条第二項中「、第三十三条の四第一項若しくは第三十四条」を「若しくは第三十三条の四第一項」に改め、同条に次の一項を加える。
 3 厚生大臣又は都道府県知事は、精神病院の管理者が前二項の規定による命令に従わないときは、当該精神病院の管理者に対し、期間を定めて第二十二条の四第一項、第三十三条第一項及び第二項並びに第三十三条の四第一項の規定による精神障害者の入院に係る医療の提供の全部又は一部を制限することを命ずることができる。
 
第四十四条を次のように改める。
 第四十四条 削除
 
第四十五条の二に次の三項を加える。
 3 都道府県知事は、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者について、前条第二項の政令で定める状態がなくなつたと認めるときは、その者に対し精神障害者保健福祉手帳の返還を命ずることができる。
 4 都道府県知事は、前項の規定により、精神障害者保健福祉手帳の返還を命じようとするときは、あらかじめその指定する指定医をして診察させなければならない。
 5 前条第三項の規定は、第三項の認定について準用する。
 
第四十七条第三項中「いう。」の下に「第五十条の二第六項において同じ。」を加える。
 
第四十八条第二項中「学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学において社会福祉に関する科目を修めて卒業した者であつて、精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識及び経験を有するもの」を「精神保健福祉士」に改める。
 
第四十九条第一項中「その精神障害」を「当該精神障害者の希望、精神障害」に改め、「、当該精神障害者精神障害者社会復帰施設又は精神障害者地域生活援助事業等の利用について」を削り、「並びにあつせん及び調整を行うとともに、必要に応じて、精神障害者社会復帰施設の設置者又は精神障害者地域生活援助事業等を行う者に対し、当該精神障害者の利用の要請を行うものとする」を「必要な助言を行うものとする。この場合において、保健所長は、当該事務を精神障害者地域生活支援センターに委託することができる」に改め、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
 2 保健所長は、前項の助言を受けた精神障害者から求めがあつた場合には、必要に応じて、精神障害者社会復帰施設の利用又は精神障害者地域生活援助事業等の利用についてあつせん又は調整を行うとともに、必要に応じて、精神障害者社会復帰施設の設置者又は精神障害者地域生活援助事業等を行う者に対し、当該精神障害者の利用の要請を行うものとする。
 
第五十条の見出し中「設置」を「設置等」に改め、同条第二項中「社会福祉事業法の定めるところにより」を「厚生省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出て」に改め、同条に次の二項を加える。
 3 前項の規定による届出をした者は、その届け出た事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。
 4 市町村、社会福祉法人その他の者は、精神障害者社会復帰施設を廃止し、又は休止しようとするときは、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
 
第五十条の二第一項に次の一号を加える。
  五 精神障害者地域生活支援センター
 
第五十条の二に次の一項を加える。
 6 精神障害者地域生活支援センターは、地域の精神保健及び精神障害者の福祉に関する各般の問題につき、精神障害者からの相談に応じ、必要な指導及び助言を行うとともに、第四十九条第一項の規定による助言を行い、併せて保健所、福祉事務所、精神障害者社会復帰施設等との連絡調整その他厚生省令で定める援助を総合的に行うことを目的とする施設とする。
 
第五十条の二の次に次の四条を加える。
  (秘密保持義務)
 第五十条の二の二 精神障害者地域生活支援センターの職員は、その職務を遂行するに当たつては、個人の身上に関する秘密を守らなければならない。
  (施設の基準)
 第五十条の二の三 厚生大臣は、精神障害者社会復帰施設の設備及び運営について、基準を定めなければならない。
 2 精神障害者社会復帰施設の設置者は、前項の基準を遵守しなければならない。
  (報告の徴収等)
 第五十条の二の四 都道府県知事は、前条第一項の基準を維持するため、精神障害者社会復帰施設の長に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 2 第二十七条第五項及び第六項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。この場合において、同条第五項中「前項」とあるのは「第五十条の二の四第一項」と、「その者の居住する場所」とあるのは「精神障害者社会復帰施設」と、「指定医及び当該職員」とあるのは「当該職員」と、同条第六項中「第四項」とあるのは「第五十条の二の四第一項」と読み替えるものとする。
  (事業の停止等)
 第五十条の二の五 都道府県知事は、精神障害者社会復帰施設の設置者がこの法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又は当該施設が第五十条の二の三第一項の基準に適合しなくなつたときは、その設置者に対して、その施設の設備若しくは運営の改善又はその事業の停止若しくは廃止を命ずることができる。
 2 都道府県知事は、前項の規定により、精神障害者社会復帰施設につき、その事業の廃止を命じようとするときは、あらかじめ、地方精神保健福祉審議会の意見を聴かなければならない。
 
