心神喪失者等医療観察法の条文・審議(その54)

前回(id:kokekokko:20060228)のつづき。
法務委員会での質疑です。質疑内容はいままで繰り返されてきたものとそれほど変わりありません。
【江田委員質疑】

第156回参議院 法務委員会会議録第14号(平成15年5月27日)
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案、裁判所法の一部を改正する法律案、検察庁法の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に総務省自治行政局選挙部長高部正男君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省保護局長津田賛平君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長上田茂君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(魚住裕一郎君) 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案、裁判所法の一部を改正する法律案、検察庁法の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
江田五月君 前回、日精協政治連盟の政治献金リストの関係について審議が、ほぼ一時間弱ですか、中断をして、そして私は八分間質疑時間を残して質問を終えました。その問題に直ちに入ってもいいんですが、のっけから中断なんというのもどうも穏当でもないので、それはちょっと後に置いて、本来の質問に入っていきたいと思います。
 まず、御承知のとおり、政府案、もちろん修正で参議院に来ているわけですが、この政府案の方は対象行為に限定をして対象者について特別の手続を定めている。しかし、今、日本の精神医療あるいは精神障害者が犯罪行為に該当するそういう行為を犯した場合の措置、ここで問題なのは、その皆さんに対して特別の審判手続と特別の処遇手続、処遇の制度ができていないということよりも、精神保健福祉法の措置が適正に運営できていないんじゃないか、あるいは刑事手続の、今の刑事手続の運営というものが適正に行われていないのではないか、そこにあるのではないかということで、私どもは、今議題として委員長から読み上げられましたそういう法案を提出をし、さらに精神医療全体の改革を提案をしているわけですね。
 そこで、総論的な質問なんですが、なぜ一体、対象行為というもの、これを特に取り上げて、これに限定をして特別の手続を取られたのかと。根本問題なんですが、ここをちょっと簡単に御説明いただけませんかね。
 恐らく、説明として二つのものがあるんですね。一つは、そういうものを社会が求めていると。法益侵害というのが現に起こっている、しかしこれに対してその法益侵害が回復される措置、それは、その行為を犯した者に何らかのサンクションを与えることによってとか、いろんな方法があるんでしょうが、そういう社会の侵害された法益を回復させるという、そのために必要なのか。それとも、対象者が負っているいわゆる二重のハンディキャップ、これがあるから特にその部分だけに着目をして特別の制度を作るというのか、あるいはその両方なのか。二つに一つか、両方か、あるいはどちらも違うのか。これは、大臣、お答えいただけますか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者は、精神障害を有していることに加えて重大な他害行為を犯したという言わば二重のハンディキャップを背負っている者でございまして、このような者が有する精神障害は一般的に手厚い専門的な医療の必要性が高いと考えられ、また、仮にそのような精神障害が改善されないまま再びそのために同様の行為が行われることとなれば本人の社会復帰の大きな障害となることからも、やはりこのような医療を確保することが必要不可欠であると考えられます。
 そこで、このような者につきましては、国の責任において手厚い専門的な医療を統一的に行い、また退院後の継続的な医療を確保するための仕組みを整備すること等により、その円滑な社会復帰を促進することが特に必要と考えられますことから、このような者を本法案における対象者とすることとしたものでございます。
江田五月君 御丁寧な御説明だったわけですが、要は、先ほど私が挙げた二つのどちらかということになると後者、つまり対象者の医療上の必要と二重のハンディがあって、その一つのハンディはこれは普通の医療ですが、それだけでは足りなくて、もう一つの重大な対象行為、対象行為は重大なものを取り上げているわけですが、対象行為を行ったことによって負担している対象者の医療上の必要、これに尽きると、そういうお答えでいいんですか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 御指摘のとおりでございます。
江田五月君 じゃ、もうそこに絞ってということで考えていくと、これがいろいろと問題を惹起するわけです。その対象者だけにそういうハンディがあるのか、あるいは対象者というものを区切ってみると、みんな対象者にそういうハンディがおおむねすべてに認められるということになるのか、その辺りを議論したいところなんですが、これはちょっと今日の導入として聞いておいて、次に、私どもはそこのところに根本的な批判を持っております。
 次に、審判手続の話に入ってまいります。
 本法案の審判手続において憲法三十一条の法定の手続の保障、これは確保されるのかどうかということですが、五月の八日の本委員会では、刑事手続とは違うが憲法三十一条の趣旨に反するものではないと、この法案によって用意されている手続は憲法三十一条の趣旨に反するものではないという、こういう答弁でした。私も、別に刑事手続と同じにすべきだと言っているのではありませんが、本手続にも憲法三十一条の適用はあるのですかということを聞いたんですが、これはどうお答えになりますか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 憲法第三十一条の定めますいわゆる適正手続の保障は、直接には刑事手続に関するものでございますが、その他の手続でありましても、当該手続が刑事責任の追及を目的とするものではないとの理由のみで当然にその保障の枠外にあるわけではないと考えられます。
 本制度によります処遇は、必要な医療を確保するためとはいえ対象者の人身の自由に対する制約や干渉を伴うものでありますことから、そのような処遇の要否、内容を決定する本制度の審判手続につきましても、その意味で憲法第三十一条による保障が及ぶものと考えられます。
 そこで、本制度におきましては、最初の処遇の要否、内容を決定するための審判については弁護士である付添人を必ず付することとしました上で、審判期日において、あらかじめ対象者及び付添人に対し告知、聴聞の機会を与えなければならないこととし、また対象者、保護者及び付添人に対し審判において意見を述べ、資料を提出する権利を認めますとともに、決定に不服がある場合には抗告する権利を認め、さらに入院の決定を受けた者につきましては、その後も原則として六か月ごとに裁判所が入院継続の必要性の有無を確認するとともに、入院患者の側にも裁判所に対する退院許可等の申立て権を与えるなど、対象者の適正な利益を保護するため様々な権利を保障しているところでございます。
江田五月君 三十一条に沿う形でどのような手続的な保障が用意されているかというところまでは実は聞いていなかったんですが、できるだけひとつ、御無理かもしれませんが、質問に沿った形での答弁に限定をしていただきたいとお願いをいたします。
