民法・物権
前回(id:kokekokko:20120130)の続き。
【2】所有権(承前)
(6)共有
*複数の所有者が、1つの物の上に支配権を及ぼす。
*持分は、共有者が目的物の上に有する権利。
*共有者は、持分権を持つ。持分権の総和が、1個の所有権と等しい。
*目的物の所有権確認の訴えは、共有者全員で提起しなければならない。
*共有物侵害による損害賠償請求権は、持分割合に応じて、分割的に帰属する。
*各共有者は単独では、持分相当額の損害賠償しか請求できない。
(7)持分
*持分の割合は、各共有者とも同じと推定される。
*各共有者は、単独で自己の持分を第三者に請求できる。
*持分に抵当権を設定すると、抵当権は共有物分割後も共有物全体に及ぶ。
*持分は、処分(譲渡・放棄)できる。持分を放棄すると、その持分は他の共有者に帰属する。
*不動産の持分帰属の対抗要件は、登記。
*共有者の1人が、相続人なく死亡した場合は、その持分は他の共有者に帰属する。
(8)共有物の使用収益
*共有者は、共有物の全部について使用収益(「その持分に応じた使用」)をすることができる。
*管理費は、共有者が持分に応じて負担する。
*共有者の一人が、共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。
(9)共有物の変更
*共有物の変更には、共有者全員の同意が必要。
*変更とは、物理的変更や、売却・賃貸など。
*共有者の同意を得ずに変更を行ったときは、ほかの共有者は、妨害排除請求ができる。
(10)共有物の改良
*共有物の管理(利用・改良)は、持分価額の過半数で決定する。
*管理とは、賃貸借契約の解除など。
*共有者の同意を得ずに第三者に占有・使用させたときは、ほかの第三者は、目的物の引渡しを請求できない。
(11)共有物の保存
*共有物の保存は、共有者が単独でできる。
*保存とは、公租公課の負担や、補修、請求(返還・妨害排除など)。
(12)共有物の分割請求
*共有者は、いつでも分割請求できる。
*共有物の不分割特約は、5年以内に限り有効。
*共有物について権利を有する者や、共有者の債権者は、共有物の分割に参加することができる。
*参加請求があったにもかかわらず参加させずに実行した分割は、その者に対抗できない。
*分割方法について協議がまとまらない場合には、裁判所に分割を請求できる。
(13)共有物の分割
*原則は、現物分割。
*分割請求者の持分についてのみ分割し、残りをなお共有とすることは、できる。
*1人が単独で所有権を取得し、残りの者が持分価額の賠償を受けることは、できる。
*分割取得した物に隠れた瑕疵があった場合には、各共有者は、持分割合に応じた担保責任を負う。