精神医療に関する条文・審議(その127)

前回(id:kokekokko:20051213)のつづき。初回は2004/10/28。
1.平成15年法律第110号
平成15年法律第110号による精神保健福祉法改正についてみてみます。
心神喪失者等医療観察法の制定に伴って、精神保健福祉法の規定も改正されました。この法律についての審議は長期にわたりましたが、その詳細は後日改めてアップするとして、今回は、精神保健福祉法改正の規定のみをアップしてみます。

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案【附則第1条から第3条まで】
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第六条、第七条及び第十五条の規定は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 
(経過規定)
第二条 この法律は、この法律の施行前に対象行為を行った者であって、この法律の施行後になされた公訴を提起しない処分において当該対象行為を行ったこと及び心神喪失者若しくは心神耗弱者であることが認められた者又はこの法律の施行後に刑法第三十九条第一項の規定による無罪の裁判若しくは同条第二項の規定による刑を減軽をする旨の裁判が確定した者についても、適用する。
 
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第三条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を次のように改正する。
 第二十五条を次のように改める。
 (検察官の通報)
 第二十五条 検察官は、精神障害者又はその疑いのある被疑者又は被告人について、不起訴処分をしたとき、又は裁判(懲役、禁 錮又は拘留の刑を言い渡し執行猶予の言渡しをしない裁判を除く。)が確定したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。ただし、当該不起訴処分をされ、又は裁判を受けた者について、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)第三十三条第一項の申立てをしたときは、この限りでない。
 2 検察官は、前項本文に規定する場合のほか、精神障害者若しくはその疑いのある被疑者若しくは被告人又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者(同法第二条第三項に規定する対象者をいう。第二十六条の三及び第四十四条第一項において同じ。)について、特に必要があると認めたときは、速やかに、都道府県知事に通報しなければならない。
 
 第二十六条の二の次に次の一条を加える。
 (心神喪失等の状態で重大な他害行為を行つた者に係る通報)
 第二十六条の三 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第六項に規定する指定通院医療機関の管理者及び保護観察所の長は、同法の対象者であつて同条第五項に規定する指定入院医療機関に入院していないものがその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。
 
 第三十二条第六項中「できる者」の下に「及び心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の規定によつて医療を受ける者」を加える。
 
 第四十四条を次のように改める。
 (心神喪失等の状態で重大な他害行為を行つた者に係る手続等との関係)
 第四十四条 この章の規定は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者について、同法又は同法に基づく命令の規定による手続又は処分をすることを妨げるものではない。
 2 この章第二節から前節までの規定は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第三十四条第一項前段若しくは第六十条第一項前段の命令若しくは第三十七条第五項前段若しくは第六十二条第二項前段の決定により入院している者又は同法第四十二条第一項第一号若しくは第六十一条第一項第一号の決定により指定入院医療機関に入院している者については、適用しない。

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案衆議院修正案】
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案に対する衆議院修正
 附則中第四条を第六条とし、第三条を第五条とし、第二条の次に次の二条を加える。
(精神医療等の水準の向上)
第三条 政府は、この法律の目的を達成するため、指定医療機関における医療が、最新の司法精神医学の知見を踏まえた専門的なものとなるよう、その水準の向上に努めるものとする。
2 政府は、この法律による医療の対象とならない精神障害者に関しても、この法律による専門的な医療の水準を勘案し、個々の精神障害者の特性に応じ必要かつ適切な医療が行われるよう、精神病床の人員配置基準を見直し病床の機能分化等を図るとともに、急性期や重度の障害に対応した病床を整備することにより、精神医療全般の水準の向上を図るものとする。
3 政府は、この法律による医療の必要性の有無にかかわらず、精神障害者の地域生活の支援のため、精神障害者社会復帰施設の充実等精神保健福祉全般の水準の向上を図るものとする。
(検討等)
第四条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について国会に報告するとともに、その状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その検討の結果に基づいて法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとする。

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案参議院修正案(参議院において可決されたもののみ)】
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案に対する参議院修正
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案に対する修正案
 第八十四条第三項中「第十四条第一項」を「第十六条第一項」に改める。
 