 三十一条というのは、読み上げるまでもないんですが、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」という規定で、法律で定めれば何でもよろしいというように読んだらいけないんで、法律に定める手続というのは、やはりこういう国会という立法機関、これは国民を代表するもの、そこで法律を決めるわけですから、それは中身も当然にきっちりしたものになっていかなきゃならないと。つまり、適正な手続でなきゃいけないと。それから、後の方に書いてあるのは、「その他の刑罰」と書いてあるけれども、刑罰だけではなくて、国民がいろんな不利益を課せられるというときにはと、そういうことでかなり包括的な規定だというのが、これが一般的な理解。
 そこで、今、憲法三十一条の保障は及ぶと、こういう言葉を使われましたよね。私は適用はあるんですかと聞いたんですが、適用という言葉をどうも何か一生懸命避けられるので、しかしこれは同じことだと。
 保障は及ぶということをちょっと聞いてみましょうか。保障は及ぶということと適用はあるということと、これは同じ言葉だと思いますが、どうですか。答えにくいですか。ちょっと試しに答えてみてください。
○政府参考人(樋渡利秋君) 今、私が説明申し上げましたのは、実は最高裁判例に沿いまして申し上げたことでございまして、平成四年七月一日の、いや、最高裁じゃないか、これは。その趣旨は、憲法三十一条の定める法手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみでそのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではないという判例を引用して御説明申し上げた次第でございます。
江田五月君 刑事手続ではないからということで当然に枠外にあるというものではないと。つまり、枠外にあるものではないんだから、どっちでもないというんじゃなくてやっぱり枠内にあると。しかし、刑事手続ではないんだから、それは刑事手続に予定される様々な保障がそのまま実現しなきゃいかぬというものではないけれども、その精神というのは当然及んでおるという意味で、元々憲法三十一条はそんなに細かく一々弁護人選任権とか証拠書類の閲覧権とかいろいろ書いてあるわけじゃないんで、むしろ精神論を書いてあるわけですから、当然にこれはその保障は及ぶ、言い換えれば適用はあるということだと思いますが。
 これは、例えば傷害罪を例に取ると、刑事責任能力がある者が傷害を犯した場合は、自由の拘束期間は当初から一定期間に限定されている、刑法上も十年と限定されているわけで、罰金の場合もあるわけですが、それが訴訟手続によって一定の宣告刑に限定される。これに対して、刑事責任能力に問題がある対象者が傷害を犯した場合は、期間が不確定で、場合によっては無期限に強制的な入院、通院が継続されるということになる。
 本法案の対象者の自由の剥奪、制約の程度から考えると、これは私は少年審判の場合以上の適正手続の保障がなきゃならぬと思いますが、少年審判とこれと比べて、難しいですが、適正手続の保障の程度、どちらが重いと思われますかね。これは感覚の問題なんですが、法務大臣、どうでしょう。少年審判手続とこの審判手続と、適正手続の保障という点ではどちらの方がより重い、重くなきゃならぬと。感覚的にお答えください。
国務大臣森山眞弓君) 感覚的に申し上げますと、ほとんど同じだと思います。
江田五月君 少年手続の場合も刑事処分じゃないんで、これは保護処分ですから、国が言わば後見的にその少年のためにいろんな手続をする。その場合でもいろんな手続的な保障が与えられている、少年にも与えられている、保護者にもあるいは付添人にもと。この場合もそういう意味では同じ構造ですので、やはり国が後見的に親切に面倒を見るんだからそこはもう国に任せてそんな手続の保障などややこしいことを言うなというわけにいかないんで、これはそういうものじゃないんですね。きちんと手続の保障をしなきゃいけない。
 さてそこで、具体的に聞きたいんですが、法案の三十条に付添人の制度がございます。そして、三十二条には記録の閲覧、謄写ということがあります。一項で、「処遇事件の記録又は証拠物は、裁判所の許可を受けた場合」云々と。当然これは付添人にコピーを認めるべきだと思いますが、いかがですか、刑事局長。
○政府参考人(樋渡利秋君) 付添人によります処遇事件の記録等の閲覧、謄写につきましては、記録等の中に対象者の精神の状態等、その人格の根幹に深くかかわる事実が数多く含まれておりますことから、その開示には慎重な取扱いが必要でございますが、本制度における付添人の役割等にかんがみ、一般人による場合とは異なり、付添人には自由に閲覧することができることといたしております。
 また、謄写につきましても、裁判所の許可を受けてすることができることとしておりますが、本制度における付添人の役割や付添人となれる者が弁護士に限られていること等から、対象者の適正な利益を保護するために必要があると認められる限り広く謄写が許可されることとなると考えられます。
 このように、本制度におきまして、処遇事件の記録等の閲覧、謄写に関しましても、対象者の適正な権利や利益の保護に欠けるところはないと考えております。
江田五月君 閲覧の場合は付添人は自由である、謄写の場合も、裁判所の裁量ではあるが付添人の役割にかんがみ制限することにはならないと思われると。私もそう思います。そうでなきゃならぬと思いますが、その点は確認をしておきます。
 次に、抗告ですが、付添人には特別な場合に限り、しかも選任者である保護者の意思に反しない限り抗告できることになっていますが、これはなぜ一体こういう限定を付けたんですかね。
○政府参考人(樋渡利秋君) まず、保護者に選任された付添人の抗告権は、その選任に基づく包括代理権によるものである以上、自らを選任した保護者の明示した意思に反してまでは抗告することができないものとしたものでございまして、これは少年法でも同じでございます。
江田五月君 保護者に選任された付添人のことだけですかね。これは何条でしたかね、何条でしたかね。
○政府参考人(樋渡利秋君) 六十四条の第二項でございまして、そのただし書で、付添人は選任者である保護者の明示した意思に反して抗告することができないとされております。
江田五月君 保護者がいる場合であっても、それでは、保護者によって選任されたのでない付添人は保護者の明示した意思に反しても抗告できる、これはこの規定の反対解釈から当然ですね。
○政府参考人(樋渡利秋君) 御指摘のとおりと考えております。
江田五月君 私は、これは保護者が必ずしも対象者の保護、監督あるいは医療の提供などに適切なことができるとは限らないと思うんですよね。むしろ、いろんな事案の実態を見ると、保護者のその他家族が被害者になっているという場合も多くあるわけでして、対象者の唯一の味方が実は付添人であったというようなこともある。だから、その付添人の権限というのはなるべく広く認めていかないといけないんじゃないか。
 選任者が保護者の場合で、保護者はもう厄介払いできたなんというようなことが表れているようなときには、やっぱり裁判所は公権的権限からいろんな役割を期待されているんではないかと思いますけれども、この抗告は、法の規定ぶりは別として、やはり最大限、付添人には抗告の権限を与えるべきだと。できれば、どういう選任の経過であっても付添人には独立した抗告権を与えるべきだと思いますが、法務大臣に聞くと、どうですかね。これはもうややこしいことは言いませんから、もう率直な直観として、常識人としての直観としてどう思われますか、今の私の質問。
