精神医療に関する条文・審議(その6)

前回(id:kokekokko:20041118)のつづき。初回は10/28(id:kokekokko:20041028)。
昭和20年代精神衛生法改正を、ざっとみてゆきます。今回は、行政関係法の改正に伴う精神衛生法改正についてみてゆきます。たとえば、「法務府設置法等の一部を改正する法律」において精神衛生法が改正されていますが、ここでは「法務府設置法等の一部を改正する法律」それ自体についての検討は省略しました。

1.法務府設置法等の一部を改正する法律

法務府設置法等の一部を改正する法律案
精神衛生法の一部改正)
第三十三条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 目次中「第二十六条(矯正保護施設の長の通報)」を「第二十六条(矯正施設の長の通報)」に改める。
 第二十六条中「矯正保護施設」を「矯正施設」に、「少年保護鑑別所」を「少年鑑別所」に改める。
 第五十条中「矯正保護施設」を「矯正施設」に改める。
 
附則
1 この法律は、昭和二十七年八月一日から施行する。
2 入国管理庁設置令(昭和二十六年政令第三百二十号)は、廃止する。
3 従前の機関及び職員は、この法律に基く相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
4 この法律の施行前における法務府の各長官、法務総裁官房長、法務府事務官及び法務府教官の在職は、裁判所法第四十一条、第四十二条(判事補の職権の特例等に関する法律第一条第二項において準用する場合を含む。)及び第四十四条、検察庁法第十九条、弁護士法第五条並びに司法書士法第二条の規定の適用については、それぞれ法務省事務次官、法務事務官及び法務教官の在職とみなす。
5 他の法令中「法務府」とあるのは「法務省」と、「法務総裁」とあるのは「法務大臣」と、「法務府令」とあるのは「法務省令」と、「法務府事務官」とあるのは「法務事務官」と、「法務府教官」とあるのは「法務教官」と、「法務府技官」とあるのは「法務技官」と読み替えるものとする。
6 従前の入国管理庁設置令の規定に基き制定された命令でこの法律の施行の際現に効力を有するもののうち、この法律による改正後の出入国管理令にその規定に相当する規定があるものは、この法律による改正後の出入国管理令の規定に基き制定されたものとみなす。
7 この法律による改正後の犯罪者予防更生法第五条第二項及び第三項の規定は、この法律の施行後最初に行われる中央更生保護審査会の委員の任命について準用する。
8 この法律の施行後最初に任命される中央更生保護審査会の委員の任期は、この法律による改正後の犯罪者予防更生法第六条の規定にかかわらず、法務大臣の定めるところにより、それぞれ、一年、二年及び三年とする。

【20050715:参議院審議は、にわとりショコラへ移転しました。】

本会議会議録第70号(13衆昭和27年7月31日)
○議長(林譲治君) 日程第三十、法務府設置法案の一部を改正する法律案の参議院回付案、日程第三十一、自治庁設置法案の参議院回付案、右両案を一括して議題といたします。

○議長(林譲治君) 両案を一括して採決いたします。両案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○議長(林譲治君) 起立多数。よつて両案とも参議院の修正に同意するに決しました。

法務府設置法等の一部を改正する法律(昭和27年7月31日法律第268号)
精神衛生法の一部改正)
第三十三条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 目次中「第二十六条(矯正保護施設の長の通報)」を「第二十六条(矯正施設の長の通報)」に改める。
 第二十六条中「矯正保護施設」を「矯正施設」に、「少年保護鑑別所」を「少年鑑別所」に改める。
 第五十条中「矯正保護施設」を「矯正施設」に改める。
 
附則
1 この法律は、昭和二十七年八月一日から施行する。
2 入国管理庁設置令(昭和二十六年政令第三百二十号)は、廃止する。
3 従前の機関及び職員は、この法律に基く相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
4 この法律の施行前における法務府の各長官、法務総裁官房長、法務府事務官及び法務府教官の在職は、裁判所法第四十一条、第四十二条(判事補の職権の特例等に関する法律第一条第二項において準用する場合を含む。)及び第四十四条、検察庁法第十九条、弁護士法第五条並びに司法書士法第二条の規定の適用については、それぞれ法務省事務次官、法務事務官及び法務教官の在職とみなす。
5 他の法令中「法務府」とあるのは「法務省」と、「法務総裁」とあるのは「法務大臣」と、「法務府令」とあるのは「法務省令」と、「法務府事務官」とあるのは「法務事務官」と、「法務府教官」とあるのは「法務教官」と、「法務府技官」とあるのは「法務技官」と読み替えるものとする。
6 従前の入国管理庁設置令の規定に基き制定された命令でこの法律の施行の際現に効力を有するもののうち、この法律による改正後の出入国管理令にその規定に相当する規定があるものは、この法律による改正後の出入国管理令の規定に基き制定されたものとみなす。
7 この法律による改正後の犯罪者予防更生法第五条第二項及び第三項の規定は、この法律の施行後最初に行われる中央更生保護審査会の委員の任命について準用する。
8 この法律の施行後最初に任命される中央更生保護審査会の委員の任期は、この法律による改正後の犯罪者予防更生法第六条の規定にかかわらず、法務大臣の定めるところにより、それぞれ、一年、二年及び三年とする。

