会社法・株式

設立に続いて「株式」。
【1】総則
(1)権利行使と共有
*株式を共有するとき、共有者のなかから権利を行使する者1名を定めて、会社に対して通知する。
*この通知がなければ、権利を行使することができない。(会社が権利行使を同意することはできる)
(2)通知・催告と共有
*共有者は、会社がする通知・催告について、受領者1人を定めて、会社に対して通知する。
*この通知がなければ、会社がする通知・催告については、共有者のうちの1人に対してすれば足りる。
(3)利益の供与
*会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない。
*会社が財産上の利益の供与をしたときは、供与を受けた者は、これを会社に返還しなければならない。
*この場合において、供与を受けた者は、利益と引き換えに給付したものの返還を受けることができる。
*利益の供与に関与した取締役等は、会社に対して、連帯して、供与した利益に相当する額を支払う義務を負う。
*ただし、当該取締役等(利益の供与をした者を除く)が、職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りではない。
(4)利益の供与の推定
*以下の場合に、株主の権利の行使に関し、利益の供与をしたものと推定される。
 +会社が、特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をしたとき。
 +当該会社の受けた利益が、財産上の利益に比して著しく少ないとき。
【2】株主の権利
(1)すべての株主
*発起人・設立時取締役・清算人などの責任追及の訴えを提起する権利
*取締役・清算人の違法行為をやめるように請求する権利
*株主名簿・株主総会議事録・定款などの閲覧・謄写を請求する権利
*設立・吸収合併・新株予約権発行などの無効の訴えを提起する権利
(2)大株主
*大株主: 議決権の100分の3以上または発行済株式(自己株式を除く)の100分の3以上を有する株主。数字は、定款で厳しくできる。
*会計帳簿の閲覧・謄写を請求する権利
*不正・定款違反の疑いがあるときに、裁判所に対して、検査役の選任の申し立てをする権利
(3)役員解任の請求権
*法令違反などにもかかわらず、役員解任の議案が株主総会で否決されたとき、または種類株主総会で効力を生じないとき。
*訴えをもって、当該役員の解任を請求することができる。
*株主は、議決権の100分の3以上または発行済株式(自己株式を除く)の100分の3以上を、6か月前から引き続き(公開会社のみ)有する株主。数字は、定款で厳しくできる。
【3】株式の内容
(1)発行する全部の株式の内容
*会社は、その発行する全部の株式の内容として、譲渡制限、取得請求権、取得条項を定めることができる。
*譲渡制限株式: 譲渡による株式の取得について、当該会社の承認を要する。
*取得請求権付株式: 株主が、会社に対してその株式の取得を請求できる。
*取得条項付株式: 会社が、一定の事由により当該株式を取得できる。
(2)譲渡制限
*一定の場合に会社が譲渡承認したものとみなすときは、当該場合を定款で定める。
*承認機関は、株主総会(取締役会)。定款で別の定めをすることができる。
*承認を得ずにされた譲渡は、会社に対しては効力を生じないが、当事者間では有効。
*相続など(一般承継)が生じたときは、承認がなくても所有権が移転する。
(3)取得請求権
*定款に、取得と引き換えに交付する対価、取得請求できる期間を定める。
*取得請求権だけを分離して譲渡することはできない。
(4)異なる種類の株式
*会社は、次の事項について、異なる定めをした株式を発行することができる。
 +剰余金の配当
 +株主総会において議決権行使できる事項
 +譲渡制限、取得請求権、取得条項
 +会社が株主総会の決議により、当該種類株式を、全部取得すること
*種類株式を発行するには、内容や総数を定款で定める。