第五十一条の十三第一項を次のように改める。
  精神障害者社会復帰施設について、第五十条の二の四及び第五十条の二の五の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、この施設を利用する者の利益を保護する緊急の必要があると厚生大臣が認める場合にあつては、厚生大臣又は都道府県知事が行うものとする。この場合においては、この法律の規定中都道府県知事に関する規定(当該事務に係るものに限る。)は、厚生大臣に関する規定として厚生大臣に適用があるものとする。
 
第五十一条の十四を次のように改める。
  (事務の区分)
 第五十一条の十四 この法律(第一章から第三章まで、第十九条の二第四項、第十九条の七、第十九条の八、第十九条の九第一項、同条第二項(第三十三条の五において準用する場合を含む。)、第二十九条の七、第三十条第一項及び第三十一条、第五章第四節、第三十三条の四第一項及び第三項並びに第六章を除く。)の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務(次項及び第三項において「第一号法定受託事務」という。)とする。
 2 この法律(第三十二条第三項及び第六章第二節を除く。)の規定により保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている事務(保健所長に係るものに限る。)は、第一号法定受託事務とする。
 3 第二十一条の規定により市町村が処理することとされている事務は、第一号法定受託事務とする。
 
第五十二条中「五十万円」を「百万円」に改め、「(第四十四条において準用する場合を含む。)」を削り、同条に次の一号を加える。
  四 第三十八条の七第三項の規定による命令に違反した者
 
第五十三条第一項中「(第四十四条において準用する場合を含む。)」を削り、「三十万円」を「五十万円」に改める。
 
第五十三条の二中「三十万円」を「五十万円」に改める。
 
第五十四条を次のように改める。
 第五十四条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
  一 虚偽の事実を記載して第二十三条第一項の申請をした者
  二 第五十条の二の五第一項の規定による停止又は廃止の命令に違反した者
  三 第五十一条の十三第一項の規定により厚生大臣が行う第五十条の二の五第一項に規定する停止又は廃止の命令に違反した者
 
第五十五条中「十万円」を「二十万円」に改め、同条第一号中「(これらの規定を第四十四条において準用する場合を含む。)」を削り、「第二十七条第四項(第四十四条において準用する場合を含む。)」を「同条第四項」に改め、同条第二号中「(第四十四条において準用する場合を含む。)」を削り、「第二十九条の二第四項」を「同条第四項」に改め、同条第五号を同条第七号とし、同条第四号中「(第四十四条において準用する場合を含む。)」を削り、同号を同条第六号とし、同条第三号中「(第四十四条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)」を削り、同号を同条第五号とし、同条第二号の次に次の二号を加える。
  三 第三十八条の三第三項の規定による報告若しくは提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、同項の規定による診察を妨げ、又は同項の規定による出頭をせず、若しくは同項の規定による審問に対して、正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
  四 第三十八条の五第四項の規定による報告若しくは提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、同項の規定による診察を妨げ、又は同項の規定による出頭をせず、若しくは同項の規定による審問に対して、正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
 
第五十六条中「第五十二条」の下に「、第五十四条第二号」を加える。
 
第五十七条第四号を削り、同条第三号中「(第四十四条において準用する場合を含む。)」を削り、同号を同条第四号とし、同条第二号中「(第四十四条において準用する場合を含む。)」を削り、同号を同条第三号とし、同条第一号中「第二十二条の四第三項後段又は第四項(これらの規定を第四十四条において準用する場合を含む。)」を「第二十二条の四第四項」に改め、同号を同条第二号とし、同条に第一号として次の一号を加える。
  一 第十九条の四の二の規定に違反した者
 
第五十七条第五号中「(第四十四条において準用する場合を含む。)」を削り、「第三十八条の二第二項」を「同条第二項」に、「第三十八条の二第一項の」を「同条第一項の」に改める。
 
