民法物権

総則が終わったので、次は物権。
【1】総則
(1)物権
*物権の種類・内容は、法で定めたものに限定される(物権法定主義)。
*同一物の上には、同一内容の物権は1つしか成立しない(一物一権主義)
(2)物権的請求権
*物権的請求権は、所有権に基づくものであるため、消滅時効にかからない。
*目的物の占有を奪われた場合に、現在の占有者に対して返還請求できる(物権的返還請求権)。
*所有権の行使が権限なく妨害された場合に、妨害排除を請求できる(物権的妨害排除請求権)。
*所有権行使妨害のおそれがある場合に、その防止を請求できる(物権的妨害予防請求権)。
*物権的請求権は、現実に所有権を妨害している者に対して請求できる。
*不法占拠の建物については、登記名義人に対しても、建物収去を請求できる。
【2】所有権
(1)土地の境界
*土地所有権は、法令の制限内で、土地の上下にも及ぶ。
*隣地との界標の設置費用と保存費用は、両者が半分ずつ負担する。
*界標は共有物であると推定されるが、分割請求はできない。
*境界画定は、公法上の問題なので、判決で確定する。当事者の合意で確定できない。
(2)囲繞地の通行権
*袋地所有者は、公道に出るために、償金を払って、囲繞地を通行できる。
*通行の場所・方法は、囲繞地の損害が最も少ないものでなければならない。
*袋地が、共有地分割・土地一部譲渡によって生じた場合には、分割・譲渡の残余地についてのみ、通行権が発生する。この場合には、無償で通行できる。
囲繞地通行権は、土地所有権の内容なので、承諾・登記がなくても主張できる。
(3)附合
*不動産に物が附合した場合には、目的物は不動産所有者に帰属する(原始取得)。
*ただし、権原に基づいて物をくっつけて、その物が独自性を維持している場合には、所有権は元の所有者にある。
*建物賃借人が所有者の承諾を得て増築をした場合には、独立性を備えていない限りは、賃貸人に帰属する。
*動産が結合して分離できない(または分離の費用が過分である)場合には、結合物の所有権は、主たる動産の所有者にある。
*従物の所有権は消滅し、それに設定されていた担保物権も消滅する。
*主従の区別ができない場合には、価格割合による共有となる。
(4)加工
*加工物の所有権は、原則として、材料の所有者にある。
*加工によって材料価格を著しく上回るときは、加工者が所有者となる。
(5)無主物
*所有者のない動産を、所有の意思をもって占有すると、所有権を取得する。
*所有権のない不動産は、国庫に帰属する。