心神喪失者等医療観察法の条文・審議(その1)

心神喪失者等医療観察法についての条文・審議についてみてゆきます。
まずは、法案提出時点での条文をみてみます。

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案(第154回国会平成14年3月18日内閣提出 閣法第79号)
 
目次
 第一章 総則
  第一節 目的及び定義(第一条・第二条)
  第二節 裁判所(第三条―第十五条)
  第三節 指定医療機関(第十六条―第十八条)
  第四節 保護観察所(第十九条―第二十三条
 第二章 審判
  第一節 通則(第二十四条―第三十二条)
  第二節 入院又は通院(第三十三条―第四十八条)
  第三節 退院又は入院継続(第四十九条―第五十三条
  第四節 処遇の終了又は通院期間の延長(第五十四条―第五十八条)
  第五節 再入院等(第五十九条―第六十三条
  第六節 抗告(第六十四条―第七十三条
  第七節 雑則(第七十四条―第八十条)
 第三章 医療
  第一節 医療の実施(第八十一条―第八十五条)
  第二節 精神保健指定医の必置等(第八十六条―第八十八条)
  第三節 指定医療機関の管理者の講ずる措置(第八十九条―第九十一条)
  第四節 入院者に関する措置(第九十二条―第百一条)
  第五節 雑則(第百二条・第百三条)
 第四章 地域社会における処遇
  第一節 処遇の実施計画(第百四条・第百五条)
  第二節 精神保健観察(第百六条・第百七条)
  第三節 連携等(第百八条・第百九条)
  第四節 報告等(第百十条・第百十一条)
  第五節 雑則(第百十二条・第百十三条
 第五章 雑則(第百十四条―第百十六条)
 第六章 罰則(第百十七条―第百二十一条)
 附則
 
 第一章 総則
  第一節 目的及び定義
(目的)
第一条 この法律は、心神喪失等の状態で重大な他害行為(他人に害を及ぼす行為をいう。以下同じ。)を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することを目的とする。
 
(定義)
第二条 この法律において「保護者」とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第二十条第一項又は第二十一条の規定により保護者となる者をいう。
2 この法律において「対象行為」とは、次の各号に掲げるいずれかの行為に当たるものをいう。
 一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八条から第百十条まで又は第百十二条に規定する行為
 二 刑法第百七十六条から第百七十九条までに規定する行為
 三 刑法第百九十九条、第二百二条又は第二百三条に規定する行為
 四 刑法第二百四条に規定する行為
 五 刑法第二百三十六条、第二百三十八条又は第二百四十三条(第二百三十六条又は第二百三十八条に係るものに限る。)に規定する行為
3 この法律において「対象者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
 一 公訴を提起しない処分において、対象行為を行ったこと及び刑法第三十九条第一項に規定する者(以下「心神喪失者」という。)又は同条第二項に規定する者(以下「心神耗弱者」という。)であることが認められた者
 二 対象行為について、刑法第三十九条第一項の規定により無罪の確定裁判を受けた者又は同条第二項の規定により刑を減軽する旨の確定裁判(懲役又は禁 錮の刑を言い渡し執行猶予の言渡しをしない裁判であって、執行すべき刑期があるものを除く。)を受けた者
4 この法律において「指定医療機関」とは、指定入院医療機関及び指定通院医療機関をいう。
5 この法律において「指定入院医療機関」とは、第四十二条第一項第一号又は第六十一条第一項第一号の決定を受けた者の入院による医療を担当させる医療機関として厚生労働大臣が指定した病院(その一部を指定した病院を含む。)をいう。
6 この法律において「指定通院医療機関」とは、第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者の入院によらない医療を担当させる医療機関として厚生労働大臣が指定した病院若しくは診療所(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。第十六条第二項において同じ。)又は薬局をいう。
 
  第二節 裁判所
(管轄)
第三条 処遇事件(第三十三条第一項、第四十九条第一項若しくは第二項、第五十条第一項、第五十四条第一項若しくは第二項、第五十五条第一項又は第五十九条第一項若しくは第二項の規定による申立てに係る事件をいう。以下同じ。)は、対象者の住所、居所若しくは現在地又は行為地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
2 同一の対象者に対する数個の処遇事件が土地管轄を異にする場合において、一個の処遇事件を管轄する地方裁判所は、併せて他の処遇事件についても管轄権を有する。
 
(移送)
第四条 裁判所は、対象者の処遇の適正を期するため必要があると認めるときは、決定をもって、その管轄に属する処遇事件を他の管轄地方裁判所に移送することができる。
2 裁判所は、処遇事件がその管轄に属さないと認めるときは、決定をもって、これを管轄地方裁判所に移送しなければならない。
 
(手続の併合)
第五条 同一の対象者に対する数個の処遇事件は、特に必要がないと認める場合を除き、決定をもって、併合して審判しなければならない。
 
(精神保健審判員)
第六条 精神保健審判員は、次項に規定する名簿に記載された者のうち、最高裁判所規則で定めるところにより地方裁判所が毎年あらかじめ選任したものの中から、処遇事件ごとに地方裁判所が任命する。
2 厚生労働大臣は、精神保健審判員として任命すべき者の選任に資するため、毎年、政令で定めるところにより、この法律に定める精神保健審判員の職務を行うのに必要な学識経験を有する医師(以下「精神保健判定医」という。)の名簿を最高裁判所に送付しなければならない。
3 精神保健審判員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。
 
(欠格事由)
第七条 次の各号のいずれかに掲げる者は、精神保健審判員として任命すべき者に選任することができない。
 一 禁錮以上の刑に処せられた者
 二 前号に該当する者を除くほか、医事に関し罪を犯し刑に処せられた者
 三 公務員で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
 四 次条第二号の規定により精神保健審判員を解任された者
 
(解任)
第八条 地方裁判所は、精神保健審判員が次の各号のいずれかに該当するときは、当該精神保健審判員を解任しなければならない。
 一 前条第一号から第三号までのいずれかに該当するに至ったとき。
 二 職務上の義務違反その他精神保健審判員たるに適しない非行があると認めるとき。
 