 附則第一条ただし書中「、公布」を「公布」に改め、「定める日から」の下に「、附則第七条の規定は公布の日から」を加える。
  
 附則第五条のうち第二十五条の改正規定中「平成十四年法律第▼▼▼号」を「平成十五年法律第▼▼▼号」に改める。
 
 附則第六条のうち第十三条の改正規定中「第十三条第二項」を「第十五条第二項」に、「平成十四年法律第▼▼▼号」を「平成十五年法律第▼▼▼号」に改める。

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年7月16日法律第110号)【附則第1条から第5条まで】
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第六条、第七条及び第十五条の規定は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から附則第七条の規定は公布の日から施行する。
 
(経過規定)
第二条 この法律は、この法律の施行前に対象行為を行った者であって、この法律の施行後になされた公訴を提起しない処分において当該対象行為を行ったこと及び心神喪失者若しくは心神耗弱者であることが認められた者又はこの法律の施行後に刑法第三十九条第一項の規定による無罪の裁判若しくは同条第二項の規定による刑を減軽をする旨の裁判が確定した者についても、適用する。
 
(精神医療等の水準の向上)
第三条 政府は、この法律の目的を達成するため、指定医療機関における医療が、最新の司法精神医学の知見を踏まえた専門的なものとなるよう、その水準の向上に努めるものとする。
2 政府は、この法律による医療の対象とならない精神障害者に関しても、この法律による専門的な医療の水準を勘案し、個々の精神障害者の特性に応じ必要かつ適切な医療が行われるよう、精神病床の人員配置基準を見直し病床の機能分化等を図るとともに、急性期や重度の障害に対応した病床を整備することにより、精神医療全般の水準の向上を図るものとする。
3 政府は、この法律による医療の必要性の有無にかかわらず、精神障害者の地域生活の支援のため、精神障害者社会復帰施設の充実等精神保健福祉全般の水準の向上を図るものとする。
 
(検討等)
第四条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について国会に報告するとともに、その状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その検討の結果に基づいて法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとする。
 
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第五条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を次のように改正する。
 第二十五条を次のように改める。
 (検察官の通報)
 第二十五条 検察官は、精神障害者又はその疑いのある被疑者又は被告人について、不起訴処分をしたとき、又は裁判(懲役、禁 錮又は拘留の刑を言い渡し執行猶予の言渡しをしない裁判を除く。)が確定したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。ただし、当該不起訴処分をされ、又は裁判を受けた者について、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)第三十三条第一項の申立てをしたときは、この限りでない。
 2 検察官は、前項本文に規定する場合のほか、精神障害者若しくはその疑いのある被疑者若しくは被告人又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者(同法第二条第三項に規定する対象者をいう。第二十六条の三及び第四十四条第一項において同じ。)について、特に必要があると認めたときは、速やかに、都道府県知事に通報しなければならない。
 
 第二十六条の二の次に次の一条を加える。
 (心神喪失等の状態で重大な他害行為を行つた者に係る通報)
 第二十六条の三 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第六項に規定する指定通院医療機関の管理者及び保護観察所の長は、同法の対象者であつて同条第五項に規定する指定入院医療機関に入院していないものがその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。
 
 第三十二条第六項中「できる者」の下に「及び心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の規定によつて医療を受ける者」を加える。
 
 第四十四条を次のように改める。
 (心神喪失等の状態で重大な他害行為を行つた者に係る手続等との関係)
 第四十四条 この章の規定は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者について、同法又は同法に基づく命令の規定による手続又は処分をすることを妨げるものではない。
 2 この章第二節から前節までの規定は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第三十四条第一項前段若しくは第六十条第一項前段の命令若しくは第三十七条第五項前段若しくは第六十二条第二項前段の決定により入院している者又は同法第四十二条第一項第一号若しくは第六十一条第一項第一号の決定により指定入院医療機関に入院している者については、適用しない。

 
2.平成15年法律第119号
平成15年法律第119号による精神保健福祉法改正についてみてみます。地方独立行政法人法の制定により、都道府県以外にも、独立行政法人が精神病院を設置できるようになるなどの改正がなされました。
ここでは、精神医療についての議論に絞ってみてみます。

