精神医療に関する条文・審議(その126)

前回(id:kokekokko:20051212)のつづき。初回は2004/10/28。
前回にひきつづき、平成15年法律第102号による精神保健福祉法改正をみてみます。

第156回衆議院 厚生労働委員会会議録第23号(平成15年6月11日)
○中山委員長 次に、内閣提出、参議院送付、公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣
○坂口国務大臣 ただいま議題となりました公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 政府におきましては、国から公益法人等が委託等を受けて行っている検査、検定、資格付与等の事務及び事業について、官民の役割分担及び規制改革の観点からの見直しを行うため、平成十四年三月に公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画を閣議決定したところであります。
 今般、この計画の実施の一環として、厚生労働省関係の六法律において、厚生労働大臣がこれらの事務及び事業を行わせる者を指定する制度から、法律で定める一定の要件に適合し、かつ、行政の裁量の余地のない形で登録を受けた者がこれを行う制度へと改める等の措置を講ずることを目的として、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、水道法、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、労働安全衛生法、作業環境測定法及び薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の六法律に基づき実施される研修等について、厚生労働大臣の指定する者による実施から、厚生労働大臣の登録を受けた者による実施に改めることとしております。
 第二に、厚生労働大臣は、登録を申請した者が、これらの各法律に規定する登録基準に適合しているときは、登録をしなければならないこととしております。
 第三に、厚生労働大臣の登録を受けた者について、これらの各法律において、研修等の実施義務、業務規程等の届け出、財務諸表等の備えつけ、登録基準への適合命令、研修等の実施義務違反に係る改善命令、登録の取り消し等の規定を整備することとしております。
 なお、この法律の施行期日は、一部を除き、平成十六年三月三十一日までの間において政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。