(職権の独立)
第九条 精神保健審判員は、独立してその職権を行う。
2 精神保健審判員は、最高裁判所規則で定めるところにより、法令に従い公平誠実にその職務を行うべきことを誓う旨の宣誓をしなければならない。
 (除斥)
第十条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二十条の規定はこの法律の規定により職務を執行する裁判官及び精神保健審判員について、刑事訴訟法第二十六条第一項の規定はこの法律の規定により職務を執行する裁判所書記官について準用する。この場合において、刑事訴訟法第二十条第二号中「被告人」とあるのは「対象者(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第三項に規定する対象者をいう。以下同じ。)」と、同条第三号中「被告人」とあるのは「対象者」と、同条第四号中「事件」とあるのは「処遇事件(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第三条第一項に規定する処遇事件をいう。以下同じ。)」と、同条第五号から第七号までの規定中「事件」とあるのは「処遇事件」と、同条第五号中「被告人の代理人、弁護人又は補佐人」とあるのは「対象者の付添人」と、同条第六号中「検察官又は司法警察員の職務を行つた」とあるのは「審判の申立てをし、又は審判の申立てをした者としての職務を行つた」と、同条第七号中「第二百六十六条第二号の決定、略式命令、前審の裁判」とあるのは「前審の審判」と、「第三百九十八条乃至第四百条、第四百十二条若しくは第四百十三条」とあるのは「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第六十八条第二項若しくは第七十一条第二項」と、「原判決」とあるのは「原決定」と、「裁判の基礎」とあるのは「審判の基礎」と読み替えるものとする。
 
(合議制)
第十一条 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二十六条の規定にかかわらず、地方裁判所は、一人の裁判官及び一人の精神保健審判員の合議体で処遇事件を取り扱う。ただし、この法律で特別の定めをした事項については、この限りでない。
2 第四条第一項若しくは第二項、第五条、第四十条第一項若しくは第二項前段、第四十一条第一項、第四十二条第二項、第五十一条第二項、第五十六条第二項又は第六十一条第二項に規定する裁判は、前項の合議体の構成員である裁判官のみでする。呼出状若しくは同行状を発し、対象者に出頭を命じ、若しくは付添人を付し、同行状の執行を嘱託し、若しくはこれを執行させ、出頭命令を受けた者の護送を嘱託し、又は第二十四条第五項前段の規定により対象者の所在の調査を求める処分についても、同様とする。
3 判事補は、第一項の合議体に加わることができない。
 
(裁判官の権限)
第十二条 前条第一項の合議体がこの法律の定めるところにより職務を行う場合における裁判所法第七十二条第一項及び第二項並びに第七十三条の規定の適用については、その合議体の構成員である裁判官は、裁判長とみなす。
2 前条第一項の合議体による裁判の評議は、裁判官が開き、かつ、整理する。
 
(意見を述べる義務)
十三条 精神保健審判員は、前条第二項の評議において、その意見を述べなければならない。
 
(評決)
第十四条 第十一条第一項の合議体による裁判は、裁判官及び精神保健審判員の意見の一致したところによる。
 
(精神保健参与員)
第十五条 精神保健参与員は、次項に規定する名簿に記載された者のうち、地方裁判所が毎年あらかじめ選任したものの中から、処遇事件ごとに裁判所が指定する。
2 厚生労働大臣は、政令で定めるところにより、毎年、各地方裁判所ごとに、精神保健福祉士その他の精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術を有する者の名簿を作成し、当該地方裁判所に送付しなければならない。
3 精神保健参与員の員数は、各事件について一人以上とする。
4 第六条第三項の規定は、精神保健参与員について準用する。
 
  第三節 指定医療機関
(指定医療機関の指定)
第十六条 指定入院医療機関の指定は、国、都道府県又は特定独立行政法人独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人をいう。)が開設する病院であって厚生労働省令で定める基準に適合するものの全部又は一部について、その開設者の同意を得て、厚生労働大臣が行う。
2 指定通院医療機関の指定は、厚生労働省令で定める基準に適合する病院若しくは診療所又は薬局について、その開設者の同意を得て、厚生労働大臣が行う。
 
(指定の辞退)
第十七条 指定医療機関は、その指定を辞退しようとするときは、辞退の日の一年前までに、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。

(指定の取消し)
第十八条 指定医療機関が、第八十二条第一項若しくは第二項又は第八十六条の規定に違反したときその他第八十一条第一項に規定する医療を行うについて不適当であると認められるに至ったときは、厚生労働大臣は、その指定を取り消すことができる。

 第四節 保護観察所
 (事務)
第十九条 保護観察所は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 第三十八条(第五十三条、第五十八条及び第六十三条において準用する場合を含む。)に規定する生活環境の調査に関すること。
 二 第百一条に規定する生活環境の調整に関すること。
 三 第百六条に規定する精神保健観察の実施に関すること。
 四 第百八条に規定する関係機関相互間の連携の確保に関すること。
 五 その他この法律により保護観察所の所掌に属せしめられた事務
 
(精神保健観察官)
第二十条 保護観察所に、精神保健観察官を置く。
2 精神保健観察官は、精神障害者の保健及び福祉その他のこの法律に基づく対象者の処遇に関する専門的知識に基づき、前条各号に掲げる事務に従事する。
3 前二項に定めるもののほか、精神保健観察官に関し必要な事項は、政令で定める。
 
(管轄)
第二十一条 第十九条各号に掲げる事務は、次の各号に掲げる事務の区分に従い、当該各号に定める保護観察所がつかさどる。
 一 第十九条第一号に掲げる事務 当該処遇事件を管轄する地方裁判所の所在地を管轄する保護観察所
 二 第十九条第二号から第五号までに掲げる事務 当該対象者の居住地(定まった住居を有しないときは、現在地又は最後の居住地若しくは所在地とする。)を管轄する保護観察所
 
(照会)
第二十二条 保護観察所の長は、第十九条各号に掲げる事務を行うため必要があると認めるときは、官公署、医療施設その他の公私の団体に照会して、必要な事項の報告を求めることができる。
 
(資料提供の求め)
第二十三条 保護観察所の長は、第十九条各号に掲げる事務を行うため必要があると認めるときは、その必要な限度において、裁判所に対し、当該対象者の身上に関する事項を記載した書面、第三十七条第一項に規定する鑑定の経過及び結果を記載した書面その他の必要な資料の提供を求めることができる。
 