第二条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を次のように改正する。
 
第二条及び第四条中「地域生活援助事業」を「居宅生活支援事業」に改める。
 
第六条第一項中「、精神保健福祉センターを設置することができる」を「の機関(以下「精神保健福祉センター」という。)を置くものとする」に改め、同条第二項を次のように改める。
 2 精神保健福祉センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
  一 精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、及び調査研究を行うこと。
  二 精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち複雑又は困難なものを行うこと。
  三 精神医療審査会の事務を行うこと。
  四 第三十二条第三項及び第四十五条第一項の申請に対する決定に関する事務のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
 
第八条(見出しを含む。)中「政令」を「条例」に改める。
 
第九条第三項を削る。
 
第三十二条第三項中「保健所長」を「市町村長」に改め、同条中第五項を削り、第六項を第五項とし、第七項を第六項とし、第八項を第七項とする。
 
第四十五条中第四項を削り、第五項を第四項とし、同条第六項中「及び第四項」を削り、同項を同条第五項とし、同条第七項を同条第六項とする。
 
第四十九条第一項中「保健所長」を「市町村」に、「又は精神障害者地域生活援助事業」を「又は精神障害者居宅生活支援事業」に、「精神障害者地域生活援助事業等」を「精神障害者居宅生活支援事業等」に改め、同条第二項中「保健所長」を「市町村」に、「精神障害者地域生活援助事業等」を「精神障害者居宅生活支援事業等」に改め、同条第三項中「精神障害者地域生活援助事業等」を「精神障害者居宅生活支援事業等」に、「前項」を「第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
 3 都道府県は、前項の規定により市町村が行うあつせん、調整及び要請に関し、その設置する保健所による技術的事項についての協力その他市町村に対する必要な援助及び市町村相互間の連絡調整を行う。
 
第五十条の三を次のように改める。
  (精神障害者居宅生活支援事業の実施)
 第五十条の三 国及び都道府県以外の者は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立の促進を図るため、厚生省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、精神障害者居宅生活支援事業を行うことができる。
 2 前項の規定による届出をした者は、その届け出た事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。
 3 国及び都道府県以外の者は、精神障害者居宅生活支援事業を廃止し、又は休止しようとするときは、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
 
第五十条の三の次に次の三条を加える。
  (精神障害者居宅生活支援事業の種類)
 第五十条の三の二 精神障害者居宅生活支援事業の種類は、次のとおりとする。
  一 精神障害者居宅介護等事業
  二 精神障害者短期入所事業
  三 精神障害者地域生活援助事業
 2 精神障害者居宅介護等事業は、精神障害者の社会復帰の促進を図るため、精神障害のために日常生活を営むのに支障のある精神障害者につき、その者の居宅において食事、身体の清潔の保持等の介助その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生省令で定めるもの(次項において「介護等」という。)を供与する事業とする。
 3 精神障害者短期入所事業は、精神障害者であつて、その介護等を行う者の疾病その他の理由により、居宅において介護等を受けることが一時的に困難となつたものにつき、精神障害者生活訓練施設その他の厚生省令で定める施設に短期間入所させ、介護等を行う事業とする。
 4 精神障害者地域生活援助事業は、地域において共同生活を営むのに支障のない精神障害者につき、これらの者が共同生活を営むべき住居において食事の提供、相談その他の日常生活上の援助を行う事業とする。
  (報告の徴収等)
 第五十条の三の三 都道府県知事は、精神障害者の福祉のために必要があると認めるときは、精神障害者居宅生活支援事業を行う者に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所若しくは施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 2 第二十七条第五項及び第六項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。この場合において、同条第五項中「前項」とあるのは「第五十条の三の三第一項」と、「その者の居住する場所」とあるのは「その事務所又は施設」と、「指定医及び当該職員」とあるのは「当該職員」と、同条第六項中「第四項」とあるのは「第五十条の三の三第一項」と読み替えるものとする。
  (事業の停止等)
 第五十条の三の四 都道府県知事は、精神障害者居宅生活支援事業を行う者が、この法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくはその事業に係る精神障害者の処遇につき不当な行為をしたときは、当該事業を行う者に対して、その事業の制限又は停止を命ずることができる。
 2 都道府県知事は、前項の規定により、精神障害者居宅生活支援事業の制限又は停止を命ずる場合には、あらかじめ、地方精神保健福祉審議会の意見を聴かなければならない。
 