地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案【第38条、附則第1条】
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第三十八条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 第十九条の七に次の一項を加える。
 2 都道府県又は都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設立した地方独立行政法人地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。次条において同じ。)が精神病院を設置している場合には、当該都道府県については、前項の規定は、適用しない。
 
 第十九条の八中「及び都道府県」を「、都道府県並びに都道府県又は都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設立した地方独立行政法人(以下「国等」という。)」に改める。
 
 第二十九条第一項中「且つ」を「かつ」に、「国若しくは都道府県」を「国等」に改め、同条第四項中「国又は都道府県」を「国等」に改める。
 
 第二十九条の六第一項中「国若しくは都道府県」を「国等」に、「行なう」を「行う」に改める。
 
 第二十九条の七中「国若しくは都道府県」を「国等」に、「行なつた」を「行つた」に、「国又は」を「国等又は」に改める。
 
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第六条の規定 個人情報の保護に関する法律の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日
 二 第二十四条の規定 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日
 三 第二十五条の規定 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日
 四 第四十七条の規定 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日

第156回衆議院 総務委員会会議録第16号(平成15年5月29日)
○遠藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方独立行政法人法案及び地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣
○片山国務大臣 地方独立行政法人法案及び地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、地方独立行政法人法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体がみずから主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものと地方公共団体が認めるものを効率的かつ効果的に行わせるため、地方独立行政法人の制度を設け、その運営の基本となる事項を定めようとするものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
【略】
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 次に、地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、地方独立行政法人法の施行に伴い、関連する諸法律について、地方独立行政法人地方公共団体と同様の位置づけとすることとするなど、所要の規定整備を行うものであります。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

