条文はこう読む ―特定秘密保護法の「テロリズム」をめぐる誤解―

http://bylines.news.yahoo.co.jp/sonodahisashi/20131227-00031048/

本法第12条2項1号に「テロリズム」に関する定義があり、次のような条文になっています。
「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。」
特定秘密保護法をめぐる議論において、この「テロリズム」の定義を誤って読んでいるケースが少なくありません。

よくでる並列の問題です。
『Aを行う又はBを行う目的でC又はDを行う。』
という文言があるときに
「目的は、A又はB。」「行為は、C又はD。」と読む(つまり類型は、組み合わせると4パターン)のであって、
「以下の3つのうちのどれか。(1)Aを行う、(2)Bを行う目的でCを行う、(3)Bを行う目的でDを行う。」と読むのではない、というもの。
 
まあそうなると、たとえば

第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

からは、人種差別は無条件に禁止されているのではなく、あくまで「政治的・経済的・社会的関係」による差別のみが禁止されている、と解釈できなくもないわけですね*1

あと、以前書いた(id:kokekokko:20060203)のですが、平成23年法律第74号による改正前の刑法

第九十六条 公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法で無効にした者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

だと、「何を」その他の方法で無効にしたのかがわからないんですね。

*1:もちろん、そう解釈されていません。通説も判例も、14条後半部は例示的規定であると解しています。