民事訴訟法

前回(id:kokekokko:20120210)の続き。
【1】送達
(1)送達
*送達は、受訴裁判所の裁判所書記官が、職権で行う。
*送達を受けるべき者は、当事者、法定代理人、法人の代表者・営業所・事務所。
*交付送達は、名宛人の住所など。住所不明などの場合及び名宛人の申述がある場合には、その者の就業場所への送達もできる。
(2)特別の送達
*差置送達は、本人の同居者・使用人(受領義務がある)に対して差置する。
*また、就業場所(受領義務がない)では、従業者が拒まないときは差置できる。
*書留郵便に付する送達では、発送の時点で、送達の効力が生じる。擬制自白が生じる。
*公示送達では、裁判所に掲示して2週間後に送達の効力が生じる。
*しかし、公示送達では、擬制自白は生じない。
 
【2】訴えの種類
(1)訴えの種類・給付の訴え
*訴えは、給付の訴え、確認の訴え、形成の訴えの3つに分類される。
*給付の訴えは、給付請求権を主張し、給付判決を求める訴え。
*給付請求権には、法律行為(弁済・引渡しなど)の請求や、意思表示を求めるもの、作為請求、不作為請求がある。
*将来の給付の訴えは、口頭弁論終結の後に効力を生じる給付請求権についての、あらかじめの請求。
*将来の給付の訴えは、請求する必要がある場合に、認められる。
(2)確認の訴え
*確認の訴えは、権利関係の確認。直接の執行力を生じないが、時効中断・決議無効などの効力を生じる。
*訴えに対する請求棄却判決は、確認判決の効力を有する。
(3)形式的形成訴訟
*土地境界確定の訴えは、土地境界の確定を求める形成の訴え。公法上の事実を確定する。
*請求の趣旨では、境界を定める判決を求める。特定の境界線を示す必要はない。
*判決では、境界線を示す。土地所有者を示す必要はない。
*裁判所が、当事者の主張しない境界線を確定させても、処分権主義に反しない。
*上訴審で、不利益変更もできる。
*境界線に関する自白や、和解、請求認諾は、裁判所を拘束しない。
*境界線についての合意や、時効取得も、境界線の確定とは無関係。
*裁判所は、境界線を確定できない場合でも、請求棄却できない。
 
【3】訴えの提起
(1)訴状の提出
*訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してする。
簡易裁判所では、口頭による訴えの提起もできる。
*訴えによる時効中断は、訴状提出の時点で効力発生する。
(2)訴状
*訴状には、当事者・法定代理人、請求の趣旨及び原因を記載する。
簡易裁判所では、請求について紛争の要点を記載すれば足りる。
*訴状に不備があれば、補正命令が出されう。期間内に補正されない場合には、命令で、訴状却下される。
*訴状却下命令に対しては、即時抗告することができる。
*明らかに補正不可能な訴訟要件の欠缺がある訴えは、口頭弁論を経ることなく、判決で却下することができる。
(3)裁判長
*訴えの提起があったときは、裁判長は、口頭弁論期日を指定する。
*期日の呼出しは、呼出状の送達、出頭者に対する期日の告知などによってする。
 
【4】二重起訴の禁止
(1)二重起訴
*裁判所に係属する事件について、当事者は、さらに訴えを提起することはできない。
*二重起訴に該当するかどうかは、裁判所の職権調査事項。
(2)事件の同一性
*当事者および訴訟物(請求)の同一性で判断する。
*当事者が異なっていても、効力が及ぶときは、事件は同一とされる。
債権者代位権に基づく訴訟のあとに、債務者が訴訟を起こすと、二重起訴とされる。
*確認の請求と給付の請求は、同一とはされない。
*中間確認の訴え、訴えの変更をさらに提起することは、二重起訴とされない。
*同一債権の数量的一部を請求し、残部を後訴で請求するときは、一部請求であることを明示しておれば、できる。
*手形債権支払請求訴訟における訴訟物は、その原因である代金債務不存在確認訴訟における訴訟物とは、異なる。