精神医療に関する条文・審議(その128)

前回(id:kokekokko:20051214)のつづき。初回は2004/10/28。
1.平成16年法律第147号
平成16年法律第147号による精神保健福祉法改正についてみてみます。
民法の財産法部分が口語化され、また条文番号が若干変更されました。これに伴い、民法の条文を引いている法律の文言が改正されることになり、これによって精神保健福祉法も改正されました。
ここでは、概要をアップしてみます。

民法の一部を改正する法律案【附則第1条、第2条、第38条】
 附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 
(経過措置の原則)
第二条 この法律による改正後の民法(以下「新法」という。)の規定は、次条及び附則第四条(第三項及び第五項を除く。)の規定による場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、この法律による改正前の民法の規定によって生じた効力を妨げない。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部改正)
第三十八条 次に掲げる法律の規定中「第十二条第二項、第十四条第一項、第十六条第一項」を「第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項」に改める。
 一 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第五十一条の十一の二
 二 知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)第二十七条の三
 三 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第三十二条

第161回参議院 法務委員会会議録第3号(平成16年11月2日)
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。南野法務大臣
国務大臣(南野知惠子君) まず、民法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 【略】また、明治二十九年に制定された民法のうち、第一編から第三編までの財産法部分は、片仮名、文語体の表記のまま現在に至っており、古めかしい用語や表現も多数残されていることから、分かりやすい現代語に早急に改めるべきであるとの指摘もされております。
 この法律案は、これらの指摘にこたえるため、民法の見直しを行うものであります。
 この法律案の要点を申し上げますと、【略】第二は、民法を現代語化することであります。民法の第一編から第三編までの片仮名、文語体で表記された条文を平仮名、口語体にするとともに、現在では一般に用いられることのない用語を他の適当なものに置き換えております。これらの措置によって、国民生活と密接な関係にある民法を、表現や形式の面でも身近で分かりやすいものに改めることにしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。

第161回参議院 法務委員会会議録第5号(平成16年11月9日)
○委員長(渡辺孝男君) 【略】
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
簗瀬進君 民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対する討論を行います。
 初めに民法改正案でございますが、根保証をする個人保証人を保護するために保証契約を適正化するものであり、民主党が第百五十六回通常国会に提出した中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案の内容と合致する部分があることから賛成いたします。
【略】
井上哲士君 民法改正案は、極度額の決め方のルールがない、保証人からの元本確定請求権、貸手の説明義務がないなど不十分な面はありますが、包括根保証を禁止するなど根保証について全く規制のない現状を前進させるものであり、賛成であります。
 以上です。
○委員長(渡辺孝男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、民法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
千葉景子君 私は、ただいま可決されました民法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党民主党・新緑風会公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 
   民法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
【略】
 
以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(渡辺孝男君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、南野法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。南野法務大臣
国務大臣(南野知惠子君) ただいま可決されました民法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

第161回参議院 本会議会議録第5号(平成16年11月10日)
○議長(扇千景君) 日程第四 民法の一部を改正する法律案
 日程第五 債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長渡辺孝男君。
   〔渡辺孝男君登壇、拍手〕
渡辺孝男君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、民法の一部を改正する法律案は、保証契約の内容の適正化の観点から、個人保証人の保護を図るため、貸金等根保証契約について極度額、元本確定期日等に関する規定を新設することその他の保証債務に関する規定の整備を行うとともに、民法を国民に理解しやすいものとするため、その表記を現代語化するものであります。
 次に、債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案は、法人による動産及び債権の譲渡の円滑化を図るため、法人がする動産の譲渡につき、登記による新たな対抗要件の制度を創設するとともに、法人がする債務者の特定していない将来債権の譲渡等についても登記により対抗要件を備えることができるようにするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、民法の現代語化の検討の経緯及び基本方針、保証制度の見直しが中小企業の資金調達に与える影響、保証契約書の交付の義務付け、事情変更による解約権等の更なる保証人保護の必要性、動産・債権譲渡登記制度の活用の見通し、労働債権の確保のための法整備の必要性等について質疑が行われ、また、参考人から意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会の簗瀬委員、日本共産党の井上委員より、債権譲渡特例法改正案に反対、民法改正案に賛成の意見が、それぞれ述べられました。
 討論を終わり、順次採決の結果、民法の一部を改正する法律案は全会一致をもって、債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案は多数をもって、いずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両法律案に対してそれぞれ附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 まず、民法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成           二百二十九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)

