文化庁パブリックコメントの話

文化庁著作権法改正(貸与権制定)についてパブリックコメントを出しています。それについてPRESIDENT4月12日号に記事がありますが、そこにおいて

つきましては、賛成の声を集めて欲しい、という文化庁の要請です。

と書かれていて、特定の意見を集めるために文化庁が動いていることが示唆されているのです。

その件は謎工さんのところで取り上げられていて、でもってそれに対して霞が関官僚日記では『「普通」はあり得ない話である。』とした上で、

もし仮に、仮にですよ、文化庁が多数派工作をしていたとしても、それを明示的に相手に伝えるとか、ましてや文書の形で残されるなど役人として言語道断。

と書きました。

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さて、その記事に対するコメントとして、

パブリックコメントは一種の「儀式」であって、多数決をするわけでない、ということくらい担当者なら分かってて当然。リスクを犯して工作するメリットは、少なくともお役所サイドには存在しないですね。こうした役所の内情する洞察できない人が「デマ」として流布させようとしているというところでしょう。

というコメントがありましたが、これはどうでしょうか。
当時の文化庁の置かれていた状況を考えると、貸与権制定が民意であることを明確にする必要があったわけで、あながち「デマ」で片付くものでもないでしょう。この手のパブリックコメントには、本当に広く意見を求めるものもあれば、ある意見が広く流れていることの補強証拠のためのものもあるわけです。今回のパブリックコメントが前者なのか後者なのかは、調査結果を文化庁がどう使うかによって判断されるわけで。

私も、文化庁は要請の存在を否定すると思いますが(隠し通すのではなく「要請ではなかった」と言い張る)、今回の貸与権騒動に対して一貫して採っている文化庁の態度からすると、今回のパブリックコメントの結果が文化庁にとって「メリット」であるという確率は低くはないし、第一、今まであからさまに貸与権制定に向けて世論を動かそうとしてきた文化庁にとって、いまさらこのレベルの押しは「リスク」ではないと思いました。