2.地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律
ここでも、地方自治法それ自体についての検討は省略しました。

地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案
精神衛生法の一部改正)
第三十六条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 目次中

 第十一条(両罰規定)
 第十二条(省令への委任)

 を

 第十一条(両罰規定)
 第十一条の二(承認等の取消)
 第十二条(政令への委任)

 に改める。
 
 第四条に次の一項を加える。
 4 第二項の規定により設置した精神病院を廃止しようとするときは、厚生大臣の承認を受けなければならない。
 
 第七条に次の一項を加える。
 3 第一項の規定により設置した精神衛生相談所を廃止しようとするときは、厚生大臣の承認を受けなければならない。

 第十一条の次に次の一条を加える。
(承認等の取消)
第十一条の二 厚生大臣は、指定病院又は第九条第一項の規定により設置された精神衛生相談所の運営方法がその目的遂行のために不適当であると認めたときは、その指定の承認又は設置の許可を取り消すことができる。この場合においては、厚生大臣は、指定病院又は精神衛生相談所の設置者に釈明の機会を与えるため、職員をして当該設置者について聴聞を行わせなければならない。
 
第十二条を次のように改める。
政令への委任)
 第十二条 この法律に定めるものの外、都道府県の設置する精神病院及び精神衛生相談所に関して必要な事項は、政令で定める。
 
附則
1 この法律は、昭和二十八年九月一日から施行する。但し、第四条中学校教育法第三十一条の改正規定は、公布の日から施行する。
2 この法律施行前従前の法令の規定によりなされた許可、認可その他の処分又は申請、届出その他の手続は、それぞれ改正後の相当規定に基いてなされた処分又は手続とみなす。
3 この法律施行の際従前の法令の規定により置かれている機関又は職員は、それぞれ改正後の相当規定に基いて置かれたものとみなす。

地方行政委員会会議録第6号(16衆昭和28年6月26日)
○中井委員長 会議を開きます。
 昨二十五日付託になりました地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇六号)及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案(内閣提出第一〇七号)並びに地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇八号)を一括して議題といたします。まず政府委員より提案理由の説明を聴取いたします。
 青木政務次官

○青木(正)政府委員 【略】引続いてただいま本委員会に付託になりました地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案につきまして、その提案の趣旨を御説明申し上げます。
 昨年第十三国会において御審議を願つて成立いたしました地方自治法の一部を改正する法律により、地方公共団体及びその機関に対して事務処理を義務づけるには、必ず法律またはこれに基く政令によらなければならないこととなり、もつて地方自治の健全な自主的運営をはかることと相なつたのであります。
 しかしながら、当時、政令以外の命令により、地方公共団体及びその機関に対して事務処理を義務づけていたものは、なお、数多く存しておりましたので、これらについては、経過的に、右の地方自治法の一部を改正する法律施行の日から起算いたしまして一年以内、すなわち昭和二十八年八月三十一日までに、改正後の地方自治法の規定に適合するように改正の措置がとられなければならないものといたし、これらの命令は、その法律改正がなされるまで、または改正自治法施行の日から起算して一年以内に限つて、なお、その効力を有するものと規定されておりまして、それまでの間に、これらの法令の規定を整備しなければならないことに相なつているのであります。
 右のような次第で、整理を必要とする法律は、古物営業法以下七十四法律に及んでおりますが、これらを統一的に整理することが適当と考えられますので、便宜一括いたしまして、地方自治法の規定に適合するように、省令等の規定事項を政令により規定するための根拠規定を設け、または法律で直接規定するように所要の改正を加えることといたしたのであります。
 しかしてこの際関係法律中明らかに地方自治法の精神に沿わないと認められる若干の規定につきましては、これを整理し、その他必要な調整を行うこととし、なお、従来の省令等にある事務についても、できるだけ簡素化する趣旨のもとに、法律により根拠を与える必要のないと認められるものは、その立法措置を避けることといたしたものも若干ごいざます。
 以上が地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の提案の趣旨であります。
 何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。

地方行政委員会会議録第67号(16参昭和28年7月8日)
○委員長(内村清次君) 次に地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の提案理由を聞きます。