○政府参考人(樋渡利秋君) 保護者に選任される方がこの対象者、この場合でいいます対象者のためを考えてくれる人が選ばれるというふうに思っておりまして、そういうような保護者の意思というのはやはり尊重されるべきじゃないかというふうに考えている次第であります。
江田五月君 ここは議論きっちり、もっと議論を深めたいところですが、次へ行きましょうか。
 法務大臣、私の言いたいことはお分かりですよね。本当に状況によっては、この対象者を、唯一対象者の立場に立って物を考えるのは付添人しかいないというようなことは起こり得る話だと思いますよ。是非そこは御理解をいただきたい。法の規定は、保護者、それは保護者を無視してというわけにいかないけれども、運用はいろんな方法があるだろうと思います。
 ちなみに、ここで一つ。この制度だと、この審判で入院命令を受ける、あるいは通院命令を受ける者、これはいわゆる権力的な命令が下されるのはこれが最初で、そして抗告ということになる。抗告の理由はかなり制約をされておる。しかし、この制度ではない場合には精神保健福祉法措置入院ということになって、これについては行政訴訟、取消し訴訟ということになる。取消し訴訟の理由は、それはそれなりに理由はなきゃなりませんが、この抗告の理由と取消し訴訟の理由と、これはどういう範囲で重なって、どういう範囲で重ならないのか、どっちが広いのか狭いのか、どうお答えになりますか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 本制度におきまして抗告の理由を、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当とした理由は、地方裁判所におきましては、職業裁判官と医師である精神保健審判員により構成される合議体がそれぞれ専門的知見を十分に活用するとともに、相互に十分に協議することにより、それぞれの専門的な学識経験が決定に十分に反映される仕組みとしておりますことから、このような専門機関としての地方裁判所の合議体の判断を可能な限り尊重することが適当であると考えられるためでございます。
 また、手続の厳格性を形式的に要求し、決定に影響を及ぼさない法令の違反や軽微な事実の誤認等を争うようにすることは、裁判所が適切な処遇を迅速に決定し、医療が必要と判断される者に対してはできる限り速やかに本制度による手厚い専門的な医療を行うことが重要であることにかんがみますと、必ずしも適当ではないと考えられるからでございます。
 この制度における抗告理由は少年審判手続と同様でございます。
江田五月君 私は、措置入院のときのこの抗告訴訟の理由とこの手続による抗告の理由と、そのどこまで同じでどこまで違うか、異同について聞いたんですが、今は、この抗告理由をこういう要件で絞っている、その説明だけだったんですが、いかがですか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 本制度は、純粋な行政機関である都道府県知事による決定と異なりまして、裁判所において職業裁判官も加わった合議体が処遇の要否、内容を決定することとしているものでございまして、その判断主体が異なるとともに、本制度の審判手続と行政事件訴訟の手続とは異なること等から両者を一概に比較して論ずることはできないと考えられまして、先ほどのようなお答えをしたわけでございます。
江田五月君 両者を一概に比較できない、まあ一概に比較はできないかもしれませんが、そういうお答えによって受けるニュアンスといいますかね、措置入院の場合は、かなり抗告訴訟の理由として広い理由を裁判所によって審査を受けられる、しかしこの制度による審判の場合には、これは今の専門性とか迅速性とかということで一定の要件に限られると。これはやはり均衡を失するんではないかという気が、そういう批判があっても当然だと思いますね。
 弁護士との面会の制限はないというのは、これは原則だと、これはそういう理解でいいんですかね。
○政府参考人(樋渡利秋君) 本制度は、刑罰に代わる制裁を科すことを目的とするものではなく、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対しまして継続的かつ適切な医療等を行うことにより、その者の社会復帰を促進するための制度でございますから、刑事手続と異なり、そもそも鑑定入院中の対象者と付添人の面会を制限する規定は設けられておらず、そのため、刑事手続上の権利である接見交通権というものも規定しておりません。
 なお、鑑定入院先の病院の施設管理上の理由や対象者の病状等により、対象者と付添人との面会が事実上制限される場合もあり得ないわけではございませんが、病院等におきましても、本制度における付添人の役割等に照らし、付添人との面会は最大限尊重されるものと思います。これは入院先の病院も同じでございます。
江田五月君 九十二条二項、社会保障審議会の意見を聞いて厚生労働大臣が定める弁護士との面会の制限、これは具体的にはどんな場合なのか、厚生労働省、説明をしてください。
 今、刑事局長の説明ですと、鑑定入院中の対象者とも弁護士は自由に面会できる、まあ自由というのは一定の制限はもちろんあるでしょうけれども、ということだと理解をしましたが、厚生労働省の方もその点についての御確認をお願いします。
○政府参考人(上田茂君) 指定入院医療機関におきましては、入院の決定を受けた者に医療を行うために、その医療又は保護に欠くことのできない限度において行動について必要な制限を行うことができるとされております。
 しかしながら、人権上の配慮から、どのような場合でも制限してはならない行動としまして、信書の発受、弁護士及び行政機関の職員との面会を定める必要があると考えており、またこれら以外の行動の制限につきましても、社会保障審議会の意見も聞いた上で厚生労働大臣が定めることとしたものでございます。
江田五月君 具体的にどんな場合かと聞いたんですが、まだこれから検討されるんでしょうかね。
 九一年の国連の精神障害者の保護及びメンタルヘルスケア改善のための原則、これによりますと、強制入院は、自己又は他人の即時の又は差し迫った危害のおそれが強い場合とか、精神疾患重篤であって判断能力が障害されている者について、入院させなければその状態に重篤な悪化を引き起こす見込みがあり、入院による以外に適切な治療を行えない場合と限定されているということです。これはこの国連の原則には適合していると、法務省はそうお考えですか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 御指摘のいわゆる精神病者の保護及び精神保健ケアの改善のための原則におきましては、一つは、今、委員御指摘のように、非自発的に精神保健施設に入院させられるのは、権限ある精神保健従事者が当該患者が精神障害者であると判断した場合であり、かつ自己又は他人への危害のおそれが強い場合であるが、入院をさせなければその者の状態に重篤な悪化を引き起こす見込みがある場合とに限られること。二番目が、入院等の判断を行う審査機関は国内法によって設置された司法的又は独立かつ公正な機関であって、一人以上の資格を持つ精神医療従事者の意見を求め、その助言を考慮すること。三つ目が、患者は自らを代理する弁護士を選任する権利を有すること等々、定めているものと承知しております。