第156回衆議院 厚生労働委員会会議録第24号(平成15年6月13日)
○中山委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山井和則君。
○山井委員 おはようございます。
 延長がなければ、きょうが最後の質疑になるかもしれませんが、きょうは、公益法人にかかわる質疑でありますけれども、この公益法人の見直しの最初にも、精神保健福祉の法律の一部改正ということも入っておりますので、精神保健福祉のこと、それと、この連休以降、最もこの厚生労働委員会で問題になっております木村副大臣のこと、改めて質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、坂口大臣、過去一週間ぐらい大変問題になっております、精神障害者の社会復帰施設の補助金が要望の二割しか今のところとっていないということについてでありますけれども、これは大問題だと思うんですね。
 昨年の心神喪失法案の衆議院の審議の際にも、心神法案と社会的入院の解消は車の両輪で、社会復帰に全力を挙げるということを坂口大臣そして木村副大臣、お約束をされたと思うんですけれども、その最も重要なところの予算が、今二〇%しかついていない。そして、このことに関しては地方自治体から、厚生労働省は言っていることとやっていることが違うじゃないか、はしごを外すのか、どれだけ本気でやる気があるのかという批判の声も出ているわけであります。このことについて本当に強く私は抗議をしたいと思います。
 坂口大臣、このことについて、やはりしっかりと、すべての予算がつくようにやっていく、そしてこの社会復帰に対する取り組みはいささかも揺るぐことがないということで、しっかりと答弁をお願いしたいと思います。
○坂口国務大臣 一般精神病院を初めといたします、そこに入院をしておみえになります皆さん方も含めまして、早く地元に帰っていただいて、そして地元の方で生活がしていただけるような体制をつくり上げていく、これはもう定めました既定の方針でございまして、まず、十年ぐらいでこれを必ずやり遂げるということも申し上げているとおりでございます。
 その十年でやり遂げるにはどういうスケジュールでやっていかなければならないかということも今やっている真っ最中でございまして、そういたしますと、大体年間どのぐらいのことをやっていかなければならないか、また、人材の育成につきましてはどういうふうにやっていかなければならないかということも、これはもう自明の理でございまして、そうしたことに従いまして、これはもう着実に必ずやっていきたいというふうに思っております。
 今回のこの予算につきまして、新しくつくるところについては非常に少なかったではないかという御指摘がございまして、私もよくよく見れば、確かにそのとおりでございます。過去の継続をするものにつきましてはちゃんとついておりますけれども、新規のものにつきます予算が少なかった。
 いろいろ過去の例、過去からの経緯を見てみますと、やはりこの予算のつけ方が、今まで補正予算を頼りにして、当初予算ではなくて補正予算を利用してやってきたというような経緯があったりいたしまして、ここは少し、当初予算ですべてこれは見ていくという方針に変えていかないといけないというふうに思うんです。ところが、そこが少しうまくいかなかった。
 厚生労働省としましては、これはもう当初予算の方にかえていこうというので、当初予算の方の予算にするために、昨年の補正予算のときには今までほどの予算をそこに要求しなかった。そして当初予算でというふうにしたわけでございますから。ところが、今度は当初予算の方が、うまくそこがいかなかったということでございまして、しかし、ここは年間全体としてこれが維持できるようにしなければなりませんから、できるように最大限努力をしたいというふうに思っている次第でございます。
○山井委員 私たちも国会で、本当にこの社会的入院の問題は真剣に議論して、そういう御答弁もいただいているわけですから、その約束をしっかりと守っていただきたいと思います。
 そして、それにも関連しまして、坂口大臣、次の質問ですが、今も答弁の中で、七万二千人の社会的入院を十年間でなくすという御答弁なんですけれども、私もこの委員会の中で、精神障害者社会的入院ゼロ作戦というのをぜひともやってほしいというふうに要望したところであります。
 これについて改めてお聞きしたいんですけれども、七万二千人の社会的入院を減らすということは、七万二千人分の病床を減らすということですか、坂口大臣。
○坂口国務大臣 入院の患者さんが徐々に減っていけば、当然のことながら、それはベッド数も減っていくということになるだろうというふうに思います。
 これは、しかし、ベッド数を先に減らすというわけにはなかなかいかない。やはり、患者さんを減らすということが先行して、それに後を追うようにしてベッド数を減らしていく、そういう順序が必要だろうというふうに思っておりますが、当然そういう結果になるだろうと思っております。
○山井委員 どちらが先かという話でありますが、社会的入院の人が減っても、ベッドがあいているから、また新しい、必要性が薄い患者さんが長期に入院するというようなことが決してないようにしていただきたいと思います。
 それで、そのためにはどうすればいいかということなんですけれども、坂口大臣、昨年の十二月六日の私の質問に対しても、十年間で社会的入院をゼロにするためには、次のように答弁されているわけですね。「十年ということになると大体七年計画、七年間ぐらいでやらないと十年以内におさまらないことになるというふうに私は思いますから、少なくとも七年計画ぐらいは立てまして、計画的に進めていきたいというふうに思っております。」という答弁をいただいたわけですけれども、この七年の年次計画、これはもう立てられましたでしょうか。そして、もし立てられていないんでしたら、いつ年次計画を公表されますでしょうか。坂口大臣、お願いします。
○坂口国務大臣 計画というのは、おくれることはありましても、早まるということはなかなかないものでございまして、大体おくれてくるものでございますから、私はできるだけ早くという意味でそういうことを申し上げたわけでございます。したがいまして、十年間でやり遂げていきますためには、少し早目ぐらいにそれが完了できるようなスケジュールを組んでおいて大体十年になるのではないかというふうに思っておりますので、ことしじゅうにその計画は立てたいというふうに思っております。ことし、もうできるだけ早く立てたいと思っておるところでございます。
○山井委員 そうしたら、確認なんですけれども、ことしじゅうに年次計画を明らかにして公表するということでよろしいですか。
○坂口国務大臣 そのようにお考えいただいて結構でございます。
○山井委員 今も答弁いただきましたように、もう一年目がスタートしているわけですから、できるだけ早く、大急ぎでお願いしたいと思います。
 問題は、社会的入院が減ったという達成度をどうやってはかるのかということですよね。例えば、一年で一万人減らすという年次計画を立てられたとします。それで、一万人減ったかどうかというのをどうやって検証するのかということがセットでないと、計画の立て倒れになるわけで、そこを大臣、どのようにして達成度をはかるのでしょうか。
○坂口国務大臣 毎年になりますかあるいは一年置きになりますか、その辺のところを決めたいというふうに思いますけれども、調査をずっと継続的にやっていく。どういうふうに達成されているかということを、全国的にも地域的にも見ていきたいというふうに思っています。