国務大臣(塚田十一郎君) 只今本委員会に付託になりました地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案につきまして、その提案の趣旨を御説明申上げます。
 昨年第十三国会において御審議を願つて成立した地方自治法の一部を改正する法律により、地方公共団体及びその機関に対して事務処理を義務づけるには、必ず法律又はこれに基く政令によらなければならないこととなり、以つて地方自治の健全な自主的運営を図ることと相成つたのであります。
 しかしながら、当時、政令以外の命令により、地方公共団体及びその機関に対して事務処理を義務づけていたものは、なお、数多く存じておりましたので、これらについては、経過的に、右の地方自治法の一部を改正する法律施行の日から起算して一年以内即ち昭和二十八年八月三十一日までに、改正後の地方自治法の規定に適合するように改正の措置がとられなければならないものとし、これらの命令は、その法律改正がなされるまで又は改正自治法施行の日から起算して一年以内に限つて、なお、その効力を有するものと規定されておりまして、それまでの間に、これらの法令の規定を整備しなければならないことに相成つているのであります。
 右のような次第で、整理を必要とする法律は、古物営業法以下七十四法律に及んでおりますが、これらを統一的に整理することが適当と考えられますので、便宜一括して地方自治法の規定に適合するように、省令等の規定事項を政令により規定するための根拠規定を設け、又は法律で直接規定するように所要の改正を加えることといたしたのであります。
 而してこの際関係法律中明らかに地方自治法の精神に副わないと認められる若干の規定については、これを整理し、その他必要な調整を行うこととし、なお、従来の省令等にある事務についても、できるだけ簡素化する趣旨の下に、法律により根拠を与える必要のないと認められるものは、その立法措置を避けることといたしたものも若干ございます。
 以上が地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の提案の趣旨であります。
 何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
 これを以て提案理由の説明といたします。

【20050715:参議院審議は、にわとりショコラへ移転しました。】

地方行政委員会会議録第26号(16衆昭和28年7月30日)
○西村(力)委員長代理 【略】ただいま大蔵大臣が出席されましたので、これから地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の両案を一括して議題といたします。両案についてはすでに一応の質疑を終了いたしておりますか、質疑があれはこの際これを許します。
【略】
○中井委員長 それでは自治法に関する質疑は、この程度でよろしゆうございますね。――それでは自治法に関しまする質疑はこれをもつて終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中井委員長 御異議なしと認めます。よつて自治法に関する質疑はこれをもつて終了をいたしました。【略】

地方行政委員会会議録第27号(16衆昭和28年7月31日)
○中井委員長 次に地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案を議題といたします。本案につきましてはすでに質疑も終了いたしておりますので、これより討論採決を行いたいと思います。
 これより討論に入りますが、討論をなさる方はございませんか。
〔「省略」と呼ぶものあり〕

○中井委員長 討論は省略することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中井委員長 御異議なしと認めます。よつて討論は省略されました。
 ただちに採決をいたしますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中井委員長 さようならば、ただちに採決をいたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕

○中井委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決されました。【略】

本会議会議録第36号(16衆昭和28年8月4日)
○議長(堤康次郎君) 日程第一、地方税法の一部を改正する法律案、日程第二、地方自治法の一部を改正する法律案、日程第三、地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長中井一夫君。
〔中井一夫君登壇〕

○中井一夫君 ただいま議題となりました三つの法案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
【略】
 最後に、地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案について申し上げます。
 本案は、地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴い、現に効力を有する法令の規定で、改正後の地方自治法の規定に基いた法律またはこれに基く政令で規定しなければならないものを総理府令、省令その他の政令以外の命令で定めることを認めているものについて、改正後の地方自治法の規定に適合するように、これらの法令の規定の整備をはかろうとするものであります。
 本案は、六月二十五日本委員会に付託せられ、七月三十日質疑終了、翌七月三十一日討論を省略して採決に付し、賛成総員をもつて本案は可決すべきものと決定された次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)

○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。
【略】

○議長(堤康次郎君) 次に、日程第三につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。

地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律(昭和28年8月15日法律第213号)
精神衛生法の一部改正)
第三十六条 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
 目次中

 第十一条(両罰規定)
 第十二条(省令への委任)

 を

 第十一条(両罰規定)
 第十一条の二(承認等の取消)
 第十二条(政令への委任)

 に改める。
 
 第四条に次の一項を加える。
 4 第二項の規定により設置した精神病院を廃止しようとするときは、厚生大臣の承認を受けなければならない。
 
 第七条に次の一項を加える。
 3 第一項の規定により設置した精神衛生相談所を廃止しようとするときは、厚生大臣の承認を受けなければならない。

 第十一条の次に次の一条を加える。
(承認等の取消)
第十一条の二 厚生大臣は、指定病院又は第九条第一項の規定により設置された精神衛生相談所の運営方法がその目的遂行のために不適当であると認めたときは、その指定の承認又は設置の許可を取り消すことができる。この場合においては、厚生大臣は、指定病院又は精神衛生相談所の設置者に釈明の機会を与えるため、職員をして当該設置者について聴聞を行わせなければならない。
 
第十二条を次のように改める。
政令への委任)
 第十二条 この法律に定めるものの外、都道府県の設置する精神病院及び精神衛生相談所に関して必要な事項は、政令で定める。
 
附則
1 この法律は、昭和二十八年九月一日から施行する。但し、第四条中学校教育法第三十一条の改正規定は、公布の日から施行する。
2 この法律施行前従前の法令の規定によりなされた許可、認可その他の処分又は申請、届出その他の手続は、それぞれ改正後の相当規定に基いてなされた処分又は手続とみなす。
3 この法律施行の際従前の法令の規定により置かれている機関又は職員は、それぞれ改正後の相当規定に基いて置かれたものとみなす。