 第二章 審判
  第一節 通則
(事実の取調べ)
第二十四条 決定又は命令をするについて必要がある場合は、事実の取調べをすることができる。
2 前項の事実の取調べは、合議体の構成員(精神保健審判員を除く。)にこれをさせ、又は地方裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。
3 第一項の事実の取調べのため必要があると認めるときは、証人尋問、鑑定、検証、押収、捜索、通訳及び翻訳を行い、並びに官公署、医療施設その他の公私の団体に対し、必要な事項の報告、資料の提出その他の協力を求めることができる。ただし、差押えについては、あらかじめ所有者、所持者又は保管者に差し押さえるべき物の提出を命じた後でなければ、これをすることができない。
4 刑事訴訟法中裁判所の行う証人尋問、鑑定、検証、押収、捜索、通訳及び翻訳に関する規定は、処遇事件の性質に反しない限り、前項の規定による証人尋問、鑑定、検証、押収、捜索、通訳及び翻訳について準用する。
5 裁判所は、対象者の行方が不明になったときは、所轄の警察署長にその所在の調査を求めることができる。この場合において、警察官は、当該対象者を発見したときは、直ちに、その旨を裁判所に通知しなければならない。
 
(意見の陳述及び資料の提出)
第二十五条 検察官、指定入院医療機関の管理者又は保護観察所の長は、第三十三条第一項、第四十九条第一項若しくは第二項、第五十四条第一項若しくは第二項又は第五十九条第一項若しくは第二項の規定による申立てをした場合は、意見を述べ、及び必要な資料を提出しなければならない。
2 対象者、保護者及び付添人は、意見を述べ、及び資料を提出することができる。
 
(呼出し及び同行)
第二十六条 裁判所は、対象者に対し、呼出状を発することができる。
2 裁判所は、対象者が正当な理由がなく前項の呼出しに応じないときは、当該対象者に対し、同行状を発することができる。
3 裁判所は、対象者が正当な理由がなく第一項の呼出しに応じないおそれがあるとき、定まった住居を有しないとき、又は医療のため緊急を要する状態にあって必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、当該対象者に対し、同行状を発することができる。
 
(同行状の効力)
第二十七条 前条第二項又は第三項の同行状により同行された者については、裁判所に到着した時から二十四時間以内にその身体の拘束を解かなければならない。ただし、当該時間内に、第三十四条第一項前段若しくは第六十条第一項前段の命令又は第三十七条第五項前段、第四十二条第一項第一号、第六十一条第一項第一号若しくは第六十二条第二項前段の決定があったときは、この限りでない。
 
(同行状の執行)
第二十八条 第二十六条第二項又は第三項の同行状は、裁判所書記官が執行する。ただし、裁判所は、必要があると認めるときは、検察官にその執行を嘱託し、又は保護観察所の職員にこれを執行させることができる。
2 検察官が前項の嘱託を受けたときは、その指揮により、検察事務官が同行状を執行する。
3 検察事務官は、必要があるときは、管轄区域外で同行状を執行することができる。
4 同行状を執行するには、これを当該対象者に示した上、できる限り速やかにかつ直接、指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、病院、救護施設、警察署その他の精神障害者を保護するのに適当な場所に、保護することができる。
5 同行状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前項の規定にかかわらず、当該対象者に対し同行状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。ただし、同行状はできる限り速やかに示さなければならない。
6 同行状を執行する場合には、必要な限度において、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることができる。
 
(出頭命令)
第二十九条 裁判所は、第三十四条第一項前段若しくは第六十条第一項前段の命令又は第三十七条第五項前段、第四十二条第一項第一号、第六十一条第一項第一号若しくは第六十二条第二項前段の決定により入院している者に対し、裁判所に出頭することを命ずることができる。
2 裁判所は、前項に規定する者が裁判所に出頭するときは、検察官にその護送を嘱託するものとする。
3 前項の護送をする場合において、護送される者が逃走し、又は自身を傷つけ、若しくは他人に害を及ぼすおそれがあると認めるときは、これを防止するため合理的に必要と判断される限度において、必要な措置を採ることができる。
4 前条第二項及び第三項の規定は、第二項の護送について準用する。
 
(付添人)
第三十条 対象者及び保護者は、弁護士を付添人に選任することができる。
2 裁判所は、特別の事情があるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、付添人の数を制限することができる。
3 裁判所は、対象者に付添人がない場合であって、特に必要があると認めるときは、職権で、弁護士である付添人を付することができる。
4 前項の規定により裁判所が付すべき付添人は、最高裁判所規則で定めるところにより、選任するものとする。
5 前項の規定により選任された付添人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。
 
(審判期日)
第三十一条 審判のため必要があると認めるときは、審判期日を開くことができる。
2 審判期日における審判の指揮は、裁判官が行う。
3 審判期日における審判は、公開しない。
4 裁判所は、検察官、指定医療機関(病院又は診療所に限る。)の管理者又はその指定する医師及び保護観察所の長又はその指定する精神保健観察官に対し、審判期日に出席することを求めることができる。
5 保護者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第二十一条の規定により保護者となる市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)については、その指定する職員を含む。)及び付添人は、審判期日に出席することができる。
6 審判期日には、対象者を呼び出し、又はその出頭を命じなければならない。
7 対象者が審判期日に出席しないときは、審判を行うことができない。ただし、対象者が心身の障害のため、若しくは正当な理由がなく審判期日に出席しない場合、又は許可を受けないで退席し、若しくは秩序維持のために退席を命ぜられた場合において、付添人が出席しているときは、この限りでない。
8 審判期日は、裁判所外においても開くことができる。
 
(記録等の閲覧又は謄写)
第三十二条 処遇事件の記録又は証拠物は、裁判所の許可を受けた場合を除き、閲覧又は謄写をすることができない。
2 前項の規定にかかわらず、検察官、指定入院医療機関の管理者若しくはその指定する医師、保護観察所の長若しくはその指定する精神保健観察官又は付添人は、次条第一項、第四十九条第一項若しくは第二項、第五十条第一項、第五十四条第一項若しくは第二項、第五十五条第一項又は第五十九条第一項若しくは第二項の規定による申立てがあった後当該申立てに対する決定が確定するまでの間、処遇事件の記録又は証拠物を閲覧することができる。
 