○山井委員 そこは、ぜひとも毎年調査を正確にやっていただいて、社会的入院が減っているのか、そして、減っていないならばなぜなのかということで、まさに大臣がおっしゃったように、十年と言っているとまた延びてしまう危険性があるわけですから、七年ぐらいの計画にしていただいて、それで、約束ですから、必ず十年で社会的入院をゼロにするということをしていただきたいと思います。
 次に、木村副大臣にお伺いします。
 そこで、こういう精神障害者の社会復帰のニーズ調査を、今、日本精神科病院協会に委託して行われているわけですけれども、この結果は、答弁が長くなりますのでどのような調査かというのはもういいですから、いつ発表され、どのように生かすのか。木村副大臣、お願いします。
○木村副大臣 おはようございます。
 調査につきましては、現在、入力したデータのチェック等を行っておるところでございまして、今後、外部の専門家を含む評価委員会厚生労働省で開催いたしまして、分析及び報告書の取りまとめを行った後、速やかに結果の公表をするということにしたい。このように思っておるような次第でございます。
○山井委員 速やかにというのは、いつですか。
○木村副大臣 速やかにでございます。
○山井委員 例えば、七月中でオーケーですか。速やかですから。
○木村副大臣 分析の方は何とか七月中に終わらせたいというようなことの意向でありますけれども。それから、その分析からいろいろとまたあると思いますけれども、一応、今はそういうスケジュールになっておるんだそうでございます。
○山井委員 これは割と重要なことなのであえて聞きますが、分析はそうなんですけれども、いつ発表になりますか。それを教えてください。
○木村副大臣 その後できるだけ速やかにということだそうでございます。
○山井委員 そこをちょっとはっきりしてください。八月中旬まで、お盆までとか。やはりこれは非常に重要なことですから。年次計画とかにまた関係してくるわけですから。
○木村副大臣 分析を七月中に済ませたいといって努力しているようでございますので、その努力を見守っていただいたらどうでしょうか。速やかにとも言っておるところでございますから。
○山井委員 ちょっと期限を区切ってください。速やかですから、そんなの、十二月とかだったらだめなわけですから。八月中でいいですか。
○木村副大臣 そのような方向でできるだけ努力をしたいということでございます。
○山井委員 そうしたら、八月中ということでお願いしたいと思います。
 それで、日本精神科病院協会も現場の方々のために頑張っておられると思いますが、一つ私心配なのが、七万二千人の削減目標というものに対して、多過ぎるんではないかという異論を唱えておられるわけなんですね。そういう団体にこの社会復帰のニーズ調査を委託するということについて問題はないのかなと思うんですが、これは坂口大臣にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 参議院とか今までのいろいろな議論の中で、この日本精神科病院協会が七万二千人の削減目標は多過ぎるということで異論を唱えていられる。そこがこういう社会復帰のニーズ調査をやるということについて、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 七万二千人というこの数字の出し方も、これは非常にアバウトな出し方であります。社会的入院とはいかなるものかという定義を明確にして、そして数えたわけのことではありません。したがって、それは見方によって若干の違いはあるかもしれませんけれども、しかし、これは一つの目安になっている数字でございますから、多少の上下はあるかもしれませんけれども、一応現在のところは、我々はこの数字を信じてやっていく、こういうことでございます。
○山井委員 まさに目安ということなんですけれども。
 坂口大臣に重ねてお伺いしたいんですけれども、私ちょっと気になる話を聞いていますのが、今回、社会復帰施設への予算づけも二割しか進んでいない。そんな中で、地方自治体からは、この七万二千人という削減目標はそもそも下方修正されるんじゃないか。今回の調査とかを通じて、やはり社会的入院はそんなに多くないということで下方修正されるんじゃないか。それを見守ってからどれだけ頑張るか考えるというような声も地方自治体から聞いているんですね。
 そんなことはないと思いますが、坂口大臣に改めて念のために聞きますが、七万二千人という削減目標が、今回の調査とかで、七万二千人と思ったけれども、もっと少なかったから削減目標を減らしますというようなことになる可能性はあるんですか。坂口大臣、いかがですか。
○坂口国務大臣 それは受け入れ態勢の問題だと私は思うんですね。だから、受け入れ態勢もないのにそんなに多くの人に戻ってもらっても、どうにも仕方ないわけで。それぞれの地域でやはり、患者であった人たち、そして、この人ならば社会復帰できるだろう、そのかわりに、その社会復帰できた人たちを見守っていく人たちがそれぞれの地域でみんな必要なわけで、それがなければまた再入院してもらわなければならないとか、大変な問題が起こってくるわけでありますから。そこは、そういう人材がどれだけできていくか、どれだけの態勢ができるかということと非常に大きなかかわりのある話だと私は思っております。
 社会的入院という言葉で片づけて、そして、この人は社会的入院、この人は違うというふうに明確に割り切るということも、それはなかなか難しい判断だとは私は思うんです、病院の方にいたしましても。しかし、この地域ならば、あれだけの受け入れ態勢ができているんだから、この程度の人ならば受け入れてもらえるだろう、こういうことになるんだというふうに私は思っております。
 したがって、それぞれの地域の受け入れ態勢をどうつくっていくかということを、これから熱心にやっていかないといけない。そうしないと、この七万二千人という数字が生きてこないというふうに私は思っております。
○山井委員 まさにそこなんです。だから、改めてお伺いしますと、この七万二千人という削減目標が今回のニーズ調査によって千上下するとか、それぐらいは仕方ないかもしれませんけれども、これは割と根本的な数字ですから、七万二千人やると言っていたのが、そもそももうスタートラインから急に五万に減るとか六万に減るとか、そういう可能性というのは、大臣、あるんですか。そこはちょっと、七万二千人は動かないという答弁をいただきたいんですけれども。
○坂口国務大臣 七万二千という一度決めたその数字はその数字、それは動かないと思うんですけれども。いかに七万二千というふうに言ったところで、地域の受け入れ態勢ができなければ、それは七万二千にならないだろうというふうに私は思っております。したがって、それぞれの地域で、少なくとも七万二千なら七万二千人を受け入れられる態勢をどうつくるかということを考えていかないといけない。私はそこが勝負どころではないかというふうに思っております。
○山井委員 その七万二千人という削減目標が動かないということでほっといたしましたけれども。
 そこで、一月から三月に行われた調査なんですが、私ちょっと気になる点が二つあります。