第161回衆議院 法務委員会会議録第8号(平成16年11月16日)
○塩崎委員長 次に、内閣提出、参議院送付、民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。南野法務大臣
○南野国務大臣 まず、民法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
【略】
 また、明治二十九年に制定された民法のうち、第一編から第三編までの財産法部分は、片仮名、文語体の表記のまま現在に至っており、古めかしい用語や表現も多数残されていることから、わかりやすい現代語に早急に改めるべきであるとの指摘もされております。
 この法律案は、これらの指摘にこたえるため、民法の見直しを行うものであります。
 この法律案の要点を申し上げますと、【略】第二に、民法を現代語化することであります。民法の第一編から第三編までの片仮名、文語体で表記された条文を平仮名、口語体にするとともに、現在では一般に用いられることのない用語を他の適当なものに置きかえております。これらの措置によって、国民生活と密接な関係にある民法を、表現や形式の面でも身近でわかりやすいものに改めることにしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
【略】
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

第161回衆議院 法務委員会会議録第10号(平成16年11月19日)
○塩崎委員長 これより採決に入ります。
 まず、内閣提出、参議院送付、民法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○塩崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
○塩崎委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田村憲久君外三名から、自由民主党民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山内おさむ君。
○山内委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
 
  民法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
【略】
 四 民法の現代語化については、日常生活や経済活動などのあらゆる場面と密接に関連するものであることから、早期に、国民全般に浸透するよう、積極的な広報活動を行い、その周知徹底に努めること。
 
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○塩崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○塩崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
【略】
○塩崎委員長 この際、両附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。南野法務大臣
○南野国務大臣 ただいま可決されました民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。

第161回衆議院 本会議会議録第13号(平成16年11月25日)
○議長(河野洋平君) 日程第二、民法の一部を改正する法律案、日程第三、債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長塩崎恭久君。
    〔塩崎恭久君登壇〕
塩崎恭久君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 まず、民法の一部を改正する法律案は、個人の保証人の保護を図るため、根保証契約について極度額や元本確定期日に関する規定を新設するとともに、民法を国民に理解しやすいものとするため、その表記を現代用語化するものであります。
【略】
 両法律案は、いずれも参議院先議に係るもので、十一月十二日本委員会に付託され、十六日南野法務大臣から提案理由の説明を聴取し、十七日質疑に入り、十九日参考人の意見を聴取し、質疑を終局し、債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案について討論を行い、採決の結果、民法の一部を改正する法律案は全会一致をもって、債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案は多数をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、両法律案に対しそれぞれ附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(河野洋平君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

民法の一部を改正する法律(平成16年12月1日法律第147号)【附則第1条、第2条、第38条】
 附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 
(経過措置の原則)
第二条 この法律による改正後の民法(以下「新法」という。)の規定は、次条及び附則第四条(第三項及び第五項を除く。)の規定による場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、この法律による改正前の民法の規定によって生じた効力を妨げない。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部改正)
第三十八条 次に掲げる法律の規定中「第十二条第二項、第十四条第一項、第十六条第一項」を「第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項」に改める。
 一 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第五十一条の十一の二
 二 知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)第二十七条の三
 三 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第三十二条

2.平成16年法律第150号
平成16年法律第150号による精神保健福祉法改正についてみてみます。
IT化に伴う電磁的書面の活用について、精神医療の分野でも、診療録などに対してデジタルデータの利用が認められました。ここでは、法改正の概要をアップしてみます。

民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案【第14条、附則第1条】
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第十四条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 第十九条の六の十第一項中「この条において」を削る。
 第三十八条の六第一項中「、診療録その他の帳簿書類」の下に「(その作成又は保存に代えて電磁的記録の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)」を加える。
 
 附則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十七年四月一日から施行する。

第161回衆議院 内閣委員会会議録第4号(平成16年11月5日)
○棚橋国務大臣 ただいま議題となりました民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案及び民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 初めに、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法に基づき作成されたe―Japan重点計画二〇〇四において、民間における文書、帳票の電子的な保存を原則として容認する統一的な法律の制定を行うものとされたことを受けて立案し、このたび御提案することとしたものであります。その目的は、民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができるようにするための共通する事項を定めることにより、書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて国民の利便性の向上を図るものであります。
【略】
 続きまして、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴い、関係法律の規定の整備を行う必要があることから、書面のみを検査対象としている立入検査規定について電磁的記録も含むようにする規定、電磁的記録による保存に際しての行政庁の承認等特別な手続に係る規定等を整備するものでございます。
 以上が、これら二法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

第161回衆議院 内閣委員会会議録第5号(平成16年11月10日)
○松下委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、内閣提出、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○松下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○松下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
○松下委員長 この際、ただいま議決いたしました両法律案に対し、山本拓君外三名から、自由民主党民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。須藤浩君。
○須藤委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し趣旨の説明といたします。
 