  第二節 入院又は通院
(検察官による申立て)
第三十三条 検察官は、被疑者が対象行為を行ったこと及び心神喪失者若しくは心神耗弱者であることを認めて公訴を提起しない処分をしたとき、又は第二条第三項第二号に規定する確定裁判があったときは、当該処分をされ、又は当該確定裁判を受けた対象者について、継続的な医療を行わなくても心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれが明らかにないと認める場合を除き、地方裁判所に対し、第四十二条第一項の決定をすることを申し立てなければならない。ただし、当該対象者について刑事事件若しくは少年の保護事件の処理又は外国人の退去強制に関する法令の規定による手続が行われている場合は、当該手続が終了するまで、申立てをしないことができる。
2 前項本文の規定にかかわらず、検察官は、当該対象者が刑若しくは保護処分の執行のため刑務所、少年刑務所拘置所若しくは少年院に収容されており引き続き収容されることとなるとき、又は新たに収容されるときは、同項の申立てをすることができない。当該対象者が外国人であって出国したときも、同様とする。
3 検察官は、刑法第二百四条に規定する行為を行った対象者については、傷害が軽い場合であって、当該行為の内容、当該対象者による過去の他害行為の有無及び内容並びに当該対象者の現在の病状、性格及び生活環境を考慮し、その必要がないと認めるときは、第一項の申立てをしないことができる。ただし、他の対象行為をも行った者については、この限りでない。
 
(鑑定入院命令)
第三十四条 前条第一項の申立てを受けた地方裁判所の裁判官は、対象者について、継続的な医療を行わなくても心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれが明らかにないと認める場合を除き、鑑定その他医療的観察のため、当該対象者を入院させ第四十条第一項又は第四十二条の決定があるまでの間在院させる旨を命じなければならない。この場合において、裁判官は、呼出し及び同行に関し、裁判所と同一の権限を有する。
2 前項の命令を発するには、裁判官は、当該対象者に対し、あらかじめ、供述を強いられることはないこと及び弁護士である付添人を選任することができることを説明した上、当該対象者が第二条第三項に該当するとされる理由の要旨及び前条第一項の申立てがあったことを告げ、陳述する機会を与えなければならない。ただし、当該対象者の心身の障害により又は正当な理由がなく裁判官の面前に出頭しないため、これらを行うことができないときは、この限りでない。
3 第一項の命令による入院の期間は、当該命令が執行された日から起算して二月を超えることができない。ただし、裁判所は、必要があると認めるときは、通じて一月を超えない範囲で、決定をもって、この期間を延長することができる。
4 裁判官は、検察官に第一項の命令の執行を嘱託するものとする。
5 第二十八条第二項、第三項及び第六項並びに第二十九条第三項の規定は、前項の命令の執行について準用する。
6 第一項の命令は、判事補が一人で発することができる。
 
(必要的付添人)
第三十五条 裁判所は、第三十三条第一項の申立てがあった場合において、対象者に付添人がないときは、付添人を付さなければならない。
 
(精神保健参与員の関与)
第三十六条 裁判所は、処遇の要否及びその内容につき、精神保健参与員の意見を聴くため、これを審判に関与させるものとする。ただし、特に必要がないと認めるときは、この限りでない。
 
(対象者の鑑定)
第三十七条 裁判所は、対象者に関し、精神障害者であるか否か及び継続的な医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれの有無について、精神保健判定医又はこれと同等以上の学識経験を有すると認める医師に鑑定を命じなければならない。ただし、当該おそれが明らかにないと認める場合は、この限りでない。
2 前項の鑑定を行うに当たっては、精神障害の類型、過去の病歴、現在及び対象行為を行った当時の病状、治療状況、病状及び治療状況から予測される将来の症状、対象行為の内容、過去の他害行為の有無及び内容並びに当該対象者の性格を考慮するものとする。
3 第一項の規定により鑑定を命ぜられた医師は、当該鑑定の結果に、当該対象者の病状に基づく入院による医療の必要性に関する意見を付さなければならない。
4 裁判所は、第一項の鑑定を命じた医師に対し、当該鑑定の実施に当たって留意すべき事項を示すことができる。
5 裁判所は、第三十四条第一項前段の命令が発せられていない対象者について第一項の鑑定を命ずる場合において、必要があると認めるときは、決定をもって、鑑定その他医療的観察のため、当該対象者を入院させ第四十条第一項又は第四十二条の決定があるまでの間在院させる旨を命ずることができる。第三十四条第二項から第五項までの規定は、この場合について準用する。
 
保護観察所による生活環境の調査)
第三十八条 裁判所は、保護観察所の長に対し、対象者の生活環境の調査を行い、その結果を報告することを求めることができる。
 
(審判期日の開催)
第三十九条 裁判所は、第三十三条第一項の申立てがあった場合は、審判期日を開かなければならない。ただし、検察官及び付添人に異議がないときは、この限りでない。
2 検察官は、審判期日に出席しなければならない。
3 裁判所は、審判期日において、対象者に対し、供述を強いられることはないことを説明した上、当該対象者が第二条第三項に該当するとされる理由の要旨及び第三十三条第一項の申立てがあったことを告げ、当該対象者及び付添人から、意見を聴かなければならない。ただし、第三十一条第七項ただし書に規定する場合における対象者については、この限りでない。
 
(申立ての却下等)
第四十条 裁判所は、第二条第三項第一号に規定する対象者について第三十三条第一項の申立てがあった場合において、次の各号のいずれかに掲げる事由に該当するときは、決定をもって、申立てを却下しなければならない。
 一 対象行為を行ったと認められない場合
 二 心神喪失者及び心神耗弱者のいずれでもないと認める場合
2 裁判所は、検察官が心神喪失者と認めて公訴を提起しない処分をした対象者について、心神耗弱者と認めた場合には、その旨の決定をしなければならない。この場合において、検察官は、当該決定の告知を受けた日から二週間以内に、裁判所に対し、当該申立てを取り下げるか否かを通知しなければならない。
 
