:「日本の島ではない」明記した日本国内法令を発見

独島:「日本の島ではない」明記した日本国内法令を発見
http://www.chosunonline.com/article/20090103000020

独島(日本名:竹島)を自国領と主張している日本が、1951年に公布した法令で独島を「日本の付属の島」から除外していた事実が明らかになった。

 1951年総理府令24号より前に公布された1951年大蔵省令第4号は、「旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法(昭和25年法律第256号)第4条第3項に規定する附属の島は、左に掲げる島以外の島をいう」と述べた上で、「鬱陵島、竹の島および済州島」を付属の島から除外する島として明記している。

事情はよくわかりませんが、法令の読み方としては弱いですよ。普通に読むと「講和条約サンフランシスコ条約)が未締結だから、帰属先未定の島しょにある財産は整理の対象としない」としている、と考えるはずです。
当該規定にある地域は、連合軍最高司令部訓令第677号(いわゆるSCAPIN-677)にいう「指令の目的によって、日本の範囲から除かれる地域」(第3項)であり、前述の総理府令がポツダム政令に関する命令である以上は、当然にこの地域を除外する必要があるわけです。しかもこの訓令自体に、「この指令中の条項は何れも、小島しょの最終的決定に関する連合国側の政策を示すものと解釈してはならない。」(第6項)とあり、領土問題の指針とならないのは明らかです。
現に、そこで挙げられてる他の地域については、日本は「獲得」ではなく「返還」されている(または「返還」を要求している)わけですから、もしこの規定をリンク先記事のように硬直的に読めば、日本は、小笠原諸島のように、鬱陵島をも返還請求できることにもなりかねません。
あるいは当該総理府令で同じく挙げられている「中の鳥島」のように、実在しない島として扱うことも許されるのでしょうか。
 
(補足)法令の文言を確認しておきます。
まず、当該記事が問題にしている規定(総理府令第2条3号)。

朝鮮総督府交通局共済組合の本邦内にある財産の整理に関する政令の施行に関する総理府令(昭和26年総理府令第24号)
第2条 令第14条の規定に基き、政令第291号第2条第1項第2号の規定を準用する場合においては、附属の島しよとは、左に掲げる島しよ以外の島しよをいう。
1 千島列島、歯舞群島(水晶、勇留、秋勇留、志発及び多楽島を含む。)及び色丹島
2 小笠原諸島及び硫黄列島
3 鬱陵島、竹の島及び済州島
4 北緯30度以南の南西諸島(琉球列島を除く。)
5 大東諸島、沖の鳥島南鳥島及び中の鳥島

ここでの「令第14条」とは、昭和26年政令第14号の第14条です。

朝鮮総督府交通局共済組合の本邦内にある財産の整理に関する政令(昭和26年政令第40号)
(準用)第14条 政令第291号第2条第1項第2号【中略】の規定は、この政令の規定による組合の本邦内にある財産の整理について準用する。【以下略】

また、総理府令にある「政令第291号第2条第1項第2号の規定」とは、以下の規定を指します。

旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令(昭和24年政令第291号)
(目的)第1条 旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産は、この政令の定めるところにより整理する。
(定義)第2条 この政令における用語の定義は、左の各号の定めるところによる。
2 「本邦」 本州、北海道、四国、九州及び主務省令で定めるその附属の島しよをいう。
3 「旧日本占領地域」 満洲中華民国、台湾、朝鮮、樺太琉球列島、南洋群島及び主務省令で定めるその他の島しよ並びに明治27年以後において日本により占領又は統治されていたその他の一切の地域をいう。

そして、これらをつなぎあわせると、こう読めるわけです。
 
政令における用語の定義で、「本邦」とは、本州、北海道、四国、九州及びその附属の島しよをいい、そこには竹島は含まれない。』
 
冒頭のリンク先記事はこれを、「日本政府は竹島を領土から除外している」と読んだわけです。
しかしながら、上の2つの政令はいずれもポツダム政令であり、GHQの指示に従って占領政策を実施するために公布されたものです(なお、これらはポツダム政令ですから、現在でも法律としての効力を持ちます)。そして、GHQはすでに、占領政策を実施するための日本領土を定義していました。

連合軍最高司令部訓令第677号(昭和21年1月29日)
第3項 この指令の目的から日本と言ふ場合は次の定義による。
日本の範囲に含まれる地域として
日本の四主要島嶼(北海道、本州、四国、九州)と、対馬諸島、北緯30度以北の琉球(南西)諸島(口之島を除く)を含む約1千の隣接小島嶼
日本の範囲から除かれる地域として
(a)欝陵島、竹島済州島
(b)北緯30度以南の琉球(南西)列島(口之島を含む)、伊豆、南方、小笠原、硫黄群島、及び大東群島、沖ノ鳥島南鳥島、中ノ鳥島を含むその他の外廓太平洋全諸島。
(c)千島列島、歯舞群島(水晶、勇留、秋勇留、志発、多楽島を含む)、色丹島
 
第4項 更に、日本帝国政府の政治上行政上の管轄権から特に除外せられる地域は次の通りである。
(a)1914年の世界大戦以来、日本が委任統治その他の方法で、奪取又は占領した全太平洋諸島。
(b)満洲、台湾、澎湖列島
(c)朝鮮及び
(d)樺太
 
第5項 この指令にある日本の定義は、特に指定する場合以外、今後当司令部から発せられるすべての指令、覚書又は命令に適用せられる
 
第6項 この指令中の条項は何れも、ポツダム宣言の第8条にある島嶼の最終的決定に関する連合国側の政策を示すものと解釈してはならない

このため、ポツダム政令が効力を持つ領域を示すのに、問題の総理府令のような記述になるのは当然であり、これをもって領土問題解決の指針とすることはできないわけです。
もしそれが許されるなら、『GHQは、訓令第3項と第4項で、欝陵島・竹島と朝鮮とを明らかに書き分けている。これは、GHQが、欝陵島・竹島を朝鮮の一部とは認めていなかったという趣旨である。』というような解釈も許されることになるでしょう。