民事訴訟法

前回(id:kokekokko:20120217)の続き。
【5】訴訟の原則
(1)処分権主義
*当事者に、処分権を認める。
*訴訟の開始・終了、審判対象の限定について、処分権が認められる。
*当事者が申し出ていない事項については、裁判所は判断することができない。
*債務不存在確認の訴えでは、反訴がなければ、請求を棄却するときに債務の存在を判決で言い渡すことは、処分権主義に反する。
*公目的の処分を職権ですることは、処分権主義に反しない。
*当事者の申し立てなく仮執行宣言を付しても、処分権主義に反しない。
(2)弁論主義
*当事者に、訴訟資料の提出権を認める。
*職権探知主義は、訴訟資料を裁判所の職権で調べる考え方。
*法解釈は、裁判所の専権事項である。
*裁判所の釈明権は、認められている。口頭弁論期日において、裁判所が当事者に立証を促すことができる。
*文書提出命令は、当事者の申し立てがなければ、することができない。
(3)弁論主義の3原則
*当事者が主張していない主要事実を、裁判所が裁判の基礎とすることはできない。
*当事者に争いのない自白(擬制自白)は、そのまま裁判の基礎としなければならない。
*証拠調べは、当事者が申し出た証拠によらなければならない。
 
【6】口頭弁論及びその準備
(1)口頭弁論
*公開法廷で、当事者の口頭の弁論によって行う審理手続き。
*口頭弁論では、公開主義、双方審尋主義、口頭主義、直接主義の4原則がある。
*裁判官が更迭したときは、当事者は従前の口頭弁論の結果を陳述する。
*陳述は、当事者の一方のみにさせることができる。
*合議体の過半数の変更、または単独裁判官の交代の場合、当事者は、証人の再尋問を申し出ることができる。
*判決をする裁判官は、基本となる口頭弁論に関与した裁判官でなければならない。これの違反は上訴理由となる。
(2)準備書面
*弁論の内容を、相手方に予告する書面。当事者・代理人の記名押印が必要。
*攻撃・防御の方法、相手方の請求・攻撃防御に対する陳述を記載する。
*攻撃・防御方法を記載した訴状は、準備書面を兼ねる。
準備書面は、口頭弁論で陳述することで、訴訟資料となる。
*相手方が欠席している場合、準備書面(相手方に送達しているもの)に記載された事実を、新たに主張することができる。
*訴状・準備書面に記載された内容は、最初の口頭弁論期日において、陳述擬制される。
(3)準備的口頭弁論
*口頭弁論の争点・証拠の整理のための弁論。
*裁判所は、決定で、準備的口頭弁論を開始する。
*当事者双方の出席が必要。
*口頭弁論の規定が適用される。
(4)書面による準備手続
*書面による、争点・証拠の整理手続。
*裁判所は、決定で、書面による準備手続に付する。
*当事者が遠隔地に居住しているときなど、相当と認められる場合に行われる。
*裁判長等は、書面を提出すべき期間を定める。
*裁判長等は、電話会議によって、争点・証拠の整理について、当事者双方と協議をすることができる。
(5)弁論準備手続
*口頭弁論期日外における、争点・証拠整理のための手続。
*裁判所は、当事者の意見を聴いて、決定で、弁論準備手続に付する。
*裁判所は、申立てまたは職権で、この決定を取り消すことができる。
*口頭弁論、期日外証拠調べなどの規定が適用される。
*弁論準備手続は、公開しなくてもよい。
*当事者の一方が出席しているとき、電話会議によって実施することができる。
*弁論準備手続後の口頭弁論において、当事者は、弁論準備手続の結果を陳述しなければならない。
 
【7】提起前における準備
(1)訴えの提起前における照会等
*訴えの提起前における証拠収集処分は、提起前照会、提起前証拠収集処分がある。
*書面による予告通知によってする。
*予告通知に記載するものは、請求の用紙および紛争の要点で足りる。
*予告通知をした者は、裁判所に、証拠収集の処分を求めることができる。
*処分の内容は、以下。
 +文書の所持者にその文書の送付を嘱託すること
 +必要な調査を官公署等に嘱託すること。
 +専門的な知識経験を有する者に意見の陳述を嘱託すること
 +執行官に対して調査を命ずること
*証拠収集処分をした者は、その後に訴えを提起しなくてもよい。