(対象行為の存否についての審理の特則)
第四十一条 裁判所は、第二条第三項第一号に規定する対象者について第三十三条第一項の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、検察官及び付添人の意見を聴いて、前条第一項第一号の事由に該当するか否かについての審理及び裁判を別の合議体による裁判所で行う旨の決定をすることができる。
2 前項の合議体は、裁判所法第二十六条第二項に規定する裁判官の合議体とする。この場合において、当該合議体には、処遇事件の係属する裁判所の合議体の構成員である裁判官が加わることができる。
3 第一項の合議体による裁判所は、対象者の呼出し及び同行並びに対象者に対する出頭命令に関し、処遇事件の係属する裁判所と同一の権限を有する。
4 処遇事件の係属する裁判所は、第一項の合議体による裁判所の審理が行われている間においても、審判を行うことができる。ただし、処遇事件を終局させる決定(次条第二項の決定を除く。)を行うことができない。
5 第一項の合議体による裁判所が同項の審理を行うときは、審判期日を開かなければならない。この場合において、審判期日における審判の指揮は、裁判長が行う。
6 第三十九条第二項及び第三項の規定は、前項の審判期日について準用する。
7 処遇事件の係属する裁判所の合議体の構成員である精神保健審判員は、第五項の審判期日に出席することができる。
8 第一項の合議体による裁判所は、前条第一項第一号に規定する事由に該当する旨の決定又は当該事由に該当しない旨の決定をしなければならない。
9 前項の決定は、処遇事件の係属する裁判所を拘束する。
 
(入院等の決定)
第四十二条 裁判所は、第三十三条第一項の申立てがあった場合は、第三十七条第一項に規定する鑑定を基礎とし、かつ、同条第三項に規定する意見及び対象者の生活環境を考慮し、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める決定をしなければならない。
 一 入院をさせて医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合 医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定
 二 前号の場合を除き、継続的な医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合 入院によらない医療を受けさせる旨の決定
 三 前二号の場合に当たらないとき この法律による医療を行わない旨の決定
2 裁判所は、申立てが不適法であると認める場合は、決定をもって、当該申立てを却下しなければならない。
 
(入院等)
第四十三条 前条第一項第一号の決定を受けた者は、厚生労働大臣が定める指定入院医療機関において、入院による医療を受けなければならない。
2 前条第一項第二号の決定を受けた者は、厚生労働大臣が定める指定通院医療機関による入院によらない医療を受けなければならない。
3 厚生労働大臣は、前条第一項第一号又は第二号の決定があったときは、当該決定を受けた者が入院による医療を受けるべき指定入院医療機関又は入院によらない医療を受けるべき指定通院医療機関(病院又は診療所に限る。次項並びに第五十四条第一項及び第二項、第五十六条、第五十九条、第六十一条並びに第百十条において同じ。)を定め、その名称及び所在地を、当該決定を受けた者及びその保護者並びに当該決定をした地方裁判所の所在地を管轄する保護観察所の長に通知しなければならない。
4 厚生労働大臣は、前項の規定により定めた指定入院医療機関又は指定通院医療機関を変更した場合は、変更後の指定入院医療機関又は指定通院医療機関の名称及び所在地を、当該変更後の指定入院医療機関又は指定通院医療機関において医療を受けるべき者及びその保護者並びに当該医療を受けるべき者の当該変更前の居住地を管轄する保護観察所の長に通知しなければならない。
 
(通院期間)
第四十四条 第四十二条第一項第二号の決定による入院によらない医療を行う期間は、当該決定があった日から起算して三年間とする。ただし、裁判所は、通じて二年を超えない範囲で、当該期間を延長することができる。
 
(決定の執行)
第四十五条 裁判所は、厚生労働省の職員に第四十二条第一項第一号の決定を執行させるものとする。
2 第二十八条第六項及び第二十九条第三項の規定は、前項の決定の執行について準用する。
3 裁判所は、第四十二条第一項第一号の決定を執行するため必要があると認めるときは、対象者に対し、呼出状を発することができる。
4 裁判所は、対象者が正当な理由がなく前項の呼出しに応じないときは、当該対象者に対し、同行状を発することができる。
5 裁判所は、対象者が正当な理由がなく第三項の呼出しに応じないおそれがあるとき、定まった住居を有しないとき、又は医療のため緊急を要する状態にあって必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、当該対象者に対し、同行状を発することができる。
6 第二十八条の規定は、前二項の同行状の執行について準用する。この場合において、同条第一項中「検察官にその執行を嘱託し、又は保護観察所の職員にこれを執行させることができる」とあるのは、「検察官にその執行を嘱託することができる」と読み替えるものとする。
 
(決定の効力)
第四十六条 第四十条第一項の規定により申立てを却下する決定(同項第一号に該当する場合に限る。)又は第四十二条第一項の決定が確定したときは、当該決定に係る対象行為について公訴を提起し、又は当該決定に係る対象行為に関し再び第三十三条第一項の申立てをすることができない。
2 第四十条第一項の規定により申立てを却下する決定(同項第二号に該当する場合に限る。)が確定したときは、当該決定に係る対象行為に関し、再び第三十三条第一項の申立てをすることができない。ただし、当該対象行為について、第二条第三項第二号に規定する裁判が確定するに至った場合は、この限りでない。
 
(被害者等の傍聴)
第四十七条 裁判所(第四十一条第一項の合議体による裁判所を含む。)は、この節に規定する審判について、最高裁判所規則で定めるところにより当該対象行為の被害者等(被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)から申出があるときは、その申出をした者に対し、審判期日において審判を傍聴することを許すことができる。
2 前項の規定により審判を傍聴した者は、正当な理由がないのに当該傍聴により知り得た対象者の氏名その他当該対象者の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、当該傍聴により知り得た事項をみだりに用いて、当該対象者に対する医療の実施若しくはその社会復帰を妨げ、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害する行為をしてはならない。
 
(被害者等に対する通知)
第四十八条 裁判所は、第四十条第一項又は第四十二条の決定をした場合において、最高裁判所規則で定めるところにより当該対象行為の被害者等から申出があるときは、その申出をした者に対し、次に掲げる事項を通知するものとする。ただし、その通知をすることが対象者に対する医療の実施又はその社会復帰を妨げるおそれがあり相当でないと認められるものについては、この限りでない。
 一 対象者の氏名及び住居
 二 決定の年月日、主文及び理由の要旨
2 前項の申出は、同項に規定する決定が確定した後三年を経過したときは、することができない。
3 前条第二項の規定は、第一項の規定により通知を受けた者について準用する。
 