 これらの点につきまして、本制度におきましては、入通院の決定は専門的な学識経験を有する精神保健判定医の中から任命される精神保健審判員をも構成員とする裁判所の合議体により、その構成員とは別の精神科医の鑑定を基礎として行われることとしていること、精神障害を有する者のすべてが本制度による処遇の対象となるのではなく、その精神障害の改善に伴って同様の行為を行うことなく社会に復帰できるよう配慮する必要があると認められる者だけが対象となること、対象者は常に弁護士である付添人を選任する権利を有しており、仮に最初の処遇の要否、内容を決定するための審判に付添人がないときは必ず対象者に弁護士である付添人を付することとした上、対象者、保護者及び付添人に対し審判における意見陳述権、資料提出権、決定に対する抗告権等を認め、入院の決定を受けた後におきましても入院患者側に退院許可等の申立て権を認めるなど、対象者の適正な利益を保護するため様々な権利を保障していること等から、本制度は御指摘の原則に照らしても特に問題はないと考えております。
江田五月君 答弁される側にも答弁する権利はあるでしょうから最大限尊重しますけれども、まだ冒頭申し上げた問題に入っていないんで、なるべくひとつよろしく時間の方も考えてください。
 三十四条の鑑定入院、これ、いろいろ聞きたいところあるんですが、鑑定入院をする病院なんですが、当然これは、ここでも治療が行われなきゃならないと思いますよね。とすれば、やはりかなりの水準の病院でなきゃならぬ。本来なら指定入院医療機関にすべきだと思いますが、少なくとも大学附属病院とか、内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻科を有する百床以上の病院で、医師十六対一、看護職員三対一などなどの水準を満たす、そういう病院で鑑定入院をすべきだと思いますが、これは厚生労働省ですかね、いかがですか。
○政府参考人(上田茂君) 鑑定入院先の医療機関につきましては、国立あるいは都道府県立の精神病院、また精神保健福祉法に基づく指定病院でありまして、急性期やあるいは重症患者の治療等について十分な経験を有する医療機関が望ましいというふうに考えております。
 今後、このような医療機関の御協力が得られるように努力してまいりたいと考えております。
江田五月君 もう一つ、先日、私に厚生労働省の方が説明してくれたんですが、通院の場合、厚生労働大臣が指定通院医療機関の中から対象者の通院先を定める。対象者本人、あるいは保護者、あるいは付添人、これがそういう措置に先立って自分で、あるいはそれまでずっと通院をしていた医療機関もあるでしょう、あるいは新たな紹介を受けてここがいいと、自分に合っているということもあるでしょう。そういう対象者側で通院医療機関を選定をして、そこといろんな関係を結んでいく、診療契約を結んでおるという場合が一番だろうと思いますがね。そういうときには、そういう通院体制というもの、これは通院命令による通院先を決める場合にはどういうふうに考慮されるんですか。
○政府参考人(上田茂君) 通院決定を受けた対象者は厚生労働大臣が定める指定通院医療機関に通院すべき義務を負うことになるために、他の医療機関への通院をもって本制度の指定通院医療機関への通院とみなすことはできないところでございます。しかしながら、本制度による通院医療につきましては、それぞれの対象者にとって社会復帰を図るにふさわしい居住地あるいは環境において医療が行われることが適当であるというふうに考えられますことから、指定通院医療機関につきましてはそういう、そういった居住地からの通院が可能となるよう、民間の診療所等も含めて幅広く確保することを考えております。
 また、個々の対象者が通院すべき指定通院医療機関を選定するに当たりましては、保護観察所の長が行う生活環境の調整結果のほか、本人の意向ですとかあるいは生活環境、家族関係等も考慮しつつ、最もふさわしい施設を決定することとしております。
江田五月君 それは踏み込み足りないんですよね、その説明ではね。それは、保護観察所があって社会復帰調整官がいろいろやられる。だけれども、基本はやっぱりその対象者本人であり、家族であり、あるいは地域のケアのシステムであり、こういう皆さんが元気になっていく、やる気になっていくということが基本でしょう。そういう中で一定の通院機関があって、そこでいろんな医療上の措置がちゃんと取られるような体制ができているときに、いやいや、それは指定通院医療機関でなきゃならないから、そして保護観察所、社会復帰調整官がやることだからというようなことでやっちゃまずいんじゃないですか。そこは、そうした患者サイドの自発的ないろんな努力というのは最大限大切にされる、尊重されるという、そういうことは言えないんですかね。
○政府参考人(上田茂君) ただいま、先ほども申し上げましたが、本人あるいは家族の希望も踏まえるような、そういう確保するということは非常に大事だというふうに思っております。
 それで、先ほども私、申し上げましたように、指定通院医療機関につきましては、居住地からの通院が可能となるよう、民間の診療所も含めて幅広く、今、議員御指摘のようなそういうような体制へ持っていくと、体制を進めていくということで、できるだけ本人や家族の希望も踏まえるような体制を考えていきたいというふうに考えております。
江田五月君 その費用はどうするのかということも聞きたいところですが、ちょっと時間の方が気になっておりますので、次へ行きます。
 昨年の十二月十一日、参議院の本会議で私は代表質問をしました。坂口厚生労働大臣が、厚生労働大臣を本部長とする対策本部を設置して直ちに推進方策を検討していくと答弁されて、そして十二月十七日に対策本部が発足して、十五日、この、今月の十五日に中間報告が発表された。この関係のこと、施策の重点は偏見除去のための普及啓発とか、それから病床数の減少を促すとか、地域生活の支援と、そして社会的入院七万二千人の対策ということを挙げておられます。
 これについて、私は、中間目標の設定、五年後にここまで持っていくんだという、そういう目標を設定しておやりになるというような説明も聞いておりまして、これは是非やっていただきたいと思いますし、その辺りについての考え方も聞きたいんですが。
 これも、まだ審議時間ありますよね。大丈夫ですよね、委員長。──いや、今日じゃない、今日じゃない。
 次の機会に、次の機会に譲ります。
 さて、そこで五月十五日の質疑で留保しました木村副大臣への質問に移りますが、その前に、昨日の連合審査で小池委員の質問にあった件、これを事実確認をしておきたいと思います。
 昨年の十二月に、厚生労働省は、精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査、これを社団法人日本精神科病院協会に委託をした。委託の費用は、昨日の説明とちょっと違っていたんですかね、事実は、まあ、ちっちゃな違いですが、八千六百九十二万八千円だった。同様の調査を全国自治体病院協議会、国立病院・療養所精神神経科医師協議会、精神医学講座担当者会議、全国精神障害者社会復帰施設協会にも行うが、これらの委託費はゼロ。日精協はざっと九千万。そのほかの団体にもいろいろ行うが、こちらの委託費はゼロ。この調査は、元々、日精協ではなくて全家連、財団法人全国精神障害者家族会連絡会に委託する予定だったが、昨年十一月、補助金流用問題が起きて、急遽、十二月に日精協に委託ということになった。
 この調査は、精神保健福祉対策本部の中間報告の中の七万二千人対策のところに、「現在実施中の精神障害者ニーズ調査の結果及び今後の退院の状況を踏まえて必要に応じ見直しも検討する。」と書いてあるとおり、七万二千人対策に密接な関連がある。これらの事実は、これは間違いありませんね。間違いあるかないかだけ答えてください。
○政府参考人(上田茂君) 委員御指摘のとおりでございます。
江田五月君 七万二千人という数字に反対している日精協だけに九千万円近い委託費を出す。全く納得できない話で、しかもその日精協政治連盟、これは例えば二〇〇〇年の総選挙の年には何千万円かの陣中見舞いを出したりもしているわけですね。なかなかのもんだと思いますが。
