会社法・株式

前回の続き。
【5】募集株式の発行(承前)
(4)通知
*公開会社が取締役会で募集事項を定めた場合、払込期日の2週間前までに、株主に対して、募集事項を通知する。
*以下の場合には、通知不要となる。
 +通知事項を公告した場合
 +有利発行により募集株式の発行を行う場合
*会社は、引受けの申込みをしようとする者に対し、募集事項を通知する。
*以下の場合には、通知不要。
 +募集株式の総数の引受けを行う契約を締結する場合
 +目論見書等を提供している場合
*株主割当の方法により募集株式の発行を行う場合には、引受けの申込みの期日の2週間前までに、株主に対して、募集事項・数・期日を通知する。
(5)割当て
*会社は、申込者に割り当てる募集株式数を、申込者が申し込んだ数よりも減少させることができる。
*会社は、申込みを受ける者や割当株数を自由に定めることができる。
*募集株式が譲渡制限株式である場合には、募集株式の割当ては、株主総会(取締役会)の決議による。(定款で別の定めができる)
*株主は、株式の割当てを受ける権利を譲渡することができない。
*会社は、申込者に対し、払込期日までに、募集株式数を通知する。
*ただし、募集株式の総数の引受けを行う契約を締結する場合には、通知は不要。
*割当てを受ける権利を与えられた株主が、申込期日までに申込みをしないときは、当該株主は、割当てを受ける権利を失う。
(6)現物出資
*金銭以外の財産を出資の目的とする場合に、定款に定める必要がなく、また、出資する者に制限はない。
*検査役の調査は必要。
*以下の場合には、検査役の調査は不要。
 +割当株式総数が発行済株式総数の10分の1を超えない場合
 +価額総額が500万円を超えない場合
 +価額が相当であることについて、弁護士などの証明を受けた場合
(7)出資の履行
*引受人は、期日に、払込金額の全額を払込む。
*現物出資財産を給付する引受人は、期日に、全額に相当する現物出資財産を給付する。
*払込債務と会社に対する債権とを相殺することは、できない。
*出資の履行をした日に、引受人は、株主となる。
*出資の履行をしないときは、募集株式の株主となる権利を失う。
(8)民法総則の例外
*募集株式の引受けの申込みにかかる意思表示については、心裡留保・通謀虚偽表示による無効は適用しない。
*引受人は、株主となった日から1年後又はその株式について権利を行使した後は、募集株式の引受けについて錯誤無効・詐欺強迫取消しをすることができない。
*ただし、無権代理による引受けの無効は主張できる。
(9)取締役等の責任
*現物出資財産の価額が、募集事項として定めた価額に著しく不足する場合、取締役等は、当該不足額を支払う義務を負う。
*以下の場合には、義務を免れる。
 +検査役の調査を経た場合
 +職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合
*取締役の引受担保責任は、廃止されている。引受けがなければ、たとえ登記があっても、取締役が引き受けたものとはみなされない。