法改正ネタ

はてな複数アカウント取得に伴い、雑記風味の文章は別のところ(id:ameni)に書くとして、ひきつづきこっちでは[責任][精神医療と法]カテゴリに属する文章(あとそれらと性質が似ている[検討][日記][時事])を書いてゆきます。
譬えるならば、新しいアカウントのところが民事訴訟法で、このページは公示催告手続ニ関スル法律です。あ、そうなるとそのうちここは消えてしまうのか。
 
というわけで、去年の改正によって旧民事訴訟法が廃止されました。明治23年(施行は翌年)以来ずっと六法の一翼を担ってきた第29号ですが、昭和54年ごろからどんどん中身が抜き取られ、そのうち、第1条の次に第746条が来るような体たらくになりました。その間、

民事訴訟法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成8年法律第110号)
 (不動産登記法の一部改正)
第七条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)の一部を次のように改正する。
 第九十三条ノ四ノ二第五項中「及び」を「及ビ」に改める

として不動産登記法の立法ミスの尻拭いをさせられたこともありました*1
 
法改正といえば、とある所で、学部生に「改め文から改正後条文を作成させる」というイベント(?)があったそうですが、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」のうちいくつかの改正では、改正後条文が作れないんですよね。小六法の改正部分を読んでも、平成15年法律第54号などによる改正は「(織込み不能)」と書かれています。
というのもこれは、「犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(第156回閣法第85号)の成立を前提とした法改正であったのに、問題の閣法が審議未了になってしまったので、その後に公布された法改正は実施不可能(公布・施行はできます)になってしまっているのです。
 
あと一つ。「暴力行為等処罰ニ関スル法律」(大正15年法律第60号) は、日本法令索引(http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/index.jsp)では平成16年法律第115号で改正されていることになっていますが*2、これも改正後条文が作れません。これはですね、まず暴力行為等処罰法は昭和62年法律第52号で改正されました。でもって平成16年法律第115号は、この昭和62年法律第52号の一部を改正しています。するとここで再度、暴力行為等処罰法は改正扱いされるわけです。というわけで、文言が改められていないのに法改正がなされたことになる、というわけです。

*1:平成5年法律第22号による改正後の第93条ノ4ノ2第5項では、 『第八十一条第三項並ニ第九十三条第二項及ビ第三項ノ規定ハ第一項前段ノ登記ノ申請又ハ申請書ニ、第八十一条ノ四第二項ノ規定ハ敷地権ノ表示ヲ登記シタル合体前ノ建物ニシテ建物ノミニ関スル旨ノ附記ナキ一般ノ先取特権、質権又ハ抵当権ノ登記アルモノガ敷地権ナキニ至リタル場合ニ於ケル第一項ノ申請書ニ、第四十四条及び第四十四条ノ二ノ規定ハ前項第一号ニ掲ゲタル登記済証ガ滅失シタル場合ニ、第五十六条第二項ノ規定ハ前項第二号ニ掲ゲタルトキニ、第八十三条第五項ノ規定ハ前項第三号ニ掲ゲタルトキニ之ヲ準用ス』 と、文語文章の中になぜか一か所だけひらがなが入っていたのです。

*2:法庫http://www.houko.com/00/01/T15/060.HTMでは改正扱いされていません。