 この昨年十二月の急遽の委託決定は厚生労働大臣副大臣の決裁は必要ないと、これも納得できない。この決定、日精協への決定、委託の決定、これはだれがしたんですか。
○政府参考人(上田茂君) この決定につきましては、厚生労働省所管会計事務取扱規程がございまして、この規程の中で……
江田五月君 だれ、だれ。
○政府参考人(上田茂君) はい、障害保健福祉部長が所掌事務を行うということになっておりまして、部長名での契約でございます。
江田五月君 これだけいろいろ問題になっていて、しかもいろんな、全家連に最初、委託を考えて、それを途中で変えるとか、いろいろある問題を部長の決裁だけでというのも、この辺りも更にこれから追及をしていかなきゃならぬと思いますが。
 さて、五月十五日、本委員会での私の質問に関して、日精協政治連盟の昨年の献金リスト、この委員会への提出、これは理事会で協議して、そして理事会の協議に基づいて委員長が木村副大臣に御協力いただけますかと伺った。これに対して木村副大臣は、努力をすると、こう言っていただいたんですが、どのような努力をされました。そして、どのような結果でしたか。
副大臣木村義雄君) おはようございます。
 江田先生の御質問にお答え申し上げます。
 御指摘の件につきましては、委員長からの御要請を踏まえ、私の方から、早速、日精協政治連盟に対しまして、平成十四年における政治献金のリストの提出のお願いの手紙を出したところでございます。
 それに対しまして、先方、すなわち日精協政治連盟でございますが、日精協政治連盟の方から、私自身に対します政治献金につきましては、私本人の要請でございますということでお知らせをいただきました。内容といたしましては、今まで答弁の金額のとおりでございました。
 一方、その他の議員の方々につきましては、その日精協の方から、御本人からの要請がなく、公表いたしかねますという御返事でございました。
 前々から私も御答弁をさせていただきましているとおり、日精協政治連盟につきましては、厚生労働省といたしまして監督・調査権限が及ぶものでないことでございますので、これ以上のことは大変難しいということでございまして、何とぞ御理解を賜りますよう、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
江田五月君 御理解できないんですね。
 日本精神病院科協会、社団法人、これは厚生労働省が監督をしている公益法人ですから。そして、この委員会に厚生労働省の一番幹部職員として、職員といいますか幹部として、国民の前に正に説明するために厚生労働省を代表して来ておられるのが木村副大臣ですから。
 そこで、その厚生労働省の監督権限として、私は、日精協そして日精協のその言わば関連のいろんな団体の献金リストを求めたわけで、木村副大臣が個人で手紙を出して、個人で、いや、あなたのお答えですから、これだけは答えますがとかいうやり取りありましたというのでは、これは委員長、当然、委員長も御理解いただいてああいう御発言いただいたんだと思いますが、委員長が、御協力いただけますか、努力しますという答えをいただいた、このやり取りの趣旨とも大いに反するわけで、この答弁だけでいいかということは、これは私は納得できないんで、更に委員長に、厚生労働省に対して、日精協及びその関連の団体の政治献金リストを出すように、この委員会に、強く求めていただきたいと思いますが、これは後刻、理事会で協議していただけますか。
○委員長(魚住裕一郎君) 後刻、協議いたします。
江田五月君 次、総務省、お見えですね。日精協政治連盟の昨年、平成十四年分の政治資金収支報告書、これ、総務省に提出されておると思います。九月初旬の公表に向けて、形式審査を行っておられるところだと思います。したがって、まだ公表はされていないと、これは分かっております。
 公表前ではありますが、これを当委員会に提出していただけますか。
○政府参考人(高部正男君) 委員御指摘ございましたように、政治資金規正法によりまして、総務省に形式的な審査権が認められておりますので、現在、十四年度分の、十四年分の……
江田五月君 それは分かっています。
○政府参考人(高部正男君) はい。
 ということでございまして、従前からこのような記載内容の訂正が行われる場合等もございますし、仮に審査中の収支報告を公にした場合には、国民に的確な情報が提供されずに公表業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあること等々の理由から、形式審査中の収支報告書の内容等については従前からお答えを差し控えさせていただいているところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
江田五月君 委員長、これ、お願いしたいんですが、日精協政治連盟が昨年、特に昨年の秋、どのような政治献金を行ったかということは、この法案の帰趨にこれは随分かかわることなんですね。
 そこで、確かに九月になったら公表される資料ですが、既にもう出されている、形式審査をやっている最中。昨日やり取りをしましたら、それは委員会の御命令ですと、これはそういう形式審査の最中であるということで提出するかどうかをちゃんと判断しなきゃいけないと、こういうことだったんですが、私は、これはやっぱりここをきっちり見なければこの法案の審査をどこまでやっていいか分からないということになると思うんですね。いろんな問題点が起きてくるので、九月に公表されるから、それまでこの参議院での審議は待ちますかと。それも一つの手ですけれども、ここで委員会として、今の総務省に対して政治資金収支報告書を提出していただきたいと、こうお願いをいたしますが、委員長にこれはお取り計らいをお願いします。
○委員長(魚住裕一郎君) これも後刻、理事会で協議いたします。
江田五月君 私は、その協議の結果、その資料を提出していただけないと、それを見なければ質問できないことが一杯あるので、あとまだ三分ほどありますが、その質問は資料が出てから後に留保したいと思いますが。
 最後に、木村副大臣、もう一つ。
 副大臣就任後、現在まで政治資金パーティー、いつどこで何回開かれたか。そして、日精協関係の皆さんにどういうパーティー券を購入してもらったか。それは幾らか。さらに、私たちの調査では、あなたの政治資金を取り扱う政治団体は、自由民主党香川県第二選挙区支部、それから資金管理団体である国際政経研究会、そのほかに、木村義雄後援会、木星会、香志会、香洋会、香雄会、合計七つあると思います。そして、これは平成十四年分の政治資金収支報告書は当然あなたの管理の下にあると思いますが、これを当委員会に出していただけますか。
副大臣木村義雄君) 先生の御質問は、それは今年になってからの話でございますか。
江田五月君 今年になってのパーティーの回数と、どこからどこ、どういうパーティー券の販売があったかと、それから、今言ったいろんな団体の去年分の政治資金収支報告書
副大臣木村義雄君) 今年になってからのパーティーでございますけれども、私どもの地元の香川県で一月に開催をいたしたところでございます。また、東京におきましては、もう一度、東京におきましてパーティーを開いたところでございます。
 それから、日精協で東京で、いや、また香川で日精協でパーティー券を買ってもらったかということでございますけれども、いずれのパーティーにおきましても日精協から公表基準を上回るパーティー券は購入してもらっているところではございません。
