会社法・機関

前回(id:kokekokko:20120127)のつづき。株式の章が終わったので、こんどは機関。株主総会の次は取締役です。
【2】取締役
(1)就任制限
*法により、以下の者は取締役に就任できない。
 +法人
 +成年被後見人被保佐人
 +会社法等に違反し、刑の執行を終えてから2年を経過しない者
 +禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者(執行猶予中の者を除く)
*公開会社では、定款によって取締役を株主に限定することは、できない。
委員会設置会社では、取締役は、支配人その他の使用人を兼ねることは、できない。
(2)選任
*取締役は、株主総会において、選任される。
*決議要件は、普通決議。定款で変更できるが、総株主の議決数の3分の1を下回ることはできない。
(3)累積投票
*議決権1個につき、選任する取締役の数だけの議決権を持つ投票。
*総会の5日前までに、株主が請求する。
*定款で、累積投票を排除することができる。
*累積投票で選任された取締役を解任するには、特別決議が必要。
(4)任期
*選任後2年以内の、最終の定時株主総会終結まで。
*定款・株主総会決議によって、任期を短縮することができる。
*非公開会社では、選任後10年以内の最終の定時株主総会終結までに、伸長できる。
委員会設置会社では、選任後1年以内の、最終の定時株主総会終結まで。
*同時に選任した取締役の任期は、異なってもよい。
(5)定款変更による任期満了
*以下の旨の定款変更があったときは、取締役の任期は満了する。
 +委員会の設置
 +委員会の設置の廃止
 +株式の全部の内容としての譲渡制限の廃止(委員会設置会社を除く))
(6)退任
*取締役は、以下の事由によって退任する。
 +辞任、任期満了、解任
 +委任終了
 +会社の解散
 +定款で定めた資格の喪失
(7)解任
*解任は、以下の事由による。
 +株主総会の決議
 +少数株主の解任請求に基づく判決
*解任決議の決議要件は、選任決議と同じ。
*非公開会社で、取締役の選任に関する種類株式が発行された場合には、当該種類株主総会の決議で取締役を解任できる。
株主総会で解任された取締役は、解任につき正当な理由がある場合を除き、会社に対して、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
(8)解任請求
*取締役の職務執行に関し不正・法令違反・定款違反があるにもかかわらず、取締役解任議案が否決されたときは、株主は、解任請求をすることができる。
株主総会の決議から30日以内に、訴えをもって請求する。
*被告は、会社と取締役。
(9)委任終了
*委任終了は、以下の事由による。
 +取締役の死亡、破産手続開始、後見開始
 +会社の破産手続開始
*破産手続開始決定を受けた取締役は、委任の終了によって退任する。
*すでに破産手続開始決定を受けている者を取締役に選任することは、できる。
(10)競業避止義務
*取締役が競業をするときは、株主総会(取締役会)において承認を得なければならない。
*競業は、自己または第三者のために、会社の事業の部類に属する取引。
*承認を得るときは、その重要な事実を開示する。
(11)利益相反取引
*取締役が利益相反取引をするときは、株主総会(取締役会)において承認を得なければならない。
利益相反取引は、取締役が当事者、第三者代理人としてする会社との取引(直接取引)。または、取締役と会社の利益が相反するもの(間接取引)。
*間接取引の例は、会社による、取締役の債務の保証。
*会社に特段の不利益が生じない取引は、承認を要しない。
*事後の承認は、有効。
*承認なしでされた取引は、会社と取締役の間では無効。ただし、善意・無重過失の第三者には無効を対抗できない。