  第三節 退院又は入院継続
(指定入院医療機関の管理者による申立て)
第四十九条 指定入院医療機関の管理者は、当該指定入院医療機関に勤務する精神保健指定医精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第十九条の二第二項の規定によりその職務を停止されている者を除く。第百十七条第二項を除き、以下同じ。)による診察の結果、第四十二条第一項第一号又は第六十一条第一項第一号の決定により入院している者について、第三十七条第二項に規定する事項を考慮し、入院を継続して医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認めることができなくなった場合は、保護観察所の長の意見を付して、直ちに、地方裁判所に対し、退院の許可の申立てをしなければならない。
2 指定入院医療機関の管理者は、当該指定入院医療機関に勤務する精神保健指定医による診察の結果、第四十二条第一項第一号又は第六十一条第一項第一号の決定により入院している者について、第三十七条第二項に規定する事項を考慮し、入院を継続して医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合は、保護観察所の長の意見を付して、第四十二条第一項第一号、第五十一条第一項第一号又は第六十一条第一項第一号の決定(これらが複数あるときは、その最後のもの。次項において同じ。)があった日から起算して六月が経過する日までに、地方裁判所に対し、入院継続の確認の申立てをしなければならない。ただし、その者が指定入院医療機関から無断で退去した日(第百条第一項又は第二項の規定により外出又は外泊している者が同条第一項に規定する医学的管理の下から無断で離れた場合における当該離れた日を含む。)の翌日から連れ戻される日の前日までの間及び刑事事件又は少年の保護事件に関する法令の規定によりその身体を拘束された日の翌日からその拘束を解かれる日の前日までの間並びに第百条第三項後段の規定によりその者に対する医療を行わない間は、当該期間の進行は停止するものとする。
3 指定入院医療機関は、前二項の申立てをした場合は、第四十二条第一項第一号、第五十一条第一項第一号又は第六十一条第一項第一号の決定があった日から起算して六月が経過した後も、前二項の申立てに対する決定があるまでの間、その者の入院を継続してこの法律による医療を行うことができる。
 
(退院の許可等の申立て)
第五十条 第四十二条第一項第一号又は第六十一条第一項第一号の決定により入院している者、その保護者又は付添人は、地方裁判所に対し、退院の許可又はこの法律による医療の終了の申立てをすることができる。
2 前項に規定する者は、第四十二条第一項第一号、第五十一条第一項第一号又は第六十一条第一項第一号の決定(これらが複数あるときは、その最後のもの)があった日から三月が経過する日までは、前項の申立てをすることができない。
 
(退院の許可又は入院継続の確認の決定)
第五十一条 裁判所は、第四十九条第一項若しくは第二項又は前条第一項の申立てがあった場合は、指定入院医療機関の管理者の意見(次条の規定により鑑定を命じた場合は、指定入院医療機関の管理者の意見及び当該鑑定)を基礎とし、かつ、対象者の生活環境(次条の規定により鑑定を命じた場合は、対象者の生活環境及び同条後段において準用する第三十七条第三項に規定する意見)を考慮し、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める決定をしなければならない。
 一 入院を継続させて医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合 退院の許可の申立て若しくはこの法律による医療の終了の申立てを棄却し、又は入院を継続すべきことを確認する旨の決定
 二 前号の場合を除き、継続的な医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合 退院を許可するとともに入院によらない医療を受けさせる旨の決定
 三 前二号の場合に当たらないとき この法律による医療を終了する旨の決定
2 裁判所は、申立てが不適法であると認める場合は、決定をもって、当該申立てを却下しなければならない。
3 第四十三条第二項から第四項までの規定は、第一項第二号の決定を受けた者について準用する。
4 第四十四条の規定は、第一項第二号の決定について準用する。
 
(対象者の鑑定)
第五十二条 裁判所は、この節に規定する審判のため必要があると認めるときは、対象者に関し、精神障害者であるか否か及び継続的な医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれの有無について、精神保健判定医又はこれと同等以上の学識経験を有すると認める医師に鑑定を命ずることができる。第三十七条第二項から第四項までの規定は、この場合について準用する。
 
(準用)
第五十三条 第三十六条及び第三十八条の規定は、この節に規定する審判について準用する。
 
  第四節 処遇の終了又は通院期間の延長
保護観察所の長による申立て)
第五十四条 保護観察所の長は、第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者について、継続的な医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認めることができなくなった場合は、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者と協議の上、直ちに、地方裁判所に対し、この法律による医療の終了の申立てをしなければならない。この場合において、保護観察所の長は、当該指定通院医療機関の管理者の意見を付さなければならない。
2 保護観察所の長は、第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者について、当該決定による入院によらない医療を行う期間を延長して継続的な医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合は、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者と協議の上、当該期間が満了する日までに、地方裁判所に対し、当該期間の延長の申立てをしなければならない。この場合において、保護観察所の長は、当該指定通院医療機関の管理者の意見を付さなければならない。
3 指定通院医療機関及び保護観察所の長は、前二項の申立てがあった場合は、当該決定により入院によらない医療を行う期間が満了した後も、前二項の申立てに対する決定があるまでの間、当該決定を受けた者に対して医療及び精神保健観察を行うことができる。
 
(処遇の終了の申立て)
第五十五条 第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者、その保護者又は付添人は、地方裁判所に対し、この法律による医療の終了の申立てをすることができる。
2 前項に規定する者は、第四十二条第一項第二号、第五十一条第一項第二号、次条第一項第一号又は第六十一条第一項第二号の決定(これらが複数あるときは、その最後のもの)があった日から六月が経過する日までは、前項の申立てをすることができない。
 
(処遇の終了又は通院期間の延長の決定)
第五十六条 裁判所は、第五十四条第一項若しくは第二項又は前条第一項の申立てがあった場合は、指定通院医療機関の管理者の意見(次条の規定により鑑定を命じた場合は、指定通院医療機関の管理者の意見及び当該鑑定)を基礎とし、かつ、対象者の生活環境を考慮し、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める決定をしなければならない。
 一 継続的な医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合 この法律による医療の終了の申立てを棄却し、又は第四十二条第一項第二号若しくは第五十一条第一項第二号の決定による入院によらない医療を行う期間を延長する旨の決定
 二 前号の場合に当たらないとき この法律による医療を終了する旨の決定
2 裁判所は、申立てが不適法であると認める場合は、決定をもって、当該申立てを却下しなければならない。
3 裁判所は、第一項第一号に規定する期間を延長する旨の決定をするときは、延長する期間を定めなければならない。
 
(対象者の鑑定)
第五十七条 裁判所は、この節に規定する審判のため必要があると認めるときは、対象者に関し、精神障害者であるか否か及び継続的な医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれの有無について、精神保健判定医又はこれと同等以上の学識経験を有すると認める医師に鑑定を命ずることができる。第三十七条第二項及び第四項の規定は、この場合について準用する。
 