 それからでございますけれども、政治資金の公表をせよということでございますけれども、これは、今、自治省の選挙部長が御答弁をさせていただきましたように、九月に公表されることになっているわけでございますので、それは私どもといたしましても適正に処理をさせていただいて、それは九月に公表されるというようなことになるんではないかなと、このように思えてならない次第でございまして、そのように思えてならない次第でございますが。
○委員長(魚住裕一郎君) 江田君、時間ですが。
江田五月君 時間が来ました。
 ただいま木村副大臣にお願いをした各種の政治資金収支報告書、これも当委員会として、それぞれ提出先に対して当委員会に提出するよう求めていただきたいと思います。これは理事会で協議をいただきたいと思います。
○委員長(魚住裕一郎君) 協議いたします。

【井上委員質疑】

第156回参議院 法務委員会会議録第14号(同)
井上哲士君 日本共産党井上哲士です。
 まず、昨日の連合審査でも問題になりました二十二日付けの毎日新聞の報道に関連してお聞きをいたします。
 この報道では、本法案の対象となる六つの重大事件に関して、二〇〇一年度の警察官通報三百七件のうち、措置入院が二百八十件だと、その大半が検察に送致されていないとしております。本法案の審議の土台にかかわる問題でありまして、昨日の連合審査では、警察、厚生労働大臣、調査をすると明言をされました。私からも強く求めておきます。
 その上で聞くんですが、精神障害を持った当事者の方が重大な他害行為を行って警察官通報で措置入院をされていると。その場合、報道ではこの法案の対象外というふうになっているわけですが、こういう措置入院、警察官通報で措置入院になっている人に対して、この法案はどのように適用をされていくんでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 本制度は、対象者につきましては、特に国の責任において手厚い専門的な医療を行う必要があると考えられること等から、裁判所の決定により精神保健福祉法による一般の精神医療に優先して本制度による処遇を行うこととしたものでございまして、警察官による二十四条通報が出された者につきましても、検察官が事件送致を受け、心神喪失等の状態で対象行為を行ったと認めて不起訴処分とした場合、又は対象行為について心神喪失等を理由に無罪等の裁判が確定した場合は検察官により申立てがされ、本制度による処遇の要否、内容が裁判所によって決定されることになります。また、現に措置入院がなされている者の場合も、検察官による申立てが出されれば第三十四条に基づく鑑定入院命令により鑑定入院に付されることとなります。
井上哲士君 そうしますと、措置入院をされている、言わば治療を受けている人が途中から鑑定入院に変わるわけですね、医療機関が変わるという場合もあるでしょうが。言わば、治療の対象であった人が鑑定の対象になっていく、この経過で医療の中断であるとか医療の後退であるとか、こういうことが大変心配をされるんですが、その点はどうでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 鑑定入院をされる場合にも、どの先に鑑定入院させるかというようなことは法の規定する範囲内で裁判所が判断することだろうと思いますので、いろいろなことがしんしゃくされるものと思います。
井上哲士君 少なくとも、措置入院中に行われていたような医療が中断をしたり、その水準から下がる、鑑定入院に回ることによって、それは絶対にないということは断言できますか。
○政府参考人(樋渡利秋君) そういうような、何といいますか、対象者の今後の治療に甚大な影響を及ぼすようなことはされないだろうというふうに思います。
井上哲士君 されないだろうということでは困ると思うんですね。その治療が現実に措置入院でされていて、鑑定入院に回ったら医療の水準が下がるということになりますと、正にこの当事者は大変な不利益を被ることには結果としてなるわけですね。こういうことが絶対ないような仕組みにするべきだと思うんですが、厚生労働省、どうでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) ただいま議員お話ございました鑑定入院の期間中にも、鑑定その他医療的観察という鑑定入院の目的を踏まえつつ、病状の悪化を防ぐための投薬ですとか、治療の効用を確かめるための精神療法等を行うなどの必要な医療を行うということになるわけでございます。
 ただいま先生が、それぞれの施設における医療が断絶といいますか、そういった御指摘がございましたが、こういった点については、医療機関を移動する際、その関係医療機関の間で連携が、十分確保し、適切に情報の伝達を行うことによりまして継続的な治療、継続的な必要な医療が確保できるということが、確保されるというふうに考えております。
井上哲士君 今、悪化をしないための治療という答弁だったわけですね。しかし、措置入院のときには症状を良くするための治療がされているわけですよ。鑑定入院に回ったら、少なくとも悪化を抑える程度の治療と。治療の水準がやっぱり下がるんじゃないですか。
○政府参考人(上田茂君) ですから、悪化を防ぐ、症状の悪化を防ぐという、そういう投薬、治療を行うわけでございます。したがいまして、当然、患者の生命ですとか、そういった病状の悪化、その維持するという、そういう視点での必要な医療は行われるわけでございます。
井上哲士君 全然答弁になっていないですよね。
 やっぱり、何度お聞きしても、措置入院からこの鑑定入院に回ることによって、それまでは病状を良くするための治療が行われていたのが、少なくとも悪化を抑えるための治療にとどまってしまうと、こういうことしか幾らお聞きしても聞くことができないんですね。やっぱり、この二つの制度をきちっとした、このことをせずにやってきていることにおけるやっぱり大きな矛盾だと思うんですね。これは絶対にそういうことが起きないということを改めて強く求めておきたいと思います。
 その上で、簡易鑑定の問題についてお聞きをいたします。
 医療と司法がそれぞれの役割を果たして連携をすることが必要であります。責任能力がある人にはしっかり司法を提供する、そして治療を必要な人には迅速的確な医療を施していく、その分かれ目になるのがこの起訴前鑑定なわけですが、起訴前鑑定で責任能力なしとされた場合に起訴となる割合というのはどうなっているでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) お尋ねは、起訴前の簡易鑑定における鑑定医の診断結果と検察官による事件処理の関連を問われるものでありますところ、そのような観点からの統計的な把握はしていないため、お答えいたしかねることをまず御理解いただきたいと思うのでありますが。
 一般論として申し上げますと、検察官は、事件処理に当たり、被疑者に責任能力があるか否かを判断することになり、その判断のために必要があると考えられる場合は精神医学者等の専門家の意見を徴し、これを参考に判断することになるが、最終的には、有罪判決を確定する見込みがあるかという観点から所要の捜査を遂げ、他の関係証拠をも十分に考慮した上で、この点について判断した上、被疑者に責任能力がないと判断した場合には心神喪失による不起訴処分をし、被疑者に責任能力があると判断した場合には、限定責任能力の場合も含め、犯罪の軽重や情状等、諸般の事情に照らして適切な処分を行うものと承知しておりまして、委員の御質問に理屈の面で答えればあり得るということでございますけれども、これ、実務的な感覚から申し上げますと、そういう場合はほとんどあり得ない。といいますのは、やはり精神科医責任能力がないというふうに傾くような鑑定結果を出しております場合に検察官があえてこれを起訴をしようとすれば、恐らく本鑑定をした上で結論を出すだろうというふうに考えるからであります。