第156回衆議院 総務委員会会議録第17号(平成15年6月3日)
○春名委員 【略】
 それで、公立病院のことをもう少し詳しく聞いてみたいと思います。
 住民の生活、地域社会及び地域経済の安定などの公共上の見地から、その地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業の典型として、自治体が運営している公立病院があると私は考えます。この公立病院、自治体病院の担っている責務、また存在意義を総務大臣はどう今御認識されているか、どうぞ。
○片山国務大臣 【略】
 それから、自治体病院の果たす役割でございますけれども、これは先ほども申し上げましたが、医療環境によっていろいろ違うかもしれません、地域の。しかし、基本的には、地域の医療の拠点、中核の機能を営むものでございまして、例えばここでは、僻地や不採算地区における医療や、地域における高度医療や救急医療や、あるいは特殊医療ですね、精神病院だとかそういうことをやってもらう、あるいは保健行政的な医療の一つの中心になってもらう、まあ予防的ないろいろなこと、そういうことで、大変私は重要な役割を果たしていると思っております。
○春名委員 【略】
 それで、今、公立病院のお話が出ましたけれども、自治体病院協議会の会長で、岩手県立病院の院長でもあられる小山田さんが、会長声明というのをこの五月の二十一日に発表していまして、それを読ませていただきました。大臣が言ったことと認識は同じだと思いますが、「自治体病院は地域住民が必要に迫られて作った病院であり、その地域に欠けている医療、」「公正で公平な医療を担っている。不採算医療も担っている。そのような利益追求を優先しない病院は自治体病院だけであり、ここに自治体病院の存在理由がある。」こういうふうにおっしゃっているわけですね。私もそう思いますし、大臣もそういう御認識だと思うんです。
 そうであるのに、この自治体病院をみずから主体となって直接に実施する必要がないものの範疇に対象として入れてしまっている、これはどういうことなんでしょうか。
○若松副大臣 まず、自治体病院でございますけれども、これは、公営企業法制のもとで企業の経済性を発揮するとともに、本来の目的であります地域住民に適切な医療の提供を行う、その事業運営に今まで努めてきていただいたところであります。
 一方、地方独立行政制度は、失礼しました、地方独法ですけれども、ちょっと文章が間違っておりますね、中長期的な観点からのいわゆる経営の機動性、弾力性の確保、さらには業務評価制度によるチェック体制、または透明性の確保、こういったことが期待されておりまして、当然、病院事業につきましても、もし地方公共団体がこういった関心が持たれているということであれば、今回の制度の対象として経営形態の選択を可能とした、こういった背景でございます。
 そのために、地方独法化された場合でも、その目的は、自治体として政策上必要とされる医療を確保することは当然変わりはないわけでありますので、現行の地方公営企業と同様に地方公共団体の一般行政事務と考えられるような経費、例えば保健行政的医療とかまたは公共的必要性から負担しなければならない経費、いわゆる僻地医療、こういったことにつきまして設立団体において負担するものと理解しているところでございます。
○春名委員 みずから主体となって直接に実施する必要があるからこそ、不採算であっても、赤字を出しながらも、それぞれの自治体病院が努力をしているというのが今の現実だと私は思うんですね。それを、みずから主体となって直接に実施する必要がないものの範疇にあなた方は入れているわけです。
 それで、自治体病院は、累積欠損額が、平成十三年度では一兆四千億円に上るという状況ですよね。これは、やはり今申し上げた不採算の部門を率先して引き受けて努力をしているということの一つのあらわれだと思うんですね。全病院に占める自治体病院の割合を見てみますと、僻地医療拠点病院のうち六九%、救命救急センター四一・二%、災害拠点病院四八・四%、小児救急医療拠点病院三三・三%。まさに、その地域そして住民にとってなくてはならない、そういう病院で、歯を食いしばって赤字の中でも経営の効率化を進めながら存続しているんだと思うんですね。
 一方、私は率直な疑問を言います。
 地方独立行政法人の制度設計というのは、三年から五年の中期目標を持ちます。それに基づく中期計画を独法が策定します。そして、業績について評価委員会の評価を受けます。法案三十一条では、それに基づいて、長自身が業務を継続させる必要性まで含めて、所要の措置を講ずるという仕組みになっています。つまり、中期目標と中期計画を実施し、その結果、赤字が続くようであれば廃止も含めて検討するということが、あえてこの法案の中にはそういう仕掛け、制度の中身が明記されているわけです。
 私は、現状を見れば、これは自治体が病院を経営するのをやめよと言っていることに等しいようなものではないかというふうにすら思わざるを得ません。繰り返しになりますが、なぜ公立病院をこういう今の現状のもとでこういう制度設計の中に対象とするのでしょう。
○若松副大臣 現在、いわゆる地方公営企業法の適用となっている自治体病院、これは建設中も含めますと、平成十三年度でありますが、全国で九百五十九あります。そのうちいわゆる不採算が約一八・九%ということで百八十一、こうなっておりますが、実は、御存じのように外部包括監査等がありまして、そこでいわゆる経営の見直しの指摘の中で非常に自治体病院が多いんですね。
 ちょうどきょう傍聴人の方に公認会計士の方も多いわけでありますが、そういったことも考えまして、やはり病院だけを別にするのではなくて、自治体が求めるのであれば、当然、効率化というのは住民が求める制度でもありますので、そういった全体の考慮をした上での今回の制度設計となったことをぜひ御理解いただきたいと思います。
○春名委員 私は、こういうツールを今導入して、さあどうぞというのをするのが国や総務省の仕事じゃないと思いますよ。
 今、全国の自治体病院は、特別要望で、一、小児医療対策、二、精神医療対策、三、医師不足対策、緊急三課題、これを訴え続けています。そして、総務省に対しては、そのための地方交付税措置の拡充など財政措置を訴え続けてきました。それも、効率性だけでは地域住民の生命や健康が守れないというこれまでの冷厳な経験から、そういう要求も総務省には率直にして、今努力をしている最中です。国がやるべきことは独法化ではありません。こういう切実な願いに真っ正面からこたえることが大事なんじゃないんですか。そういう決意はどうなんですか。
○若松副大臣 ですから、これからの地方自治というのはやはり住民参加、住民監視がますます必要になってくると思います。
 そういう意味で、今回の独立行政法人の中にいわゆる評価委員会、これを制度上設けたわけでありまして、やはり今後、住民の納得の上にこのような事業もしっかりと見ていただく。だからこそ、必要なものは当然として、税金の投入という一つの政策的なプロセスも出てくるであるでしょうし、そのためのツールとして今回の地方独立行政法人は大変有益である、このような選択を設けさせていただいたのは大変意義がある、私はそのように確信しております。
○春名委員 評価委員会は、長が任命して、議会の条例ですか、それで決めるということにはなっていますけれども、そういうものですからね。しかも、私はやはり思いますに、三年から五年で業績評価するんでしょう、少なくとも五年の間には。その先どうなるのか、やはりそういう制度設計になっているわけですよね。
 だから、今大事なのは、私の質問には答えてないんだけれども、三つの要望があって、地方交付税措置を拡充してもらって、そういう不採算な部門を担っているこの病院を何とか立ち行くような、そういう支援こそ国にやってほしいというのが今、最大の要求じゃないですか。そのことを私は強く申し上げておきたいと思います。
【略】
○遠藤委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。
○武正委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の地方独立行政法人法案及び地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に反対する立場から討論を行います。
【略】
○遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
○黄川田委員 私は、自由党を代表して、地方独立行政法人法律案及び地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
【略】
○遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
○矢島委員 私は、日本共産党を代表して、地方独立行政法人法案及び同法施行法案に対する反対の討論を行います。
【略】
○遠藤委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 私は、社会民主党市民連合を代表して、地方独立行政法人法案及び関係法律整備法案に対し、反対の討論を行います。
【略】
 第五の理由は、公立大学及び公立病院の扱いです。大学の独法化は、教育研究より効率性が優先され、成績主義の強化と大学間の無用な競争、大学間格差の拡大、大学の自治の破壊につながります。また、病院の独法化は、住民の命と健康に直結する病院部門の公的責任を放棄し、安全、安心、良質な医療を後退させることになりかねません。
 今回、法人化の対象となっている水道、交通、病院等は、もともと自治体の公共事務の一つであり、旧自治省も「地方公営企業法逐条解説」において、地域住民のために存在する地方公共団体本来の仕事であり、必要な生活用水を不自由なく供給し、市民の足を確保し、医療施設を整備する等住民の生活に密着した分野で住民の需要を充足していくという極めて地道な仕事を着実に遂行することこそ真に地方自治の伸展を支えるものであろうとしているところであります。
 このような事業を安易に独法化することは、行政の直接の責任、役割の放棄以外の何物でもないことを指摘し、討論を終わります。(拍手)
○遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
○遠藤委員長 これより両案について順次採決に入ります。
 まず、地方独立行政法人法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
○遠藤委員長 この際、ただいま議決いたしました地方独立行政法人法案に対し、佐藤勉君外五名から、自由民主党民主党・無所属クラブ、公明党自由党社会民主党市民連合及び保守新党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。佐藤勉君。
○佐藤(勉)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
 