第五十一条の見出し中「又は都道府県」を「及び地方公共団体」に改め、同条第二項第二号中「精神障害者地域生活援助事業及び」を削り、同項第三号中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項中「又は精神障害者地域生活援助事業を行う者に対し、次に掲げる」を「に対し、当該施設の設置及び運営に要する」に改め、各号を削り、同項を同条第三項とし、同条に第一項及び第二項として次の二項を加える。
   市町村は、精神障害者居宅生活支援事業を行う者に対し、当該事業に要する費用の一部を補助することができる。
 2 都道府県は、市町村に対し、次に掲げる費用の一部を補助することができる。
  一 市町村が行う精神障害者居宅生活支援事業に要する費用
  二 前項の規定による補助に要した費用
 
第五十一条の四中「精神障害者地域生活援助事業」を「精神障害者居宅生活支援事業」に改める。
 
第五十一条の十四第二項中「第三十二条第三項及び」を削る。
 
第五十四条第三号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。
  三 第五十条の三の四第一項の規定による制限又は停止の命令に違反した者
 
第五十六条中「第五十四条第二号」の下に「若しくは第三号」を加える。
 
社会福祉事業法の一部改正)
第三条 社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
  第二条第三項第三号の三中「精神障害者地域生活援助事業」を「精神障害者居宅生活支援事業」に改める。
 
(医療法の一部改正)
第四条 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
  第四十二条第一項中第四号を削り、第五号を第四号とし、第六号を第五号とし、第七号を第六号とし、同項第八号中「もの」の下に「又は同項第三号の三に掲げる事業」を加え、同号を同項第七号とする。
 
 附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から、施行する。ただし、第二条から第四条までの規定及び附則第四条の規定は、平成十四年四月一日から施行する。
(第一条の規定による改正に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に第一条の規定による改正後の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下この条及び次条において「新法」という。)第五十条の二に規定する精神障害者社会復帰施設(同条第六項に規定する精神障害者地域生活支援センターを除く。)を設置している市町村、社会福祉法人その他の者であって、社会福祉事業法第六十四条第一項の規定による届出をしている者は、新法第五十条第二項の規定による届出をしたものとみなす。
2 この法律の施行の際現に新法第五十条の二第六項に規定する精神障害者地域生活支援センターを設置している市町村、社会福祉法人その他の者について、新法第五十条第二項の規定を適用する場合においては、同項中「あらかじめ」とあるのは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成十一年法律第▼▼▼号)の施行の日から起算して三月以内に」とする。
 
第三条 この法律の施行の際現に第一条の規定による改正前の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下この条において「旧法」という。)第四十四条において準用する旧法第十九条の四、第二十条から第四十三条まで及び第四十七条第一項の規定の適用を受けている者は、それぞれ新法第十九条の四、第二十条から第四十三条まで及び第四十七条第一項の規定の適用を受けているものとみなす。
 
(第二条の規定による改正に伴う経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に第二条の規定による改正後の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「新法」という。)第五十条の三の二第三項に規定する精神障害者地域生活援助事業を行っている国及び都道府県以外の者であって、社会福祉事業法第六十四条第一項の規定による届出をしている者は、新法第五十条の三第一項の規定による届出をしたものとみなす。
2 この法律の施行の際現に新法第五十条の三の二に規定する精神障害者居宅生活支援事業(同条第三項に規定する精神障害者地域生活援助事業を除く。)を行っている国及び都道府県以外の者について新法第五十条の三第一項の規定を適用する場合においては、同項中「あらかじめ」とあるのは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成十一年法律第▼▼▼号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日から起算して三月以内に」とする。
 
(罰則に関する経過措置)
第五条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
 
(検討)
第六条 政府は、この法律の施行後十年を経過した場合において、第一条の規定による改正後の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第十九条の二第二項、第十九条の四の二、第二十九条の二の二、第三十四条、第三十八条の三第三項、第三十八条の五第四項、第三十八条の七、第四十五条の二、第五十条、第五十条の二の二、第五十条の二の四、第五十条の二の五及び第五十一条の十三並びに新法第六条、第五十条の三、第五十条の三の三及び第五十条の三の四の規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
 