 一つは、これは入院している患者さん本人に対するアンケートなんですね。坂口大臣、これはちょっと聞いていただきたいんですけれども、お医者さんですからわかると思うんですけれども、例えば、精神病院に入院している患者さん本人に対してこういう質問があるんです。あなたは、この精神病院を半年以内に退院を希望しますかと。それで、「一、退院を希望する」「二、退院を希望しない」「三、わからない」となっているんです。これは質問通告もしていませんが、坂口大臣、これは常識的に考えて、精神病院に入院している患者さんに、半年以内に退院を希望しますか、しないですかということをぱんと聞いて、正直なというか、答えが返ってくると思われますか。大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 それは、本人は正直なことを言うでしょうけれども、そうなれるかどうかということはまた別な話だと思うんですね。本人は、したければしたいというふうに言うでしょう、それははっきり言うと思うんです。だけれども、本当になれるかどうかは病状によるわけですから、それは、本人の希望と、なれるかなれぬかということとは少し違うと私は思いますが。
○山井委員 これは、大阪府で行われていますこういう社会復帰のための調査とかを参考にしましても、社会復帰というのはなかなか簡単なことじゃない。そのためには、地域に帰ったらどういうサービスが受けられるのか、どういう生活ができるのかというようなことを患者さんに懇切丁寧に説明する、そして病院のスタッフもそういうことをやはり勉強する、そういうことをした上でないとなかなか退院できないということが明らかになっているわけです。
 そういう意味では、今までの調査からも、退院を希望するかと聞かれても、精神障害者の患者さんは、社会に帰るイメージがわかない。大体、どんなサービスがあるのかも当然わからないわけですよね。だから、私が心配しているのが、そういうふうな情報提供も十分せずに、半年以内に退院したいですかと言われても、多くの患者さんが、「わからない」とか「退院を希望しない」に丸をされるんじゃないか。もっと言えば、「退院を希望する」に丸をすれば、それを病院に提出するわけですね、そうしたら、この病院の居心地が悪いんか、何か文句あるんかというふうなことにも受け取られかねない。そういう意味では、私は、お世話している側の病院がこういう調査をやるということは、やはりちょっと、正確なデータが出てきにくいんじゃないかなというふうに思います。
 そういうこともあって、今回のニーズ調査で、七万二千人の社会的入院の削減目標と言っているけれども、患者さんに聞いてみたら、もう三万人ぐらいしか退院したいという人はいませんでしたよという統計が出てきても、必ずしもその統計が信用できないということになるのではないかなと思うんですけれども、そのあたり、坂口大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 どんな結果が出るか、これは結果を私も見せてもらわないとわからないわけでありますが、社会的入院であるかどうかということは、患者さんにお聞きをするだけでわかる話ではないと私は思います。
 ですから、そこは、医師がどういうふうに診断をしているかということとあわせての話でなければならないと思っておりますから、両方あわせて、どれだけかということがわかるようにしなければいけないというふうに思っています。
○山井委員 主治医のお医者さんへのアンケートもセットでありますので、そういう危惧を持っているということを私申し上げます。
 そこで、また木村副大臣に戻りますが、昨年の十一月六日の日本精神病院協会の決起集会に行かれた、それで、十一月に献金を三十万円受け取られたということで、朝日新聞の報道でも、出された側の会長さんは、集会に来てもらった謝礼だということをおっしゃっているわけですけれども、木村副大臣、謝礼として受け取られたんでしょうか。
○木村副大臣 先日の委員会で答弁した以上のものも、以下のものもございません。
○山井委員 ちょっと、今もう一回聞いているんです、改めて聞きたいと思って。
○木村副大臣 先日の委員会で御答弁をさせていただいたものでございまして、それ以上のものも、以下のものもございません。
○山井委員 ちょっと、そうしたら、もう一回、今この場で言ってください。
○木村副大臣 相手側の気持ちはともかく、私は通常の政治献金として受け取ったものでございまして、それゆえに政治資金規正法にのっとって適正に処理をしているところでございます。
○山井委員 今、相手側の気持ちはともかくということをおっしゃいましたね。ということは、相手は謝礼として出したかもしれないということは認めるんですね、副大臣
○木村副大臣 私は、通常の政治献金として受け取ったものであり、それゆえに政治資金規正法にのっとって適正に処理をしているところでございます。
○山井委員 今のは非常に重要な発言だと思っております。
 香川県柔道整復師会の会長さんも、日経新聞の取材に対して、保険適正化の働きかけの謝礼として贈ったということをおっしゃった。ところが、不思議なのは、新聞の報道が出た後、何か、もう一回聞くと、いや、そんなことはなかったと言って、当然皆さん否定されるわけですね。でも、どっちが真実かというと、最初聞かれてうそを言うはずはないわけですね。ということは、やはりこれは十一月の集会の謝礼だということであると思います。謝礼をもらって、そういう集会に行かれたと。
 それで、問題は、心神喪失法案に関して、一方の、賛成側の大集会、そしてまた日本精神科病院協会は、先ほどの、七万二千人の削減目標は多過ぎると言って異論を唱えている団体、そういう会合にだけ副大臣が行ってあいさつするというのは、私は、何か公平性を欠くのではないかと思います。
 そこで、お伺いとお願いをしたいんですけれども、もう一方の、あの法案に関係しておられた、例えば精神障害者の当事者団体の会にもぜひとも一度は行っていただきたいと思うんですけれども、副大臣、行っていただけますか。
○木村副大臣 どういう団体かもよくわかりませんし、今初めてお話を受けたことでございますので、直ちに、行くとか行かないとかいって、そういうような答える筋合いのものではないと思います。
○山井委員 具体的な話は後として、一般論でいいです。これは、一方の集会に行かれた、ということは、ここしか行かないんですか。それとも、ほかの、こういう精神障害者の当事者や福祉関係の団体の集会に要望があれば、そういうことは参加を検討してくださるということですか。
○木村副大臣 今申し上げましたように、その団体がどういうものであるか、またそういうような話を今初めて聞いたばかりでございますし、それでもって、出ろとか出ないとか、そういうことは、今直ちに即答できる話じゃございませんし。
○山井委員 だから、今からもうノーと言うんですか。検討してみると言ってくださったらいいんですよ。検討はしてくださるんですよね。
○木村副大臣 何回も申し上げておりますけれども、今初めてお話をお聞きして、どういう団体かわからないし、どういう御趣旨かもわかりませんし、そこは、今直ちにお答えできるような話じゃないでしょう。
○山井委員 なぜ、検討するということも言えないんですか。検討したらいいじゃないですか、副大臣
○木村副大臣 今お話ししているとおりでございまして、どういう団体かも、今一度聞いただけで、名前がすっきり入るような話でもございませんし。それは、厚生関係の団体というのはたくさんあるんですよ。NPOも含め、FPOも含め、たくさんあるのでございますよ。それを、出席しろとか出席しないとか、どうだこうだ言われたって、それはなかなかすぐにお答えできるような話じゃないんじゃないでしょうか。
○山井委員 だから、検討するでいいんじゃないですか。
 検討できないんですか、検討できるんですか。
○木村副大臣 だから、今、山井先生のおっしゃった団体の名前も、すんなり落ちないわけですよ。だから……(山井委員「団体の名前、言っていない」と呼ぶ)だから、そういう何か漠然とした話にどうだこうだというのは、そんなに簡単に答えられるような話じゃないんじゃないでしょうか。
