会社法・機関
先週のつづき。
【1】株主総会(承前)
(12)普通決議
*普通決議の要件は、議決権の過半数の株主の出席、および、出席株主の議決権の過半数。
*取締役・会計参与の選任・解任の決議は、議決権の過半数(3分の1以上にまで定款で変更できる)の株主の出席、および、出席株主の議決権の過半数。
*監査役の解任決議は、特別決議となる。
*累積投票によって選任された取締役の解任については、特別決議となる。
(13)特別決議
*特別決議の要件は、議決権の過半数(3分の1以上にまで定款で変更できる)の株主の出席、および、出席株主の議決権の3分の2以上。
*さらに定款で、一定数以上の多数を要するなどの要件を追加することができる。
*特別決議を要する(株式)
+譲渡制限株式において、譲渡不承認とした場合の買取り
+特定の株主からの、自己株式の取得
+全部取得条項付種類株式の取得
+募集株式の発行(公開会社を除く)
+募集新株予約権の発行における募集事項の決定
+有利発行
+株式の併合
*特別決議を要する(機関)
+累積投票で選任された取締役・監査役の解任
+役員の会社に対する損害賠償責任の免除
*特別決議を要する(計算など)
+資本金の額の減少
+定款の変更
+事業の譲渡
*特別決議を要する(清算など)
+事後設立
+解散
+会社の継続
*特別決議を要する(組織変更など)
+吸収合併・吸収分割
+新設合併・新設分割
(14)特殊決議
*特殊決議の要件は、株主数の半数以上、および、議決権の3分の2以上。
*さらに定款で、厳しくすることができる。
*以下の決議には、特殊決議を要する。
+全部の株式につき譲渡制限を定める定款変更
+吸収合併契約・株式交換契約の承認
+新設合併契約・株式移転契約の承認
(15)決議取消しの訴え
*株主は、総会決議から3か月以内に、訴えをもって決議取消しを請求できる。
*当該取消しによって取締役・監査役となる者も、請求できる。
*請求できるのは、以下の場合。
+招集の手続、決議の方法が、法令・定款に違反しまたは著しく不公正なとき。
+決議の内容が定款に違反するとき。
+決議について特別の利害関係を有する者が議決権行使することにより、著しく不当な決議がされたとき。
*訴えの提起は、被告会社の本店所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
*招集の手続、決議の方法についての違反事実が、重大でなく、決議に影響を及ぼさないと認めるときは、裁判所は請求を棄却できる(裁量棄却)。
*この請求を認容する確定判決は、第三者に対しても効力を有する。
(16)確認の訴え
*決議無効確認の訴えは、決議の内容が法令に違反するとき。
*決議不存在確認の訴えは、決議が存在しないとき。
*これらの場合には、決議は当然に無効。判決確定まで有効というわけではない。
(17)種類株主総会
*種類株式発行会社は、種類の追加・内容の変更などをする場合に、種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときには、種類株主総会の決議が必要である。
*決議が必要な場合(株式〜)
+株式の種類の追加、内容の変更をする定款変更
+発行可能株式総数の増加をする定款変更
+株式の併合・分割・無償割り当て
+募集株式を、株主割当の方法により割り当てる場合の募集事項の決定
+新株予約権の無償割当て
*決議が必要な場合(組織変更など〜)
+合併・吸収分割・新設分割
+吸収分割による権利義務の承継
+株式交換・株式移転
+株式交換による株式全部取得