会社法・機関

前回(id:kokekokko:20090423#p1)のつづき。

3 その他の機関

1 代表取締役
・会社の代表: 代表取締役などを定めないときは、取締役が会社を代表する。
・権限: 会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為。広く業務執行する権限を有する。
・権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
代表取締役の選定: (1)定款、(2)定款の定めに基づく取締役の互選、(3)株主総会の決議。
取締役会設置会社では、取締役会が代表取締役を選定する。(定款での変更は不可)
 
・退任事由: (1)辞任、(2)解職、(3)取締役資格の喪失。
代表取締役が欠けた場合: 代表取締役が欠けた場合又は「定款で定めた代表取締役の員数」が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。
 
2 監査役
監査役: 取締役の職務の執行を監査する機関。(1)業務監査と(2)会計監査の権限を有する。
・公開会社でない会社は、定款で、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する」ことができる。

(取締役への報告義務)
第389条  公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、第三百八十一条第一項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
2  前項の規定による定款の定めがある株式会社の監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。

・大会社: 最終事業年度に係る貸借対照表に計上した額が、以下のいずれかである会社。(1)資本金が五億円以上、(2)負債の部の合計額が二百億円以上。
 →事業年度ごとに、大会社に該当するかどうか判断される。
・大会社は、監査役会及び会計監査人を設置しなければならない。
 →大会社は、389条i項の「株式会社」に該当することができない。つまり、大会社は、定款で監査役の監査の範囲を限定することはできない。
 
・資格: 取締役の資格と同様。たとえば法令による制限として、(1)法人、(2)成年被後見人被保佐人、(3)会社法等の罪を犯して刑に処せられてから二年以内、など。
・兼任禁止: 監査役は、当該会社・その子会社の取締役、支配人などを兼ねることができない。取締役の資格よりも厳しい。
・子会社の取締役、支配人は親会社の監査役にはなれない。逆に、親会社の取締役、支配人は子会社の監査役になれる。
 
・選任: 取締役の選任と同様。株主総会において選任される。ただし、累積投票の規定はない。
・任期: 原則は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで。
・例外: 公開会社でない会社において、定款によって、任期を「選任後十年以内に〜」まで伸長することができる。取締役と同じ。
・ただし、「定款又は株主総会の決議によって、任期を短縮できる」旨の規定はない。
・定款変更による任期終了: 定款変更の効力が生じた時に、監査役の任期が満了する。
・定款変更の内容: (1)監査役の廃止、(2)委員会の設置、(3)監査の範囲を会計に関するものに限定、(4)全部の株式の内容として譲渡制限の廃止
・解任: 株主総会の特別決議によることを要する。
 
3 会計参与
・任務: 会計参与は、取締役と共同して、計算書類・附属明細書、臨時計算書類、連結計算書類を作成して、会計参与報告を作成する。
・資格: (1)公認会計士、(2)監査法人、(3)税理士、(4)税理士法人
・制限: 以下の者は、会計参与となることができない。(1)当該会社又はその子会社の取締役・監査役・執行役・「支配人その他の使用人」、(2)業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者、(3) 税理士法に規定する税理士業務を行うことができない者 。
・選任および解任: 取締役に準じる。
・「会計参与を置く旨の定款規定の廃止」によって、会計参与の任期は満了する。
 
4 会計監査人
・任務: 会計監査人は、計算書類・附属明細書、臨時計算書類、連結計算書類を監査して、会計監査報告を作成する。
・資格: (1)公認会計士、(2)監査法人
・任期: 原則は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで。
・自動再任: 定時株主総会において、別段の決議がされなければ、再任されたものとみなされる。
・解任: (1)株主総会の決議、(2)監査役監査役会での全員一致。
・欠員: 「欠員又は定款規定員数の不足」が生じた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役監査役会は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
 
5 委員会
委員会設置会社: (1)指名委員会、(2)報酬委員会、(3)監査委員会の3委員会を、各委員会3名以上の取締役によって構成する。
・指名委員会: 取締役・会計参与の候補を決定する。
・報酬委員会: 取締役・執行役・会計参与の報酬などを決定する。
・監査委員会: 取締役・執行役の職務執行を監査する。
・委員: 取締役の中から、取締役会の決議によって選定する。
・各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければならない。
 
・執行役: 委員会設置会社には、執行役を置かなければならない。人数の制限はない。
・任期: 選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結後最初に招集される取締役会の終結の時まで。
・取締役の任期: 委員会設置会社では、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結後。
・執行役、取締役ともに、その任期を定款で短縮することができる。
・兼任: 執行役は、取締役を兼ねることができる。また、執行役は、取締役でなくてもよい。
・取締役を退任しても、執行役として在任する。代表取締役との相違点となる。