○山井委員 ちょっと、副大臣の感覚を疑いますね。それで、なぜ、そういう話が出たときに、検討するとすら答弁できないのか、これはよくわかりません。
【略】
○金子(哲)委員 そこで、午前中にもちょっと意見、質問が出ておりました精神障害者施設の補助金の問題についてちょっとお伺いしたいんです。
 内示の状況を見ますと、私が手に入れた資料ですと、先ほど、午前中では大体二〇%程度しかないということですが、二五%ぐらいという数字も出ておりますけれども、今後、午前中の論議も受けながらですけれども、大体いつごろをめどに、さらにこの拡大という方向に進めることができるのでありましょうか。ちょっとまずそこをお伺いしたいと思います。
○坂口国務大臣 我々も、これは何とかしなきゃいけないと思っておりますが、予算のことでございますので、内部でなかなか融通のできる予算というのはそうたくさんあるわけではございません。したがいまして、でき得るだけのことはやりたいというふうに思っております。
 でき得るだけのことをやりながら、足りない分は、これは次の予算措置に結びつけていかないといけないわけでありますから、次の予算措置が来年の予算なのか、それともその前に何かあるのか、それは今ちょっとそんなことを我々も言えない立場なものですから、何ともそこを申し上げるわけにはいきませんけれども、できるだけそういうふうにいたしまして、御希望いただいておる地方自治体に対して御迷惑をかけないようにひとつ努力したいと思っております。
○金子(哲)委員 この事業は、私が言うまでもなく、補助金の事業として行われるわけでして、これはたしか、建物部分についてこの補助金が出るということになりますと、実は、地元というか、これをやりたい人たちは、土地などをもう既に購入するかあらかじめ予定を立てなければ、この申請ができないということなんですよね。
 それで、従来、この内示の段階で希望、協議がほぼ満たされていくというような状況ですから、ことしもそうだろうということで、やはりそういうものを準備しているわけですよね。その中で、わずかに四分の一だ。しかも、継続事業がほとんどなわけですね。継続事業は、もちろん継続ですから、これを途中で切ることはできないからやっておりますが、それを除きますと、実にわずかしかやられていない。
 結局、めどが立たなければ、土地の購入、借り入れも含めて土地だけ手だてをしたけれどもということで、いつまで、どうすればいいかという、これは非常に大きな問題を現実に抱えているということでありますから、やはりこの問題については、できるだけ早く方向性を見出していただくということが極めて重要だというふうに思います。
 もちろん、今おっしゃったように、今の予算、次にどういう予算を組むのかという問題も、大臣がおっしゃったとおりでありますけれども、しかし、準備をしている側から見ますと大変な問題であるだけに、この点について強く申し上げておきたいと思います。
 それで、実は私は、内示状況、私どもが手に入れた資料が本当に厚生労働省がつくられた資料かどうか、ちょっとわからない点が率直に申し上げてあります。
 といいますのは、例えば広島県は、四件の協議申請を出して内示はゼロということで聞いておりましたら、いや、広島県は六件ですよという話も聞いて、どうもこの資料も信憑性がないのかというのも思うんですけれども、この内示が出た中で、継続事業は別にして、ある特定の県だけ、新規事業で一〇〇%この協議と内示がいっているところがあるんですよ。
 例えば三重県、五件の協議で五件の内示なんですよ。ほかに、横浜市、二件で二件の内示、そしてもう一つ特徴的なのは佐賀県、三件の協議で二件の内示なんですよ。そのほかのところは、山形県は一件あって一件、これも一〇〇%といえば一〇〇%ですね。なぜこういうことになるんだろうか。本当に簡単な素朴な疑問なんですけれども、政治的背景とかそういう思惑は全然私は考えずにこれを見ておりますと、広島県は六件あったと言われているんですけれどもゼロ件、ある県は九件も協議があったのにゼロ件、なぜ、どんな基準でこの内示というものが決まったのか、ちょっとお示しいただけませんでしょうか。
○上田政府参考人 お答えいたします。
 今回の精神障害者社会復帰施設の施設整備費の補助採択に当たりましては、都道府県において今までにない種別等の施設であり、当該都道府県の優先順位が高い施設、あるいは障害福祉圏域において初めての精神障害者社会復帰施設、また障害福祉圏域において今までにない種別の施設であり、当該都道府県の優先順位が高い施設といった施設の整備を優先しつつ、また過去の整備状況なども含めまして総合的に考慮したものでございます。このため、ただいま委員御指摘のように、各都道府県において結果的にこの採択率に格差が生じたものでございます。
○金子(哲)委員 それは、今の説明では全然納得できないですよ。これを見たら、例えば生活訓練施設、授産施設、福祉ホームの施設、福祉工場、地域生活支援施設、小規模授産施設などなどいろいろありますよ。その中で何が特徴的なのかさっぱりわかりませんよ、例えば三重県の五件の五件というのは。これは、透明性に関してどうしても疑問を持たざるを得ないですよね。
 今おっしゃったような説明では、例えばある県で特別なものがあった、五件のうち一件だけ認められたというようなことでなくて、押しなべてゼロ件になっているのに、ある特定の県だけ一〇〇%というのは、なぜそうなるかということを聞いているわけですよ。おっしゃったことを聞くと、三重県の場合は、今まで精神障害者社会復帰施設についてはほとんどゼロだった、何の取り組みもされていなかったということなんですか。
○上田政府参考人 お答えいたします。
 三重県におきましては、過去四年間で社会復帰施設が一カ所しか整備されておりません。そして、他の県で、例えばこれは広島県でございますが、過去四年間で二十一カ所整備されているというような状況もございまして、先ほど申し上げましたように、それぞれの採択基準と今申し上げました過去の整備状況等々も踏まえまして、総合的に判断したものでございます。
○金子(哲)委員 しかし、こういう状況でやられるとしたら、やはりどこでも納得できるような、公開して説明できるような資料を提示してわかるようにしてもらいたいと思うんですよ。こっちに聞けばこうですということでなくて、これはやはり、たまたま私はそれを見てそういうことを思っただけでして、その点については、どこでも説明できるようなことをぜひこれからお願いしたいというふうに思います。
○中山委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大森猛君。
○大森委員 私は、日本共産党を代表して、公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案について反対の討論を行います。
【略】
○中山委員長 以上で討論は終局いたしました。
○中山委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
○中山委員長 この際、本案に対し、熊代昭彦君外四名から、自由民主党民主党・無所属クラブ、公明党社会民主党市民連合及び保守新党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大島敦君。
○大島(敦)委員 私は、自由民主党民主党・無所属クラブ、公明党社会民主党市民連合及び保守新党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
 