(準用)
第五十八条 第三十六条及び第三十八条の規定は、この節に規定する審判について準用する。
 
  第五節 再入院等
保護観察所の長による申立て)
第五十九条 保護観察所の長は、第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者について、入院をさせて医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認めるに至った場合は、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者と協議の上、地方裁判所に対し、入院の申立てをしなければならない。この場合において、保護観察所の長は、当該指定通院医療機関の管理者の意見を付さなければならない。
2 第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者が、第四十三条第二項(第五十一条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反し又は第百七条各号に掲げる事項を守らず、そのため継続的な医療を行うことが確保できないと認める場合も、前項と同様とする。ただし、緊急を要するときは、同項の協議を行わず、又は同項の意見を付さないことができる。
3 第五十四条第三項の規定は、前二項の規定による申立てがあった場合について準用する。
 
(鑑定入院命令)
第六十条 前条第一項又は第二項の規定による申立てを受けた地方裁判所の裁判官は、必要があると認めるときは、鑑定その他医療的観察のため、当該対象者を入院させ次条第一項又は第二項の決定があるまでの間在院させる旨を命ずることができる。この場合において、裁判官は、呼出し及び同行に関し、裁判所と同一の権限を有する。
2 前項の命令を発するには、裁判官は、当該対象者に対し、あらかじめ、供述を強いられることはないこと及び弁護士である付添人を選任することができることを説明した上、前条第一項又は第二項の規定による申立ての理由の要旨を告げ、陳述する機会を与えなければならない。ただし、当該対象者の心身の障害により又は正当な理由がなく裁判官の面前に出頭しないため、これらを行うことができないときは、この限りでない。
3 第一項の命令による入院の期間は、当該命令が執行された日から起算して一月を超えることができない。ただし、裁判所は、必要があると認めるときは、通じて一月を超えない範囲で、決定をもって、この期間を延長することができる。
4 第二十八条第六項、第二十九条第三項及び第三十四条第四項の規定は、第一項の命令の執行について準用する。この場合において、第三十四条第四項中「検察官」とあるのは「保護観察所の職員」と、「執行を嘱託するものとする」とあるのは「執行をさせるものとする」と読み替えるものとする。
5 第三十四条第六項の規定は、第一項の命令について準用する。
 
(入院等の決定)
第六十一条 裁判所は、第五十九条第一項又は第二項の規定による申立てがあった場合は、指定通院医療機関の管理者の意見(次条第一項の規定により鑑定を命じた場合は、指定通院医療機関の管理者の意見及び当該鑑定)を基礎とし、かつ、対象者の生活環境(次条第一項の規定により鑑定を命じた場合は、対象者の生活環境及び同条第一項後段において準用する第三十七条第三項に規定する意見)を考慮し、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める決定をしなければならない。
 一 入院をさせて医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合 医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定
 二 前号の場合を除き、継続的な医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合 申立てを棄却する旨の決定
 三 前二号の場合に当たらないとき この法律による医療を終了する旨の決定
2 裁判所は、申立てが不適法であると認める場合は、決定をもって、当該申立てを却下しなければならない。
3 裁判所は、第一項第二号の決定をする場合において、第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定による入院によらない医療を行う期間を延長する必要があると認めるときは、当該期間を延長する旨の決定をすることができる。第五十六条第三項の規定は、この場合について準用する。
4 第四十三条第一項、第三項及び第四項の規定は、第一項第一号の決定を受けた者について準用する。
5 第四十五条第一項から第五項までの規定は、第一項第一号の決定の執行について準用する。
6 第二十八条第一項及び第四項から第六項までの規定は、前項において準用する第四十五条第四項及び第五項に規定する同行状の執行について準用する。この場合において、第二十八条第一項中「検察官にその執行を嘱託し、又は保護観察所の職員にこれを執行させることができる」とあるのは、「保護観察所の職員にこれを執行させることができる」と読み替えるものとする。
 
(対象者の鑑定)
第六十二条 裁判所は、この節に規定する審判のため必要があると認めるときは、対象者に関し、精神障害者であるか否か及び継続的な医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれの有無について、精神保健判定医又はこれと同等以上の学識経験を有すると認める医師に鑑定を命ずることができる。第三十七条第二項から第四項までの規定は、この場合について準用する。
2 裁判所は、第六十条第一項前段の命令が発せられていない対象者について前項の鑑定を命ずる場合において、必要があると認めるときは、決定をもって、鑑定その他医療的観察のため、当該対象者を入院させ前条第一項又は第二項の決定があるまでの間在院させる旨を命ずることができる。第六十条第二項から第四項までの規定は、この場合について準用する。
 
(準用)
第六十三条 第三十六条及び第三十八条の規定は、この節に規定する審判について準用する。
 
  第六節 抗告
(抗告)
第六十四条 検察官は第四十条第一項又は第四十二条の決定に対し、指定入院医療機関の管理者は第五十一条第一項又は第二項の決定に対し、保護観察所の長は第五十六条第一項若しくは第二項又は第六十一条第一項から第三項までの決定に対し、それぞれ、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とする場合に限り、二週間以内に、抗告をすることができる。
2 対象者、保護者又は付添人は、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とする場合に限り、第四十二条第一項、第五十一条第一項若しくは第二項、第五十六条第一項若しくは第二項又は第六十一条第一項若しくは第三項の決定に対し、二週間以内に、抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。
3 第四十一条第一項の合議体による裁判所の裁判は、当該裁判所の同条第八項の決定に基づく第四十条第一項又は第四十二条第一項の決定に対する抗告があったときは、抗告裁判所の判断を受ける。
 
(抗告の取下げ)
第六十五条 抗告は、抗告審の終局決定があるまで、取り下げることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、取り下げることができない。
 
(抗告裁判所の調査の範囲)
第六十六条 抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれている事項に限り、調査をするものとする。
2 抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれていない事項であっても、抗告の理由となる事由に関しては、職権で調査をすることができる。
 
(必要的付添人)
第六十七条 抗告裁判所は、第四十二条の決定に対して抗告があった場合において、対象者に付添人がないときは、付添人を付さなければならない。ただし、当該抗告が第六十四条第一項又は第二項に規定する期間の経過後にあったものであることが明らかなときは、この限りでない。
 
