es/ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔

■ es
心理学実験がはからずも見せた、人間の本性、みたいな作品です。しかしこの実験ってドイツではなくアメリカで行われたはずです。しかも人が死んだりなんてもしてないはずです。

それにしても、こんなにも結末が簡単に予想できた作品は初めてです。でもって、話の描き方が安直だし単調だから、底が浅いです。権力者へのなりきりの怖さという、この話のキモであるはずの部分も、あまりにもわかりやすかったです。

映画の楽しさとは、監督の力量に圧倒される楽しさだと私は思うのですが、それからすると、この作品はあまり面白くない映画だったのかな、と思いました。

■ ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔
DVDを買って観ました。
まず、城門での戦闘シーンが、圧巻としかいいようのない壮大さでした。1万の軍勢なんていうものをこれだけの迫力で描いた作品は、いままで観たことがありません。

しかし相変わらずシナリオがはしょられ過ぎです。崖から落ちたアラゴルンがいつのまにか助けられたり、森の木々(エント)やエオメルの軍勢があっさり参戦するところなんかは、原作を読んでいない人はおそらく「原作で書かれてあるんだな」と納得して観ているのでしょう。でも原作の描写も、必ずしも満足いくものではなかったんですけどね。
まあ、言ってみればもはや話の筋などどうでもよくて、表情とかしぐさとか、セリフのいいまわしとか、そういうものがファンタジーにとっては重要だと私は思いますから、多少シナリオが強引であっても文句はないんですが、ストーリーテリングにもうすこし芯の強さがほしかったところです。

でもってゴラムはスターウォーズヨーダに良く似ています。これはたぶん影響を受けていますよね。
私はファンタジー映画のCG多用は好きではありませんが、ロード・オブ・ザ・リングのCGについては敬意を感じています。ですが、このゴラムは、ちょっとどうかと思います。こういうものを簡単に出してしまうと、作品全体が平凡なハリウッド映画に成り下がってしまうからです。リアリティがなくなってしまって、安っぽいSFもどきになってしまうのです。
ありふれたラブロマンスを放棄した(制作側は放棄してはいないつもりでしょうが)ロード・オブ・ザ・リングが、こういうわかりやすすぎるCGキャラをひねりなく出してしまうのはもったいなかったかもしれません。

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それと、この作品での翼を持つ生き物の描写が、私は好きです。人間(そのほかの種族も)にとって、空から攻撃されたらひとたまりもないわけで、翼系怪物って、人間に絶望を与える象徴なんですよ。TVゲームなんかだと、羽が生えた敵キャラがあっさりと倒れたりしますが、本来は翼系って、もっと重い存在のはずです。

全体的には、「第二部も、序章でしかなかった」って言いたいくらいに、3部作の2話目という感じが露骨だったと感じました。なので、点数は少々辛めかな。