  地方独立行政法人法案に対する附帯決議(案)
【略】
 
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○遠藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○遠藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣
○片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

第156回衆議院 本会議会議録第38号(平成15年6月5日)
○議長(綿貫民輔君) 日程第一、地方独立行政法人法案、日程第二、地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長遠藤武彦君。
    〔遠藤武彦君登壇〕
遠藤武彦君 ただいま議題となりました両案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、両案の要旨について申し上げます。
 地方独立行政法人法案は、住民の生活の安定並びに地域社会及び地域経済の健全な発展に資するため、地方独立行政法人制度を設け、対象業務、設立手続など、その運営の基本となる事項を定めようとするものであります。
 次に、地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、地方独立行政法人法の施行に伴い、関連する諸法律について、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 以上の両案は、去る五月二十八日本委員会に付託され、翌二十九日に片山総務大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取いたしました。六月三日両案を一括して質疑を行い、討論の後、採決いたしましたところ、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、地方独立行政法人法案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

第156回参議院 総務委員会会議録第18号(平成15年6月10日)
○委員長(山崎力君) 次に、地方独立行政法人法案及び地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。片山総務大臣
国務大臣片山虎之助君) 地方独立行政法人法案及び地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、地方独立行政法人法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものと地方公共団体が認めるものを効率的かつ効果的に行わせるため、地方独立行政法人の制度を設け、その運営の基本となる事項を定めようとするものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
【略】
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 次に、地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、地方独立行政法人法の施行に伴い、関連する諸法律について、地方独立行政法人地方公共団体と同様の位置付けとすることとするなど、所要の規定整備を行うものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