井上哲士君 ほとんど起訴はないという答弁でありました。
 ある全国データを見ましても、責任能力なしとされた者のうち九八・一%が公判請求に至らなかったというデータがあります。ですから、この鑑定結果は起訴か不起訴かという非常に大きな分かれ道になるわけですね。にもかかわらず、様々な問題が指摘をされてまいりました。起訴便宜主義の下で、起訴したら一〇〇%有罪にしなくちゃならないということが優先されてきたんじゃないか、裁判で責任能力が問われて無罪になるのを恐れて、検察の意向に近い鑑定医に依頼をして安易に不起訴にしてきたんではないかとか、さらに、いったん起訴をすればもう絶対にこの責任能力なしを認めない、こういうダブルスタンダードがあったんではないかとか、また医療の側からは、本来、司法に回るべき人が医療に回されてきているという批判もありますし、精神障害の当事者の皆さんからは、裁判を受ける権利が奪われていると、こういう声もありました。
 昨日も連合審査で、「厚生科学研究の責任能力鑑定における精神医学的評価に関する研究」が紹介をされておりましたが、この中でも、簡易鑑定の実施状況には鑑定の精度や人権擁護の観点から無視できない地域差、病院差、個人差があることが判明をした、こういう指摘もされております。
 こういう簡易鑑定の現状についてどのようにお考えか、まずお聞かせください。
○政府参考人(樋渡利秋君) 精神鑑定、特に簡易鑑定につきましては様々な御意見や御批判があることは承知しておりまして、それにかんがみますと、鑑定事例の集積と分析、司法精神医学に関する理解の徹底、鑑定人への情報提供の在り方等につき検討すべき点はあると考えておりまして、今後このような点について理解を深め、一層適正な精神鑑定の運用を図るとの観点から、専門家の意見等をも踏まえつつ、一つには、捜査段階において精神鑑定が行われた事例を集積し、精神科医等も加えた研究会等においてこれを活用すること、二つには、検察官に対し、いわゆる司法精神医学に関する研修を充実させること、三つには、鑑定人に被疑者に関する正確かつ必要十分な資料が提供されるような運用を検討すること等の方策を講ずることを検討したいと考えているところでございます。
井上哲士君 批判があることは承知しているという答弁はされるんですが、現状が問題あるということは一貫して認めになりません。
 そこで、お配りをしている資料を見ながら質問をいたしますが、法務省に出していただいた資料ですが、平成十二年度の地検別の簡易鑑定の実施状況でありますが、まずどういう場合に検察官が鑑定に回しているのか。この資料の(A)が検察庁で受理をした人数全体、(B)がそのうち簡易診断に回された数でありますが、全体の平均は三十八万三千四百二十一に対して二千四十二でありますから、〇・五三%です。しかし、例えば最高の那覇地検は三千四百二十六に対して六十四、一・八七%。最低の福島地検は六千百四十五人に対して四で、〇・〇七%。実に二十倍以上の開きがあります。
 どういう場合に鑑定に回すかというのが非常にばらばらなのではないか、何らかのガイドラインを作るべきだという指摘がありますけれども、その点どうでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) お尋ねは、精神科医による精神鑑定の具体的手法にもかかわりますところ、精神鑑定は個々の精神科医がその専門的知見に基づき行うものでありますことから、その性質上、これを嘱託する立場にある検察当局において簡易鑑定の実施方法を一律に決め得るものではないと考えております。
 もっとも、検察官においても鑑定医に対する資料提供等を行う上で鑑定が適正になされるように配慮をすべきことは当然であり、お尋ねの点につきましては、今後とも精神科医を加えた研究会等での御議論も踏まえ、簡易鑑定の更に適正な実施を図る上でどのような方策が有益かについて検討してまいりたいと考えております。
井上哲士君 それは、簡易鑑定を受けた人のうち、この精神障害者と鑑定している率が非常にばらついているというお話の答弁だと思うんですね。
 今、私が聞きましたのは、そうではなくて、どういう場合に鑑定に回すかという点、検察の側の基準がばらばらではないかということなんです。もう一回、答弁お願いします。
○政府参考人(樋渡利秋君) 質問の意味を取り違えたようでございまして、失礼いたしました。
 検察官は、各事件について所要の捜査を行った上、犯行に至る経緯、動機や犯行態様、犯行後の状況、被疑者の病歴等の諸般の事情に照らし、責任能力の有無を判定するために専門家による精神状態の診断を得る必要があると判断する場合に精神鑑定を嘱託するものと承知しておりまして、その場合、簡易鑑定を行うか、本鑑定を行って鑑定留置により詳細な検査を行うかにつきましては、事案の内容や被疑者の状況等に応じ判断しているところでございまして、このような判断は正に個々の事案における検察官の事実認定にかかわる問題でありますから、ガイドライン化になじみにくいことを御理解いただきたいと思うのであります。
 もっとも、検察官におきましては、専門家に十分な資料提供等を行った上、その意見を十分に踏まえた上で適切に処分を決するべきは当然でございまして、このような観点から、今後、検察官に対するいわゆる司法精神医学に関する研修を充実させることを検討するほか、精神科医を加えた研究会等の議論を踏まえ、鑑定の更に適正な実施を図る上でどのような方策が有益かについて検討してまいりたいと考えております。
井上哲士君 それぞれの検察官の判断ということでありますが、それにしても、最高一・八七、最低で〇・〇七、この二十倍の開きというのは余りにも大きいと思うんですね。
 今、答弁がありましたけれども、こうやってかなりばらばらの基準で検察から鑑定に回って、そのうち精神障害者と鑑定されている率というのは、全国平均でいいますと七二・六%ですけれども、この資料でいいますと、(C)ですね、精神障害と診断された人の数、大体八割を超える地検は十六、五割未満が十一、こういう非常にばらつきがあります。なぜこういうことになるんだろうかと。私は、やはり体制の問題が一つ大きいと思うんですね。
 資料の一番右側になりますけれども、鑑定医が一人当たりでどれだけ担当しているか、これは非常に極端な開きがあります。全国平均では鑑定医一人当たりの年間診断者数が四・九人ということになっておりますが、見ていただきますと、大阪は一人で百二十八・五人、神戸は百六・〇、京都は三人で百五件を診て一人頭三十五・〇になっていますが、実際はほとんどを一人がやっておりまして、大体ここも百件ぐらいを年間やっているというふうにお聞きをいたしました。
 一人で年間百件以上も鑑定をする、こういう状況が適切だとお考えでしょうか。どうでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 地域により鑑定医数や鑑定医一人当たりの鑑定件数に差異が見られることは承知しておりますが、これは簡易鑑定を適時に依頼することができるよう、各庁の事件数や依頼可能な医師数等の実情に応じて、一部の庁においては例えば精神診断室を設けて特定の医師に定期的に依頼をするなど、各庁において工夫を行っている結果、比較的少数の医師に集中的に簡易鑑定を依頼している庁とそうでない庁が存在していると考えられます。
 このように、委員御指摘の地域差等について、鑑定制度の在り方との観点や人権擁護の観点から問題があるとは一概には言えないものと考えますが、各検察庁においては鑑定医の確保について今後とも努力していくものと承知しており、また法務当局におきましても、委員御指摘の点を含め、様々な御批判や御意見を踏まえつつ、さらにこれらの点について検討を進めてまいりたいと考えております。