精神衛生法等の一部を改正する法律の一部改正)
第七条 精神衛生法等の一部を改正する法律(昭和六十二年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。
  附則第九条から第十六条までを削る。
 
精神保健法等の一部を改正する法律の一部改正)
第八条 精神保健法等の一部を改正する法律(平成五年法律第七十四号)の一部を次のように改正する。
  附則第二条を次のように改める。
 第二条 削除
 
 附則第三条中「新法」を「第一条の規定による改正後の精神保健法」に改める。
 
(厚生省設置法の一部改正)
第九条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
  第六条第十二号中「又はその指定を取り消し」を「その指定を取り消し、又はその職務の停止を命じ」に改める。
 
 理由
 最近の精神医療及び精神障害者の福祉をめぐる状況を踏まえ、精神障害者の人権に配意しつつその適正な医療及び保護を確保し、及び精神障害者の社会復帰の一層の推進を図るため、医療保護入院の対象者を明確にし、精神保健指定医の職務を適正なものとし、精神医療審査会を機能強化するとともに、緊急に入院が必要となる精神障害者の移送に関する制度を整備するほか、精神障害者居宅介護等事業を創設する等、在宅の精神障害者に対する福祉施策を市町村を中心に推進する体制を整備する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

第145回参議院 国民福祉委員会会議録第7号(平成11年4月13日)
○委員長(尾辻秀久君) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。宮下厚生大臣
国務大臣宮下創平君) ただいま議題となりました精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 精神保健福祉対策につきましては、昭和六十二年の精神衛生法の改正並びに平成五年及び平成七年の精神保健法の改正等によりこれまでもさまざまな改善が行われてきたところでありますが、最近においても精神障害者の人権に配意した適正な精神医療の確保や精神障害者の社会復帰の一層の推進を図ることが求められております。
 こうした状況を踏まえ、今般、より適正な精神医療の確保を図るための所要の措置を講ずるとともに、精神障害者の居宅における生活の支援等の福祉施策の充実を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、精神障害者の人権に配慮した適正な医療の確保であります。
 まず、精神医療審査会の審査機能を強化するため、その委員数の規制を撤廃するとともに、関係者に対する報告徴収権限を付与することとしております。また、精神保健指定医については、その診療録記載義務の拡充や職務停止処分の創設等の所要の見直しを行うこととしております。さらに、医療保護入院の対象者については、この入院が本人の意思によらない強制入院であることにかんがみ、その対象者が精神障害のため本人の同意に基づいた入院を行う状態にない者であることを明確にすることとしております。
 第二に、緊急に入院が必要となる精神障害者に係る移送の法定化であります。
 緊急に入院が必要であるにもかかわらず、精神障害のため本人の同意に基づいた入院を行う状態にないと精神保健指定医が判定した精神障害者都道府県知事が応急入院指定病院に移送する制度を創設することとしております。
 第三に、保護者に関する事項であります。
 保護者について、その自傷他害防止監督義務の規定を削除するとともに、任意入院者等みずからの意思で医療を受けている精神障害者の保護者については、本人に治療を受けさせる義務等を免除することとしております。
 第四に、精神障害者の保健福祉施策の充実に関する事項であります。
 精神保健福祉センターについては、通院医療費の公費負担や精神障害者保健福祉手帳の申請に係る判定及び精神医療審査会の事務を一元的に行わせること等により、その機能を拡充することとしております。また、在宅の精神障害者の相談、助言等を行う精神障害者地域生活支援センターを社会復帰施設として法定化するとともに、精神障害者居宅生活支援事業として精神障害者居宅介護等事業及び精神障害者短期入所事業を創設し、在宅の精神障害者に対する福祉施策の拡充を図ることとしております。さらに、より住民に身近な地域で在宅福祉サービスが利用できるよう精神障害者居宅生活支援事業の実施主体を市町村とするとともに、福祉施策の相談、助言等についても保健所による技術的支援のもとで市町村において実施することとしております。
 このほか、仮入院制度の廃止等今般の見直しに伴う所要の措置を講ずるとともに、関係法律についても所要の規定の整備を行うこととしております。
 最後に、法律の施行期日は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としておりますが、在宅福祉事業の追加等の事項については平成十四年四月一日からとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(尾辻秀久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。