  公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。
 一 公益法人制度の抜本的改革については、できるだけ速やかに、制度の基本的枠組み、改革スケジュール、税制の在り方等の取りまとめを行い、これに従って改革の具体化を図ること。
 二 公益法人が国から委託、推薦等を受けて実施している検査・認定・資格付与等の事務・事業を、登録機関による実施に改める際には、新規参入が可能となるようその登録要件を広く国民に明らかにするとともに、登録手続がスムースに行われるよう体制の整備を図ること。
 三 登録機関による実施に移行した後も、検査・認定・資格付与等の事務・事業の一層の整理・合理化に努めるとともに、その必要性について定期的に検証を行い、必要性が認められない制度については速やかに廃止すること。
 四 平成十四年三月に閣議決定された「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」に基づいて講じられた具体的措置内容を逐次公表するとともに、同計画の対象となっていない事務・事業等についても検証を行い、必要な見直しを行うこと。
 五 すべての公益法人において、役員名簿への公務員出身者の最終官職の付記が行われるよう指導を強化するとともに、財務諸表を含め所管する法人に係る情報を簡易な方法で入手できるよう努めること。
 六 登録機関による実施に移行した後も、検査・検定による安全性の確保が適切に行われるよう配慮すること。
 
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○中山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣
○坂口国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。
 ありがとうございました。(拍手)