井上哲士君 地域の実情と言われましたけれども、大阪、京都、神戸なんというのは精神科医はたくさんいらっしゃるんです。ですから、やはりきちっとした組織化をしてこなかった。
 この中には、十数年間にわたって一人で全部鑑定をしてきた方という方もいらっしゃるんですね。毎週、決まった曜日を鑑定に空けてくださっているということで、敬遠をする医師が多い中では大変貴重な方だと思います。その方に問題があると私は言うつもりはありません。しかし、幾ら優秀な鑑定医であっても、特定の人だけがずっと十数年間もやっていると、最新の医学的知見を生かしているのかどうか、鑑定書の内容が本当に適切なのかどうか、専門家同士での検証もないということになりますとやはり判断基準が偏るおそれがあります。
 私も、関西のある公立病院の院長さんにこの間お会いする機会がありましたけれども、とても心神喪失とは思えないような患者が責任能力なしと鑑定をされて措置入院している例が百件に数件の割合であると、こういうふうに言われておりました。先ほど紹介した厚生科学研究の中でも、少数の鑑定医が多数の鑑定を実施する寡占型の地域で判定基準の偏りが懸念をされたと、こうしております。
 やはり、一人で百件以上持つというのはかなり問題が私はあると思うんですけれども、改めて答弁をお願いします。
○政府参考人(樋渡利秋君) 委員御指摘の懸念はよく理解できるところでありますが、そこで先ほど申し上げましたように、各庁の実情に応じて現在やっておりますことはこれまた事実でございまして、委員も御指摘のように、その医師に必ずしも問題があるというわけではないわけでございます。しかしながら、委員の御指摘をも踏まえまして、さらにこれらの点について当局としましても検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
井上哲士君 先ほど紹介した研究では、多数の鑑定医が鑑定業務を分担する分散型の地域では判定基準の不統一が懸念をされたと、こういう指摘もあります。そういう中で、例えば千葉では、三十人ほどの精神科医のグループが交代で簡易鑑定を行って、年に一度、検察官との協議会も開いているとお聞きをいたしました。その結果、起訴率が一〇%上がったという報告がされております。起訴率が上がればいいということを言うつもりはありませんけれども、やはり集団的にやって、検証もしたことによって鑑定の精度が高まったというふうに思われるんですね。
 少なくとも、こういうふうに集団的に研修をする場を作る、そして集団的な鑑定医の体制を作る、これはやはり地検ごとに努力をすべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 御指摘のように、千葉地方検察庁におきましては、千葉県精神医療審査会が推薦する精神科医を県内五ブロックに分け、これらの医師に順番に依頼するという方法により精神科医責任能力鑑定を行っているものと承知しております。
 このような方法は、必要な鑑定医の確保のための一つの手段であると考えられまして、何度も繰り返すようでございますが、各検察庁におきましては、各庁の事件数や医師数などの実情に応じ鑑定医の確保について今後とも努力していくものと承知しており、また法務当局におきましても、御指摘の点を含め、様々な御意見を踏まえつつ、更に検討を進めてまいりたいと考えております。
井上哲士君 措置入院の場合は二人の医者の診断ということを必要としているわけですから、私は、この起訴、不起訴にかかわる大きな問題ということでいいますと、集団化をしつつ、かつ複数の鑑定ということも必要ではないかと、このことも提起をいたします。
 その上で、その鑑定の中身、特に鑑定書の問題です。
 関西のある地検で行われている簡易鑑定の診断書を私、名前を伏せて見せていただきました。非常に簡単なんですね。驚きました。例えば、現在症についてはわずか七行書いてあるだけで、診断は、精神分裂症の急性の発病が最も疑わしい、いずれにしろ法家の言う心神喪失に該当すると言うべきである、したがって法律による処遇よりも医療による保護が適切であろうと。現在症が、この上で、その決め手になる犯行時の精神状態がどうだったのか。これは、犯行時の精神状態は現在と同様であると一行書いてあるだけなんですね。なぜそういう判断をしたのか、こういう説明はもう全くありません。一行だけ。
 こういう、この程度の鑑定書で事実上の起訴、不起訴が決まる、これではちょっといい加減過ぎるんじゃないかという、私も率直に思いましたし、多くの批判があります。一方、一件につき三十枚から五十枚ぐらいの鑑定書を書く方もいらっしゃいます。
 可能な限り、そういうことも必要でありましょうけれども、迅速さとか医師の確保ということを考えますと、様々な判定基準のばらつきをなくす、しかし最低限の中身は保証していくという点でいいますと、最低限の項目などを示した統一的な書式などを示して鑑定内容の水準を担保すべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 先ほども少しお答えいたしましたが、精神鑑定は個々の精神科医がその専門的知見に基づいて行うものでありますから、その性質上、簡易鑑定の実施法を一律に決め得るものではないというふうに考えております。
 もっとも、検察官におきましても、鑑定医に対する資料提供等を行う上で鑑定が適正になされるように配慮することは当然でございますから、お尋ねの点につきましては、御議論も踏まえまして、簡易鑑定の更に適正な実施を図る上でどのような方策が有益かについて今後とも検討してまいりたいと考えております。
井上哲士君 最高裁の事務総局の家庭局が出している「新しい成年後見制度における鑑定書作成の手引」というのを私、先日いただきました。
 この中では、この成年後見制度の精神鑑定に当たりまして、必要かつ十分と考えられる記載の一般的な基準を示すことにより、簡にして要を得た鑑定書の作成に役立てることを目指したということで、鑑定書の書式、そしてそのガイドラインが、ちゃんと最高裁は出しているんです。そして、これはあくまでもその例であって、事案に即した適切な鑑定書が作成されることが望ましいと、こうなっているわけですから、なぜこの民事鑑定でできて刑事ではできないのか、こういうものぐらいは提示すべきじゃないでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 要は、この精神鑑定によりましてその責任能力の有無について検察官が判断した上で刑事上の処理をするわけでございまして、慎重に検察官は独任制の官庁として執務をこなしていく上で、そのお医者さんの個々の鑑定を重要視しているというところがございます。
 したがいまして、そのサンプルを作るということをこれは決して否定するわけではございませんけれども、今後検討してまいりたいとは思いますが、そのことによってのみ適正な鑑定ができるというものではなく、あくまでも精神科医の方のその鑑定を一つの頼りにしながら検察官が判断していくということでございます。
○委員長(魚住裕一郎君) 時間です。
井上哲士君 時間ですので終わりますが、先ほど紹介しましたように、犯行時の精神状態は現在と同様であると、こういう一行をもって責任能力なしということが判断をされるような鑑定書のままでいいのか、こういう簡易鑑定でいいのかということを問うているわけでありまして、こういう問題が結局、後回しにされたまま入院処遇だけを進めていくと、こういう法案では大問題だということを改めて指摘をして、終わります。