  民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案及び民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、両法律の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 両法律の施行に伴う主務省令等の制定及びその運用に当たっては、国会における議論及び民間事業者等の意見を十分に踏まえるとともに、経済社会情勢等の推移に応じて必要な見直しを行うこと。また、主務省令等の内容について、国民の経済活動等に支障のないよう、十分周知徹底すること。
 二 情報の改ざん、漏えい、不正使用等が行われないよう、民間事業者等に対して、情報通信の技術革新に対応したセキュリティ対策及び個人情報の保護のための適切な措置が講じられるよう必要な助言等を行うこと。
 三 税務関係書類の電子的な保存については、適正公平な課税及び電子化によるコスト削減等の観点を踏まえつつ、適宜その対象範囲の見直しを行うこと。
 四 処方せんの電子的な作成・交付等については、患者等の利便性の向上、技術的実現可能性等を踏まえつつ、その可否について引き続き検討していくこと。
 五 地方公共団体において両法律の趣旨にのっとり適切な措置が講じられるよう、情報提供その他必要な措置を講ずるものとすること。
以上でございます。
 
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○松下委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○松下委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。棚橋国務大臣
○棚橋国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

第161回衆議院 本会議会議録第10号(平成16年11月11日)
○議長(河野洋平君) 日程第三、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案、日程第四、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長松下忠洋君。
    〔松下忠洋君登壇〕
松下忠洋君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 両案は、法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができるようにするための共通する事項を定めることにより、当該方法による情報処理の促進を図るとともに、書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて国民の利便性の向上を図り、あわせて、関連法律の規定の整備等をしようとするものであります。
 両案は、去る十一月四日本委員会に付託され、翌五日棚橋国務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。昨日質疑を行い、採決いたしましたところ、両案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、両案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(河野洋平君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

第161回参議院 内閣委員会会議録第5号(平成16年11月16日)
国務大臣棚橋泰文君) ただいま議題となりました民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案及び民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 初めに、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法に基づき作成されたe―Japan重点計画二〇〇四において、民間における文書・帳票の電子的な保存を原則として容認する統一的な法律の制定を行うものとされたことを受けて立案し、このたび御提案することとしたものであります。その目的は、民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができるようにするための共通する事項を定めることにより、書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて国民の利便性の向上を図るものであります。
【略】
 続きまして、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴い、関係法律の規定の整備を行う必要があることから、書面のみを検査対象としている立入検査規定について電磁的記録も含むようにする規定、電磁的記録による保存に際しての行政庁の承認等特別な手続に係る規定等を整備するものでございます。
 以上が、これら二法律案の提案理由及び内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

第161回参議院 内閣委員会会議録第6号(平成16年11月18日)
○委員長(高嶋良充君) 【略】
 これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより順次採決を行います。
 まず、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、岡崎トミ子さんから発言を求められておりますので、これを許します。岡崎さん。
岡崎トミ子君 私は、ただいま可決されました民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案及び民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案に対し、自由民主党民主党・新緑風会公明党の各派及び各派に属しない議員黒岩宇洋さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 
  民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案及び民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、両法律の施行に当たっては、ITを活用した情報処理の促進及び書面の保存等に係る負担軽減等を通じた国民の利便性の向上を図るという法の目的を十分に踏まえ、次の事項の実現を期すべきである。
 一、主務省令等の制定に当たり、民間保存文書等について、原則としてすべて電子保存を可能にするという法の趣旨に適うように可能な限り対象範囲を拡大するとともに、それらの整合性等を図るために、IT戦略本部及び省庁間において十分な調整を行うこと。また、主務省令等は、両法律の施行の前に公布するよう努めること。
 二、主務省令等の内容について、民間事業者等の経済活動及び国民生活に支障のないよう十分周知徹底するとともに、情報通信技術の発達及び民間事業者等の経済活動等の態様の変化を踏まえ、適時必要な見直しを行うこと。
 三、情報の改ざん、漏えい、不正使用等が行われないように、情報通信技術の発達に対応したセキュリティ対策及び個人情報の保護のための適切な措置が講じられるよう、民間事業者等に対して必要な助言、情報提供その他必要な措置を講ずること。
 四、税務関係書類の電子的な保存については、適正公平な課税の観点を踏まえつつ、対象範囲の拡大に向けて積極的な検討を行うこと。
 五、地方公共団体においても書面の保存等における情報通信技術の利用の促進を図るため、政府は、適切な情報提供その他必要な支援措置を講ずること。
   右決議する。
 
以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(高嶋良充君) ただいま岡崎さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、岡崎さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、棚橋国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。棚橋国務大臣
国務大臣棚橋泰文君) ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成16年12月1日法律第150号)【第14条、附則第1条】
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)
第十四条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 第十九条の六の十第一項中「この条において」を削る。
 第三十八条の六第一項中「、診療録その他の帳簿書類」の下に「(その作成又は保存に代えて電磁的記録の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)」を加える。
 
 附則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十七年四月一日から施行する。