(抗告審の裁判)
第六十八条 抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定をもって、抗告を棄却しなければならない。
2 抗告が理由のあるときは、決定をもって、原決定を取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の地方裁判所に移送しなければならない。ただし、第四十条第一項各号のいずれかに掲げる事由に該当するときは、原決定を取り消して、更に決定をすることができる。
 
(執行の停止)
第六十九条 抗告は、執行を停止する効力を有しない。ただし、原裁判所又は抗告裁判所は、決定をもって、執行を停止することができる。
 
(再抗告)
第七十条 検察官、指定入院医療機関の管理者若しくは保護観察所の長又は対象者、保護者若しくは付添人は、憲法に違反し、若しくは憲法の解釈に誤りがあること、又は最高裁判所若しくは上訴裁判所である高等裁判所判例と相反する判断をしたことを理由とする場合に限り、抗告裁判所のした第六十八条の決定に対し、二週間以内に、最高裁判所に特に抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。
2 第六十五条から第六十七条まで及び前条の規定は、前項の抗告に関する手続について準用する。
 
(再抗告審の裁判)
第七十一条 前条第一項の抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定をもって、抗告を棄却しなければならない。
2 前条第一項の抗告が理由のあるときは、決定をもって、原決定を取り消さなければならない。この場合には、地方裁判所の決定を取り消して、事件を地方裁判所に差し戻し、又は他の地方裁判所に移送することができる。
 
(裁判官の処分に対する不服申立て
第七十二条 裁判官が第三十四条第一項前段又は第六十条第一項前段の命令をした場合において、不服がある対象者、保護者又は付添人は、当該裁判官が所属する地方裁判所に当該命令の取消しを請求することができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、この請求をすることができない。
2 前項の請求は、対象者が対象行為を行わなかったこと、心神喪失者及び心神耗弱者のいずれでもないこと又は継続的な医療を行わなくても心神喪失若しくは心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがないことを理由としてすることができない。
3 第一項の規定による不服申立てに関する手続については、刑事訴訟法第四百二十九条第一項に規定する裁判官の裁判の取消し又は変更の請求に係る手続の例による。
 
(裁判所の処分に対する異議)
第七十三条 対象者、保護者又は付添人は、第三十四条第三項ただし書、第三十七条第五項前段、第六十条第三項ただし書又は第六十二条第二項前段の決定に対し、処遇事件の係属する地方裁判所に異議の申立てをすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、この申立てをすることができない。
2 前条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。
 
  第七節 雑則
(申立ての取下げ)
第七十四条 第五十条第一項、第五十五条第一項並びに第五十九条第一項及び第二項の規定による申立ては、第一審の終局決定があるまで、取り下げることができる。
2 検察官は、第三十三条第一項の申立てをした後において、当該対象行為について公訴を提起したとき、又は当該対象者に対して当該対象行為以外の行為について有罪の裁判(懲役又は禁錮の刑を言い渡し執行猶予の言渡しをしない裁判であって、執行すべき刑期があるものに限る。)が確定し、その裁判において言い渡された刑の執行をしようとするときは、当該申立てを取り下げなければならない。
 
(警察官の援助等)
第七十五条 第二十六条第二項若しくは第三項若しくは第四十五条第四項若しくは第五項(第六十一条第五項において準用する場合を含む。)の同行状、第三十四条第一項前段若しくは第六十条第一項前段の命令又は第三十七条第五項前段、第四十二条第一項第一号、第六十一条第一項第一号若しくは第六十二条第二項前段の決定を執行する場合において、必要があるときは、裁判所又は当該執行を嘱託された者は、警察官の援助又は医師その他の医療関係者の協力を求めることができる。第二十九条第二項の嘱託を受けた検察官も、同様とする。
2 警察官は、第二十四条第五項前段の規定により所在の調査を求められた対象者を発見した場合において、当該対象者に対して同行状が発せられているときは、同行状が執行されるまでの間、二十四時間を限り、当該対象者を警察署、病院、救護施設その他の精神障害者を保護するのに適当な場所に保護することができる。
 
(競合する処分の調整)
第七十六条 裁判所は、第四十二条第一項第一号若しくは第二号、第五十一条第一項第二号又は第六十一条第一項第一号の決定を受けた者について、当該対象行為以外の行為について有罪の裁判(懲役又は禁錮の刑を言い渡し執行猶予の言渡しをしない裁判であって、執行すべき刑期があるものに限る。)が確定し、その裁判において言い渡された刑の執行が開始された場合であって相当と認めるときその他のこの法律による医療を行う必要がないと認めるに至ったときは、指定入院医療機関の管理者又は保護観察所の長の申立てにより、この法律による医療を終了する旨の決定をすることができる。
2 裁判所は、対象者について、二以上の第四十二条第一項第一号若しくは第二号、第五十一条第一項第二号又は第六十一条第一項第一号の決定があった場合において、相当と認めるときは、指定入院医療機関の管理者又は保護観察所の長の申立てにより、決定をもって、これらの決定のうちのいずれかを取り消すことができる。
 
(証人等の費用)
第七十七条 証人、鑑定人、翻訳人及び通訳人に支給する旅費、日当、宿泊料その他の費用の額については、刑事訴訟費用に関する法令の規定を準用する。
2 参考人は、旅費、日当及び宿泊料を請求することができる。
3 参考人に支給する費用は、これを証人に支給する費用とみなして、第一項の規定を適用する。
4 第三十条第五項の規定により付添人に支給すべき旅費、日当、宿泊料及び報酬の額については、刑事訴訟法第三十八条第二項の規定により弁護人に支給すべき旅費、日当、宿泊料及び報酬の例による。
 
(費用の徴収)
第七十八条 裁判所は、対象者又は保護者から、証人、鑑定人、翻訳人、通訳人、参考人及び第三十条第四項の規定により選任された付添人に支給した旅費、日当、宿泊料その他の費用の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の費用の徴収については、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第二百八条の規定を準用する。
 
(精神保健判定医以外の医師に鑑定を命じた場合の通知)
第七十九条 地方裁判所は、第三十七条第一項、第五十二条、第五十七条又は第六十二条第一項に規定する鑑定を精神保健判定医以外の医師に命じたときは、その旨を厚生労働大臣に通知するものとする。
 
最高裁判所規則
第八十条 この章に定めるもののほか、審判について必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
【次回へつづく】