日記

続・返信(1)

ひきつづき返信です。 まず、昭和49年建設省令第1号と法令番号について。 昭和49年建設省令第1号 都市緑地保全法【中略】の規定に基づき、並びに都市緑地保全法を実施するため、都市緑地保全法施行規則を次のように定める。 都市緑地保全法施行規則 (収容委…

返信と検討(後編)

前回(id:kokekokko:20080908#p1、id:kokekokko:20080914#p1)につづいて、みうらさんからのコメントについて検討します。まず、 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/B6B5BB00703012A349256D41000A77D3.pdf 東京高判昭和50年9月10日行政事件裁判例集26巻9号…

返信と検討(中編)

前回にひきつづき、みうらさんからいただいたコメントについて考えてみます。 まず、自動車交通事業法は廃止されているが自動車交通事業財団抵当登記取扱手続(司法省令)が廃止されていない、という件についてです。 たしかに自動車交通事業法は廃止されて…

法律効力(3)

前回(id:kokekokko:20080908#p2)のつづき。 法律によって命令が改廃される場合、その命令が「法律としての内容」を持っていると考えられていたということが多いです。罰則規定はもちろんのこと、たとえば、「第○条 内閣は、団体を指定(指定解除)する。」…

法律効力(2)

今回取り上げる法令をみてみます。まずは、刑事訴訟法施行法です。 刑事訴訟法施行法(昭和23年12月18日法律第249号) 第17条 司法警察事務上巡査に於て警部代理方(明治14年司法省布達甲第5号)及び裁判言渡の謄本等を求むる者費用上納額(明治14年司法省布…

返信と検討(前編)

今回は前回に引き続き、法律で改廃された命令についてみてみようと思いましたが、前回の記述についてみうらさんからコメントをいただいたので、先にそれについて検討してみます。 まず2006/8/8付の記事(id:kokekokko:20060808#p1)について。廃止直前の法令…

法律効力(1)

法律の改正や廃止は、法律によって行われます。また逆にいえば、法律によって改正・廃止することができる対象は、基本的には法律であるということになります。これは当然でして、政令や省令が法律よりも下位の法規範であるとしても、国会以外が制定・公布す…

汽車検疫

先日(id:kokekokko:20080505)のつづき。 汽車検疫規則が内務省令であることからもわかるとおり、検疫は内務省衛生局の所轄でした。 汽車検疫規則 第2条 汽車中ニ伝染病患者又ハ死者アリタルトキハ患者ハ之ヲ市町村立ノ伝染病院又ハ隔離病舎其ノ他適当ノ場…

鉄道と法

wikipedia・鉄道営業法では、次のような記述があります。 鉄道営業法(てつどうえいぎょうほう;明治33年3月16日法律第65号)は、鉄道運送に関する民法及び商法並びに刑法の特別法である。最近の改正は、平成11年(1999年)12月22日法律第160号。 「最近の改…

論説

著作権法における私法的解釈と刑法的解釈(青山法学論集第49巻3号1ページ)winny事件の正犯判決*1に関して、「光が電気でないから光ファイバーは電気通信回線にも有線電気通信にも該当しない」という見解に対して検討しています。 本件は、刑事事件であるか…

刑法施行法第3条の適用(後編)

前回(id:kokekokko:20070808)のつづき。 旧刑法では、同種の刑罰であっても、異なる種類の刑とされるものがありました。たとえば重懲役と軽懲役の差異は刑期の長さですが、それぞれ異なる刑であるとされ、各則でも「重懲役又ハ軽懲役ニ処ス」とされていま…

刑法施行法第3条の適用(前編)

複数の罪の対照についての規定として、刑法施行法の第3条があります。 刑法施行法(明治41年法律第29号) 第3条 法律ニ依リ刑ヲ加重減軽ス可キトキ又ハ酌量減軽ヲ為ス可キトキハ加重又ハ減軽ヲ為シタル後刑ノ対照ヲ為ス可シ 2 数罪ヲ犯シタル者ニ付テハ併合…

アカデミックなゲーム

どこからともなく教えていただいた話。いわゆる「学界ゲーム」の本当の問題点は、どのあたりにあるのでしょうか。 学界ゲーム 1.無能教員とつるんでいる無能院生が愚劣論文を書きなぐる。 2.愚劣論文の本数が揃うと無能院生は就職する。 3.職を得ると…

押送規則

受刑者処遇法の改正に伴い、施行令の改正が検討されています(警察庁パブコメ)が、そこでは押送(おうそう)についての規定も設けられるようです。 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令案…

石井徹哉「無免許運転罪の故意」(岡野古稀133ページ)

