（資料）責任に関する条文・審議（その26・現行刑法〜第二次大戦-25-）

前回（id:kokekokko:20041025）のつづきです。初回は6/7。改正治安維持法説明（案）です。

第五十九条
本条ハ予防拘禁ノ決定確定後何等カノ事由ニ依リテ全ク執行ヲ為サザルカ、又ハ、一旦執行シタル後之ヲ停止シ執行ヲ為サザルカ、ノ場合ニ於テ執行ヲ為サザルコト二年以上ニ及ビタルトキハ事情ニ因リ其ノ執行ヲ免除シ得ベキコトヲ規定ス。確定シタル予防拘禁ノ決定ハ本人疾病等ノタメ全ク執行シ得ザル場合アリ得ベク、又、一旦執行シタル後第五十七条第三項又ハ同条第四項ニ依リテ準用セラルル刑事訴訟法第五百四十四条乃至第五百四十六条ノ規定ニ依リ其ノ執行ヲ停止セラルルコトアリ。而シテ、斯カル場合其ノ執行ヲ為サザル間ニ於テ本人全ク改悛シ執行ヲ必要トセザル場合等生ジ得ベキトコロ、之ヲ第五十八条ニ依リ退所セシメ以テ執行ヲ免除セントセバ、退所処分ノ性質ヨリシテ、必ズ一応ハ本人ニ対シ決定ヲ執行スルカ又ハ執行ノ停止ヲ取消スカノ処置ヲ施スコトニ依リ、本人ヲ予防拘禁所ニ収容シ、然ル後ニ退所セシメザルベカラズ。然レドモ、既ニ決定ノ執行ヲ必要トセザル本人ニ対シ斯クノ如キ処置ニ出ヅルハ全ク不必要ノコトト謂ハザルベカラザルヲ以テ、本条ヲ設ケ執行ヲ為サザルコト二年以上ニ及ビタル場合ニ限リ、事情ニ因リ、検事ノ処分ヲ以テ其ノ執行ヲ免除シ得ベキモノト為シタリ。此ニ謂フ免除トハ将来ニ向ツテ予防拘禁ノ執行カラ消滅セシムル行為ニシテ、決定ノ取消ニハ非ズ。決定ハ裁判所ノ行為ナルヲ以テ検事ヲシテ決定ノ取消ヲ為シ得ベキモノト為スハ不当ナルヲ以テ執行ノ免除ヲ規定シタルナリ。
執行ノ免除ヲ為シ得ル条件トシテ執行ヲ為サザル期間ヲ二年ト規定シタルハ予防拘禁ノ期間ガ第五十五条ニ依リ二年ト法定セラレタルニ対応スルモノニシテ、執行ノ免除ハ、裁判所ノ為シタル決定ノ効力ヲ消滅セシムルモノナルノミナラズ、執行ヲ為サズシテ改悛ヲ想定スルモノナルヲ以テ、決定確定後相当期間本人ノ思想動向ヲ観察シタル後免除ノ可否ヲ決スベキモノト思惟シ、二年ノ期間ヲ免除ヲ為ス条件トシテ規定シタリ。
予防拘禁ノ執行免除ハ現実ニ執行セザルニ拘ラズ、改悛ヲ想定シ決定ノ執行カラ消滅セシムル行為ナルヲ以テ、現実ノ執行ヲ為シタル後改悛ヲ想定シテ為ス退所処分ニ比シ、其ノ手続寧ロ慎重ナルヲ要スルモノト謂フヲ得ベク尠クトモヨリ簡易ナルヲ許スベキモノニ非ザルヲ以テ、本条第二項ニ於テ此ノ場合ニ於テモ亦予メ予防拘禁委員会ノ意見ヲ徴スルコトヲ要スルモノト為シタリ。