危険運転致死傷罪

今日も法改正の話。http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00074.html
今回の法案では、危険運転致死傷罪の対象行為が増えます。これに際して、当該条文を刑法から特別法へ移すことになりました。改正後の規定のいくつかに政令への委任があり(たとえば運転に支障がある病気)、それが刑法典にあまりなじまない、というのが移行の理由のようです。
同時に過失運転致死傷も特別法へ移行することとなり、結局、刑法典のほうは昔の規定(危険運転致死傷罪の制定以前)に戻ることになります(法定刑に差異がありますが)。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
(定義)
第一条 この法律において「自動車」とは、【略】をいう。
2 この法律において「無免許運転」とは、【略】をいう。
危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
 一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
 二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
 三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
 四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
 五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
 六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。
(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)
第四条 アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の懲役に処する。
(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
無免許運転による加重)
第六条 第二条(第三号を除く。)の罪を犯した者(人を負傷させた者に限る。)が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、六月以上の有期懲役に処する。
2 第三条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は六月以上の有期懲役に処する。
3 第四条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十五年以下の懲役に処する。
4 前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。