事実的故意に評価的要素を含ませないという流れは近時かなり強くなっています。責任説の立場からも(たとえば山中敬一)、故意説の立場からも(たとえば浅田和茂)、事実的故意の過度の規範化に対して歯止めをかけ、法益侵害性の認識などに対して「故意の対…

刑事判例

【特別刑法判例研究】いわゆるピッキング防止法四条にいう「業務その他正当な理由による場合」に当たらないとされた事例(法律時報2007年5月号107ページ)「業務その他正当な理由」や「隠して」という、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第4…

告示をすべきとする省令を挙げればよいのか

地上デジタル放送への移行を定める法律(参議院法制局) http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column071.htm 電波法は、有限な資源とも言うべき電波の割当てのため、総務大臣が周波数割当計画等の計画を定めることとしています。そして、平成13年の電波…

司法と行刑

刑事訴訟と行政との関係についての一つの例として、死刑執行の際の法務大臣の命令があります。旧刑訴にはこれに対応する規定がありましたが、旧々刑訴には、制定当時はこの規定はありませんでした。というのも、この規定は、かつては旧刑法にあったからです…

司法と行刑

というわけで本題です。 そもそも、行刑はなぜ司法権の範囲に含まれていないんだろうか。 とありますが、やっぱり歴史的経緯が大きいのかもしれません。司法が行政から明確に分離するよりも前から国家刑罰権という形で公権力が担ってきた刑事と、私人間の係…

全部改正と廃止制定

続・航海日誌さん(http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0609.shtml#0929)に、死刑執行に係る法務大臣の命令の話題があり、それについて書こうと思ったら、9/11付で 有価証券業取締法(昭和13年法律第32号)【→ 証券取引法を改正する法律(昭和23年…

皇室典範増補

「改め文」―法令の一部改正方式― (法制執務コラム集)では、 一部改正方式としては、アメリカ合衆国憲法のように「修正第○条」として制定する方式もありますが、これについては、新たな規定の内容は明白であるが、それ以前の規定と比較して現行規範が何かを…

法令題名の小ネタ・覚せい剤取締法から

法令の題名と条文の一部の、「覚せい剤」の「せい」の部分には、傍点がつきます。この点はウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%9A%E3%81%9B%E3%81%84%E5%89%A4%E5%8F%96%E7%B7%A0%E6%B3%95)の記述が正しいです。 付記すると、この傍点は、…

法律ネタ(ameniから移転)

「ヂエチルパラニトロフエニールチオホスフエイト及びヂメチルパラニトロフエニールチオホスフエイト取扱基準令」 変な法律さま(http://www.ceres.dti.ne.jp/~chu/law/hori_400.htm) をネットで見ていたら、知人に「ああ、これパラチオンのことでしょ」と…

法律の題名

法例の全改によって、この法律の題名が変更になりました。それによって、法律の題名の末尾が「〜法」「〜法律」ではない法律がまた1つなくなる*1ことになります。 これについて少しだけ考えてみます。 まず、当然のことですが、 1:法律ではないもの(例:…

津田雅也『Geoffrey R. Watson「消極的属人主義」について』東北法学27号180ページ

また、学説にも、今回の改正によってTAJIMA号事件において見られたような国際司法共助の手続の遅延に伴う関係者の負担が解消されることを指摘するものや、国際化の進展い伴い海外で日本人の被害者が増加しており自国民保護の観点から歓迎すべきことで…

刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案

法案がアップされました。 http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16405085.htm 未決拘留者や死刑確定者に関する規定が追加された結果、「款」の下に「目」が設けられるほどに詳細にわたる法律となりました。 なお、これによって…

内乱罪、その本質と幇助罪との関係(その8・小完)

先日(id:kokekokko:20060222)のつづき。(2)77条3号「付和随行」と「単に暴動に参加」の関係旧刑法121条4項について、井上操は、「兵卒役夫の行為を行った者」と説明しています。旧刑法では「教唆に乗じて附和随行」した者と「指揮を受けて雑役に供した」…

内乱罪、その本質と幇助罪との関係(その7)

先日(id:kokekokko:20060221)のつづき。 ここで、議論になる点をもういちど提示しておきます。 (1)現77条2号「諸般の職務に従事」の意義 漠然とした規定である「諸般の職務」とは、具体的に何をさすのでしょうか。 旧刑法121条3項の「諸般ノ職務ヲ為シタ…

内乱罪、その本質と幇助罪との関係(その6)

先日(id:kokekokko:20060220)のつづき。 司法省による明治28年草案での条文をみてみます。 第85条 政府ヲ顛覆シ又ハ邦土ヲ僭窃シ其他朝憲ヲ紊乱スルコトヲ目的トシ暴動ヲ為シタル者ハ左ノ区別ニ従テ処断ス 1 首魁ハ死刑又ハ無期禁錮ニ処ス 2 謀議ニ参与シ…