第156回参議院 総務委員会会議録第19号(平成15年7月1日)
○高嶋良充君 私は、地方公営企業以上のメリットはなかなか発揮できないんではないかなというふうに思うんですが、いずれにしても選択制ですから、自主的な選択の問題については後ほどまた大臣の方から考え方を伺いたいと思います。
 次に進ませていただきますが、都道府県の精神病院も独立行政法人の対象というふうにされておるんですが、私はこれは問題なんではないかなというふうに思っているんです。
 独法制度導入に関する研究会報告書でメルクマールが示されているんですけれども、そこでは、「私人の権利義務に直接かつ強度の制限等を及ぼす公権力の行使に当たる事務・事業」は対象外だと、そういうふうにされているんですね。ということは、いわゆる措置入院というのは公権力の行使に当たるのではないかというふうに思うんですが、そういう観点からいえば、精神病院は独立行政法人の対象から外すべきではないかというふうに思うんですが、これは厚生労働省来ていただいているんですかね、考えを聞かせてください。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 都道府県知事は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第二十九条に基づき、精神保健指定医による診察の結果、診察を受けた者が精神障害者であり、かつ医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷付け又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときにその者を入院させることができます。このような措置入院先については、国立又は都道府県立の精神病院のほか、一定の基準を満たす民間の精神病院を指定病院として措置入院先としているところでございます。この措置入院が適正に行われることを担保するため、措置入院先となる精神病院については、厚生労働大臣及び都道府県知事による監督並びに措置入院者の処遇改善請求権を認めているところでございます。
 今般、都道府県立病院が独立行政法人化されたとしましても、ただいま申し上げましたように、厚生労働大臣及び都道府県知事の監督等が及ぶこととなることから、引き続き措置入院の適正さは担保されているというふうに考えております。このため、都道府県立の精神病院については、独立行政法人の対象から外す必要があるというふうには考えていないところでございます。
○高嶋良充君 知事の命令なり施策が及ぶ範囲だと、こういうことで、民間病院にも認めているんだから都道府県の独法化については問題がないんだと、こういうことのようです。
 私は公権力との絡みで聞いているんですが、じゃ、もう一点伺いましょう。
 今国会で心神喪失他害行為医療観察法が先日成立をいたしましたね。これによると、新たに裁判所の命令によって公立病院への強制入院措置が可能になる、こういうことになるんですけれども、もし裁判所が強制入院をさせる、こういう命令を下すその病院というのは国立又は公立、こういうことだと思うんですが、その場合は独法の精神病院も入るんですか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 ただいま御指摘の指定入院医療機関につきましては、心神喪失者等医療観察法案第十六条の一項によりまして、国、都道府県又は独立行政法人が開設する病院について厚生労働大臣が指定することとされております。これは、この制度の入院は一般の精神医療とは異なり、公共性及び専門性が極めて高いこと、あるいは裁判の決定に基づく医療であり、全国で公平、一律に実施されなければならないこと、こういうことを考慮して、指定入院医療機関の果たすべき特別な役割を担うことがふさわしい医療機関に限定することとし、これを担保するために厚生労働大臣の監督等が及ぶこととされているところでございます。
 お尋ねの件でございますが、このように都道府県立の精神病院が特定地方独立行政法人化された場合には、先ほど私申し上げましたこの趣旨に基本的に合致しているというふうに考えられるために、特定地方独立行政法人が指定入院医療機関となることを排除しない仕組みとする予定でございます。したがいまして、指定入院医療機関としての役割が想定されるという理由で地方独立行政法人の対象から外す必要があるというふうには考えていないところでございます。
○高嶋良充君 ちょっと意味が分からぬのですけれども、じゃ、さきに答弁された民間病院でも指定されればやれる、こういうことですか。
○政府参考人(上田茂君) ですから、この心神喪失者等医療観察法案の指定入院医療機関につきましては、ただいま申し上げましたように、国、都道府県又は独立行政法人等が開設する病院について厚生労働大臣が指定するということでございまして、言わば民間病院については対象としないところでございます。
○高嶋良充君 県知事の命令の措置入院は指定民間病院を対象にして、裁判所の関係は対象にしないというのであれば、独法も身分的には非公務員型の部分も選択できるということになっているわけですから、そういう観点からいっていっても、独法の精神病院に今回法改正で行われた強制入院、裁判所の命令による強制入院というのはやっぱり問題があるんではないかなというふうに思うんですが、再度答弁してください。
○政府参考人(上田茂君) ですから、先ほど申し上げましたが、今回の指定入院医療機関のその趣旨として公共性、専門性等々を申し上げました。と同時に、こういった指定入院医療機関に対しても厚生労働大臣が監督等、例えば具体的には報告そしてまたそれに対する改善命令等々、こういった監督を及ぶこととしておりまして、したがいまして、そういうような仕組みの中で、今申し上げました特定地方独立行政法人については、正に国又は都道府県立の設立と同じように指定入院医療機関となることを排除しない仕組みというふうに考えているところでございます。
○高嶋良充君 どうも意味が分からないです。
 いずれにしても、私は、国の報告、メルクマールで示されている公権力の行使に当たる事務事業については、これはその対象としないというその観点からいっていけば、措置入院の問題には先ほどの言われた理由は若干当てはまらないこともないと思います。ただ、強制入院、裁判所の命令による、これはやっぱり公権力の行使そのものでありますから、そこの部分はやっぱりきちっと、また次の機会に譲りますけれども、厚生労働省として明確にしてもらう必要がこれあるんではないかなというふうに思っています。
【略】
○委員長(山崎力君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。(発言する者あり)
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方独立行政法人法案及び同法施行法案に対して反対の討論を行います。
【略】
又市征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、地方独立行政法人法案及び関係法律整備法案に対し反対の討論を行います。
【略】
○委員長(山崎力君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、地方独立行政法人法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山崎力君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、伊藤君から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤基隆君。
伊藤基隆君 私は、ただいま可決されました地方独立行政法人法案に対し、自由民主党保守新党民主党・新緑風会公明党、国会改革連絡会(自由党無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 
  地方独立行政法人法案に対する附帯決議(案)
【略】
 