第156回衆議院 本会議会議録第42号(平成15年6月24日)
○議長(綿貫民輔君) 日程第一、公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長中山成彬君。
    〔中山成彬君登壇〕
中山成彬君 ただいま議題となりました公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、公益法人に係る改革を推進するため、平成十四年三月に閣議決定された公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画の実施の一環として、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等、厚生労働省が所管する六法律について、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、国から委託等を受けて公益法人等が行っている検査、検定、資格付与等の事務事業について、厚生労働大臣がこれを行わせる者を指定する制度から、法律で定める一定の要件に適合するものとして登録を受けた者がこれを行う制度に改めること等であります。
 本案は、参議院先議に係るもので、去る六月十日本委員会に付託され、翌十一日坂口厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、十三日質疑を行い、討論の後、採決を行った結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律(平成15年7月2日法律第102号)【第1条、附則第1条、第2条】
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第一条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
  目次中

第四章 精神保健指定医及び精神病院
   第一節 精神保健指定医(第十八条―第十九条の六)
   第二節 精神病院(第十九条の七―第十九条の十)

 を

第四章 精神保健指定医、登録研修機関及び精神病院
   第一節 精神保健指定医(第十八条―第十九条の六)
   第二節 登録研修機関(第十九条の六の二―第十九条の六の十七)
   第三節 精神病院(第十九条の七―第十九条の十)

 に、「第五十一条の十五」を「第五十一条の十六」に改める。
 
「第四章 精神保健指定医及び精神病院」を「第四章 精神保健指定医、登録研修機関及び精神病院」に改める。
 
第十八条第一項第四号及び第十九条第一項中「又はその指定する」を「の登録を受けた」に改める。
 
第十九条の三を次のように改める。
 第十九条の三 削除
 
第四章中第二節を第三節とし、第一節の次に次の一節を加える。
   第二節 登録研修機関
 (登録)
 第十九条の六の二 第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の登録(以下この節において「登録」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の研修(以下この節において「研修」という。)を行おうとする者の申請により行う。
 (欠格条項)
 第十九条の六の三 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。
  一 この法律又はこの法律に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
  二 第十九条の六の十三の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
  三 法人であつて、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
 (登録基準)
 第十九条の六の四 厚生労働大臣は、第十九条の六の二の規定により登録を申請した者が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、その登録をしなければならない。
  一 別表の第一欄に掲げる科目を教授し、その時間数が同表の第三欄又は第四欄に掲げる時間数以上であること。
  二 別表の第二欄で定める条件に適合する学識経験を有する者が前号に規定する科目を教授するものであること。
 2 登録は、研修機関登録簿に登録を受ける者の氏名又は名称、住所、登録の年月日及び登録番号を記載してするものとする。
 (登録の更新)
 第十九条の六の五 登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
 2 前三条の規定は、前項の登録の更新について準用する。
 (研修の実施義務)
 第十九条の六の六 登録を受けた者(以下「登録研修機関」という。)は、正当な理由がある場合を除き、毎事業年度、研修の実施に関する計画(以下「研修計画」という。)を作成し、研修計画に従つて研修を行わなければならない。
 2 登録研修機関は、公正に、かつ、第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の厚生労働省令で定めるところにより研修を行わなければならない。
 3 登録研修機関は、毎事業年度の開始前に、第一項の規定により作成した研修計画を厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 (変更の届出)
 第十九条の六の七 登録研修機関は、その氏名若しくは名称又は住所を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
 (業務規程)
 第十九条の六の八 登録研修機関は、研修の業務に関する規程(以下「業務規程」という。)を定め、研修の業務の開始前に、厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 2 業務規程には、研修の実施方法、研修に関する料金その他の厚生労働省令で定める事項を定めておかなければならない。
 (業務の休廃止)
 第十九条の六の九 登録研修機関は、研修の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
 (財務諸表等の備付け及び閲覧等)
 第十九条の六の十 登録研修機関は、毎事業年度経過後三月以内に、当該事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに営業報告書又は事業報告書(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項及び第五十七条において「財務諸表等」という。)を作成し、五年間事務所に備えて置かなければならない。
 2 研修を受けようとする者その他の利害関係人は、登録研修機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号の請求をするには、登録研修機関の定めた費用を支払わなければならない。
  一 財務諸表等が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
  二 前号の書面の謄本又は抄本の請求
  三 財務諸表等が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
  四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であつて厚生労働省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求
 (適合命令)
 第十九条の六の十一 厚生労働大臣は、登録研修機関が第十九条の六の四第一項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、その登録研修機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 (改善命令)
 第十九条の六の十二 厚生労働大臣は、登録研修機関が第十九条の六の六第一項又は第二項の規定に違反していると認めるときは、その登録研修機関に対し、研修を行うべきこと又は研修の実施方法その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 (登録の取消し等)
 第十九条の六の十三 厚生労働大臣は、登録研修機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて研修の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
  一 第十九条の六の三第一号又は第三号に該当するに至つたとき。
  二 第十九条の六の六第三項、第十九条の六の七、第十九条の六の八、第十九条の六の九、第十九条の六の十第一項又は次条の規定に違反したとき。
  三 正当な理由がないのに第十九条の六の十第二項各号の規定による請求を拒んだとき。
  四 第十九条の六の十一又は前条の規定による命令に違反したとき。
  五 不正の手段により登録を受けたとき。
 (帳簿の備付け)
 第十九条の六の十四 登録研修機関は、厚生労働省令で定めるところにより、帳簿を備え、研修に関し厚生労働省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
 (厚生労働大臣による研修業務の実施)
 第十九条の六の十五 厚生労働大臣は、登録を受ける者がいないとき、第十九条の六の九の規定による研修の業務の全部又は一部の休止又は廃止の届出があつたとき、第十九条の六の十三の規定により登録を取り消し、又は登録研修機関に対し研修の業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、登録研修機関が天災その他の事由により研修の業務の全部又は一部を実施することが困難となつたときその他必要があると認めるときは、当該研修の業務の全部又は一部を自ら行うことができる。
 2 前項の規定により厚生労働大臣が行う研修を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める金額の手数料を納付しなければならない。
 3 厚生労働大臣が第一項の規定により研修の業務の全部又は一部を自ら行う場合における研修の業務の引継ぎその他の必要な事項については、厚生労働省令で定める。
 (報告の徴収及び立入検査)
 第十九条の六の十六 厚生労働大臣は、研修の業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、登録研修機関に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、その事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 2 前項の規定により立入検査を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
 3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
 (公示)
 第十九条の六の十七 厚生労働大臣は、次の場合には、その旨を公示しなければならない。
  一 登録をしたとき。
  二 第十九条の六の七の規定による届出があつたとき。
  三 第十九条の六の九の規定による届出があつたとき。
  四 第十九条の六の十三の規定により登録を取り消し、又は研修の業務の停止を命じたとき。
  五 第十九条の六の十五の規定により厚生労働大臣が研修の業務の全部若しくは一部を自ら行うものとするとき、又は自ら行つていた研修の業務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。
 
