引揚輸送

みうらさんのサイトで、集団的引揚輸送について言及されています。
 
ところで、航海命令の損失補償は、どうなっているのでしょうか。

海外からの日本国民の集団的引揚輸送のための航海命令に関する法律(昭和27年法律第35号)
(損失補償)
第2条2項 前項の損失の補償に関し必要な事項は、政令で定める。

とあるのですが、現在のかかる政令の規定が不明なのです。
法施行の当時でも、契約による引揚輸送を超える命令は出されていない状況でしたから、規定の状況がよくわかりません。
 
なお、海上運送法では損失補償について規定されています。

(損失の補償)
海上運送法第27条  前条の規定による命令により損失を受けた者に対しては、その損失を補償する。
2 前項の規定による補償の額は、当該船舶運航事業者がその航海を行つたことにより通常生ずべき損失及びその命令を受けなかつたならば通常得らるべき利益が得られなかつたことによる損失の額とする。
3 前項の補償の額の決定に不服がある者は、その決定を知つた日から六月以内に、訴えをもつてその増額を請求することができる。
4 前項の訴えにおいては、国を被告とする。
5 前各項に定めるもののほか、損失の補償に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

(損失補償)
海上運送法施行規則第25条  法第27条第1項に規定する損失の補償を請求しようとする者は、次に掲げる事項を記載した航海命令損失補償請求書二通を当該命令による航海を実行した後三月以内に国土交通大臣に提出しなければならない。
 1 住所及び氏名
 2 航海命令の内容
 3 請求しようとする金額及びその計算書

さらに、港湾法施行令(第16条)により、集団的引揚輸送に従事する船舶は入港料を徴収されません。
 
なお、最高裁判所裁判官国民審査権については、期日前投票でも(時期によりますが)できなかったはずだったので、衆院選だけが可能であるという場合はわかるのですが、その逆(国民審査のみ可能)というのは意外ですね。国民審査の「当日有権者」ということになりそうです。
船舶登記については、不動産登記法を多く準用していながら勅令であった状況が、現在でも続いているのが問題だといえるかもしれません。「事務ニ係ル処分又ハ其不作為ニ付テノ審査請求ニ関シ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム」のような規定が、「法律」の側にあればいいのですが。