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(山崎力君) ただいま伊藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山崎力君) 全会一致と認めます。よって、伊藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、片山総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。片山総務大臣
国務大臣片山虎之助君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
○委員長(山崎力君) 次に、地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山崎力君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

第156回参議院 本会議会議録第36号(平成15年7月2日)
○議長(倉田寛之君) 日程第二 地方独立行政法人法
 日程第三 地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 日程第四 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長山崎力君。
   〔山崎力君登壇、拍手〕
山崎力君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、地方独立行政法人法案は、公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあると認めるものを効率的かつ効果的に行わせるため、地方独立行政法人の制度を設け、その運営の基本その他の制度の基本となる事項を定めようとするものであります。
 次に、地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、地方独立行政法人法の施行に伴い、災害対策基本法その他の関係法律の規定の整備等を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、地方独立行政法人制度に関し、その創設趣旨、公立大学法制の在り方、公営企業等の地方独立行政法人への移行上の課題等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して八田ひろ子委員、社会民主党・護憲連合を代表して又市征治委員より、それぞれ両法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、地方独立行政法人法案に対し六項目から成る附帯決議が付されております。
【略】
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 まず、地方独立行政法人法案及び地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十一  
  賛成            百三十一  
  反対               百  
 よって、両案は可決されました。(拍手)

地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成15年7月16日法律第119号)【第38条、附則第1条】
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第三十八条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 第十九条の七に次の一項を加える。
 2 都道府県又は都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設立した地方独立行政法人地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。次条において同じ。)が精神病院を設置している場合には、当該都道府県については、前項の規定は、適用しない。
 
 第十九条の八中「及び都道府県」を「、都道府県並びに都道府県又は都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設立した地方独立行政法人(以下「国等」という。)」に改める。
 
 第二十九条第一項中「且つ」を「かつ」に、「国若しくは都道府県」を「国等」に改め、同条第四項中「国又は都道府県」を「国等」に改める。
 
 第二十九条の六第一項中「国若しくは都道府県」を「国等」に、「行なう」を「行う」に改める。
 
 第二十九条の七中「国若しくは都道府県」を「国等」に、「行なつた」を「行つた」に、「国又は」を「国等又は」に改める。
 
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第六条の規定 個人情報の保護に関する法律の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日
 二 第二十四条の規定 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日
 三 第二十五条の規定 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日
 四 第四十七条の規定 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日