 第二十七条第五項を次のように改める。
 5 第十九条の六の十六第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入りについて準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第二十七条第四項」と、「当該職員」とあるのは「指定医及び当該職員」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「第二十七条第四項」と読み替えるものとする。
 
 第二十七条第六項を削る。
 
 第二十九条の二第四項中「第二十七条第四項から第六項まで及び」を「第二十七条第四項及び第五項並びに」に改める。
 
 第三十八条の六第三項中「第二十七条第五項及び第六項」を「第十九条の六の十六第二項及び第三項」に改め、同項に後段として次のように加える。
  この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第三十八条の六第一項」と、「当該職員」とあるのは「当該職員及び指定医」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「第三十八条の六第一項」と読み替えるものとする。
 
 第五十条の二の四第二項を次のように改める。
 2 第十九条の六の十六第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第五十条の二の四第一項」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「第五十条の二の四第一項」と読み替えるものとする。
 
 第五十条の三の三第二項を次のように改める。
 2 第十九条の六の十六第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第五十条の三の三第一項」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「第五十条の三の三第一項」と読み替えるものとする。
 
 第五十一条の九第二項を次のように改める。
 2 第十九条の六の十六第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第五十一条の九第一項」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「第五十一条の九第一項」と読み替えるものとする。
 
 第八章中第五十一条の十五の次に次の一条を加える。
 (経過措置)
 第五十一条の十六 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
 
 第五十二条中「一に」を「いずれかに」に改める。
 
 第五十四条中「一に」を「いずれかに」に改め、第四号を第五号とし、第一号から第三号までを一号ずつ繰り下げ、第一号として次の一号を加える。
  一 第十九条の六の十三の規定による停止の命令に違反した者
 
 第五十五条中「一に」を「いずれかに」に、「二十万円」を「三十万円」に改め、第七号を第八号とし、第一号から第六号までを一号ずつ繰り下げ、第一号として次の一号を加える。
  一 第十九条の六の十六第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
 
 第五十六条中「第五十四条第二号若しくは第三号」を「第五十四条第一号、第三号若しくは第四号」に改める。
 
 第五十七条中「一に」を「いずれかに」に改め、第五号を第八号とし、第二号から第四号までを三号ずつ繰り下げ、第一号の次に次の三号を加える。
  二 第十九条の六の九の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
  三 第十九条の六の十第一項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第二項各号の規定による請求を拒んだ者
  四 第十九条の六の十四の規定に違反して同条に規定する事項の記載をせず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつた者
 
 附則の次に次の別表を加える。
 別表(第十九条の六の四関係)【略】
 
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十六年三月三十一日までの間において政令で定める日から施行する。ただし、第六条の規定は平成十六年四月一日から、附則第二条第一項、第三条第一項、第四条第一項、第五条第一項及び第六条第一項の規定は公布の日から施行する。
 
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第二条 この法律による改正後の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「新精神保健福祉法」という。)第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の登録を受けようとする者は、この法律の施行前においても、その申請を行うことができる。新精神保健福祉法第十九条の六の六第三項の規定による研修計画の届出及び新精神保健福祉法第十九条の六の八第一項の規定による業務規程の届出についても、同様とする。
2 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「旧精神保健福祉法」という。)第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の指定を受けている者は、この法律の施行の日から起算して六月を経過する日までの間は、新精神保健福祉法第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の登録を受けているものとみなす。
3 この法律の施行の際現に旧精神保健福祉法第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の研修の課程を修了している者は、それぞれ新精神保健福祉法第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の研修の課程を修了しているものとみなす。