非嫡出子

非嫡出子の相続分を嫡出子の半分とする民法の規定を削る旨の改正案が、法務委員会で可決されました。
婚外子規定削除を可決 衆院法務委 戸籍法改正では異例の自公分裂
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131120/plc13112013190009-n1.htm

 一方、民主党などが提出した、出生届に嫡出子かどうかを記載するとした規定を削除する戸籍法改正案には公明党が賛成したが、自民党が反対し否決された。与党で法案への対応が割れるのは異例だ。
 公明党民法改正と合わせて、戸籍法も改正すべきだと主張していた。「差別的規定は削除すべきだ」(幹部)との声が根強く、民主党みんなの党が提出した戸籍法改正案で賛成に回った。

ただ、この改正案(修正案)では、戸籍法だけでなく死産の届出に関する規程(昭和21年厚生省令第42号)(いわゆるポツダム省令)での規定も削ろうとしていたようなのです。

民法の一部を改正する法律案に対する修正案
民法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
附則第2項中「この法律による改正後の」を「第1条の規定による改正後の民法」に改め、同項の次に次の一項を加える。
 (死産の届出に関する規程の一部改正)
3 死産の届出に関する規程(昭和21年厚生省令第42号)の一部を次のように改正する。
  第5条第2項第3号中「及び嫡出子又は嫡出でない子の別」を削る

戸籍法のほうは本法第2条で改正し、死産規定のほうは附則で改正しようとする方針はよくわかりませんが、「公衆衛生特に母子保健の向上を図るため、死産の実情を明かにすることを目的とする」(第1条)ために嫡出子か否かを届けさせるという規定が、法の下の平等に反するかどうかはなお検討の余地があるかもしれません(死産届出ではほかにも、世帯の仕事などについても書かせることになっています)。嫡出制度の存否とは別に、保健上の調査のために「法律上の夫婦からの子かどうか」を届けさせるというのは、合理性があるかもしれません(少なくとも、生きている子についての平等とは別の観点からの議論は必要でしょう)。

昭和21年厚生省令第42号(死産の届出に関する規程)
第5条  死産届は、書面によつてこれをなさなければならない。
 2項  死産届書には、次の事項を記載し、届出人がこれに記名捺印しなければならない。
  3号  死産児の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別

なお、当該規程は最近、非訟事件手続法改正によって改正され、第12条の文言が変更されましたが、しかしなお第11条はそのままであり、過料は500円以下です。

第11条  死産の届出義務者が正当の事由なくして期間内に届出を怠つたときは、五百円以下の過料に処する。
第12条  過料についての裁判は、簡易裁判所がこれを行う。

 
なお、埼玉県の春日部市が死産届をネットにアップさせています。http://www.city.kasukabe.lg.jp/shimin/kurashi-k/koseki/shussho/documents/shizan.pdf なのですが、よくみると「死産児の男女別」の項が「男/女/不祥」となっています。もちろん、「不詳」でしょう*1

*1:「不祥」の意味は、「不幸」というよりは「不吉」「不運」ですから。